入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’22年「秋」(19)

2022年08月25日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 午前6時、夜半から激しく降った雨が夜が明けてから止んだ。夢うつつでその激しい雨音を聞きながら、闇の中の牛たちのことを心配した。今、僅かながら青空も見えていたが、また雨雲に覆われてしまい、いつもながらの気の重い朝となるようだ。
 
 最も信頼している雨量・雲量情報によれば、午前中は11時ごろまで何とか保ちそうだが、午後は駄目。夕方から暗くなってしばらく回復するも、再び深夜過ぎまで雨になる。それでも、夜中過ぎて止みそうだから、今夜はあまり牛の心配をしないで済むだろう。なお、明日は少し期待して良さそう。
 こうして天気のことばかり呟いていると、この極東の端に位置するわが列島は亜熱帯系の、高温多雨の地域と見做されても仕方なく、つまり列島は一段と赤道に近寄りつつあるとも言えるわけで、これも温暖化のせいだということか。
 それに付けても、お天道様がずっと安定して燃えてくれているからいいが、もしその核融合反応とやらががちょびっとでも変調したら、最悪、地球は溶鉱炉の中に放り込まれるようなことになるだろう。遠い未来にはそういう運命が待っているらしいが、まあ、とりあえず今は雲の向こうのお日様に感謝をしつつ、朝飯の支度でもすることにしようか。

 以下はお願いです。
 有難いことに、キャンプ場や小屋の予約が断りもなく取り消されるようなことは、これまでまずありませんでした。ところが最近そういう例があります。いずれもご新規さんです。管理人の不在が多く、連絡の取りにくいという事情もあるでしょうが、せめて留守電にその旨を入れておくくらいのことはお願いしたいと思います。取消料(キャンセル料)などは請求していませんし、その程度の良識のある人たちを歓迎したいというのがここの考えです。
 また、当キャンプ場は細かい料金制度や規則など決めていませんから、ぜひ気楽に来てほしいのですが、牛の相手や他の仕事もしなければなりません。予約の際におよその来場時間を伝えてもらえたら大変助かります。なお、入場時間や退場時間などについては特に決めていません。
 よろしくお願いいたします。

 こんな天気だが、これから頭数確認を兼ねてきょうも小入笠まで登る。嫌だとは思わない。
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 本日はこの辺で。

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     ’22年「秋」(18)

2022年08月24日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 昨日は夕焼けの予感がして、二、三箇所のよく行く場所へ車を走らせ行ってみた。期待通りとまでは言えないが、久しぶりに夕焼け空を見た気がした。
 
 22日の月曜日、第4回目のワクチン接種を受けてきた。今回もこれといった副反応はなく、翌日の仕事には何の支障もなかった。
 covid-19と言えば、内閣総理大臣までこれに感染したということだが、誰かが言っていた、どうも今の政権はこの長引く流行り病の取り組み方に、今一つ真剣さが足りないのではないかと。
 あの人からは、確かにあまり熱意、積極性、本気度が伝わってこない。塩気の足りない鮭の切り身のような人だとお見受けしているが、山積する難題と今後どんなふうに取り組んでいくのだろうか。
 とにかく凡庸、面白味に欠ける。それに、総理大臣にとって、発信することよりか聞くことが売りになるのか疑問だ。
 朝、官邸に入ってきて、待ち受ける記者たちへ接する態度、歩き方、これも気に入らない。ゴルフはするようだが、恐らく下手だろう。
 自分の国の宰相を夜中、酔いに釣られてこれ以上腐すのは止そう。





 第4牧区へ牛を出した以上は、毎日小入笠の頭まで頭数確認を兼ねて、電牧の状態を点検するために上がっていかねばならない。昨日は珍しく牧区内に鹿の姿はなく、電牧も無事だった。人の姿を見せなければ、鹿奴は牧区を自分たちの聖域と思い違いする恐れがある。
 きょう、午前中に諏訪から行政の人が鹿の件でここまで来るという。県からも、国からも来た。しかし、残念ながら状況はあまり変わらない。

