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恥知らずの流産キック 知るかバカうどん「ホップ★ステップ はい キック!!!」 感想

2016-07-12 | 知るかバカうどん
                                   
                                これが男の醜さよ。










コミックMate VOL.10より。
個人的に、「正しいもの」だけを摂取して生きていけるほど強くはない・・・というか、
時には目の前に転がっているどうしようもない現実をめちゃくちゃに引き裂いてくれるような表現がどうしても必要になる事があります
知るかバカうどんさんの漫画たちは、今現在そんな気持ちに真っ向から応えてくれる作品の一つと言えるでしょう
どこまでも深淵で、どこまでも暗部で、どこまでも醜く、どこまでもやりきれない、、、
そんな作中観につい夢中になってしまうんですが、
正直知るかバカうどんさんに関しては薦めよう、とか(魅力を)伝えよう、とか
そんな気持ちは一切ないです
だって、そういう気持ちになるにはあまりにもハードルが高すぎますし、憚られるからです
っていうか、ぶっちゃけこーゆーのが好き(?)な方だけ読めばいい、みんなコソコソと、ひっそりと、隠れて読む方が適してるんじゃないかと
大衆受けだとか、みんなが好きだとか、そういうところから最も掛け離れた作家さんですからね
でも、個人的にはそういうハードコアな部分が大好きなんですけどね・・・。




今回も、どこまでも深淵で、どこまでも醜い漫画でした
まず、冒頭の巻頭カラーから父親の目の前で中出しセックスご披露ですからね
ちょっとグッと来ましたけど(・・・。)、同時に「おいおい・・・。」って気持ちもあったり
中学生からこんなんじゃ先が思いやられるわなあ、、、。

案の定妊娠してしまい、
冷や汗ダラダラな彼女とは裏腹に
彼氏の明はまるで何も無かったかのように明るく元気に呑気に振舞っている
それこそが男の罪、、、ひかるは不安でガチギレ、この時点から既に泥沼の様相ですが
ここから事態は思い掛けない方向に動いていきます



ここまで必死に悩んだこの娘を真っ当に幸せにしてあげたかった・・・(涙)。

今の「日常」が無くなる事を恐れた明は、
文字通り人生を懸けてお腹の赤ちゃんを殺しにいきます
快楽で溺れさせている間に腹を何度も蹴り、殴り、自分の保身の為に
容赦なく、無慈悲なまでにひかるとひかるの赤ん坊を痛めつける描写のオンパレード
流石に読んでて心がガンガン削られて行きましたが、同時に「産んで欲しい」って気持ちも妙に芽生えて来ました
それが彼女の望みならば、、、と。どう転んでも、救いようのない状況でひたすらに暗黒で、醜さだけが撒き散らされる
ただ、なんでしょうね、他のメイトの作品群は「凌辱」というコンセプトに沿って展開されているんですが
知るかバカうどんさんの作品の場合、「凌辱」という非日常的な言葉を遣うには、あまりにも生々しくて(笑)。
なんか実際にこういう事件あったんじゃないかなあ・・・って思えてしまうような“ほどほどのリアリティ”が素晴らしい・・・
いや、本人達的に言えば全然素晴らしくはないんですけど。
齢中学生にして、人殺しになろうとしている少年と
何が何でも、親になろうとしている少女
そんな狂った相様、
伊達や酔狂ではない禍々しい作中観にまた今回もヤられてしまいました
っていうか、親もこんなバカ息子を持って大変だよ・・・涙
ひかるもひかるで安易にヤラせたのがまずかった。
その意味では反面教師的な作品でもあります。男にとっても女にとっても。


 



しかし、これは復讐の物語でもあったと思います
「お前が作ったのだから、お前が一生背負え。」あの赤ん坊の胎内からの抵抗は
あくまで俺個人の勝手な想像です、という注釈を加えた上で、そういう無言のメッセージを放ってるようにも思えました
結果的に、ひかるは死ななかったし、赤ん坊も無事だった、無事だったけど、どういう子供に育つかは分からない
それも含めての“復讐”、親バレまでして正に因果応報、
ひかるとひかるの子供によるダブルの制裁こそがこの漫画の真の意図だったのでは・・・と自分的には思いましたね
明も命がけで殺しに来たのなら、ひかるも命がけで守った、生きようとした
そんな「生きる」という事自体が何よりも大きなカウンターになり得ている作劇が見事だなあ、と
鬼畜の極み、正に外道を貫いた明でしたが、その代償はとてつもなく大きいでしょう
この二人は、この家族は、一体これからどうなってしまうのか、、、
いや、大体想像出来るけど
とんでもないレベルの殺意と、
ヒロインが死んじゃうんじゃないか、、、という真の意味合いでのドキドキ感が物凄い作品でした
正直いくらなんでも死姦まで行くと(精神的に)キツいな、、、と思ってたので
全然ハッピーエンドな感じがしないんですけど(笑
ああいう終わり方で良かったと思ってます
正直、あんな状態で「これから」がグッドになっていく予感はまるでしないんですけど
なんとか、、、なんとか強く生きていって欲しい。ただそれだけですね。

にしても流産キックのインパクトは強すぎました
なんでこんな事考えつくんだ・・・!?と思いつつ、
漫画としては新しいと思いました
漫画としては新しい、、、んですが
その新しさは必要/不要かと問われると何とも言えないですが・・・笑
ただ、ものすごいレベルの悪意と、猛毒と、人間の醜悪さ、美談にはならない惨劇の相様は
思わず夢中でページを捲ってしまう魔力があり、中毒性と(ある種の)芸術性に長けてるな。と思いました
妊娠した少女をとことんまで殴って、蹴って、吐かせて、イカせて、散々ボコボコにする、、、という
そのアイディアの時点でとっても鬼畜的であり、どうしようもなく深淵だな・・・と思いましたね


ただ、ひかるは正直可愛いですね
巻頭カラーの親の前で生だし、という恥辱に
女性特有のヒスっぷりの表現、
産みたい気持ちに変わった瞬間や、
過去作で言えばいちごちゃんもそうなんですが、
ボコボコにされてるとこは、心が痛むけど、妙に印象に残る、、、のも、前半だけか(笑
後半は、、、可哀想過ぎて、明も真剣過ぎて、正に狂気の沙汰ですからね
汚物よりも醜く、災害よりも残酷な人の業が詰まっています
とんでもない地獄絵図「だけ」が展開される物語
出来れば、
読まないで欲しい(笑
だけど、読むなら誰よりもこっそりと読んで欲しい
そんな作品に仕上がっていました











知るかバカうどんさんほど、読んでいる事が自慢にならない、共有や理解から程遠い作家さんも中々いないと思います
けど、別に自慢にならなくたって、理解なんてされなくたって、それでいいんです
自分は誰かと想いを共有したくて作品に触れてる訳じゃないですから
ただ、自分「は」大好きで救われてる、、、それだけです
この作品もただ残虐性やキチガイ性を出したくて描いてるワケじゃない(と、思う)
何故なら、赤ん坊の必死な抵抗、というメッセージ性や、反面教師、因果応報という要素はきっちりと満たしていますから
違う角度から見てみれば、(実は)誰よりも“正しい事”を描いている作家さんなのかもしれないですね。
要するに、責任取れよ、女はそんなに甘くねーぞ。っていう。

夏コミの新刊も、楽しみです。きっと感想も書くので是非。


4月に出たコミックスの感想、それと総集編同人誌の感想も相変わらずよろしく(お好きな方だけ)

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