降る雪を眺めながら、ある冬の日に訪れた上高地でのことを思い出していた。これも、もう、遠い昔の話になる。
あの時もしんしんと雪が降っていて視界も限られ、誰もいなかったから、周囲はさながら太古の世界のような静けさに支配されていた。
テントの中では長い時間が過ぎていったはずだが、何をしていたのだろう。どうせいつものように湯を沸かし、それでウイスキーを割ってチビチビとすするように飲み、時たま外の様子を伺う以外は夜になってもそんな時間が続いたような気がする。
しかし苦痛ではなかったと思う。むしろそんな時間の中に自分を置いてみたくて出掛けていったに違いないからだ。
上高地へはもう何年も行ってない。しかし、あの時のことを思い出したり情景を目に浮かべているうちに、しみじみまた出掛けてみたいという思いが強まった。
ただ、近年は旅行業者が冬の上高地にも営業域を拡げたり、冬期小屋の営業の話も耳にするくらいだから、あの頃のような雰囲気は変わってしまったかも知れない。そう思えば、どうしても二の足を踏んでしまう。
そんなことを思いながらPCで調べた限りでは、依然として冬季営業の小屋は明神池の近くにある1件だけのようで、あそこならば知っている。記憶違いでなければ、確か10年以上前の初冬のころだったと思う、偶々訪れたら若い夫婦らしきが、丁度その冬から、だったと思うが、冬季営業を始めると言って準備をしていた。多分あの小屋のことだろう。
もう今冬は無理だが、あそこなら行って泊まってみてもいい気がする。ついでに、釜トンネル入り口近くの温泉旅館も、新しい場所に移ってからは行ってないから、帰りに是非泊まってみたいものだ。
こういうことを考えていると、つい年齢を忘れてしまう。しかし、いい歳をした老体がスキーを担いで釜トンネルを抜けようなどとすれば、「ちょっと」と声をかけられそうな気もする。が、山スキーには拘る訳がある。
やはり冬だったが、目的地の上高地まで雪が深くてツボ足では行けず、途中で一夜を明かしたことがあった。翌日、テントをそのままにして上高地まで行き遊んでいたら、若い数人がスキーで颯爽と下っていった。
それ以来、スキーで上高地へ行くことが一種の憧れになったが、入笠一途になってからはその機会が訪れないまま「光陰矢の如し」になっている。
MNさん通信ありがとうございました。歩いてくる人のことを考えると、大分迂回を余儀なくされるのは承知しています。ただし、今はあの近くに大事な水関連のバルブなどを複数設置してあり、悩ましいところです。さらに検討します。
本日はこの辺で。