ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

「NARUTO」 岸本斉史

2008-06-04 12:15:37 | 
一人ぼっちは苦しい。

誰にも顧みられない孤独感。周囲に溶け込めない疎外感。嬉しさを共に味わえず、哀しさを分け合うこともない。身体の痛みより、心の痛みのほうが癒しがたい。

恐ろしい魔物を我が身に封じ込まれたが故に、周りの人間から迫害された幼年期を過ごした少年忍者ナルトは、誰よりも一人ぼっちの辛さを知っている。

そんな彼が選んだ忍法の技が、分身の術であったことはとても哀しい。本当は苦手な技であったのに、必死の思いで習得した分身の術。ナルトが目指したのは強くなること。

みんなに認めてもらえるほど強くなり、里を守るヒーローに憧れた。必死の思いで恋焦がれた。バカにみえるほどに明るく振舞うナルトは、誰よりも孤独の苦しさを知っている。

ナルトと同様、恐るべき魔物を身に封じられた隣国の忍者・我愛羅は、他者から怖れられるほどに自ら孤独の殻にこもった。しかし、ナルトとぶつかり合うことで、他者に心をひらくことを知る。

一方、ナルトと同郷の忍者・さすけは、ナルトを友と認めつつ、その友を殺そうとしてまで強さの高みを目指す。兄に憧れ、追い求め、遂には憎悪に身を焦がす。

週刊少年ジャンプの忍者漫画「NARUTO」が子供たちに大人気なのは、その奇想天外な忍法合戦だけではあるまい。友情と嫉妬、挫折と努力、憎悪と哀しみを見事に描いているからこそ、読まずにはいられない魅力があるのだろう。

既に40巻を超える大作となりましたが、未だマンネリに陥らず、続きが早く読みたい漫画であることは、実に嬉しい限りです。
コメント (2)
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