■エイプリルフールも冷めやらぬ4月初頭ですが、群馬県では立て続けにとんでもないニュースが飛び交っています。一つは上毛新聞が、読売新聞を出し抜いた長嶋・松井氏国民栄誉賞のスクープ記事、もう一つは今日報道された安中市職員の急死の記事です。国民栄誉賞については別途分析することにして、今回注目したいのは、地元安中市で起きた市職員の急死に関する安中市の不可解な発表です。
↑松井田にある最終処分場の満開の桜の下で事件は起きた。但し4月6日撮影時には雨に打たれて散り始めていた。↑
この事件を取り上げた産経新聞と東京新聞の記事を見てみましょう。
**********産経新聞 4月3日(水)7時55分配信
ごみ焼却施設の所長 最終処分場で自殺か 群馬
安中市は2日、同市原市のごみ焼却処理施設「碓氷川クリーンセンター」所長(51)が急死したと発表した。自殺の可能性が高いとしている。
秘書課によると、所長は1日付で同センターの係長から所長に昇格し、同日はいつも通り仕事をしていたという。しかし、夜になっても帰宅せず、家族が市に連絡していた。
2日朝、市職員が同市松井田町の安中・松井田一般廃棄物最終処分場で所長の遺体を発見した。
**********東京新聞2013年4月3日
安中市職員 遺体で発見
署「事件性なし」
二日午前八時四十五分ごろ、安中市松井田町の安中・松井田一般廃棄物最終処分場で、同市課長職の男性職員(51)が遺体で発見された。安中署によると事件性は無いとしている。
男性は前日の晩から帰宅しないため、家族からの連絡で市職員が捜索していた。男性は一日に課長職に昇任する辞令交付を受けたばかりだった。
**********
■二つの記事から、次のことが分かります。
(1)死亡したのは51歳の安中市職員で、4月1日付で碓氷川クリーンセンターの所長に任命されたばかりだった。
(2)同所長は、辞令の交付を受けた4月1日に家に戻らず、家族が市に通報して、翌朝、始業直後に、別の市職員らが安中・松井田一般廃棄物最終処分場で遺体を発見した。
(3)安中署の検死結果では「事件性は無い」とされているらしく、自殺の可能性が高いとみられている。
(4)以上の情報については、安中市の秘書課からマスコミに発表された。
■しかし、安中市土地開発公社で、安中市政の暗部を見せつけられた安中市民にとって、市役所の秘書課の発表が全部正しいと思う人はほとんどいないでしょう。
警察では事件性は無いとしていますが、51歳の所長が死亡した事実には、それに至る過程があるはずであり、おそらく家庭の事情ではなく、職務上の何らかの事情が、同所長を死に追いやった可能性が十分考えられます。
通常、4月の異動に伴う辞令は、3月中旬には本人に内示として伝えられていたはずです。だから、自殺だとすれば、3月中旬から4月1日の辞令交付の日まで、リードタイムが存在するため、その間本人はいろいろなことを考えていたはずです。
死亡した状況については、4月2日の午前8時45分に安中市の職員が遺体を発見し、その情報はすぐに秘書課を通じて市長にも伝わるとともに、安中署に通報して、現場検証や遺体の検死等が行われたはずです。
しかし、その詳しい経緯や状況は市秘書課の発表以上のことは分かりません。
■碓氷川クリーンセンターのホームページによると、所長の遺体が発見された安中・松井田一般廃棄物最終処分場のことが掲載されています。
http://www.sunfield.ne.jp/~ameisei/
<最終処分場>
・所在地 安中市松井田町松井田字百八
・敷地面積 30084平方メートル
・浸出液処理施設 処理方式 回転円盤法+凝集沈殿法
・着工 昭和61年9月25日
・竣工 昭和62年3月15日
・埋立完了 平成15年2月28日
グーグルマップで見ると、この処分場は国道18号線の松井田バイパスの右手に見える埼玉鋳造の工場を過ぎて、バイパスの下を県道122号線が左の松井田市街から右の湯の川温泉のほうに抜けているのが見えます。その県道122号線に降りて、湯の川温泉の手前を左手に入った山間部が最終処分場であることがわかります。
なぜ、就任当日の翌日に、所長がこのような場所で、遺体の状態で発見されなければならなかったのでしょうか。疑問が膨らみます。
■18年前に安中市土地開発公社を舞台に発覚したタゴ51億円巨額詐欺横領事件でも、発覚直後、事件関係者とみられる方の自殺が複数件発生したと言われています。今回、51歳で課長に昇進し、安中市の環境行政の中核とも言える碓氷川クリーンセンターの所長に任ぜられた職員がなぜ死に追いやられたのか、大変注目されます。
