ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

ドカベン 水島新司

2014-10-09 14:31:00 | 

土曜日に新聞を読んだら、かつて南海やダイエーで活躍したプロ野球選手であった香川伸行氏の訃報が出ていた。

甲子園では浪商で、牛島とバッテリーを組んでの大活躍。その太めの体躯から、ドカベンの愛称で知られた選手であった。もちろん水島新司の漫画ドカベンに由来したものである。

よくよく考えたら、私はまだドカベンを取り上げていないことに気が付いたので、今回改めて取り上げたい。

ドカベンという漫画は、知らない人のほうが珍しいほどの人気漫画であった。が、とても不思議な漫画でもある。なにせ主人公たる山田太郎はビジュアル的には、格好よさとは縁遠く、そのうえ必殺技も魔球もない平凡な野球部員に過ぎない。

だいたいが、主役の名前が山田太郎なんて平凡に過ぎる。そのうえニックネームがドカベンである。あの土方の人たちが好んで使った巨大な弁当箱の通称である。まァ、体型がそうなのだから仕方がないが、似合いすぎのニックネームでもある。

一方、ライバルたる不知火や土門、坂田はビジュアル的にも主役より目立つうえに、魔球や並外れた能力の持ち主でもある。おめけにチームメイトでさえ岩鬼の悪球打ちや、殿馬のリズム打法がある。しかし主人公のドカベンには特段特筆されるような特徴はない。それどころか鈍足でさえある。

あるのは、打者としての選球眼の良さと、バッティングのセンス、そして捕手としてのインサイドワークの巧みさだけである。それは必殺技でもなく、魔球でもなく、人間離れした超人的運動能力でもない。

そのドカベンがチームメイトと力を合わせて勝ち進んでいくのである。実のところ、平凡な野球選手と書いたが、野球に関する努力は並々ならぬものがあり、非凡でさえある。

だが、一番大切なのはドカベンの能力は、努力の積み重ねによって培われたものであり、それは野球を志す者には十分手に届く能力に思えたことだろう。だからこそ人気があった。

また、魔球とか必殺技に頼りがちであった野球漫画に、実戦でも通用するインサイドワークを取り入れた最初の漫画だとされる。自らも草野球チームを率いてプレーした水島先生の本領発揮でもある。

このドカベン、作者はよほど気に入ったのか、プロ野球編など様々な形で他の作品を展開する主軸となっている。私は少し飽きてしまい、すべてを読んではいないのだが、あの明訓高校の暑い夏の激戦は、今も記憶に残っている。

時間があれば、じっくりと最初(なぜか柔道から始まるが・・・)から読み返してみたいものです。

コメント (2)
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