いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

理不尽で最低の面目。 unreasonable minimum honor

2022-11-17 20:34:49 | 日記
 (1)政治に面目があるのか、必要なのかわからないが、バリ島で開催されたG20ではこれまで首脳宣言が採択されなかったことがない中、今回はウクライナ情勢で米、EU、日など西側国と露、中の意見の対立が大きく首脳宣言が採択されない観測も出ていたが最終日に全会一致での首脳宣言が採択され、G20の面目を保ったといわれる。

 (2)しかし内容を見てみると、「参加国の大半がウクライナでの『戦争』(はじめて戦争と認定した)を強く非難」し、「(ロシアへの)制裁などには他の見解や異なる評価もあった」(報道)と両論併記で、参加した露のラブロフ外相は「西側は多くの国がロシアを批判したとの文言を追加した。我々は別の観点を記録に残した。それで十分だ」として全会一致に至った。

 (3)つまりは米、EU、日など西側国と露のこれまでの主張をそのまま併記しただけのことで、これがG20協議の結果とするならば歩み寄りはなく成果はなく決裂しただけのことで首脳宣言としてまとまったといえるものではなく、露による一方的で理不尽なウクライナ軍事侵攻への圧倒的な国際批判からすればウクライナのインフラ、市民への破壊攻撃、一方的な一部地域の露併合を宣言している露としては首脳宣言の両論併記は現状維持の満足な結果となった。

 (4)プーチン大統領が直前になって出席を取りやめ、代わりにラブロフ外相出席での両論併記の首脳宣言の採択は、露の理不尽な「面目」を保ったということになる。G20としては大半の国がウクライナでの「戦争」を強く非難しているのだから、それに見合った露の「変化」がないのであれば首脳宣言を採択しない異例の判断で「大半」の国の意思(国際世論)を示すことでもよかった。

 (5)ラブロフ外相の感想での両論併記について「それで十分だ」が首脳宣言の採択にこだわったG20の変な面目を表現している。やはりG20への露よりの立場を崩さない中国習近平主席の存在、影響力、配慮が大きかったように感じる。
 ただ露プーチン大統領が予定していた直前になってG20出席を取りやめたことは、ウクライナ情勢についての主要国首脳が一堂に集結して話し合うという歴史的会議の機会を失ったことは残念だったが、露がウクライナ戦争で追い詰められていることを示すもので、今後の展開では米、EU、日など西側国の停戦、終息に向けて有利な展開になる期待もある。

 (6)それは追い詰められた露プーチン大統領が最終手段の戦術核使用示唆の威嚇への警戒を怠れないが、その歯止めとしてのG20の首脳宣言の採択となればなんとか最低の面目(unreasonable minimum honor)は保てることになる。

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バリ島の失楽園。 paradise lost in bali

2022-11-16 20:53:54 | 日記
 (1)カンボジア、インドネシア・バリ島に各国首脳が集結してG20など国際首脳会議が開かれている。これに合わせて個別に日米、米中、日韓、日中首脳会談も開かれている。国際会議の花盛りだが各国首脳の置かれた立場は今秋それまでの規約を改正して3選を果して絶対権力を確立した中国習近平国家主席以外の主要国首脳はそれぞれ国内に課題、問題を多く抱えて政権が安定しない事情がある。

 (2)本来なら国内政策に集中しなければならない政治状況であるが、世界首脳が集まる外交会合に国民の目を向けさせて外交成果で国内現状を打開、回復させたい意向も考えられる。「G0」時代といわれる中でのG20首脳会議では各国首脳の利害が対立して建設的な話し合いは期待できずに、結局は「G0」時代を象徴することになってはさらなる困難、問題、難題を抱えることになりそうだ。今回は恒例の参加首脳の集合写真も中止になった。

 (3)露プーチン大統領は直前になって出席を取りやめて、米中首脳が対面で出席しているのだから、当初はプーチン大統領も出席を表明していたのだから、露のウクライナ軍事侵攻の停戦、終結に向けて個別会談、G20サミットで協議、話し合うことができる大きな機会であり、期待と責任があった。

 (4)プーチン大統領はウクライナ軍事侵攻がウクライナ軍の反転攻勢にあって露軍の撤退報道もあり急きょ出席を取りやめたものとみられるが、当初の予定どおり出席して当事国、当事者と対面で話し合うことが出来た歴史的な機会でもあった。

 ウクライナ情勢は軍事問題とともに経済、景気、食糧問題にも影響して世界的な物価高、インフレ、円安を引き起こして世界の喫緊課題になっており、G20首脳会議で討議、協議する必要性の高い議題である。

