ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

ANNIE

2015-02-20 12:02:00 | 映画

子供って奴は天性の演技者だ。

とりわけ女の子は、場の空気を読み取る能力が長けているため、殊更その演技力に磨きがかかる。傍から見ていると、その演技はあざとくみえるほどだが、魅力的なのは確かだ。

たいがい、男の子は割を食う。実際、私がそうだった。場の空気が読めないから、場違いなことを言い白けさせ、周囲に迎合しないから冷たい視線を受ける子供が私だった。

そのせいか、意識して演技する女の子に対して、妙な隔意がある。嫌っているわけでもないが、素直にその演技を受け入れられない分からず屋が私であった。

だからだと思うが、表題の映画で主役を演じる黒人の女の子の魅力も素直に認めがたい。蓮っ葉な女を演じるキャメロン・ディアスの方にこそ妙に肩入れしたくなる。だが、分かっている。どちらも実は同じである。

自分を魅力的にみせてチャンスを捕まえようとするアニーと、そのチャンスを逃して惨めな境遇に甘んじる里親役のディアスの姿はカードの裏表である。

アメリカはチャンスを与えてくれる国だと考える人は多い。そのチャンスには成功へと至るものと、失敗の陥穽に至るものとの二種類があることもまた確かである。

私はどうしても、この苛烈なまでに二択に拘るアメリカ社会には馴染めない。今少し、穏やかな生き方だってあると思うし、多くの平凡な人々にとっては、そのほうが幸せだと思う。

ところで表題の映画だが、元々は世界大恐慌に喘ぐアメリカ社会において、捨て子としての暗い境遇から、持ち前の明るさで幸せを掴もうとする女の子を描いたミュージカルが元となっている。今回で3回目の映画化だそうだが、もしかしたら歌の上手さというか表現力では、今回のアニーが一番かもしれない。

実際、Tommorowを唄うアニーの姿には思わずも、見入ってしまったほどだ。ミュージカル映画としては、とても良い作品だと思います。観て後悔することはないと思うので、機会がありましたら是非どうぞ。 

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すもももももも 大高忍

2015-02-19 11:59:00 | 

タイトルだけ。

今、子供たちの間で人気のアニメに「マギ」がある。アラビアンナイトを素材にした冒険もので、けっこう人気を博している。その作者がブレイクするきっかけになったのが表題の作品。ただし、私の評価はきわめて低い。

子供の頃に暴力に対してひどいトラウマを負った主人公は、古来より続く伝統武撃フ道場主の息子。その武道嫌いの息子の下に押しかけてきたのが、これまた伝統武道を継承した娘さんであり、主人公の許嫁という設定である。

この武道嫌いの主人公を巡るドタバタ劇なのだが、率直に言ってキャラクターのデザインばかりが目立ち、肝心のストーリーが竜頭蛇尾に終わっている。そのせいで、当初は読んでいたのだが、そのうち流し読みになり、最後はざっと目を通しただけだ。

私がこの漫画をあまり好かなかったもう一つの理由は、これが今どきの男の子が求める理想像なのかとの疑いが拭えなかったからでもまる。情けない主人公に替わり、甲斐甲斐しくも健気な押しかけ嫁の奮闘ぶりが、読者から受けていたのは確かであった。

この漫画、隔週発売のヤング・ガンガンというマイナーな漫画雑誌に連載されていたのだが、この作品が初のアニメ化されたものであった。それだけの人気はあったようなのだ。それが私は気に食わなかった。

ヤング・ガンガンは他のメジャーな少年漫画雑誌や青年漫画雑誌からはデビュー出来なかった若手漫画家を数多く拾い、デビューさせている。そのなかでも、最初のTVアニメ化作品がこれでは、他の硬派な漫画「死が二人をわかつまで」や「魍魎の函」などが報われないではないか。

そう思っていたので、どうも好きになれなかった。しかし、若い読者の思いは別であったらしい。それでも敢えて言うが、この漫画タイトルの奇矯さだけが目立ち、肝心のストーリーが力量不足だ。

その後、作者の大高忍は週刊少年サンデーに移って大ヒットとなっている「マギ」を発表している。こちらのほうがストーリー性も高く、作品の質ははるかに上だと思う。もしかしたら編集者の技量の違いもあるかもしれない。

