きょうも霧が深く、その影響もあってか、季節はますます深まったような気がする。今、つい呟いたこの「深まる」という言葉、季節では秋以外に使われることがあるだろうか。「理解が深まる」、「友好を深める」というような表現の仕方はあっても、春でも夏でも冬でも、季節が進んでいくのを深まるなどという言い方はしないはずだ。この秋だけが、時の移ろいを横でなく縦に捉えて、自然の様々な事象を眺めつ、それが深化していくと感ずるのは何故だろうか。
その深まりがさらに深くなると、区切りのないままいつしか次の季節との交代が始まっている。多くの人、特に火を燃やすぐらいしか暖の取りようがなかった昔の人たちには、冬は活動を奪われ、寒くて、暗い季節であっただろう。人々はその予兆をこの季節の先に少しづつ感ずるようになるはずだが、そのことと関係しているのかどうか、分からない。さっきから視界の半分を隠して動こうとしない霧を眺めながら、自分の頭の中にも似たようなものが立ち込めてきたのを感じている。
こんな味わい深い秋がここにはあることも知らず、あの人たちは入笠の山頂で霧に巻かれていたらしい。もっと歩いて、山の中にあるこの季節ならではの深い情趣を満身で感じでなければ、権兵衛山が怒りだす。
秋風が旅に出ろと言ってませんか。小屋もキャンプ場も充分に余裕があります。FAXでも予約や問い合わせに対応できます。ご利用ください。入笠牧場の営業案内は「入笠牧場の山小屋&キャンプ場(1)」
「同(2)」をご覧ください。