きょうは予報通り曇り空で、季節の進み具合にも一服感がありそうだ。こんな天気でも義理堅く、ヤマバト(=キジバト)は今朝も来て朝のお勤めをしているようだと思っていたら、いつの間にか鳴き声は聞こえてこなくなった。いつもよりか早目に勤行を切り上げて、どこかへ飛び去っていったのかも知れない。
昨日、大崎様の近くを通った際に気付いたが、3本あったサワラの木は全部伐られたと思っていたら、1本だけまだ残っていた。しかし、ヤマバトはもうその木には寄り付かなくなってしまったらしく、今朝も鳴き声はどこか別の方向から聞こえていた。
あの程度の変化でも鳥は敏感で、その行動に影響を及ぼすのだとしたら、深山で行われている大量伐採などは野鳥ばかりか、他の動物にもかなりの影響を及ぼしているだろう。特に、そろそろ冬眠から目覚めるクマの機嫌を損ねなければよいが、さてどうだろうか。
昨夜は蕗味噌を酒の肴にして、春宵の独酌をしみじみと味わった。
この季節、日の光は輝きを増し、眠っていた野山の草花は生気を取り戻す。人も自然と心浮き立ち、解放感に誘われて外へ出る。しかしふと、この季節の底にまだ残る冷たさを、「早春賦」の「春は名のみの風の寒さや」の歌詞とともに、今春も思い知ることがあった。そう言い残して、短い人生を自ら絶ったある女子高生のことは、すでに毎春のように呟いてきた。
あれも今頃の季節だったろう、年を取ったらふる里へ帰る。そしていつか来る春を二人して縁側に座り、目の前の梅の花を眺めながら茶を飲みつつ、過ぎた去った苦労の日々を懐かしく振り返る。そういう時が必ず来ると言って、途方に暮れていた相手をなだめた。そしたら、そんな遠い先の日まで待なければならないのかと問われて、返す言葉を失った。
確かに、年月だけはいつの間にか過ぎたが、そんな日が訪れることはなかった。春の風にも、一掬の酒にも「あはれ」は秘そむ、昨夜のこと。
念のため、蕗味噌の作り方を調べてみたら、酒の肴ではなくてご飯の副菜として扱われ、みりんに加えさらに砂糖もだと、いやはや。主役はあくまで蕗の薹、その苦味。
かんとさん、あまり早い予約は連休の天気が大いに不安になります。しかし、かしこまりました。
本日はこの辺で。」