ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

プリンスの死去

2016-04-25 12:53:00 | 音楽

どこがイイのか、さっぱり分からなかった。

それが、先週亡くなったアメリカの歌手プリンスに対する最初の印象であった。私が十代後半の頃にアメリカの音楽界に彗星のごとく現れて、たちまちスターの座に上り詰めた。

当時はマイケル・ジャクソンをも超えるニューヒーロー扱いする音楽メディアもあり、曲そのものよりも、ファッションや先鋭的な発言の話題の方が多かった。ところが私には、この人のどこがいいのか分からなかった。

大ヒットとなった「パープル・レイン」もさして感銘を受けず、ロックでもポップスでもレゲエでもない曲風に戸惑うばかり。話題先行のスター作りの一環かと冷淡に思っていた。

その印象が一転したのが、映画「バットマン」の音楽であった。最初、プリンスが映画音楽を担当すると聞いた時は、それだけで失望したくらいだ。私のなかでは、そのくらい評価が低かったからだ。

ところが、いざ映画を観てみると、その才能に驚かされた。今でこそ、昔の子供向けヒーローのリバイバル作品は珍しくないが、当時はあの古臭いバットマンの映画化であり、しかも実写版であるだけに、最初っから期待はしていなかった。

実際、映画をみてもバットマンの持つある種のノスタルジーに変わりはなかった。でも、この映画の最大の魅力は敵役であるジョーカーであった。ジャック・ニコルソン演じるジョーカーの狂気ぶりは、古臭いバットマンに新風を吹き込んだ。


そして、このジョーカーの登場場面で流れるプリンスの音楽は、まさに新しいバットマン映画に相応しいノリであった。これには驚いたし、プリンスを見直した。と、同時に自分の音楽センスというか、時代の潮流を読めぬ流行音痴さを恥じた。

歌手プリンスは、私の古臭い感性を超越した音楽家であった。その巨星プリンスが先週、突然に亡くなったとの報が出た。まだ50代である。早過ぎる死であったと思う。


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする