いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

選挙報道と知る権利。 news of election & right to know

2021-10-28 20:22:01 | 日記
 (1)選挙報道でのメディアの選挙区、候補者の途中情勢分析は恒例となっているが、これが国民有権者の知る権利、報道の自由につながるものかは考えものだ。国民の選挙への関心を高める効果はあっても選挙戦中であり、各党、候補者の訴え、主張を聞いて投票先を決めようとしている時にどの党、どの候補者がすでに有利に進めているとか不利だとかいうメディアの調査分析結果は、選挙の行方、判断を操作する要素があり、誘導性のあるもので考えさせられる。

 (2)16年米国大統領選では主要新聞が当時の国務長官も務めたヒラリー・クリントン候補を支持し有利と伝え、政治経験のないトランプ候補を不利と報じていた。トランプ候補支持は経済大国米国の恩恵を受けられない経済弱者の白人マイノリティで、米国社会にこれまで影響力を及ぼしてきたセレブ、マジョリティ層に反旗をひるがえして注目されて、メディアも白人マイノリティ層の意思を示さない隠れた動向を読み切れていないと報道していた。

 (3)主要新聞のクリントン候補有利報道に対して、白人マイノリティ層の隠れた浮動票が反発してトランプ候補に結集、結束したことも考えられて、結果は主要新聞の予測に反してトランプ候補の勝利となった。

 もちろんひとつの可能性の範囲のことで、しかし選挙戦中の情勢分析判断に対して不利といわれた陣営、支持層では危機感、結集、結束し、それまで無関心だった隠れた支持層の投票行動を強める効果は考えられる。

 (4)選挙戦中の情勢分析で有利と伝えられた陣営、候補者では油断、安心、慢心を警戒する、締め付けを強めるといわれるのは、不利陣営、候補者の危機感による結集、結束、支持拡大掘り起こしを警戒するためのものであり、選挙戦中のメディアの情勢分析報道は国民の投票行動に関心を与える、高める意味はあっても、同時に国民有権者の意思、判断、投票行動を操作することにつながることも考えられるものだ。

 (5)このような選挙報道は国民の知る権利、報道の自由の理念につながるものではなく、国民有権者の判断、選択を先取りする出すぎた報道の影響は米国大統領選でも失敗した経験があり、その後の正しい情報報道でも反対者からはフェークニュースとして決めつけられて苦しんだ。

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