碓氷川クリーンセンターでは、既に埋め終えて浸出水処理施設だけを動かしている一般廃棄物最終処分場のほかにも次の施設を運営しています。
<ごみ焼却処理施設及び粗大ごみ処理施設>
・建築面積:約3,533平方メートル(工場棟3,088平方メートル・管理棟465平方メートル)
・施設規模:ごみ焼却処理施設/准連続式焼却炉 135t/日(67.5t/24h×2炉)
粗大ごみ処理施設/併用方式 20t/5h×1基
・建物構造 鉄筋コンクリート造及び鉄骨造
・着工 平成7年6月
・竣工 平成10年3月
・総事業費 65億4565万円(※公取が談合案件と認定)
<し尿処理設備>
・建築面積 1,362平方メートル
・施設規模 高負荷脱窒素処理+高度処理 90kL/日(し尿:38kL/日、浄化槽汚泥:52kL/日)
・着工 平成元年8月
・竣工 平成4年3月
・総事業費 14億6414万円
<碓氷川熱帯植物園>
・建築面積 981平方メートル
・建物構造 鉄骨・鉄筋コンクリート造平屋建
・総事業費 3億891万円
・着工 平成14年7月10日
・竣工 平成15年5月30日
■ゴミ焼却施設については、以前所長をしていた職員が、設置当時の計画評価や、入札手続に携わっていたことがあり、当会が談合を指摘したにもかかわらず、絶対にそのようなことはない、と強調していましたが、結局、タクマが裁判で談合を認めて、安中市に和解金として昨年6月に2億7000万円を払いました。
また、碓氷川クリーンセンターでは、このゴミ焼却施設から出た焼却灰や飛灰、不燃物を毎月約260トン、1トン当たり税抜き1万7500円で、市内の岩野谷地区にあるサイボウ環境㈱の管理型一般廃棄物最終処分場に搬入して埋め立てています。
■タクマのゴミ焼却施設は平成10年4月から稼働しており、ちょうど15年を経過しています。そのため、そろそろ更新の計画が浮上しつつあります。15年前にバッチ式の焼却炉からストーカ式に更新した際には、談合に明けくれていたタクマなどの業者はもとより、安中市長ら幹部、地元の政治家、そしてそれらを選挙で支援する地元業者などがさまざまな形で利権をあさった挙句、談合でコストがベラボーに上がりました。もしかしたら、今回もそうした利権をめぐる軋轢が背景にあるのかもしれません。
もう少しこの事件を掘り下げる必要がありそうです。
【ひらく会情報部】
↑松井田にある最終処分場の満開の桜の下で事件は起きた。但し4月6日撮影時には雨に打たれて散り始めていた。↑
この事件を取り上げた産経新聞と東京新聞の記事を見てみましょう。
**********産経新聞 4月3日(水)7時55分配信
ごみ焼却施設の所長 最終処分場で自殺か 群馬
安中市は2日、同市原市のごみ焼却処理施設「碓氷川クリーンセンター」所長(51)が急死したと発表した。自殺の可能性が高いとしている。
秘書課によると、所長は1日付で同センターの係長から所長に昇格し、同日はいつも通り仕事をしていたという。しかし、夜になっても帰宅せず、家族が市に連絡していた。
2日朝、市職員が同市松井田町の安中・松井田一般廃棄物最終処分場で所長の遺体を発見した。
**********東京新聞2013年4月3日
安中市職員 遺体で発見
署「事件性なし」
二日午前八時四十五分ごろ、安中市松井田町の安中・松井田一般廃棄物最終処分場で、同市課長職の男性職員(51)が遺体で発見された。安中署によると事件性は無いとしている。
男性は前日の晩から帰宅しないため、家族からの連絡で市職員が捜索していた。男性は一日に課長職に昇任する辞令交付を受けたばかりだった。
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■二つの記事から、次のことが分かります。
(1)死亡したのは51歳の安中市職員で、4月1日付で碓氷川クリーンセンターの所長に任命されたばかりだった。
(2)同所長は、辞令の交付を受けた4月1日に家に戻らず、家族が市に通報して、翌朝、始業直後に、別の市職員らが安中・松井田一般廃棄物最終処分場で遺体を発見した。
(3)安中署の検死結果では「事件性は無い」とされているらしく、自殺の可能性が高いとみられている。
(4)以上の情報については、安中市の秘書課からマスコミに発表された。
■しかし、安中市土地開発公社で、安中市政の暗部を見せつけられた安中市民にとって、市役所の秘書課の発表が全部正しいと思う人はほとんどいないでしょう。