余談だが、タイトルを「スモモも桃も」だったらどうなのだろうと思うことがある。やはり「すもももももも」だからこそ耳目を集めたと思うのは、私の偏見なのかな。

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プロレスってさ タム・ライス

2015-02-18 12:18:00 | スポーツ

プロレスの面白さの一つに、あれこれと想像を膨らませることがある。

今回取り上げるレスラーも、その戦いぶりを想像により楽しませてくれた一人である。赤いサソリことタム・ライスである。力道山がアメリカでの修業中勝てなかったレスラーの一人とされている。

来日回数はわずかに一度であり、その記録さえ十分に残っていない。だが、プロレスファンの間ではかなり知名度は高い。いや、プロレスファンよりも、空手、とりわけ極真空手に関心がある人たちにこそ有名なプロレスラーである。

極真の大山倍達は伝説といっていい空手家だが、その伝説には彼の半生を綴った「世界ケンカ旅行」と梶原一騎原作の漫画「空手バカ一代」が大きく貢献している。

そのなかで、力道山がアメリカで勝てなかったプロレスラーのタム・ライスに大山が苦戦の末勝ったエピソードが描かれている。このことが、ライスに対するプロレスファンのイマジネーションを大きくふくらますことになった。

ここで予め明かしておくと、「世界ケンカ旅行」にせよ「空手バカ一代」にせよ、大半が実話ではないと現在ではされている。劇画原作者の梶原はともかく、大山氏自身も、ほら吹きというか、話すうちに内容が過剰に大きくなる性癖の持ち主であったようだ。

ただし、近年の研究で大山倍達自身は、打撃系格闘家としては際立った強さの持ち主であることが判明している。決して口先だけの人間ではない。それはともかくも、劇画「空手バカ一代」で描かれたタム・ライスとの戦いの場面は秀逸であった。

膝を内向きにして金的への攻撃を防ぎやすく構える一方で、上半身を広く開き、腕を広げてキャッチしやすいように身構えるライスの姿は、プロレスラーというよりも喧嘩師の佇まいであり、迫力満点であった。

私自身、街で見知らぬ相手と喧嘩をする際には、下半身とりわけ膝と踵の向きに注目するよう教わっていた。踵が外に開いていれば、左右に素早く動けるし、膝が前後ろになっていたら、突進してくる可能性が高い。また膝を内向きにしている相手は、こちらが金的を狙っていることを覚悟しているわけで、逆にこちらの急所を狙ってくる可能性もある。

また爪先立ちで踵を浮かしている相手はボクシング等の経験者の可能性が高く、腰を落して膝を曲げて構える相手は、こちらの攻撃を受けての反撃を狙っている。そんなことばかり話し合い、練習していた私らチンピラにとって、タム・ライスの構えはまさに実戦的に思えたのだ。

残念ながら、プロレスラーとしてのタム・ライスの記録はほとんど残っていない。赤サソリと称されたのは、興奮すると上半身が赤く染まるからだそうだが、その画像さえ残っていない。

だからこそ、プロレスファンは想像を逞しくして、ライスの姿を思い描いていて楽しんだものだ。本当は虚像なのかもしれないが、私にとっては忘れがたい幻のプロレスラーでした。

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ウクライナ危機に思うこと

2015-02-17 12:00:00 | 社会・政治・一般

一度火が付いた民族感情は、簡単には鎮火しない。

十数年前のことだが、新宿歌舞伎町の大型キャバレーで顧客でもあるホステスさんと飲んでいた時だ。その時、ヘルプとして席についたのが金髪のロシア人女性二人であった。

どこから来たのかと訊くと、一人はレニングラードだと言い、もう一人は「ウクライナのキエフです」とわざわざウクライナを強調して答えたのが印象的であった。どうやら場を仕切る日本人のホステスさんから、二人ともロシアから来たのと紹介されたのが気に食わなかったらしい。

率直にいって、ロシアもウクライナも人種的には、そう変わらない。言語だってロシア語であり、キリル文字を使っている。同一文化圏の人たちであるのは間違いない。件のホステスさんの話では、普段は仲は良く、それゆえに二人一組でヘルプに付けるのだが、民族感情だけには難儀するとのこと。

