Photo by Ume氏
午前5時半、外の寒暖計はついに零下、それも4度だと。霜も降りた。下でも今朝は2度くらいまで落ちるという情報は来ていた。100㍍当たり0.6度の気温差を考えると、ここと里との標高差は約1000㍍だから計算上は6度の差になる。ということは、2度から6度を引けばマイナス4度になり、その通りになってしまった。
気温が落ちるということを聞いて、水道の水を流しっぱなしにしておかねばということは当然すぐ考えた。にもかかわらず不覚にも寝てしまった。このごろは、気が付けばうたた寝をしているということが多いのだ。
急いで外の水場へ行ってみたが、凍り付いたカランはもちろん動かない。万事休す、後は何とか無事であることを祈るしかない。それも、水源からここまでの約1㌔に及ぶ地中に埋設した水道管も含めてだ。
何にしても零下4度とは、呆・れ・た。
第6牧区との境になる牧柵を、もう少し追い上げ坂寄りに移設する作業が、牛を降ろしてからの今秋一番の大仕事になると決めていた。とりあえず、支柱を抜く作業から始めたのはいいのだが、またしてもあばら骨を痛めてしまった。気を付けていたつもりでも、こういうことは起こる。やむなく、痛みがなくなるまでと、追い上げ坂の草刈りに作業を変えた。
草刈り機の正しい名称が「刈払い機」だとは長いこと知らずにいたが、確かに「刈る」だけでなく「払う」という行為も伴わなければ足りない。誰が付けたのか。
追い上げ坂はその名の通り急な斜面で、そこで手強いカヤを刈り払い機を使って刈り、払っていく。平地なら肩から掛けたベルトによって機械の重さは軽減されるが、斜面の場合はそういうわけにはいかない。両手で草刈り機を支えつつ刈り、払うわけで、右手の負担はかなり大きい。加えて足場もよくない。
草刈りは結構好きな作業で、条件の良い場所でなら遊びのような面白さもある。刈り終えた後の草原を眺めて、一人自己満足に浸るのも悪くない。
ところが、北原新道にしても、この追い上げ坂にしても、あまり快適な気分では草を刈らせてくれない。地形ばかりかメギや落葉松の幼木もあれば、石もある。切り株も潜んでいて、それに歯が当るとかなりの反動がある。
そんなこんなといろいろとあるが、ここでの極上の秋の窮極と、その終りを見届けてから山を下りるつもりだ。まだ1ヶ月ある。残された日々、尊い時間を思いを込めて過ごし、牧を閉じたい。
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本日はこの辺で。