新春の高校サッカーは、青森山田高校の圧勝で幕を閉じました。
ここまで強すぎる高校チームとなると、私の記憶では東福岡や国見、市立船橋高校以来な気がします。
かつてJリーグが始まる以前では、高校サッカーこそ日本で最も盛んなサッカーでした。もちろん当時も社会人サッカーや大学サッカーもありましたが、サッカー好きにとっては、最も熱気あふれる試合が観れるのが高校サッカーでした。
だが近年微妙に変ってきたと思います。十代の年代ですと、学校のサッカークラブよりもJリーグの下部チームであるユースクラブのほうが格が高いというか、レベルが上だとの風潮があります。
実際、今回優勝した青森山田でさえユースに昇格できず、それゆえ高校サッカーの強豪である青森山田に越境入学した選手がいるほどです。もちろん、だからといって高校のサッカーチームがユースクラブよりも弱い訳ではないのが難しいところ。
例えば日本屈指の名ミッドフィルダーである中村俊輔は、マリノスのジュニアクラブ出身です。しかしユースクラブへの昇格が出来ず、当時無名の高校へ進学して高校サッカーで活躍。その実績を評価されてのマリノス入りし、その後の活躍はご存じのとおりです。
また必ずしも名門のサッカー部がある高校出身でなくても、またJリーグのユース出身でなくてもJリーグで活躍し、日本代表として活躍し、海外のプロチームで活躍する選手もいるのです。
これはJリーグのサッカーチームがあるからこそで、それが無かった80年代までは、その役割を高校サッカーが担っていたのです。その当時は、高校サッカーで活躍すると、一躍人気者となりスター選手扱いされることもありました。また高校サッカーは日本代表の巣立つ場でもあったのです。
でも、今はそのようなことはありません。もちろん活躍する高校生選手はいますが、Jリーグと比較すると選手の技量に格段の差があり、以前ほど騒がれることはなくなりました。
それを残念に思う方もいるようですが、私はむしろ高校生の部活として健全な方向に戻ったと考えています。考えてみれば、かつての高校サッカーの熱狂ぶりが、むしろ異常なのです。
今や日本人のサッカーを見る目も肥えてきて、Jリーグのみならず海外のトップリーグを見慣れた目には、日本の高校サッカーはむしろ粗が目立つほどです。でも、それが本来の高校生のサッカーなのだと思うのです。
その意味で、資金を投じて上手い選手を集めた私立高校勢よりも、今回決勝に駆けあがった公立の大津高校(熊本)の活躍は実に爽快ですね。公平にみて、青森山田の選手たちの技量のほうが上でした。特にボールの受け方、置き方、判断力の速さは際立っていたと思います。
でも、それは大津の選手たちのこれからの伸び代だとも思えました。彼らが高校卒業後、どのような進路に進むかは知りませんが、もしサッカーの世界に進むのならば、今回の敗戦が良い教訓になったと思いますよ。
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