やっと日の目を浴びたのが嬉しい。
私がこの十数年、ずっと注目していた漫画家の一人に、三部けいがいる。画力は確かだし、ストーリーだって悪くない。登場人物にある種の共通性が見られる傾向はあったが、キャラとして立っていた。もっと人気が出て良い漫画家だと思っていた。
ただ、掲載している雑誌がマイナーであったために、よほどの漫画好きでない限り、知られていない漫画家であった。青年誌への連載であったため、お色気サービス的絵柄がはめ込まれていたのも、もしかしたらマイナス要因であったのかもしれない。
一貫して、児童虐待や不遇な少年少女たちを描いている姿勢にも、大々的に売り出しにくい要因になっていたのかもしれない。でも、私は好感をもっていた。最後にハッピーエンドをもってくる姿勢も高く評価していた。
だから、ここ最近、次第に注目を集めていたことは、とても嬉しかった。そして、遂にアニメ化された。放送枠が深夜であるため、私は観ていないが、これで評判が一気に高まった。
そして、今回の映画化である。
はじめに書いておくと、エンディングは原作とは少し違う。その点が原作のファンとしては、ちょっと辛いが、概ね原作に近いストーリーと流れであり、これはこれで評価したい。
原作を読んでいなくても、この映画で十分に楽しめる。三部けいの漫画を知らない人でも、その独特の絵柄と個性はわかるはずだ。是非とも鑑賞していただきたい作品です。