警察では事件性は無いとしていますが、51歳の所長が死亡した事実には、それに至る過程があるはずであり、おそらく家庭の事情ではなく、職務上の何らかの事情が、同所長を死に追いやった可能性が十分考えられます。
通常、4月の異動に伴う辞令は、3月中旬には本人に内示として伝えられていたはずです。だから、自殺だとすれば、3月中旬から4月1日の辞令交付の日まで、リードタイムが存在するため、その間本人はいろいろなことを考えていたはずです。
死亡した状況については、4月2日の午前8時45分に安中市の職員が遺体を発見し、その情報はすぐに秘書課を通じて市長にも伝わるとともに、安中署に通報して、現場検証や遺体の検死等が行われたはずです。
しかし、その詳しい経緯や状況は市秘書課の発表以上のことは分かりません。
■碓氷川クリーンセンターのホームページによると、所長の遺体が発見された安中・松井田一般廃棄物最終処分場のことが掲載されています。
http://www.sunfield.ne.jp/~ameisei/
<最終処分場>
・所在地 安中市松井田町松井田字百八
・敷地面積 30084平方メートル
・浸出液処理施設 処理方式 回転円盤法+凝集沈殿法
・着工 昭和61年9月25日
・竣工 昭和62年3月15日
・埋立完了 平成15年2月28日
グーグルマップで見ると、この処分場は国道18号線の松井田バイパスの右手に見える埼玉鋳造の工場を過ぎて、バイパスの下を県道122号線が左の松井田市街から右の湯の川温泉のほうに抜けているのが見えます。その県道122号線に降りて、湯の川温泉の手前を左手に入った山間部が最終処分場であることがわかります。
なぜ、就任当日の翌日に、所長がこのような場所で、遺体の状態で発見されなければならなかったのでしょうか。疑問が膨らみます。
■18年前に安中市土地開発公社を舞台に発覚したタゴ51億円巨額詐欺横領事件でも、発覚直後、事件関係者とみられる方の自殺が複数件発生したと言われています。今回、51歳で課長に昇進し、安中市の環境行政の中核とも言える碓氷川クリーンセンターの所長に任ぜられた職員がなぜ死に追いやられたのか、大変注目されます。
碓氷川クリーンセンターでは、既に埋め終えて浸出水処理施設だけを動かしている一般廃棄物最終処分場のほかにも次の施設を運営しています。
<ごみ焼却処理施設及び粗大ごみ処理施設>
・建築面積:約3,533平方メートル(工場棟3,088平方メートル・管理棟465平方メートル)
・施設規模:ごみ焼却処理施設/准連続式焼却炉 135t/日(67.5t/24h×2炉)
粗大ごみ処理施設/併用方式 20t/5h×1基
・建物構造 鉄筋コンクリート造及び鉄骨造
・着工 平成7年6月
・竣工 平成10年3月
・総事業費 65億4565万円(※公取が談合案件と認定)
<し尿処理設備>
・建築面積 1,362平方メートル
・施設規模 高負荷脱窒素処理+高度処理 90kL/日(し尿:38kL/日、浄化槽汚泥:52kL/日)
・着工 平成元年8月
・竣工 平成4年3月
・総事業費 14億6414万円
<碓氷川熱帯植物園>
・建築面積 981平方メートル
・建物構造 鉄骨・鉄筋コンクリート造平屋建
・総事業費 3億891万円
・着工 平成14年7月10日
・竣工 平成15年5月30日
■ゴミ焼却施設については、以前所長をしていた職員が、設置当時の計画評価や、入札手続に携わっていたことがあり、当会が談合を指摘したにもかかわらず、絶対にそのようなことはない、と強調していましたが、結局、タクマが裁判で談合を認めて、安中市に和解金として昨年6月に2億7000万円を払いました。
また、碓氷川クリーンセンターでは、このゴミ焼却施設から出た焼却灰や飛灰、不燃物を毎月約260トン、1トン当たり税抜き1万7500円で、市内の岩野谷地区にあるサイボウ環境㈱の管理型一般廃棄物最終処分場に搬入して埋め立てています。
■タクマのゴミ焼却施設は平成10年4月から稼働しており、ちょうど15年を経過しています。そのため、そろそろ更新の計画が浮上しつつあります。15年前にバッチ式の焼却炉からストーカ式に更新した際には、談合に明けくれていたタクマなどの業者はもとより、安中市長ら幹部、地元の政治家、そしてそれらを選挙で支援する地元業者などがさまざまな形で利権をあさった挙句、談合でコストがベラボーに上がりました。もしかしたら、今回もそうした利権をめぐる軋轢が背景にあるのかもしれません。
もう少しこの事件を掘り下げる必要がありそうです。
【ひらく会情報部】