入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     「冬」 (15)

2015年12月15日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


  鹿は、予想通り、銃声とともに一斉に、一目散に逃げた。M氏の狙撃は今回も正確に1頭の鹿の頭を撃ち抜いていた。貴婦人の丘の裏手に用意した誘引場所ではなかったが、満足できる結果だと思った。

 ところがその夜、電話で狩猟に詳しいG君とした会話は、興奮の余韻をあっという間に消してしまった。また一方、頭を銃撃すれば鹿は逃げないという話なのに、他所では3頭以上の鹿の群れの場合は何故撃つのを控えたのか、という当初からずっと抱いていた謎も解けた。要するに、「シャープ・シューティング」ということに理解が足りなかったというに尽きる。ただ、県の側はわれわれにそこまで求めなくてもよいと考えたのだろうか。
 ともかく、この実験の「核心は」、頭部を銃撃された鹿ではなくその近くにいた別の鹿が見せる反応だ、と書いたがそうではなかった。親愛なる読者各位の中には、鹿の話なぞもういいと思う人がいるかもしれない。しかし、もう少しだけお付き合い願いたい。その後に調べて分かったことを書き加え、終わりにしたい。
 まずこの「シャープ・シューティング」だが、これはできるだけ鹿の警戒心を煽らずに捕殺するために考えられた射撃方法で、このやり方を用いれば、非効率だと思われていた銃による鹿の駆除にも、かなり有効ではないかと一部の研究者や行政が考えた、そこが出発点だっただろう。
 そのために幾日もかけて餌で鹿を誘引し、爆音機で音にも、射手の身を隠すテントにも馴化させようとした。また、鹿の行動を昼の一定の時間帯に誘導するため、夜間は誘引用の餌を食べられないようにもした。そして、今回は誘引を開始してから25日後、12月7,8日を射撃の日とした。しかし、鹿が現れず、さらに5日間延長した。そしてすでに書いたような結果を得た。
 何故3頭以上の群れには発砲しないかということも分かった。確実に捕殺せずに逃がしてしまえば、折角馴化させた鹿がまたさらに警戒心を強めてしまう。そうさせないための手頃な頭数、目安を、3頭ぐらいとし、また確実に仕留めるために頭部もしくは首を、しかも他所では比較的近距離から狙おうとした。Smart Deer(賢い鹿)を増やさないように捕る、これがこの射撃方法の眼目だったのだ。
 こういうことを知らなかったため、18頭の群れに発砲し、結果牧場周辺の鹿の警戒心をさらに高めてしまったかも知れない。しかし、M氏の見事な射撃を筆頭に、要求されたことはやった。いや、それ以上だという気がしている。ただし今回の実験については、今後に課題を残した。別にもう少し詳細な記録と考察を書いておきたいと思う。


 さて、昨夜のかんと氏の観測結果はいかに。

 入笠牧場の宿泊施設及びキャンプ場の営業に関しましてはカテゴリー別の「H27年度冬季営業」を、また天体観測に関心のある方は「入笠牧場からの星空」をご覧ください。
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