 K松さん、メール拝読しました。静かなキャンプ場に1泊し、入笠の周囲を一周、山頂へは二度登り、幸運にも美しい星空も観望できたとあれば、まずまずだったでしょう。またお出掛けください。
 
 きょうは雨の予報だったが、好天。ムーン。週末はまたお馴染みさんがやってきて、いつもよりか賑やかになる。
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     ’22年「秋」(17)

2022年08月23日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 最早ここには夏の気配などどこにもない。いや、もともと夏など来なかったのだから、そんなものを求める方が可笑しな話だ。季節に裏切られ、当たらない気象予報に翻弄され、ようやく迎えた今の季節に少し安堵している。午前11時、気温20度。
 
 きょうも朝から曇天の空模様で、周囲は鳥の声も虫の声もせずに静まり返っている。雲に隠れた権兵衛山の方から余分にでもなったのか、時々白い雲の切れ端が国有林の落葉松の林にゆっくりと降りてきて、その緩慢な動作がさらにこの谷の静けさを強調するのに役立っているようだ。
 落葉松の木はそろそろ水の吸い上げを止めるだろうし、ツタウルシの紅葉もそんなに待たずに始まるだろう。それと、近年はあまり収穫できていないあの林の中のキノコだが、果たして今年はどうだろうか。湿り気を含んだ土の匂いを嗅ぎながらよく晴れた秋の一日、小さなお宝を求めて歩き回る日が待ち遠しい。

 囲いの扉を開けて、牛が自由に第4牧区とを行き来できるようにしてから5日も経ったというのに昨日、とっくに逃げ出していたと思っていた囚われの鹿がまだ中にいて、ようやく自由の身になる姿を目撃した。
 鹿は一瞬、扉の手前でひるみ、戻ろうとした。それを見て、近くに張られた電気牧柵に感応する能力があって怖れたのかと思ったが、以前に小入笠の頭で鹿が感電した様子を見ていたため、その考えを打ち消した。
 しかし、この鹿ばかりか牛も、囲いの外へ出る時は必ず警戒心を露わにする。下牧が近付き、囲いに牛を集める際にも、極端なまでに扉の前で中に入るのを嫌う牛がいるし、すんなり全頭が入るということはまずない。電気に敏感な牛がいるとも言えず、いないとも断言できないが、牛でも鹿でも中には他より少しだけエレキに敏感と言うか、神経質なのがいるのかも知れない。今は勝手に出入りできるようにしている。

 南信州から来た和牛の中には、去年も来ていた牛がいるのか、第4牧区の端の方、国有林との境に近い林の中を今年も根城にしている。昨日、その根城まで行き頭数確認を終えて帰ろうとしたら、昨年と同じように牛たちがゾロゾロと後を追ってきた。どうも牛の記憶力をあまり馬鹿にしてはいけないと、彼女らに身を以て教えられたような気がした。
 確かに、かつて入牧時に、追い上げ坂の牛を面白がって叩いたりする者がいたころは、後々まで打たれた牛は警戒を緩めなかった。ただ、こういう牛は決まって仲間を扇動して逃げ回るから始末に悪い。

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     ’22年「秋」(16)

2022年08月22日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 また第2牧区のこの斜面に出没する鹿の数が増えてきた。もう数える気にもならないが、牧区全体では5,60頭はいるだろう。牧場全体では、常時300頭くらい、いや、もっといるかも知れない。

「秋日和」と言いたくなるような天気だ。午前7時、太陽が向かいの東の山から昇り出し、その光りがこの谷間の放牧地にも届き始めた。気温は20度、それでも深みを増した空の青さ、枯れ草が目立つようになった牧草地に、移りゆく季節を間違いなく感じる。それに、いつしか鳥の声に代わって、虫の声がするようになった。
 囲いの中に1頭だけでいる和牛の声が二度三度とした。あの牛は、まるで数学者か哲学者のように、草も食べずじっと考え込んでいる姿をよく見せてくれる。実際は何も考えてなどいないのだろうが、その仲間と交らない孤高のふうが絵になる。

