入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

   幻の「石堂越え」を訪う

2014年07月18日 | 入笠にまつわる歴史

  「歴史の道調査報告書」長野県教育委員会編 

 もう幾日前のことになるか、前々から行ってみたいと思っていた石堂超えの内、テイ沢を高巻く部分を歩く機会がようやくにしてできた。この尾根の途中まで古い牧柵が続いていて、その状況を知っておきたかったのだ。
 はるか遠い昔しにあった道だから、その名残なぞもとより期待していなかった。ただ、手許にある2万5000分の1の地図には、登山道は現在のようにテイ沢の流域を行くのではなく、伝えられている石堂越えと同じく、ヒルデェラ(大阿原)の途中から右手山頂を経由して小黒川林道に通じている。もしかしたらこの登山道が、石堂越えと何らかの関連がありはしないかという期待があって、なんとしてもそのことを確かめてみたかったのだ。
 今回はテイ沢の下流から山頂を目指したのだが、夫婦岩の夫岩を過ぎるともはや道は判然とせず、クマ笹の生い茂る尾根道をひたすら登行を続けるばかり。左手に見え隠れしていた牧柵は途中から右折して、クマ笹の中に消えてしまう。1時間も歩いたろうか、ようやく頂上らしきが見えてきた。
 途中何か所かに赤や黄色のビニールテープが巻き付けられていたが、登山道を示す標識布とは思えず、誰が、いかなる目的でそうしたかは分からず、多分、林業関係者が付けたのだろうと想像するしかなかった。
 とにもかくにも山頂に着けば、それでも何か登山道らしき踏み跡ぐらいは見つかるだろうという期待をずっと抱いて藪漕ぎに耐えた。(つづく)

 山小屋「農協ハウス」とキャンプ場の営業に関しましては7月9、13日のブログをご覧ください。梅雨もそろそろ明けそうです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

   森の中のいい一日

2014年07月17日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 ここ幾日か、牧場内の森の中を走る水道管の修理をやっている。この二つの不良個所は、牧場の仕事を始めた8年前にも苦労をさせられたところで、そのときのことが甦る。支柱にするために今ならどうとも思わない雑木を3,4本切るのにも緊張したものだ。今やその支柱も枯れて朽ち果てようとしている。こんな風にして時の経過を知らされることもあるのだと思うと、何だか愛おしいような気持ちさえしてきて、役目を終えたかつての支柱を上部から落ちてくる細い流れの横に並べて置いてくる。



 この牧場の将来は分からない。新しい形態で存続できたとしてもきっと、現在のような取水方法は近代化され、変わってしまうだろう。それでも今度は古い鉄製の支柱にしたから、前回よりは余程持つ。「なんだ、この素人仕事は」なんて言いながら、今度はいつのころ、誰がこの場所に来て修理ならぬ、撤去作業をするのだろうか。

 

 それにしても、この取水のための途方もない先人の苦労と努力、本当に感服してしまう。いまのように機械に頼らず、ほとんどが手仕事だったろう。どんな期待や未来をこの牧場や宿泊施設に託したのか。いくら聞いてみたくもそれを語ることのできる人は、もういない。

 ハシモトさん、メール拝読。まったく気にされることはありません。どうか、天気の良い日を選んでお出で下さい。台風はもとより雨の森の中を楽しむには、年期が要るのです、クク。今日も森の中で沢の音や鳥の声を聞きながら、いい一日を過ごせました。
 雨の降るのを察知できるのか、また牛たちがノロノロ、ゾロゾロと国有林との境にある、お気に入りの落葉松と白樺の林の方に移動していくところが見えます。牛は蚊を避けるため、草を食べている間も絶えず尻尾を動かしています。

 山小屋「農協ハウス」とキャンプ場の営業に関しましては7月9,13日のブログをご覧ください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

