半村良と並び、我が国の伝奇小説復興の中心的役割を果たしたのが、表題の作者である山田風太郎だ。
忍法にこじつけた怪しげな超能力合戦が、どうしても目を引き勝ちになる。しかし読み進めていくと、その舞台設定の巧みさと、時代考証の奇抜さに感心した。
だからこそだろう。奇想天外な忍法合戦は滑稽ながらも、実に面白かった。ありえない話に現実味を加味する手腕あってこそだと思う。権力者たちの思惑に、振り回される忍者たちの悲哀は、現実社会で組織の論理に押し潰されるサラリーマンたちの胸に響くものがあったのだと思う。
後年、作家の夢枕獏氏が少年週刊ジャンプ等で繰り広げられた敵味方の一対一のバトル形式の原点と評していたのも肯ける。プロの作家にもファンが多かった忍法帖シリーズは、後に小説のみならず漫画に至るまで影響を与えた。
私はといえば、佐伯俊夫の淫靡な表紙画が印象的だった角川文庫での復刻キャンペーン時に、この忍法帖シリーズを読み出した。SF好きの私がびっくりするくらいの、アイディア満載の忍法合戦は、下手なSF小説が裸足で逃げ出すほどの迫力だった。
大人になってからは、忘れていたのだが数年前、マガジン・アッパーズという雑誌で「バジリスク」と名を変えて漫画化されて登場したのには、大いに驚いた。この雑誌は3年ほどで廃刊の憂き目にあったが、「バジリスク」は見事完結し、新たな若い山田風太郎ファンを獲得したことは、間違いないと思う。
たしか映画にもなったと記憶している。ヒロイン役を女優の仲間由紀恵が演じていたが、ちょっとイメージが違うと嘆いた覚えがある。映画自体は、たまたま時間潰しで上映途中から観ただけなので論評は差し控えたい。まあ、原作ほどは感銘を受けなかったのは確かだ。
忍者というやつは、なぜか外国でミステリアスな日本の代表として捉えられているらしく、友人がアメリカからの留学生を日光・江戸村に連れて行ったら、忍者がいたようで、その留学生が驚嘆狂喜していたと呆れていた。多分、アメリカのコネチカットあたりでは、日本には忍者が現存するとの噂が流れているに違いない。
もしかしたら、山田風太郎の忍法帖シリーズも翻訳されて、海外で売れる日がくるのだろうか。なぜか、少々不安に気持ちにさせられるのは何故だろう。間違っても実話と思われたら、本気で困るぞ。
忍法にこじつけた怪しげな超能力合戦が、どうしても目を引き勝ちになる。しかし読み進めていくと、その舞台設定の巧みさと、時代考証の奇抜さに感心した。
だからこそだろう。奇想天外な忍法合戦は滑稽ながらも、実に面白かった。ありえない話に現実味を加味する手腕あってこそだと思う。権力者たちの思惑に、振り回される忍者たちの悲哀は、現実社会で組織の論理に押し潰されるサラリーマンたちの胸に響くものがあったのだと思う。
後年、作家の夢枕獏氏が少年週刊ジャンプ等で繰り広げられた敵味方の一対一のバトル形式の原点と評していたのも肯ける。プロの作家にもファンが多かった忍法帖シリーズは、後に小説のみならず漫画に至るまで影響を与えた。
私はといえば、佐伯俊夫の淫靡な表紙画が印象的だった角川文庫での復刻キャンペーン時に、この忍法帖シリーズを読み出した。SF好きの私がびっくりするくらいの、アイディア満載の忍法合戦は、下手なSF小説が裸足で逃げ出すほどの迫力だった。
大人になってからは、忘れていたのだが数年前、マガジン・アッパーズという雑誌で「バジリスク」と名を変えて漫画化されて登場したのには、大いに驚いた。この雑誌は3年ほどで廃刊の憂き目にあったが、「バジリスク」は見事完結し、新たな若い山田風太郎ファンを獲得したことは、間違いないと思う。
たしか映画にもなったと記憶している。ヒロイン役を女優の仲間由紀恵が演じていたが、ちょっとイメージが違うと嘆いた覚えがある。映画自体は、たまたま時間潰しで上映途中から観ただけなので論評は差し控えたい。まあ、原作ほどは感銘を受けなかったのは確かだ。
忍者というやつは、なぜか外国でミステリアスな日本の代表として捉えられているらしく、友人がアメリカからの留学生を日光・江戸村に連れて行ったら、忍者がいたようで、その留学生が驚嘆狂喜していたと呆れていた。多分、アメリカのコネチカットあたりでは、日本には忍者が現存するとの噂が流れているに違いない。
もしかしたら、山田風太郎の忍法帖シリーズも翻訳されて、海外で売れる日がくるのだろうか。なぜか、少々不安に気持ちにさせられるのは何故だろう。間違っても実話と思われたら、本気で困るぞ。