入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

        「夏」 (29)

2015年08月07日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 第4牧区の牛たちは、今朝は早くにやってきた。そして、わずかに残る塩くれ場の塩を奪い合い、気の弱い牛は諦めて遠巻きにそんな仲間を眺めていた。言葉はなくても、主導する和牛のNo.87に従い、もう2か月近くになるが群れは割れない。唯一の雄の種牛見習いNo.222も、まだ見習いだけに一歩引いているようだ。
 罠の点検に来た顔見知りの猟師が通りかかり、群れの中に入っているこっちの様子を見て、「怖くはないかえ」と車を止めて聞いてきた。牛は何かの拍子で頭を強く動かすことがあるが、そういう時、徐角してない牛の場合には角に用心しても、牛を怖いと思うことはない、そう話す。
 第1牧区に行けば、面白いもので、今年の牛たちもゲートを入ったすぐ右手の松の木の下に群れをつくっていた。快適な緑陰とはとても思えないのに、何故か歴代の牛たちが、この場所を好む。例により塩くれ場から笛と声で牛を呼べば、今朝などはまるで「行ってやるか」とでもいった態度で、のそのそとやってきた。何を考えているのか、大分後から遠くを迂回しながら来た牛もいた。


  罠の近くに咲いていたコバギボウシ?
  
 また、夏の一日が終わろうとしている。長い一日の日もあれば、短い一日のときもある。それでも、概して短いことの方が多い。今にして思えば、さんざん雨を降らした7月もいつにか逃げるように去ったし、8月は来ても、何をそんなに急いでいるのかと尋ねたくなるほど呆気なく過ぎていく。繰り返す牧の単調で平和な日々は、たちまち薄い記憶に変わり、消えていく。
 本日たった一人のキャンパーである韋駄天のFさんは、どこへ行ったのかまだテントには帰っていないようだ。

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