ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

「死の蔵書」 ジョン・ダニング

2008-06-09 09:05:38 | 
私を古本屋に導いてくれたのは祖父だった。

祖父は古本集めが趣味で、築地へ買い物へ行った帰りには、必ず神田・神保町の古本屋街を巡っていたらしい。初めて連れて行ってもらったのは、小学4年の時だったと思う。以来、古本屋めぐりを趣味としている。

もっとも私は初版本とか、稀少本とかには興味はない。本は読んでこそ本で、読めない本や、珍しいだけの本はどうでもいい。それでも古本屋に行くのは、そこに貴重な情報があるからだ。

実際、コンピューターが発達して、インターネットと検索技術の向上により、ネットを使えば情報が容易に手に入るご時勢だが、それでも本に関する情報なら、この神保町の古本屋の親父たちには敵わない。

以前、国際ジャーナリスト気取りの落合某について調べている時に、ここで廃版になった本の情報のみならず、批判本や裁判からみの情報も聞くことができた。読むべき本のリストをあっというまに作ってくれた。2年ほどまえに、このブログに載せる記事を書くため、ネットで検索して調べたが、古本屋の親父たちの情報には遠く及ばない。

稀少本には興味はないと言いつつも、実のところ所持してないわけではない。祖父から貰った明治時代の科学読本なんぞは、おそらく稀少本だと思う。また今は倒産した出版社の本のみならず、廃版された本もけっこうもっている。まあ、本が捨てられない性分ゆえなだけだが。

祖父が亡くなった時、一部の本は離島の学校へ寄贈し、残りは祖父の馴染みの古本屋に処分を依頼した。そのついでに、私の書棚の一部をみてもらった。その時、古本屋の親父が一番高い値をつけたのが、なんとエロ本だった・・・しかも雑誌。

既に倒産した会社の雑誌で、市場にあまり出回っていないらしく、その場で○万円の値を提示された。売る気はまったくないので、丁重にお断りしたが、私の自慢の蔵書より高いとはがっかりだった。ちなみに件の科学読本はみせなかった。これを出せば、きっとエロ本より高いはず。しまい込んであるので、出すのが面倒なだけだが。

表題の本は、古本集めが趣味の刑事が退職して古本屋を始め、殺人事件に巻き込まれたミステリー。古本に大金を積むなんて理解できない人には、絶対に解決できない難事件だ。最後のドンデン返しは見事なので、本好きな方は是非どうぞ。

ちなみに私、仕事上は別にして、一冊の本を買うのに1万円以上出したことありません。高い本より、沢山読める安い本で十分です。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする