R305は35年くらい前のSPで有るので、「コストダウン」が少ないユニットだと推定して「音質改善」にチャレンジしたが、思っていた以上に「ユニットの潜在能力」が無く、JBLやアルテック、BBCモニター系のSPユニットに比べ大きく聴き劣りする。
このSPははじめから「コストダウン」の思想が入っていたのか?それとも当時の日本のSP技術が底の浅い技術レベルでしかなかった事を意味している。
R305オリジナルの実力は、図体の割にBBC系20㎝ウーハーシステムとさほど変わりがない。音色の魅力やまとまりの良さの点で大きく水を開けられている。完成形としてはBBCモニター系の20㎝ウーハーシステムに大きく及ばないが私の個人的結論です。
R305のユニットでも特にツィーターは特に出来が悪い。まとまりやバランスを考えても作成者の「熱意」が感じられない。外側の「箱」にかけた熱意がユニットやバランスに有ればもっと良いSPになったと思う。
結果的に高域の周波数レンジが10KHzくらいしか出ていないので(聴感的に)大いに高域不足なのだ。これを補うツィーターを足してやってはじめて「正常な」SPのバランスになる。今回は贅沢にもピラミッドのツィーターを足してどうにか「使える」レベルまでに改善した。
各オーディオ評論家がこのR305に対して「八方美人的」評論に終始している事と、実際に評論家各氏もR305を使っていない現実を鑑み見ると、やはり同じ事を感じていたのだと思う。
ウーハーユニットは良いのか?と云うと「決して良くない」が私の結論です。能率は良いけれど「実在感」の希薄なユニットだ。D130系やアルテックの「軽く弾ける」様な低音でもなければ、BBC系の「艶の有るなめらかな低音」でもない。非常に淡泊で潤いもなく「紙臭い」ウーハーの様です。もっとオリジナルな音の魅力が欲しい。
このR305を使って「音楽」を楽しんでおられる方がいたら、「欠落した音」が多数ある事を承知で使わないといけません。モニターSPで有りながらモニターとしての役割を果たせないSPである事を認識すべきです。
時代が古いからと云う「言い訳」は通用しません。私の使っているユニットは1970年以前のユニットばかりです。古いものは1950年代のユニットも有ります。JBLやアルテック等は古いものほど「潜在能力」は高いのです。当時の技術では「ケーブル」に対する認識や技術が無かったから「実力」が引き出せていなかったのです。これらのユニットに現在のケーブル技術を組み合わせると最新のユニットやSPも太刀打ちできないグレードになるのです。