続きです。
頼家は母親・北条政子や北条氏に疑惑を持つようになっていたと思われます。
頼朝としては比企尼は自分の乳母だった。乳母は母親も同然。だからこそ比企尼の甥の比企能員を重用した。比企の娘を頼家の嫁に取った。
しかし、それは不味いと頼朝も頼家も思い直したのでしょう。だから源氏の血筋である木曽義仲の娘も側室として娶った。義仲の娘が子を産んだら母方も源氏の血筋。北条も手を出せないと考えたと思える。ただし、正室は不明。
そして比企の娘である若狭局との間に一幡が産まれる。頼家は比企能員を実の父の様と思うようになっていた。これで頼朝と比企氏と北条氏の対立は決定的となる。
先手は頼家。かつて二代目鎌倉殿の地位を争った阿野全成を謀反の疑いで殺した。妻で政子の妹である阿波局の引き渡しも要求。更には全成の息子・頼全をも暗殺する。それで北条政子も頼家を殺すことを決意したと思えます。
そして頼家が病に。何故か北条氏は頼家がまだ生きているのに、朝廷に頼家が亡くなったと伝える。それは北条氏が頼家に一服盛ったと考えれば辻褄が合います。
しかし、頼家は病の中、比企能員に告げていた。北条氏を滅ぼせと。それを襖の影て聞いていた北条政子。比企氏の早急の殲滅を決意した。
そして頼家が病の中、比企氏を滅ぼした。怒った頼家は仁田氏と和田氏に北条氏討伐を命じるも和田氏がその旨を北条氏に告げる。
北条政子らは頼家の企みを知り、頼家に出家を命じる。頼家は修善寺に送られる。
でも、頼家は退屈だとして供の者を修善寺に寄こすよう北条政子に願いでる。
政子は頼家はまだ懲りていないと思ったのかは分かりませんが、事故なのか戒めなのかは不明だが、頼家は何故か漆の入った風呂に入らされる。身体中火膨れ状態になる頼家。
北条政子はその時の頼家の顔をお面にして鎌倉に送れと命じる。
そのお面は病面と呼ばれているが、蛾の幼虫と言うか、剛力招来のサナギマンと言うか、饅頭の様なお面が残っています。
このお面を見て北条政子はどう思ったのか。お面を見て頼家を悼んでのか。蔑んでのか。
それは分かりませんが、私はその面を見て憎しみを感じていたと思います。続けざまに惨い暗殺を決行したのですから。
それから暫くしてまた風呂場で頼家は襲われる。縄で首を絞められるも頼家は中々死なない。そこで局部を切り落とし、時間をかけて出血多量で殺した。
その時の顔も面として残している。死面と呼ばれている。目を見開き歯を食いしばった苦悶の表情。まるで化け物です。
多少の情があるのでしたら、サクッと短刀で心臓を一突きにすると思います。
しかし、漆の風呂に入れ、更にまた風呂場で首を絞め局部を切って十分苦しませて殺した。異常です。
頼家の祖父の義朝も風呂場で殺されている。同じ風呂場で頼家を殺した。これは北条政子の源氏に対する並々ならぬ恨みを感じます。
実の息子であっても源氏は憎い。此処までの事をしたのであれば、完全にサイコパスだと私は思います。
でも、この所業で御家人たちは北条政子、北条氏の怖さを知った。後鳥羽上皇から北条義時討伐の命が下っても北条政子に従った。そして朝廷を攻めて後鳥羽上皇を島流しとした。
これで完全に武家の時代が到来したと言えます。
権威の天皇家とサイコパスな北条氏の戦い。結果はサイコパスの勝利となった。此処までしなけれは天下は取れない。それか世の習わしなのでしょうかね。
ではでは。