気紛れな天気だが、山は静かでいい。曇っていても大雨にさえならなければ、深まりゆく秋をしみじみと味わえる。先週の撮影の際に外した牧柵を張り直し、牧区を巡回し、それからきょうもまたテイ沢へ行った。落ち葉の敷き詰められた山道、谷川の流れ、その音、湿った空気、森の匂い、3日も通えばあそこも牧場の一部のような気さえしてくる。というか、以前からそう思っている。
ここで目にするカエデやモミジの紅葉は、木によって随分と違いがあり、桜やコナシの花と違いその見頃を言うのは難しい。それでも、多彩な秋の色の中でも、探せばどこでもすぐに見付かる。緑の葉だけのものもあれば、すでに焼けてしまった葉もあって、ちょうどいい色をしたモミジやカエデは、あれほどいたるところにありながら、実は少ない。
下から4番目の「夫婦が淵」に架かる橋は、何としても簡単な手すりを付けたかった。それがなくても渡るに困難とは思えないが、手すりを付けるためには技術的に結構ややこしく、あえてその困難をやって終わりにしたかった。
丸太橋は基本的には橋桁を持たない。あれば大水や流木などによって橋そのものが流されやすくなる。しかし、橋桁がないと、手すりを付ける支点が中間に取れず両端だけになる。となると、2カ所の支点はかなりしっかりとさせる必要がある。だが、これが簡単にはいかない。場所によってもやり方が変わる。なお、写真の左には橋桁らしきが見えるが、ここは岩壁が水流の盾になってくれていることと、他の方法がないため設けてあるが、なければないに越したことはない。
試行錯誤の果てにようやく架かった丸太橋だが、近々にあの山奥のセンセイにも見てもらうことになっている。ただし、こういうことに凝り出すときりがない。
秋風が旅に出ろと言ってませんか。小屋もキャンプ場も充分に余裕があります。FAXでも予約や問い合わせに対応できます。ご利用ください。入笠牧場の営業案内は「入笠牧場の山小屋&キャンプ場(1)」
「同(2)」をご覧ください。