日暮らし通信


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国産ターボファンエンジンの飛行試験

2017年02月14日 10時48分12秒 | ひこうき雲

日暮らし通信



写真説明 : 只今、日本海上空を飛行中
  
撮影場所 : 航空自衛隊のチェイサー機が撮影 (1984年2月)
  


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●  赤とんぼ の 独り言  ●

毎年二月になると想い出すことがある

それは昭和五十九年二月から四月にかけて航空自衛隊岐阜基地 (岐阜県各務原市) で実施された 「国産ターボファンエンジンの飛行試験」 の想い出だが、この頃、私は好きな飛行機に搭乗して、毎日が夢のように過ぎていった

これは当時の通産省が主動しての国家的大型プロジェクトの一つが 「国産ターボファンエンジンの開発」 で、私は最初からこのエンジン開発に携わることができた

開発エンジンは地上での運転試験が多いが、高空での性能を確認するために航空自衛隊のC1輸送機の右主翼に開発エンジン (FJR710/600S 写真左のエンジン) を搭載しての飛行試験だった

通常機体にはエンジンの数は左右対称だが、写真のように右主翼に二基、見えないが左主翼は一基で、三基搭載の非対称型の機体は珍しいことです

勿論、機体の推進力は二基のメインエンジン (P&W 社製 JT8D) で飛行し、試験空域で開発エンジンを操作して飛行する。変則的なパワーが発生して機体もスライドするだろうから、パイロットにもそれなりの技倆が要求される飛行だったはずだ

岐阜基地を離陸した機体は北上して間もなく 「九頭竜ダム」 上空を通るが、冬の時期なので真っ白に氷結している光景は見事な地上の姿だった

その後、能登半島の輪島上空を通り、日本海上空の指定された空域で一時間ほど試験して帰投する。毎日のミッションが二時間の飛行だった

この機体内にはデータ取得のため多くの計測器などがセットされ、十数名の計測員が同乗していたが私もその中の一員で、主に 「エンジン関連機器」 の監視を担っていた

試験飛行には必ず自衛隊の復座型機が随伴して監視していたが、この写真はこの随伴機から撮影したものです

妻は私が飛行機に乗ることを案じていたようだが、試験前の安全教育では教官の自衛官が 「この時期、日本海に放り出されたら二分でお陀仏です」 とのジョークめいた言葉には少し心配になりました

遠い昔のことだが、四十二年半の会社勤めの中で最も印象に残る仕事の一つがこの 「国産ターボファンエンジンの飛行試験」 に参加できたことだった