入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’20年「秋」(1)

2020年08月19日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 今朝6時の気温13度、やはりここはもう秋だ。日中の一時だけ、昨日のように夏の暑さを感じたりすることもあるが、大勢はもう秋に移行したと観ていいだろう。今年もそれほど夏を意識することもなく終わる短い夏だった。
 またしばらく上で暮らすことにして、昨日食料を持ち込んでおいた。買い漏らした幾種かの野菜類は富士見に下れば済むし、酒類に関してはもちろん、抜かりはない。
 
 昨日は夕暮れの牧場を一周してから管理棟へ帰ってきて、誰もいないキャンプ場の露天風呂に浸かった。いつもはほぼ毎日のように三助さながら、この風呂の水を張るのに約1時間、沸かすのに同じくらいをかけ、浴槽の掃除にもやはりかなりの手間と時間をかけている。風呂の利用者は皆が喜んでくれるからそれで精を出すが、維持や管理は楽な仕事ではない。
 
 風呂の中で、頭上のコナシの樹々の間から見える小さな空が赤く染まり、それを眺めていると快い時間がゆっくりと過ぎていくようだった。確か、蜩ではなかったが、セミの鳴く声もしていたような気がする。緑一色の中で辺りが溶暗されていくにつれ、普段は気にすることもなかったマルバタケブキの黄色の花が役割を心得た脇役から、主役のようになって見えていたことも覚えている。
 部屋に戻ると、いつものように熱燗とビールを飲んだ。この牧場で過ぎていったもろもろの出来事や、出会った人々の顔が思い出され、その深まる酔いの中でも夏への挽歌は生まれなかった。追憶の少ない今年の夏との別れであった。
 夜は薄い雲のせいで天の川は見えず、木星と土星、それに夏の大三角だけが却ってはっきりとよく見えていた。

 きょうは下からちょっとした工事で東部支所の所長と職員が上がってくることになっている。「ちょっとした工事」とは、大雨の際に、小屋に通ずる道路から幕営地Cへ雨水が流れ込む恐れがあるため、アスファルトを使って道路を横切るように盛り土することにしたのだ。以前から頼んであったことを忘れずにいてくれた。朝飯前にすでに導水路の一部の草刈りは済んでいる。上に暮らすようになるとこんなふうに、仕事の区切りがつかないから弱る。
 
 O川さん、風呂の後始末までしてくれて有難うございました。またお出掛けください。所長、Kさんにも大感謝!
 本日はこの辺で。


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     ’20年「夏」(66)

2020年08月17日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など
 盆が過ぎた途端に、草原を渡る風にも、頭上の大きな空にも次の季節、秋の気配を感ずる。今まで北アルプスは夏雲が大方の山並みを隠していたが、きょうは御嶽山から遠く三国境まで、諧調の乏しいくすんだ青色の山肌の上に、馴染みある峰々が連なって見えていた。あれだけ雨の日ばかりが続いたせいだろう、唯一乗鞍岳だけがその裾野にわずかな雪、雪田を残すだけで、あの山々が品位とか威厳を取り戻すようになるには紅葉、そして冠雪を待たねばならないだろう。



 今朝上ってくる時は、この独り言の題名を「秋」にしようと決めていた。盆が過ぎれば夏は逝く、というのがここばかりでなく、地元の人々の大方の季節に対する捉え方だということは何度か呟いた。そのくせして、先日は盆の終わる16日と、夏休明けの小学校の二学期の始まり17日とを混同してしまって、「70年以上も生きても盆の始まりと終わりを知らなかったのか」と友人からも鋭く突っ込まれた。返す言葉もなかった。
 それはともかく、そのつもりでいたら昼近くなって気温が28度に上がった。普段なら、気温はこのくらいあっても爽涼とした風が吹くのだが、きょうは無風、この状態をあえて秋と言ってもいいのかと迷っている。因みに今の時刻は12時27分、現在の気温は少し下がって26度、ただしこれは上空の薄雲の変化次第でまだ上がるかも分からない。
 都会では、暑さと新型コロナとの闘いがまだまだ続く。



