ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

宇宙戦艦ヤマト2199追憶の航海

2014-10-21 12:38:00 | 映画

少し物足りないのは、私が夢見ることが少なくなったからだろう。

1970年代に大ヒットしたアニメ宇宙戦艦ヤマトのリニューアル版である。TVで放送していたらしいが、私は知らなかった。実写版の映画が作られたのも聞いていたが、特段興味はなかった。

今回だって、台風の強風が激しくて、弱まるのを待つために映画館で時間潰しをしてなければ、まず観なかったと思う。

70年代に大ヒットした当時、私は中学生でありヤマトに熱狂していた。もしヤマト2で完結していたら、元来SF好きである私はアニメ・おたくの思春期を送っていたかもしれない。しかし、興行成績に気を良くした西崎プロデューサーが三作目を発表したことで、その商業主義に失望した私はアニメを見なくなった。

10代後半から20代にかけて、私はアニメ嫌いであった。さすがにこの年になると、それほど頑迷でもいられず、機会があれば観ている。内緒だが最近のお気に入りはケロロ軍曹だったりする。

それはともかくも、いまさらヤマトの気もないではなかったが、まずは観てみた。本来は長編アニメであり、それを短縮しての作品であることは、すぐに気が付いた。

アニメの作画技術は、70年代の旧作に比して格段に上がっているが、驚くほどではない。また旧作では唯一の女性乗組員がヒロインの森雪だが、このリニューアル版では複数の女性乗組員がいたのに驚いた。ストーリーも少し変えてあるように思えたが、大筋が変わっていたわけでないことに安堵した。

良かったのは、旧作で大嫌いな偽善的場面がなかったことだ。思い出すのも不愉快だが、ヤマトが敵であるガミラス本星を襲撃して、その都市群を崩壊させた後で古代が「俺たちはなんてことをしてしまったんだ!」と慟哭する場面である。実に厭らしい。もし本作品が松本零士であったら絶対に描かない場面だと思うが故に、この作品は西崎プロデューサーの原作だとよく分かる。

ありがたいことに、あの場面はなくなっていた。これでけでも高く評価したくなる。あれは旧作における最大の汚点だと確信しているからである。

ただ、最後の最後のあの名場面が簡素化されていたのが少し不満であった。イスカンダルからようやく帰還し地球の姿を目に捉え「地球か、なにもかも懐かしい」と呟き家族の写真を手にして死んでいく沖田艦長と、それに気が付いて最敬礼する佐渡医師の場面である。私にとっては屈指の名場面なのだが、あっさりと描かれていて、少し物足りなかった。

時間潰しのつもりで観た映画であったが、妙に満足して映画館を後にできた。ただ、その後だが、雨が止んだので油断して車のドアを無造作に開けたら、風に煽られてドアが急に空いて、おでこにぶつかって瘤を作ったことだけが妙に忘れがたい。あれは痛かったぞ。

コメント (2)
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