ヌマンタの書斎

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裏賭博とバトミントン選手

2016-04-13 11:56:00 | 社会・政治・一般

賭博で儲けたいのなら親になることだ。

そう、教えてくれたのは、東京は某所での鉄火場を仕切っていた代貸しと呼ばれていた男性であった。当時、小学生であった私は、この代貸しという呼称を姓名だと勘違いしていた。

秋祭りの神輿担ぎの時に、一番目立つ場所で活躍する人であり、私らガキんちょの憧れの人でもあった。わりと子供好きの人で、他の恐ろしげな大人たちとは違っていたのも、親しみを感じる理由であった。

この人とは、近所の銭湯でよく遇っていた。その広い背中に登り竜の入れ墨が、湯上りでほてった体に浮かび上がる様が綺麗であった。私らガキんちょは、時々この人の背中を流してあげて、あとでジュースを奢ってもらっていた。

当時、銭湯で風呂上りに、その広い脱衣場の角で、子供同士で賭けトランプなどをやることがあった。もっとも賭けていたのは、ベーゴマだったり、野球カードであったりと子供らしいものであったので、周囲の大人も黙認していた。

私は賭け事には、あまり強くない。どうも引きが弱いというか、賭博の才能に欠けているように思う。ただ、けっこうな負けず嫌いなので、むきになり、熱くなって、のめり込むこともあった。

手持ちのカードを全て失くして呆然としている私に、代貸しのおじさんが声をかけてくれ、教えてくれたのが冒頭の科白であった。当時は、ほとんどその意味を理解できていなかったが、今ならかなり分かる。

賭博とは、親が儲かるように仕組まれている。そのように仕組まなければ、賭博は成立しないものだ。つまり賭ける側の子は、必ず損をする仕組みになっている。つまり、賭けを受ける親は、必ず設ける。そうでなければ、誰が親をやろうと思うものか。

だが、親が一方的に設けるだけでは、賭場が廃れてしまう。子にもある程度、儲けさせて場を盛り上げる必要がある。サクラを仕込む場合もあるが、親の采配次第で、子に儲けさせ、熱くさせて冷静な判断力を奪うほうがリスクは少ない。

賭場を栄えさせるには、その場が盛り上がることが必要となる。その盛り上げに一役買うのが有名人である。TVのCMなどで、よく有名人が起用されるのも、その一環である。

日本における公認された賭場は、競馬、競輪、競艇などの他、パチンコ、スロットなどがあるが、いずれも必ず親が儲かり、その儲けから政府が税収を得る仕組みとなっている。

つまり親の儲けであるテラ銭が高い。だから、子はあまり儲からない仕組みとなっている。それは子が負け過ぎないようにする仕組みであると宣伝しているが、それは大嘘である。公営賭博であろうと、自己破産するほどのめり込む博打中毒の賭け子は絶えることない。

そこで、政府の取り分を抜きにすれば、親も子も、より儲かるようになると考えて行われるのが私設賭博である。もちろん違法であるからして、政府はその取締にやっきとなる。古今東西、いかなる国家も税収を横取りされるかのような不法行為は、絶対に許さない。

それだけリスクが高いのが私設賭博である。その危険を承知でやるのだから、開設者は必死になって儲けようとする。違法であろうと、賭場を運営する側では、盛り上げるために有名人を客にしたがる。特にあぶく銭をもっている客筋が好まれる。ある程度儲けさせて、冷静さを失わせて、のめり込ませる。その手口こそが、プロの手法であるからして、素人は簡単にひっかかる。

今回、違法賭博にのめり込んで、リオ五輪の出場資格を失ったバトミントン選手などは、その典型であろう。この一件で、スポーツ選手としての未来を失ったのだから、可愛そうに思う人もいるだろう。でも、自業自得であるし、おそらく公営賭博であってものめり込むだろうと思う。

賭博は人を熱くさせる。これは古今東西変わることのない事実である。私は自分には賭博の才は乏しいと、経験的に実感しているので、のめり込むことはない。

でも、その結論に至るまで、相当な損失を被っているのも事実だ。あまり金がない十代の頃であったので、失ったのは時間であった。本来なら、勉学に勤しむべき時間の大半を、パチンコに浪費してしまった。

ある事件から、パチンコ業界の嫌な面を見せつけられたおかげで、冷静さを取り戻りせた。おかげで、賭博から足を洗うことが出来たが、失ったものも大きいと思っている。

今は、一切博打ごとからは遠ざかっている。でも、内心少し怯えているし、警戒もしている。再び、賭博にのめり込んだら、再起するのは難しいだろう。それほどまでに、賭博は人を変えてしまうものだ。

今回、処罰されたバトミントンの選手たちは、果たして再起できるだろうか。相当に辛く厳しいことになると思うが、なんとか踏ん張って欲しいものです。

コメント (6)
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