入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

      「秋」 (5)

2015年08月26日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


この間の日曜日、ちょっとしたクマ騒動があったことは知っていた。当日は富士見町が主催する自転車の催しがあって、たまたま有害駆除のため仕掛けた罠を点検に来た駒ケ根班の人たちがクマを目撃したため、近くにいたこの催しの関係者に注意して、騒ぎになったようだ。この駒ケ根班の人たちが、実は昨日、自分たちの罠でクマを錯誤捕獲したことをここに知らせにきてくれた人たちである。
 
 後を託されたため、取り合えず上伊那地方事務所の担当者に連絡した。ところが昨日は、別の場所でもクマの錯誤捕獲があり、そちらが終わってから登ってくるということになった。
 11時過ぎ、県のT担当者と麻酔銃を取り扱う信大のI先生がやってきて、即小黒川林道の現場に向かった。捕獲場所は道路際のかなり急な斜面で、罠に苛立つクマを確認、思ったよりも大型だった。例によって、周囲の草や木はみななぎ倒されていた。
 I先生はベテランで、距離は20メートル以上は優にあったが下方から、矢羽付の麻酔弾を見事に一発でクマの背中に命中させた。麻酔が効いてくる間にさらにもう一発見舞い、約7分ほどしてクマは昏倒した。クマをビニールシートに載せ、3人がかりで引きずり下ろした。下ろしながら、クマは再び放獣されるのだから怪我をさせないよう、止め刺しした鹿とは違うことを意識するようにした。それでも、やることは鹿とあまり変わらない。
 ただ、そのあとの個体調査は多岐にわたり、雄クマだったため陰茎のサイズまで記入する欄があったのには驚いた。T氏が各部位のサイズを測りながら、次から次へと言う数字をこちらは記入していくわけだが、氏はその用紙の記載事項をすべて暗記しているらしく、終わってみれば各項目は洩れなく数字で埋まっていた。彼もまた当然、この道のベテランであるわけだ。体重は四肢を縛り計測しようとしたが、重すぎてできなかった。推定体重は120キロ、年齢は15歳と見た。
 クマを放獣する前にタグを付けると書いたが、錯誤捕獲の場合はやらないらしい。ただ今回は、タグと発信機も付けた。そうして欲しいと頼み込んだのだ。やはり、今後どんな行動をするのか、浅い縁でもこのクマの将来を知る可能性を、できれば残しておきたかった。
 3人でI先生のライトバンの後部のスペースにクマを押し込み、もう一度麻酔注射をすると、それでやるべきことは終わった。あとは封獣するだけで、そこまでそのまま何もせずに行くと言う。同道するつもりでいたら、「放獣場所は知らない方がいいでしょう」とT氏からやんわり断られてしまった。
 以上がおよその顛末で、終わってみればそれほどの大事(おおごと)ではなかったという気がするが、多分クマを撃ち殺さずに済んだことが、そう思わせたのだろう。

 入笠牧場の宿泊施設及びキャンプ場の営業に関しましてはカテゴリー別の「H27年の営業」を、また星に関心のある方は「入笠牧場からの星空」をご覧ください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする