チダケサシ Photo by Ume氏
朝を待てずに1頭の小鹿が死んだ。何も分からずに生まれ、何も分からずに死んでいっただろう。これから新しい一日が始まろうとして、小鳥たちはいつもの朝を歌い始めたところだというのに。
日が昇るに従い暗い森に光が射し込み、朝露に濡れた草原(くさはら)が輝き出す。太陽の偉大な力を、今、一番感じている。
牧区の見回りに出たら、青空に秋雲が見えていた。すでに上空には秋の先遣隊がやってきたのだろうか。信州の夏は、例年旧盆とともに終わる。天竜川の水面の色が変わり、一夏を楽しんだ子供たちの喚声が水泳場から消える。川音は急に寂しさを募らせ、夏休みが終わったぞと言っているようだった。
あのころは親もだが教師も偉かった。夏休み中は4,5人の父兄が毎日交代で、炎暑の中を万一に備えてボールと竹竿を用意して2時間の見張りをしてくれたものだ。それ以外のときは、クラスを受け持つ教師が、自分のクラスの水泳については全責任を課せられ、それを負った。まだ小さな小学校にはプールなどない時代だ。水難事故は時々起き、子供心に死が思いのほか近くにあることを学んだ。
薄い雲が夕闇を連れてきた。盛夏だというのに、いい風が幾度も通り抜けていく。昨夜9時過ぎ、ぶらりと外に出たら、天の川の大きな光の帯が目に飛び込んできた。南の低い空に星屑が集中して、その横にはさそり座が対抗するかのように、見えていた。星座のことがもっと分かれば、宇宙の深淵に対する不安が、少しは薄れていくかも知れない。
かんとさん了解しました。TDS君、宜しくお頼みいたします。O山さん、今もHALのことを気遣ってくれてありがとうございます。そのうち会いに来てやってください。
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