ベルリンの壁が崩壊し、なし崩し的にソ連が崩壊して、各共和国が独立したことで民族感情に火が付いた。歴史を遡れば、ウクライナには、かつてキエフ公国という由緒ある国が存在しており、リトアニア大公国やメポーランド王国の支配下にあったこともあり、ロシアに属するようになったのは、意外と遅くて17世紀以降だ。

社会主義という人造的な概念が崩壊してしまうと、ロシア帝国に吸収されたウクライナの民族感情が先祖がえりのように甦り、兄弟憎悪にも似た複雑な心境を形作る。

反面ロシアからすると、豊かな穀倉地帯を持ち、鉱物資源にも富んだウクライナの地は重要で、特に黒海沿岸地帯は軍事的にも重要度が高く、そのためロシア化を推し進めていた地域でもある。

だから容易に手放せるはずもない。一方、ウクライナにとってもロシアとの関係は重要で、電力やガス需要の大半をロシアに頼っている。人為的にロシア化が推し進められたせいで、親ロシア感情の強いウクライナ人もいれば、反ロシア感情の強いウクライナ人もいる。

ナチス・ドイツの侵攻時には、両者は手を取り合い必死で戦い抜いてウクライナの地を守った歴史を持つ一方で、ロシアの辺境の地とされていることに屈辱感を覚えるウクライナ人は少なくない。

それゆえに両者の対立は、他国からはうかがい知れぬほどの根深い対立と、断ち切れぬ親愛の情を並立させている。この問題は、そうとうに長引くと予想できる。

ただ、唯一幸いなのは、宗教上の対立を含んでいないことだ。これだけでも相当に違う。この問題が浮「のは、ロシア周辺諸国に対する影響が大きいからだ。それゆえにロシアは悪しき前例には絶対にしないと覚悟を決めている。

一方、そのロシアの覚悟を知りつつも、国民相手に下手を打てないウクライナ政府の苦しさもある。それゆえに、明快な解決策は見出し得ない。この問題を周辺の国々や、抑圧されていると意識している少数民族は、明日は我が身との思いで、注視していることは間違いない。

せめて経済が好調ならば多少の不満は緩和されるが、欧州の景気は決して良くない。それどころか東欧向け債権の焦げ付きが凄まじいと予測されている。やはり、今年は欧州の政治的な変動に注意を払うべきなのだと私は考えています。

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ミュータント・タートルズ

2015-02-16 12:40:00 | 映画

亀って案外と怖いぞ。

子供の頃、縁日の屋台で買ったミドリガメを飼っていた。私は生き別れになった愛犬ルルの名前を借用して、そのミドリガメにもルルと名付けて水槽に入れて世話をしていた。

餌は熱帯魚店で売っていた緑色の顆粒を与えていた。そのせいでミドリガメは草食性だと思い込んでいた。ところがだ、ある日、やはり縁日の金魚すくいで手に入れた金魚をカメの水槽に入れておいて数時間後に驚いた。

なんと、金魚の腹が喰い千切られて水槽の底に沈んでいるではないか。まちがいなく犯人はミドリガメのルルだ。ちなみに金魚の大きさは、ミドリガメより一回り小さい程度であり、腹の部分だけが一噛みで千切れていた。

カメって肉食だったのか。

そういえば、動物図鑑にカミツキカメという南米の恐ろしげな肉食性のカメが記載されていた。どうやらミドリガメも肉食というか雑食らしい。よくよく見ると、歯こそないが、けっこう鋭い口蓋をもっており、この一噛みで金魚を喰い千切ったようだ。

カメ、侮りがたしである。

ところで表題の映画は、かつてアメリカで大人気を博した漫画ミュータント・タートルズの実写版である。なかなか良く出来た映画で十分楽しめたのだが、正直言うと、このカメ、あまり可愛くない。

少なくてもアメコミの方が可愛かった。もっというと、実写化すると怪物じみてしまい、正義の味方っぽくない。さすがに敵役を噛み千切るような真似はしなかったが、敵役の方が格好良くみえたのも確かだ。

なんでもかんでも実写化するのは止めたほうがいいと思うな。

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