陸海軍けんか列伝

日本帝国陸海軍軍人のけんか人物伝。

595.桂太郎陸軍大将(15)近衛砲兵大隊「竹橋部隊」を中心にした二百五十九名が反乱を起こした

2017年08月18日 | 桂太郎陸軍大将
 当時のプロイセン王国(ドイツ帝国)の首相は、オットー・フォン・ビスマルク(六十一歳・ゲッティンゲン大学卒・ベルリン大学卒・プロイセン連合州議会代議士・ドイツ連邦議会プロイセン全権公使・駐ロシア大使・名誉階級少佐・プロイセン王国首相<一八六二年~少将・中将~一八七二年・一八七三年~元帥騎兵上級大将~一八九〇年>・侯爵・ホーンエンツォレルン勲章・ハレ大学哲学博士・ゲッティンゲン大学法学博士・テュービンゲン大学政治学博士・ギーセン大学神学博士・イエナ大学医学博士)だった。

 プロイセン王国の参謀総長はヘルムート・カール・ベルンハルト・フォン・モルトケ陸軍元帥(七十六歳・ドイツ連邦・シュヴェリーン公国出身・デンマーク幼年士官学校・デンマーク軍少尉・プロイセン軍入隊・陸軍第八近衛歩兵連隊・プロイセン陸軍大学卒・参謀本部参謀将校・大尉・トルコ駐在・第四軍参謀・少佐・ハインリヒ王子副官・第八軍参謀・参謀本部戦史課長・第四軍参謀長・中佐・大佐・フリードリヒ皇太子副官・少将・参謀総長代理・参謀総長<一八五八年~中将~大将~元帥~一八八八年>・ドイツ帝国議会議員・プロイセン貴族院終身議員・国防員会委員長・伯爵・プール・メリット勲章・黒鷲勲章・大鉄十字章)だった。

 桂少佐は、駐在武官としてドイツに滞在中、公の席では、ビスマルクと面会したこともあったが、親しく意見を交換するような機会はなかった。

 だが、参謀総長モルトケとはよく接近して、軍政についての意見を聞くことが多かった。

 当時七十代後半だったモルトケは、孫ほども年の離れた桂少佐を信頼して、その副官に命じて、いろいろと便宜をはかった。また自ら作戦等の軍事学を教授した。

 当時、ドイツ公使館に勤務していた木屋敬三郎は、当時の桂少佐について次のように述べている。

 「桂は非常によく勉強したらしく、当時有名であったウィーンのスタインの軍事政論(モルトケの戦術論)を購入し、それを、青木周蔵と共に毎夜のように研究した」

 「また、参謀本部の近隣に下宿して、毎日、ドイツの参謀本部に行き、研究を行った。ベルリン大学でワグネルの経済学の講義をも聴いたようである」。

 帰国するまで桂はドイツで軍事研究を続けた。それが彼を軍制の第一人者たらしめたことは言うまでもなかった。

 明治十一年七月十四日、ドイツから帰国した桂太郎少佐は、参謀本部設立を建言し、自らその中に入って、その整備に当たった。

 だが、その年の八月二十三日、現在の東京都千代田区の竹橋の西詰に駐屯していた近衛砲兵大隊「竹橋部隊」を中心にした二百五十九名が反乱を起こした。山砲二門も引き出した。「竹橋事件」である。動機は西南戦争における財政の削減、論功行賞についての不満だった。

 事前に情報を得ていた、当時の陸軍卿・近衛都督・山縣有朋中将は、待機していた近衛歩兵大隊を出動させ、たちまち、鎮圧した。

 この「竹橋事件」の背後には、陸軍部内で、陸軍卿・山縣中将(四十歳)と深刻な対立が生じていた次の四将軍(階級・年齢は事件当時)との確執があった。

 熊本鎮台司令長官・谷干城(たに・たてき)少将(四十一歳・高知・戊辰戦争・大軍監・維新後陸軍大佐<三十四歳>・兵部権大丞・陸軍裁判長・少将<三十五歳>・熊本鎮台司令長官・台湾蕃地事務参謀・中将<四十一歳>・東部監軍部長・陸軍士官学校長兼戸山学校長・学習院長・子爵・農商務大臣<四十八歳>・学習院御用掛・予備役・貴族院議員・子爵・正二位・勲一等旭日桐花大綬章)。

 征討第三旅団司令長官・三浦梧楼(みうら・ごろう)少将(三十二歳・山口・戊辰戦争・陸軍大佐<二十四歳>・陸軍少将<二十五歳>・東京鎮台司令官・第三局長・広島鎮台司令官・征討第三旅団司令長官・中将<三十二歳>・西部軍艦部長・陸軍士官学校校長・大山巌陸軍卿ヨーロッパ視察団随行<三十八歳>・子爵・東京鎮台司令官<三十九歳>・熊本鎮台司令官・学習院長・宮中顧問官・予備役・駐韓国特命全権大使<四十九歳>・入獄・出獄・枢密顧問官<六十四歳>・子爵・従一位・勲一等旭日桐花大綬章)。

 参謀本部御用掛・鳥尾小弥太(とりお・こやた)中将(三十一歳・山口・戊辰戦争・陸軍少将<二十四歳>・軍務局長・第六局長・大阪鎮台司令官・参謀局御用掛・中将<二十九歳>・陸軍大輔・参謀局長・近衛都督・参議・内閣統計院長・伯爵・枢密顧問官・予備役<四十一歳>・貴族院議員・枢密顧問官・伯爵・正二位・旭日大綬章)。

 別働第四旅団司令長官・曽我祐準(そが・すけのり)少将(三十八歳・福岡・海軍参謀・陸軍大佐<二十八歳>兵学寮権頭・少将<三十歳>・陸軍士官学校校長・兼東京鎮台司令官・別働第四旅団司令長官・熊本鎮台司令長官・大阪鎮台司令官・参謀本部次長・中将<四十歳>・子爵・仙台鎮台司令官・参謀本部次長・陸軍士官学校長・明宮御養育主任・予備役・東宮大夫・宮中顧問官<四十八歳>・貴族院議員・枢密顧問官・子爵・正二位・旭日大綬章)。