続 草刈り先遣隊と・・・

2014年07月16日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 「鹿麗高原まで行ってきましたよ」その人はこともなげに言った。まだ、1時かそこらだ。いったい朝は何時ごろ出発したのだろうか。往復25キロ、最低でも7,8時間はかかる。
 「帰り半対峠からは、言われた通り小黒川に下り、そのあと一度徒渉に失敗して・・・」なんて言っている。なるほど見ればザックも衣類も濡れている。
 それにしても、小柄で、決して若くない。60は間違いなくいっている。なんでも甲斐駒ケ岳に登った後、マナスル山荘の本館に2泊か3泊の予定で来ているらしい。先週末のY氏、そしてこの女性、しばらく目にしなかったような登山者が、こんな辺りにも出没してくれるようになり、頼もしい。
 この女性はかなりの経験者で、トレーニングも怠っていないそうだが、年齢とともにやはりバランス感覚が悪くなったことを認めていた。徒渉の際に転んだのがいい例で、川は決して問題になるような場所でも状況でもなかったらしい。年齢を重ねればかさねるほど、残念ではあるが、できないことを受け入れていくことも大事だと思う。この女性とは牧場を案内して別れたが、「紅葉のころにまた来たい」と言っていっていた。もちろんそうだとも!



 この大型トラックター、1時間をかけてK氏は自走させて来た。大型トラックに乗せて来なくても、こういう方法もある。第3牧区の牧草、有効利用できるよい方法はないだろうか。
 
 写真に写っている場所は、キャンプ場ではなく、美しい夜空を観測することができる広い草地。夜ともなればたくさんの若者が草の上に寝転び、星座の当てっこをしていたものだ。

 ぼつぼついろいろなところから問い合わせが来る。今年も8月1日から5日まで滞在するボーイスカウトのT隊長からわざわざ挨拶をいただいた。また、今週末、少々時代遅れの山小屋は二組の予約で打ち切ることに。ただしキャンプ場は、広いスペースが待っている。山小屋「農協ハウス」とキャンプ場の営業に関しましては7月9,13日のブログをご覧ください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

     草刈り先遣隊と・・・

2014年07月15日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 下から3名、草刈の先遣隊が来る。本隊は今月の23日に来て、草刈りや布団干しをしてくれることになっている。客足は控えめな時代遅れの山小屋だが、手は抜かない、抜けない。



 昨日のこと、昼休みをしていると人の声がする。出てみると、中年の女性の単独登山者で、高座岩から北原新道を下り、テイ沢、ヒルデェラ(大阿原)方面へ行きたいと言う。しかし、間伐作業の行われているため通行止めだから、休日ならまだしも、北原新道は通らないほうがいいと話す。日程的に余裕があり山慣れしているようなので、とりあえず高座岩は翌日にまわし、ついでに半対峠まで足を伸ばして小黒川の、先日歩いた幻の「石堂越え」にでも行ってみてはどうかと勧めてみた。いろいろとトンチンカンな会話もあったが、結局その人は言った通り高座岩はスキップするということで、見送った。

 今日も昼休み、先遣隊々長の伊東所長とあれこれ話していると、昨日の女性が顔を見せ・・・話を聞いて大いに驚く。急用ができ、すぐに下らなければならなくなったので、この続き、また明日に。

 山小屋「農協ハウス」とキャンプ場の営業に関しましては7月9、13日のブログをご覧ください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

 古い山、古い道

2014年07月14日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

     チビが主役

            
          美顔だネ
       

  
         
           君は脇役、入牧したころは単独を好み逃げ回っていた

 入笠の伊那側に舗装道路ができる以前は、芝平から「岩っこ」を通り、貴婦人の丘を超え、初の沢の大曲付近から源流に沿って登り、今の牧場東門の辺りに出て・・・、というコースが最後だったようだ。貴婦人の丘からは、北原のお師匠や伊那山仲間の会が6月14日、子供たちを連れて下ったのは、このブログでも触れた。
 
 今日、やむを得ぬ事情があって、久しぶりに大曲から先述の初の沢の源流を歩く。注意して行けば、古い山道が随所に残っていて、少し整備すれば、牧場周遊コースとして復活し、立派に使える。こういう場所は、他にもある。ただし、現在は一般開放していない。牧場の将来が見通せない今は、まだ安易なことはできないという気持ちでいる。

 先週末訪れたY氏は、日曜6時ごろには「また来ます」と言って出発していった。今日頂いたコメントによると、それから高座岩―北原新道―テイ沢―ヒルデェラ(大阿原)―山頂(前日に続き)・・・中央線青柳駅と、実に正しい登山をしたようで、いまごろはきっと、道々味わった山気や歩行後の充足感を、大都会で思い返して懐かしんでいることだろう(残念ながら北原新道は、現在間伐作業のため通行止になっている)。

 山小屋「農協ハウス」とキャンプ場の営業に関しましては7月9、13日のブログをご覧ください。

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする