ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

スキップ・トレース

2017-09-07 17:10:00 | 映画

私が十代の頃から、アクションスターであったジャッキー・チェン。

誰だって年を取るし、若い頃と同じアクションが出来る訳はない。だから近年のジャッキーのアクション・シーンには失望を感じることが少なくなかった。

だから、あまり期待せずに映画館に足を運んだのだが、意外と好印象。

これは悪口ではないのだが、ジャッキー・チェンはアクション俳優に徹した、あるいは徹せざるを得なかった俳優だ。ご存じの方もいるだろうが、彼自身は満足せず、文芸作品にも挑戦している。

しかし、世界のファンは圧倒的にアクション俳優としてのジャッキーを求めていた。それが分かったからこそ、敢えて彼は徹底的にアクション俳優を演じた。

だが内心の葛藤は相当なものであったのだろう。表題の作品で、彼は「家族も持たず、仕事だけに囚われた人生だった」と寂しげにしていたが、私には「アクション映画だけに囚われた人生だった」と感じてしまった。

ある種、達観したのかどうか分からないが、この映画でのアクションはさほど激しいものではなく思う。だけど、円熟した凄味というか、笑いと驚愕とのバランスが良く、老齢のアクションスターの演技として、十二分に楽しめた。

カンフーアクションに笑いの要素を取り込むことで、世界中からの人気を得たジャッキー・チェン。アクション映画の革新者といっても良い大スターだと思うが、それゆえに年齢による衰えが辛かった。

それでもアクション映画に拘り、CGやワイヤーアクションなどは使わずに、従来の手法で映画を作る。最近の派手なハリウッド映画に比すると地味に感じますが、反面やりすぎでない映像に安堵感を覚えたのも確かです。

あまり宣伝等はないようですが、観て損のない映画だと思いますよ。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

赤い背中の少年

2017-09-06 12:01:00 | 社会・政治・一般

長崎で原爆に遭遇し、背中が焼けただれた「赤い背中の少年」として知られた谷口稜曄氏が先月お亡くなりになった。

核兵器の悲惨さを世界に伝える運動に参加したことで知られている。体重が増えると背中が引き攣れてしまい、痩身の体で生きてきた原爆の生き証人でもあった。

原爆の悲惨さを吾が身をもって世界に伝えたことには、それなりに意義あることだと思う。

思うけれど、皆が皆、同じ印象を受けるとは限らないことは認識すべきだと思う。つまり、これだけ悲惨な結果を出す、非人道的な兵器なのだから、核兵器は廃止すべきだ。そう考えるのが普通の日本人であろう。

しかし、逆の考えだってある。これだけ残酷なほどに強力な兵器なのだから、核兵器さえ持っていれば、我が国は安全なはずだ。

反核運動に賛同する人たちには、思いもよらぬヒドイ考えだと思うが、実際のところ、かなりの国がそのように考えたはずだ。だからこそ、核兵器保有国は増えることはあっても、減ることはない。

それが現実ではないか。

認めたくない人も多かろうと思いますが、核兵器の悲惨さ=平和を守る武器として実効性あり、そう考える国々が複数あるのが証拠だと思います。

何故だか知りませんが、日本のマスコミ、学校などは、このような現実は教えようとしません。

良いのでしょうかね、そのような現実逃避の姿勢であって。

私は平和な世の中を望みます。戦争の惨禍に襲われるなんて真っ平ごめんです。だからこそ真剣に、日本の平和を如何に守るかを考えたい。戦争の悲惨さ、核兵器の非人道性を訴えることが、平和につながることは否定しません。

でも、その捉え方は一様ではない現実も認識するべきだと思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

影裏 沼田真佑

2017-09-05 18:51:00 | 

過去を断ち切った生き方には、どうしても不信感が付きまとう。

非難している訳ではない。私自身の半生においても、過去の一時期は、事実上断ち切られた期間となっている。正直言って、あまり思い出したくない期間ではあるが、私の人格形成に少なからぬ影響を与えた期間であることも確かだ。

この期間に関わりのあった人たちとは、まったくの没交渉である。消息も知らないし、知りたいとの思いもない。他の期間について言うなら、私はかなり人付き合いの良い方だと思うし、それなりの人脈もあり、それは今も続いている。

しかし、あの時期だけは、どうしても積極的に関わる気になれない。精神的に荒れていた時期であり、人間不信が根強かった癖に、他者との関わりを求めて止まなかった時期でもある。

冷淡というよりも、未熟な甘ったれであることが今なら分かる。思い出すと、気恥ずかしさと後悔が脳裏を駆け巡るのが不愉快だ。だから、思い出したくもないし、あの時期に関係するものと関わりたいとは思わない。

おそらく安定した人生を送ってきた方には無縁の期間なのだと思う。自分ではどうしようもない理不尽さに、己の人生を振り回されて、心が少し歪んでしまった人に顕著なものではないかと邪推している。

それゆえに、隠してきたのに、予想だにしていなかった自然災害に襲われたことで、隠すことが出来なくなる場合もある。そんな時が来たらどうする。私なら相当に動揺すると思う。

だからこそ、表題の作品に出てきた人物の心象が、少しだが理解出来てしまう。ただ幸いにして、私は過去と今とをつなげる生き方が出来た。人生の一部の時期についてのみ、人生の裏面に隠してはいる。その裏面を表に出すことは出来ないし、再び踏み込みたいとも思っていない。

