ヌマンタの書斎

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景気回復・・・?

2005-12-06 09:28:03 | 経済・金融・税制

平成17年9月決算期の大まかな動向として、売上高が前年比で6%、経常利益も前年比で8%伸びたとの報道がありました。景気は回復基調であるとの識者のコメントは、まあ妥当なものでしょう。

株価も今日(12月5日)で1万5千円を越えた水準にあり、景気に力強さが戻ったという見解が出るのも当然といえるでしょうね。

でもね、売上高が6%の伸びで、経常利益がそれを上回る8%の伸びということは、相変わらずコストの削減が進んでいることを意味しているはずです。コスト削減の中身は、相も変わらず人件費や下請け企業への支払いです。

つまりサラリーマンやOLさんのお財布の中身は、相変わらず薄っぺら。下請けの町の中小企業は、利益が十分に上がらず、資金繰りに四苦八苦。これじゃあ、一般庶民の暮らしが豊かになるわけもなく、一部の大手企業だけが潤う景気回復が実態でしょう。

同じ頃、新聞に銀行の貸し出し残高が、前年を上回ったとの報道もありました。要するに銀行の貸し出しが増えているのだから、景気の回復は本物だとのコメントが出てました。

しかし、私が先日ある大蔵省を退職したキャリア官僚の方の講演で聞いた話は、随分と異なるものでした。その方は、大蔵省において長年金融行政に携わっていた人で、現在も銀行等の内情にはかなり詳しい立場にあります。その方の話では、銀行貸出が前年を上回ったといっても、その内容はほとんどが不動産担保融資が中心で、バブル崩壊以前の融資となんら変わりのないものだそうです。

その方に言わせると、本来政府が目指していた金融機関の経営水準の向上とは裏腹に、昔よりも融資の能力が低下してしまい、なんのための金融自由化かわからないと嘆いていました。どうも、その方の考えでは、政府(というか財務省)が銀行を強く指導すべきだったのに、銀行に自由にやらせたら、却って逆の方向、安易な方向へと向かってしまったとの氏Bつまり、日本の銀行はあいも変わらず、不動産担保と経営者の個人保証にすがり付いた融資しか出来ない。グローバリズムへの対応なんて、まだまだ当分先のことでしょうね、との事。

個人的には異論があるのですが、その方の言うように、銀行の融資が増えたことが、即座に景気回復につながっているとは限らないとの見解は、私も同意せざるえません。しかし、退職したキャリア官僚って、退職したとたんに平然と官庁への批判をし出すのは、現職中よほどストレス溜まっていたのかねえ~


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