
そうは言ってもまだ10月である。水回りの冬支度も済まないうちに昨日の朝、気温が零下4度まで下がったのにはすっかり慌てた。それでも幸いなことに、心配した水道管の破裂のような最悪の事態は免れた。
今朝は昨日ほどの酷しさではなく、それでも午前6時の気温は零度だった。水は流しっぱなしにしているが、それが10箇所にも及ぶから水量が落ちてしまい、炊事には不便な思いをしている。もちろん、最早入浴など望むべくもない。
だましだまし使っていたファンヒーターも最後の1台が駄目になった。ここくらいの標高では、もともとこの方式のストーブは無理のようなので諦めるしかない。
こんなことを呟くよりか昨日の日本晴れ、突然やってきたここでの不便な暮らしを補って余りあった。1年を通しても滅多にないような黄金の好天で、それが星々の煌く夜まで続くとは。

雲ひとつない真っ青い空の下、いつもの場所からは、遥か遠く、地平と空を分かつ辺りに後立山の峰々が見えて、そこはもう冠雪していた。穂高や槍や乗鞍や、そして御嶽山までが、秋空に化粧っ気のない姿を惜しまずに見せてくれているようだったが、そろそろそんな山々にも白銀の輝く日が近いだろう。
昨日も終日草刈りに奮闘し、時に眼下に拡がる広大な風景に目を奪われ、さらに発奮した。遠くから見ればコナシの葉は、黄色からもっと深いブドウ酒の色に染まりつつあり、まだ緑の色の残る放牧地をより新鮮に見せるのに一役買っていた。
落葉松の葉はすっかり褪色してしまったが、その中で老いを隠した白樺の樹幹だけが気を吐いているように見えていた。しかし、一見元気に見えるあれらの樹々も、葉を落としてしまえばもう正体を隠せなくなるだろう。それでいい。
音のない谷はきょうも、緑とも、黄とも赤とも言えない絶妙な色合いに埋もれている。
昨夜のチゲ鍋、大成功。一人鍋の種類が増えた。今度はカキもたっぷり入れてやる。そんなことを独り言ちつつ、そろそろ里へ生活の場を移し、また山道を通う日を増やした方がいいかも知れないと考え始めた。
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本日はこの辺で。