でも、いつかバレてしまうのではないかと内心、恐れている。思い通りに生きられるはずもなく、人生とは理不尽で横暴な力に振り回されるものだと達観している。それでも、厭なものは厭であることに変わりはない。

多分、人によっては、その厭な時期を断ち切るために、してはいけないことをしてしまうのだろう。そして、やがて破綻して、露わになる以上、そこから逃げ出さずにはいられないのだろうと思っている。

そんな人間の一面を抉り出したからこそ、この作品は直木賞を与えられたのだと思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

民進党代表選挙に思うこと

2017-09-04 12:11:00 | 社会・政治・一般

民進党の代表選挙があったらしい。

正直、今となってはどうでもいいニュースである。蓮舫党首のままで無意味な空騒ぎだけさせておいた方が、日本にとっては良かった気もするが、誰がやっても失敗するのが目に見えている。

これは旧・社会党や共産党に顕著なのだが、自分たちが正しいと信じ、愚かな大衆を導くことこそ政治家の務めだと思い込んでいる節がある。だから、何故大衆が自分たちを支持しないのかが理解できない。

正しいことを言っている自分たちが何故に支持されないのか。その疑問さえ持たずに、ただ労働組合とかの盲目的な信者と、とにかく自民が嫌いな人たちだけに支持されて、かろうじて選挙を生き残ってきた。

たまに自民党が大きな失策をするとか、政治腐敗が露出してしまうとかがあり、反自民党感情が盛り上がった時にだけ、野党勢力として勢力を伸ばすことが出来た。要するに自民党がミスを犯さぬ限り、決して選挙で勝てない。

だからこそ、森友学園や加計学園の問題に固執したのだろう。

実に情けない話である。こんな無様な政党に、次の政権を任せたいと思う有権者が、果たしてどれだけいるのか。この半年の国会論議で、真に国民の生活を考えての議論が、どれだけあったというのか。

今年は内憂外患の年である。アベノミックスは中途半端な成果しか出せず、未だデフレ脱却は果たしていない。実質賃金は役所と大企業のみ増えても、過半数の国民は、むしろ減少しているから、消費は回復していない。

トランプ政権に対しては、上手く対応しているが、北朝鮮情勢は未だ不透明である。にもかかわらず、民進党は軍事的な危機には、まったく触れたがらない。そんな姿勢で、次の政権を目指そうというのだから笑ってしまう。

なにせ、今の民進党にとって、最大の課題は共産党との連携をどうするかだというから失笑するしかない。いくら選挙は数の論理だからといって、共産党と連携して政権がとれると考えるのだから、呆れるほかない。

民進党が考えるべきは、なぜに自分たちは大多数の国民からの支持を失い、それを回復できずにいるかであろう。それをする勇気がないからダメなのですがね。

そう遠からぬうちに、民進党はかつての社会党と同じ道を辿ると思いますよ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

祝・ロシア・ワールド杯

2017-09-01 13:07:00 | スポーツ

祝、ロシア・ワールド杯出場決定 !

正直悲観していました。オーストラリアとはW杯アジア予選で勝てたことがない。また、かつてのロングボール前線放り投げ型から、しっかり中盤でボールをキープしての欧州型の戦術に切り替えてきたオーストラリアとは、同じタイプでかつ身体が一回り大きいだけに、勝つのは厳しいと思っていましたから。

しかも日本は長年に渡りチームを支えてきた長谷部が長期の負傷明け。香川も本田もベストコンディションではない。加えて予選中盤の救世主、大迫まで負傷明けであり、原口もベストではない。若手期待の久保も今季は不調。

こんなチーム状態で、勝てば本大会出場、負ければ3位以下もあり得る背水の陣。ただ、幸いにしてホームでの試合であり、過激なサポーターが多いことで知られる埼玉での試合であることが唯一の救い。

で、結果はご存じのとおり、6大会連続でのワールド杯出場決定である。

私は携帯電話のワンセグで試合をチェックしていたのだが、スタメンに驚いた。長谷部、山口、井手口のスリーボランチであり、大迫をトップにした3Fwという速攻堅守型の戦術を使ってきた。

これ、大博打ですぜ。

初戦で若手の大島を使って敗戦した時よりも、若手を多く使ってきた。コンディションの良い選手を優先したようで、本田も香川もベンチスタートである。これで負けたら、監督更迭もあり得ると心配したほど。

だが、若手が期待に応えた。日本屈指の俊足FWである浅野の先制点で、試合は俄然有利に展開された。オーストラリアが自己の戦術に固執して、日本の戦術への対応を遅らしたことも勝利の一因であった。

その間隙をついての井手口の2点目は見事の一言。あれでケーヒルら交替して入ってきた選手たちの戦意を挫いた。この敗戦でオーストラリアは3位に落ちてしまい、自力での本大会出場の夢を絶たれた。

これは言っておきたいが、オーストラリアは反則も少なく、戦術も徹底したいいチームでした。ただ、日本以上にコンディションは悪かったように思います。選手の大半が欧州リーグでプレーしており、疲労や故障もあったのでしょう。この先も、日本にとっては厳しいライバルであることには、変わりないと思います。

さて、来週には最終戦となるサウジアラビアとの試合が待っています。本大会を勝ち抜く上で、更なるチームの向上を目指していい結果を出して欲しいものですね。

最後に、家族が大病を患いながら監督として結果を出したハリルホッジ監督に感謝です。そして、これまでハリル・ジャパンの戦術、監督采配をけなしていたサッカー評論家と称する売文業者たちには大いに反省を求めたいと思います。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする