妻が病気になってからは世間との付き合いも控えめにするようになったから、転居してからは訪れる人も少なくなった
だが時々入口のインターフォーンから ”ピンポーン、パーン” とチャイムが聞こえてくる
今はこのインターフォーンも優れ物で、カメラ付きだから訪問者の顔がすぐ画面に表示される
身内の者は別として、訪れる人は牛乳の試飲、新聞の購読勧誘、プロバイダーの勧誘などだが、多いのは宗教の伝道者だ
キリスト教もあれば、仏教もあっていろいろだが、このような人は伝道するのも信仰の一部として頑張っているのだろう
今日も昼過ぎチャイムが鳴った。あまり無視するのも失礼だから玄関を開けると、かなり美人の中年のご婦人が立っていた
「○○教の者ですが、信仰に興味はおありでしょうか?」 と、まず聞かれた
「私の所は○○宗なので○○教に興味ありません」 と私が言うと
「今は何か不安がおありでしょうか?」 と訊ねられた
「お陰さまで順調で今の状況に感謝しています」 と、少し意外な事を私が言ったかもしれない
するとその人は 「それは羨ましいですね。私の家はいろいろなことが起きています」 と、少し長くなりそうになってきた
「それはもっともっと信仰を熱心にしないといけないですね。頑張ってください」 と、私が伝道者のように言ってしまった
そのご婦人は苦笑いして 「この人とは話にならない」 と、感づいたようで一礼して帰っていった
この辺りを一軒、一軒訪問しているようだが 「信仰、宗教」 と聞いただけで拒否反応を現す人が多いのではないだろうか?
伝道者の皆さん、ご苦労さまです
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