 中間検査時に上がってきた和牛3頭、他の牛の群れから離れて、相変わらず同じ白樺の林の一画にいて動こうとしない。いつまでもそうしておくわけにはいかず、塩を持って行った。しかし他の牛のように反応しない。昨日はしばらく様子を見ていたら、36番は右前足を少し痛めているのが分かった。そのせいで他の35番と37番が付き合わされているのかと思った。
 ところが、執拗なアブに襲われながらも牧場の辺鄙な場所に留まろうとしていたのは、最初にこの場所に居座りを決めた37番だった。一応、給塩後に放牧地へ誘導し、その後、帰る前ににまた様子を見にいったら、足を引き摺りながらも36番と35番は放牧地で草を食んでいたのに、37番は元いた場所から少し離れたかつてのねぐらと似た林の中にいた。この牛が問題の張本牛だったとは。
 35番と37番は措いても、足が不調な36番をどうするか、決断するまでにあまり日はない。

 本日はこの辺で。

 

 

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     ’20年「夏」(65)

2020年08月17日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 今年もオオハンゴンソウが山室川の川べりを飾っていた。外来種だと聞いているが、どんな経緯でこんな異国の山深い集落にに根付くことになったのか、それも過剰なまでに。
 ついでに言えば、写真に写っている橋を渡れば諏訪神社があり、そこが法華道の2本ある登り口のひとつ「諏訪神社口」である。何年か前、かつての住人らによって建てられた法華道の碑が、登り口で迎えてくれるはずで、その碑はこの土地で生まれ育った人々の故郷への強い愛着の証でもあろう。

 この時季、今年も主に上で暮らすようにしているが、それでも下に行く用事もあり、そうなればどちらも仮住まいのような中途半端な生活になってしまい落ち着かない。きょうはまた里に下る。せめて盆の送り火ぐらいはせよと、身内から強く言われているからだが、確かに小太郎とHALの眠る墓には足繁く通うも、どうもご先祖さまには無沙汰を決めているばかりだ。(8月16日記)
 
 そもそも古代稀なる年齢を2年も過ぎた者の一人暮らし、それも山の中、安気気楽とはいかないのも仕方ない。覚束ない頭で思考錯誤を続けるしかないだろう。きょうも、トウモロコシというものを初めて自分で茹でて食した。わが食卓にはとんとお呼びでなかった食材だが、野菜類が増えるのはいいだろうと思っている。
 山の中の暮らしと言えば、久しく会うこともなかった山奥氏ともこのごろ会話する機会があり、センセイは相変わらず怒り、不満を洩らし、そうやって人との繋がりを細くしてしまったように見える。本当に良い人だが世間を狭くしてしまい、今では病院通いも、かろうじて氏を迎えてくれる社会の狭いせまい場であるのだろう。止まれ、人のことなど言えない。

 一昨夜も期待通りの星空が拡がり、北原のお師匠ご一統様他は目にする壮大な天の川に喚声を上げていた。ご希望だった望遠鏡では土星と、火星を倍率を変えて楽しんだ。翌朝師は起き抜け早々に電話をくれて、良かったと言ってくれたが、惜しむらくはいまだに望遠鏡の扱いに習熟してない者のせいで、些かの反省が残る。
 今頃になって好天が続く。盆は営業しないつもりだったが幾組かの人が訪れ、そして帰っていった。今はここには誰もいない。
 F枝さん、先日は通信を有難う。山ばかりか星が好きなんですね。そのうち出掛けてください。

 それから大事なお知らせ。勝手ながら、今月の23日から26日までは小屋もキャンプ場も休業します。
 本日はこの辺で。きょうが日曜日であることに気付かず、沈黙すべきであったことを忘れていた。
 
 
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     ’20年「夏」(64)

