清潔であることが、常に正しいわけじゃないらしい。
最近は沈静化したらしいO157のような感染症や、花粉症に代表されるアレルギー疾患は先進国でこそ蔓延する。ある程度不潔な環境で育つと、必然的に免疫力が高まり、軽度の感染症には耐えられるらしい。
回虫のような原虫が水中や湿地にはびこる途上国では、この原虫の人間への寄生(パラサイト)が大きな健康問題となる。先進国ではほぼ絶滅したこれらの原虫によるパラサイト疾患だが、現在見直しがされていると、CS放送のディスカバリーチャンネルで報じられていた。
驚くべきことに、原虫の一つであるセンチュウが体内に寄生された人間は、ほとんどアレルギー疾患をおこさない。イギリスのある研究者は、長年花粉症に悩んできたが、センチュウを腸内に寄生させたところ、花粉症から解放された。現在は、このセンチュウを研究して花粉症対策に役立てようとしているそうだ。
また先進国特有の難病の一つである潰瘍性大腸炎の治療にも原虫が利用されている。体外からの感染を防ぐはずの免疫が、なにを勘違いしたのか自分の内臓(大腸)を攻撃することから引き起こされる潰瘍性大腸炎は、ステロイドや免疫抑制剤といった副作用の強い薬で押さえ込むしか治療ができなかった。
ところが現在、アメリカの一部の研究機関において、原虫の卵を服用して寄生させる治療法が活用されている。体内に寄生した原虫が、宿主の健康を蝕む免疫のアレルギー作用を抑制することで、病状を緩和させるらしい。もちろん、原虫の寄生による病状もあるが、難病の苦しさよりは遥かに楽なのは確かで、強い薬の副作用もない。まだ実験段階での治療法だが、将来は難病の治療のために、意図的に原虫に寄生させる治療法が一般化するかもしれない。
考えてみれば、回虫のような原虫は、人類の進化以前から生物に寄生して生き延びてきた。宿主である人間が死ねば、当然自らの死にも繋がるのだから、宿主の病気を癒す行為も自己防衛の一環なのだろう。
正直言えば、気持ち悪い印象は否めない。されど、人間は体内に原虫などを寄生させてきた歴史のほうが長かったのも事実。近代以降、医療の発達により寄生虫を排除する医療技術が向上したことが、結果的にアレルギー疾患を増やすとは、なんとも皮肉なことだと思う。
さりとて、寄生虫が場合によっては恐ろしいのも事実。ある原虫は宿主の行動を左右させることが知られている。猫の体内に寄生するある寄生虫は、猫の糞からネズミに宿主を移すことがあるが、繁殖期を迎えると猫の体内に戻ろうとする。すると、ネズミの猫に対する警戒心を麻痺させて、猫に食べられるように仕向ける。
人間もまた例外ではない。アフリカには、人の体内で成長した後、繁殖地である水場に戻るため、人が水を欲しがるよう仕向ける寄生虫がいるのが知られている。最近の研究では無害と思われたある寄生虫が、人の動きを鈍くさせ、結果的に交通事故の増加につながっている例も報告されている。やはり、寄生虫恐るべしなのか。
表題の小説は、今から30年以上前に書かれた。宇宙からの生物が人間に寄生して、支配して侵略するSF話だ。医学者でもあるクライトンの初ヒット作でもある。これを書いた頃は、まだ現役バリバリのレジデントであったはずのクライトン先生。その後、まったく新作を書かず、消えてしまったと思いきや、ジェラシック・パークなどのメガ・ヒットを連発。現在は小説家を専業しているようだが、最新の知識を活用した作品は、どれも面白くはずれが少ない。
映画化されることも多く、そのせいで日本では原作を読む人が少ないと感じられるのが、とっても残念に思う。もし、読んだことがないのなら、是非とも一読して欲しいです。映画より面白いと思うのだけどねえ~
最近は沈静化したらしいO157のような感染症や、花粉症に代表されるアレルギー疾患は先進国でこそ蔓延する。ある程度不潔な環境で育つと、必然的に免疫力が高まり、軽度の感染症には耐えられるらしい。
回虫のような原虫が水中や湿地にはびこる途上国では、この原虫の人間への寄生(パラサイト)が大きな健康問題となる。先進国ではほぼ絶滅したこれらの原虫によるパラサイト疾患だが、現在見直しがされていると、CS放送のディスカバリーチャンネルで報じられていた。
驚くべきことに、原虫の一つであるセンチュウが体内に寄生された人間は、ほとんどアレルギー疾患をおこさない。イギリスのある研究者は、長年花粉症に悩んできたが、センチュウを腸内に寄生させたところ、花粉症から解放された。現在は、このセンチュウを研究して花粉症対策に役立てようとしているそうだ。
また先進国特有の難病の一つである潰瘍性大腸炎の治療にも原虫が利用されている。体外からの感染を防ぐはずの免疫が、なにを勘違いしたのか自分の内臓(大腸)を攻撃することから引き起こされる潰瘍性大腸炎は、ステロイドや免疫抑制剤といった副作用の強い薬で押さえ込むしか治療ができなかった。
ところが現在、アメリカの一部の研究機関において、原虫の卵を服用して寄生させる治療法が活用されている。体内に寄生した原虫が、宿主の健康を蝕む免疫のアレルギー作用を抑制することで、病状を緩和させるらしい。もちろん、原虫の寄生による病状もあるが、難病の苦しさよりは遥かに楽なのは確かで、強い薬の副作用もない。まだ実験段階での治療法だが、将来は難病の治療のために、意図的に原虫に寄生させる治療法が一般化するかもしれない。
考えてみれば、回虫のような原虫は、人類の進化以前から生物に寄生して生き延びてきた。宿主である人間が死ねば、当然自らの死にも繋がるのだから、宿主の病気を癒す行為も自己防衛の一環なのだろう。
正直言えば、気持ち悪い印象は否めない。されど、人間は体内に原虫などを寄生させてきた歴史のほうが長かったのも事実。近代以降、医療の発達により寄生虫を排除する医療技術が向上したことが、結果的にアレルギー疾患を増やすとは、なんとも皮肉なことだと思う。
さりとて、寄生虫が場合によっては恐ろしいのも事実。ある原虫は宿主の行動を左右させることが知られている。猫の体内に寄生するある寄生虫は、猫の糞からネズミに宿主を移すことがあるが、繁殖期を迎えると猫の体内に戻ろうとする。すると、ネズミの猫に対する警戒心を麻痺させて、猫に食べられるように仕向ける。
人間もまた例外ではない。アフリカには、人の体内で成長した後、繁殖地である水場に戻るため、人が水を欲しがるよう仕向ける寄生虫がいるのが知られている。最近の研究では無害と思われたある寄生虫が、人の動きを鈍くさせ、結果的に交通事故の増加につながっている例も報告されている。やはり、寄生虫恐るべしなのか。
表題の小説は、今から30年以上前に書かれた。宇宙からの生物が人間に寄生して、支配して侵略するSF話だ。医学者でもあるクライトンの初ヒット作でもある。これを書いた頃は、まだ現役バリバリのレジデントであったはずのクライトン先生。その後、まったく新作を書かず、消えてしまったと思いきや、ジェラシック・パークなどのメガ・ヒットを連発。現在は小説家を専業しているようだが、最新の知識を活用した作品は、どれも面白くはずれが少ない。
映画化されることも多く、そのせいで日本では原作を読む人が少ないと感じられるのが、とっても残念に思う。もし、読んだことがないのなら、是非とも一読して欲しいです。映画より面白いと思うのだけどねえ~