 (5)現在世界が直面する最大の課題、問題であり、これだけの各国首脳が一堂に集結した国際会議の場での参加を表明していたプーチン大統領を交えた話し合いは歴史的な機会だった。こうした機運、盛り上がりがみられないのは残念で、G20サミットの存在、価値、意義が失われる。

 中国、ブラジル、インドなど新興国の台頭でG7に代わってG20の存在感が増していたが、近年は中国の香港干渉、台湾、人権問題で専制国家主義の強制権力関与が目につき、国際批判の中でG20の結束にも陰りがみえてまさしく「G0」時代を迎えていた。

 (6)G20で米中日など首脳にプーチン大統領も当初の予定どおりに出席するとなれば、今回のG20は今世界が直面する難題、課題、問題に向き合うことができる意味、意義が大きかっただけに、こういう機会がなかなかないだけに実現しなかったバリ島は失楽園(paradise lost in bali)となった。

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歴史の転換時代。 the changing time of history

2022-11-15 20:03:27 | 日記
 (1)歴史的変遷、転換、流れの中で、今の世界、日本がどういう位置にいるのか気になった。日本では卑弥呼政治史起源、朝廷政治、武家時代に二百年以上続いた徳川幕府政権から明治政府への大政奉還による転換があり、大正、昭和初期と全体主義、軍政国家体制が続きアジア植民地侵略支配に続く第2次世界大戦での広島、長崎原爆投下による敗戦で、米国、米軍統治支配による戦後時代を経験して平和憲法のもとの民主主義国家として転換を迎えた。

 (2)その後は戦後高度経済成長時代の中で当時GNP世界2位の経済国家として発展して、戦後歴史転換時代の中の現在を迎えている。世界は米ソ冷戦時代からソ連邦崩壊を経て新興国中国の経済、軍事台頭時代の中で米中対立時代を迎え、ヨーロッパ中心に極右勢力、権威、専制国家の台頭時代で民主主義、資本主義の後退がいわれている。

 (3)この世界的な潮流、流れの中で日本も保守思想主義の強い安倍首相、政権のアベノミクス政策が国民の支持を受けて戦後最長(7年余)政権を記録して、保守思想を背景にした憲法改正にこだわり、社会でも神社本庁、氏子を動員しての憲法改正促進の国民的動きもみられるなど保守思想社会の復権がみられる。

 (4)情報化社会、IT革命も英国などの産業革命時代の再来とみれば、また極右勢力の台頭もヒットラー独裁全体主義の再来であり、ウクライナ侵攻につながるプーチン大統領の大ソ連邦復活構想、中国習主席の絶対主義体制は毛沢東時代へのそれぞれ歴史的に見れば懐古主義の基調の中にあり、時代の転換を迎えたとはいえない。

 (5)現在露のウクライナ軍事侵攻によりプーチン大統領は核兵器使用を示唆して威嚇しているが、これが仮に現実のものになれば第2次世界大戦での広島、長崎原爆投下の世界情勢(米英仏など連合国対日伊独)への回帰、懐古主義などではなく、米、EU、NATO、民主主義国家対露、中国などの権威、専制国家群との対立構図で世界的な思想、軍事、経済構図の次の転換時代の幕開けで、勝者のいない新しい核の時代あるいは世界の終えんを迎えるのは間違いない。

 (6)その転換時代だけは阻止しなければならない、歴史の今日的世界の平和責任だ。

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国家の「うつわ」と指導者の「中身」。 ‘capacity’ of nation & ‘substance’ of leader

2022-11-14 20:13:55 | 日記
 (1)政治には「うつわ」(capacity)と「中身」(substance)がある。米国、中国、日本と一定の国際評価のある国体、「うつわ」は定着して、その「うつわ」の評価の中で「中身」の指導者、リーダー、議会、国民が変化しながらも自国の利益を守り、国際関係の中で存在感を示していくのが政治だ。

 (2)岸田首相はカンボジアなどでのASEAN、G20出席のため11日に出発する予定だったが、葉梨法相の更迭、後任決定に迫られ出発が12日の深夜になった。オンラインでの参加も検討(報道)されたが、本人の強い希望で出発を遅らせての国際会議出席だった。
 
 (3)プノンペンでは中国の李克強首相がASEAN会議に習近平主席と出席して演説し、岸田首相とも廊下での短時間での立ち話会談をしたとの報道だ。李克強首相は今秋の中国共産党大会後に習近平新体制ではすべての役職から除外されて無役、「ただの人」になることが決まっており、来年の習新体制発足までの首相としてプノンペン会議にも出席している。