 先週の金曜日、久しぶりに天の川、夏の大三角を眺め、さらに望遠鏡を使って土星と木星も見た。いつもながら土星よりか、幾つかの衛星を従えた木星の方に気持ちが動いた。特にあの衛星たちが、木星を中心にして、左右に極小の光の点を放ちながら並んで見えるのがいい。
 ガリレオと同じ星々を見ていると思えば歴史を感ずるし、その光が30分から45分も前に発せられたものだと思えば、その間の膨大な距離を想像し、さらに大宇宙の「無窮の遠(おち)」にも思いが行く。
 土星は距離からすれば木星よりかもっと遠い惑星で、そのリングは蠱惑的ではあっても、虚空にたった1個だけの光りでは、表情の乏しい親しみの持てない人のように感じてしまう、のかも知れない。ここに来て、初めて土星を見た少女は「目玉だ」と言って驚いた。それも当たっている。
 この夏も、天気はよくなかった。それでもたまに薄い雲を通して夏の大三角を眺め、目が闇夜に慣れるに従い次々と別の星が見えてくるのを、誰もいない牧場の小屋の前から幾度か眺めた。
 その度に思い、味わう感慨は、一目でいいから理科室の望遠鏡で月のクレーターを眺めてみたかった小学生のころと、それほど変わってはいないだろう。
 星の狩人ことかんとさんからは、白鳥座の二重星アルビレオも勧められたが、大宇宙とアルコールの酔いに負けて、次回に譲ることにした。

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     ’22年「秋」(15)

2022年08月20日 | 法華道と北原師


 北原新道の草刈りに奮闘していれば、こういう景色を目にすることもある。炎暑の稜線上で、一陣の涼風に救わようなもの、すでにこの辺りには本物の秋が来ている。
 
 それにしても、ここのクマササの度し難いまでの繁茂には呆れかえるばかりだ。昨日買い求めた最高の切れ味と信ずる草刈り機の歯もたじたじの体(てい)で、お師匠の法華道に関連しこの山道に注いだ苦労を知らないではないが、幾箇所かのあの悪路の不安定な足場には血圧が沸騰しそうだった。
 高座岩(こうざいわ)の所有者でもある遠照寺の住職はこの道を下ってから、お師匠のしたことに感心を通り越したのだろう「正気の沙汰とは思えない」というような言葉まで残した。思い出すだに、笑える。
 もしそうであるなら、師をここまでの熱狂に追い込んだのは何だったのだろうか。高座岩は1千400年代の昔、日朝上人が七日七夜の説法をした場所であると伝えられている。当然そこに至る道があったはずだと信じた師は、一念発起してあの山道を開いたのだとか。盲滅法などと評しては何だが、ともかくそんな勢いであの斜面のクマササを刈りまくったのだろう。その姿が目に浮かぶ。
 もちろん師と比べるべくもないが、少々その病が弟子にも感染してしまったかと案じている。今年は昨年のようにはいかず、とても一度や二度の往復では済みそうもない。ついでに、何箇所か悪い山道も直すとなれば、これはcorvid-19並みの病がうつったと言ってもよいかも知れない。重症化しなければよいが。
 止まれ、少し話が大袈裟になり過ぎた。普通の人なら10分も歩けば終わる道だから、それほど大したことはない。まだ刈り残しもあるし、山道にはクマササの葉がそのままになっている。が、行きなはれ。
 盆には先祖の墓参りもできなかった。坊さんも断った。その償いになれば幸いだ、有難い。

 和牛軍団が囲いの中へ戻ってきている。ジャージーまで一緒だ。今まで残留を決めていた9頭ほどの乳牛と1頭の和牛は逆に囲いから外へ移った。何度か呻き声を聞いたから、電牧に感電したのだろう。すでに切断されたアルミ線や支柱を2度ばかり修理をさせられた。ようやく囚われの鹿も出たようだが、昨日は鹿の群れが塩鉢の傍にいて、逃げようともしなかった。今に見ていろよ。

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 本日はこの辺で、明日は沈黙します。

 
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