2020年08月15日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

Photo by かんと氏

 ペルセウス座流星群は期待したような「流星群」ではなく、たった一つだけだったため、この写真に付す題名は「流れ星」にした、とのかんとさんの添え書きがあった。一昨晩そして昨晩は、予定通りにここへ来ていればきっと望むような天体写真が撮れただろうにと惜しまれる。
 いや、待て、コロナを案ずる雨男のかんとさんが来られなくなって、それで天気はこれほど良くなったのか、なんて呟けば温厚な彼も怒るかも知れない。しかし・・・。
 というような減らず口を呟いていたら、今度は北原のお師匠から電話が入った。何と師は今夜、この入笠での天体ショー見てみたいと、郎党を引き連れて上がってくるという。90歳を超えてなお師の好奇心は尽きせぬ泉のようらしく、もちろんご要望にお応えするつもりでいる。

 きょうは朝からロケハンがあり、その対応で半日が終わる。牛守の仕事は多様化するばかりだが、この牧場を存続させ、ここの自然を守っていくためには、こういう方面からの収入も無視できない。1名でウン十人に対するわけだから、臭いほど偏屈になることもある。唯一の味方はここの美しい自然だが、このごろの撮影関係者は概して紳士的で助かる。




     いずれも仲の良さそうな夫婦二組

 キャンプ用品は便利になるが、テントやタープは大型化するばかりで、一体あんなテントやタープを持っていって、混雑した多摩川のあの河川敷などでもキャンプができるのかと余計な心配までしたくなる。用品メーカーは、便利でさえあればいい、大きさなど構わない、売れればいい、ばかりでやたら利用者におもねって、そこら辺の配慮があるのかと疑問を感ずる。受け入れる側もそうなれば、多くのキャンップ場はあれこれの理由を付けて料金を上げ、対応していかざるを得なくなるだろうに。ムー。
 いま高座岩、テイ沢から戻ってきた夫婦に露天風呂に入りたいと言われ、今度は風呂番に。湯が沸けば、次は本業に戻り、牛たちが待っている給塩に行かねば。考えるほどのことではないが考えたら、きょうは早出して、朝飯と昼食を忘れていた。

 それから大事なお知らせ。今月の23日から26日までは小屋もキャンプ場も休業します。
 本日はこの辺で。
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     ’20年「夏」(63)

2020年08月14日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

                    Photo by Ume氏

 きょうはまた山を下りる。どうしても外せない新盆見舞いがあるからで、そのついでに、盆の間は営業を中止しようとした。ところが、中には閉めた戸をこじ開けるような執拗な要望もあり、断り切れなかった例もある。その人たちは外出はできても、恐らくその先の受け入れてくれる所が見つからなかったのではないだろうか。
 このややこしい災厄、人の受け止め方は多様だ。下界のことはよく分からないが、「三密」を避けることができるキャンプは人気があると聞いている。そういう、うわ滑りの情報が人を動かすかと思えば、帰省を身内から断られて炎暑の夏に耐える人もいる。
 マスクは相手に感染させないためのマナーだと言われたが、大半の人の認識は感染予防のためにしているのだろう。専門家によっても、この辺のことは見解がはっきりとしない、曖昧だ。

 今朝の空は、雲一つない青空が広がっている。早いうちは秋空を思わせる幾筋もの雲をたなびかせていた空も、まだ余勢のある夏にたしなめられたのか濃紺の夏空に譲ってしまった。ただそれでも、その鋭い光を遮って木々の落とす濃い影には、やはり夏と言うよりか秋の趣を感じてしまう。恐らくここは、きょうが暑さの頂点となり、夏は来なかったことにして、次第に次の季節に移っていくだろう。
 昨夜の夜空もまず南東に木星、土星と現れ、さらに南天の空にはサソリ、中天には夏の大三角が天の川を跨ぐように見えていた。ペルセウス流星群も2個だけだったが、煌く星々の間をすり抜けるように一瞬の長大な光の線を描いて見せてくれた。

 また道を尋ねる人が立ち寄った。古い案内図を手にしていても、登山口にも、テイ沢にも行き方が分からなかったらしい。この案内図は不完全だし、伊那側の道路標識は整備されていない。また、戸台へ下る小黒川林道は年中のように通行止めになっているから、これを無視して入っていく車が多い。しかし今回は、通行止めの看板に工事現場の写真まで添えてあるから、さしものオフロードバイカーらも断念したり、途中から引き返すようだ。
 本日はこの辺で。里では久しぶりの顔に出会う。
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