 (4)中国は習近平主席が政治、軍事政策を受け持ち、李克強首相が経済政策を担当する区分けといわれて、しかし習主席から徐々に経済権限も奪われて習体制では存在感、権限をなくしていたといわれている。
 日本ではすでに退任が決まっている閣僚が国を代表して国際会議に出席することは国際的信用度、影響度から考えづらく、首相が代行するか後任を決めて出席するというのが常態だ。

 (5)習近平主席全権掌握、権力集中の中国統治体制では方針は変わらずに、国際会議での発言も今後無役の李克強首相でも誰でもいいのだろう。李克強首相は中国共産党のエリート養成機関で高度の経済学を学び、経済の専門家といわれ、改革派と目されて、今回の中国共産党大会で地方組織上がりの習主席がかっての部下の側近で固めた新体制から除外されて無役、ただの人になることが決定していた。

 (6)しかし、国際政治が習新体制から除外された無役の李克強首相と会談、話し合ってもそれが意味のある成果となるかは疑問で、中国関係の緊密性、必要性維持を確認する儀礼的なものになり、岸田首相としても中国との関係の重要性を考えての李克強首相との立ち話会談だったのだろう。あるいは長年付き合ってきた李克強首相をねぎらう意味合いもあったのかもしれないものだ。

 (7)同じく出席している民主党バイデン米大統領も中間選挙での善戦(下院は共和党、上院は民主党多数が有力)は伝えられているが、分断政治で今後の政権運営、議会対策に難題は多く、韓国の尹鍚悦大統領も経済政策などで国民支持率は低落して評判は悪く、岸田首相も国内事情は同じでこういう指導者たちが集まって協議、話し合ってもどれだけ成果、結果に結びつくのかわからない。

 (8)当初出席を表明していた露プーチン大統領はウクライナ情勢の後退でか、直前になってオンラインでの参加に変更した。

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10年遅れ。 10years late

2022-11-12 20:35:09 | 日記
 (1)上場企業の22年9月中間決算発表では1部上場企業の売上高は円安による売上額の円換算で合計で前年同期比18.1%増(247.3兆円)と過去最高益を更新したが、営業利益合計は資源高など仕入れ価格の高騰で前年比0.6%増(17.6兆円)に(報道)とどまった。自動車など輸出産業では売上高が17.1%増となったが最終利益は13.7%減の円安、原材料高騰の影響で落差の大きい結果となった。

 (2)トヨタなど自動車産業は途中、半導体不足で生産計画の見直し、生産一時停止に見舞われて、AIなど次世代半導体の国産化確保に向けてトヨタ、ソニー、NTT、ソフトバンク、三菱UFJなど8社が参加、出資して新会社「ラピダス」を設立した。

 (3)半導体事業は1980年代は日本の半導体メーカーが世界シェアの50%超を占めていたが、今や台湾、韓国にシェアを奪われて世界から「10年あるいは20年遅れている」といわれる現状だ。
 技術、製造業が特徴の日本企業、産業でどうしてこんなことになったのか、その後の急速な情報化社会、IT革命時代に適切に対応できずに人材、知能、技術の海外流出の影響を受けたのか、さらに日本経済、産業、企業の特性も影響したとみられる。

 (4)日本の企業では内部留保が500億円以上といわれて過去最高を記録し、賃上げによる物価上昇の好循環をはかりたい政府から内部留保を賃上げに回す期待、要請も聞かれ、日本企業の積極的な事業投資に向かわない守りの慎重、内向きの体質がみられるものだ。

 (5)米国でのかなり前の逸話で、市場をほとんど独占した企業が独禁法に問われて、その社長が社員にそれなら市場残り全部を取ってこいと言ったという話があって、競争相手がいるからの独禁法違反であり市場100%独占ではパラドックスとして独禁法は成り立たない。極論でおもしろおかしい話ではあるが、攻撃型経済社会の特徴を示したものだ。

 (6)前出のトヨタなど8社の参加、投資の次世代半導体新会社は27年をめどに量産化を目指すとしているが今回の投資規模も「現状では本気かと思われてしまう規模感だ」(関係者)との声も聞かれて、世界から10年、20年は遅れている日本の半導体事業でどこまで追いつけるのかはわからない。

 (7)半導体事業では過去にも経産省が公的資金をつぎ込んで官民挙げて取り組んだ事業が経営破たんした前例があり、守り、慎重、内向きの産業、企業体質の日本が攻撃型産業、企業に変革できるのか、それでも時代、技術、革命の変化を正しくとらえられない取り組みの遅さは解消されておらずに、とりあえずは何もしないよりはましという危機感の共有だ。

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