入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’18年「秋」 (61)

2018年10月30日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

                    Photo by Ume氏

 青空も見えてはいるもののここには日は射さず、周囲の雰囲気はすでに晩秋と言うに相応しい。11月までにはまだきょうと明日を残しているが、そろそろタイトルを変える時季が近付いてきたと感じている。
 
 罠の中にいる鹿の様子を愛用の双眼鏡カールツアイスで見ようとしたら、背後の落葉松が視界に飛び込んできた。灰色の樹幹、横に伸びる何本もの枝、灰色よりも黒色が目立ち、その周りを淡いあわい黄色に着色された葉が、霞のように全体を覆っている。肉眼では気付かなかったもっと柔らかさのある明るい黄色で、そのはっとする美しさにしばらく目を奪われた。
 落葉松の林の下方に広がる、緑の色をまだ大分残した草地に、鹿が3頭登場した。主役の座はそこで鹿が奪ったが、それでも巨匠が丹念に幾日もかけて描いた背景の美しさ、重要さはいささかも変わらない。鹿がいなくても充分にこの風景は成り立つが、鹿だけでは趣もなければ味わいもない。
 2頭は立派な角を生やした雄で、1頭は雌。あの"湖畔の向こうの白い馬"よりも、今双眼鏡の中にある現実の方が遥かに虚構を超えている。望遠レンズと三脚があればと思ったが、これはこうして見ているから味わえる感動で、たとえどんな敏腕なカメラマンが動画にしてみても、それでは伝わりそうにない何かが、この現実の中にはある。
 鹿たちは、しばらくここで暮らそうと決めたのか、罠の中の緊張が少し薄れたように思える。先程までは草を食む姿が見えていたが、今は確認できない。午睡を貪ってでもいるのだろうか、双眼鏡で高台の草原に焦点を合わせたら、2本の角が草の間から覗いていた。

 AKKENさま、通信は届いて、読んでます。多謝。また、面白い話があったら、伝えてください。「あん」さまも、通信ありがとうございました。

 今冬の小屋の営業を希望される方は、今から連絡いただけるとさいわいです。営業内容についてはカテゴリー別「冬季営業のお知らせ(29年度)」を参考にしてください。

 枯れ葉の積もった山道を歩きに来ませんか。小屋もキャンプ場も充分に余裕があります。FAXでも予約や問い合わせに対応できます。ご利用ください。入笠牧場の営業案内は「入笠牧場の山小屋&キャンプ場(1)」
「同(2)」をご覧ください。


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