市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

お粗末な安中市道路行政になりかわり、春の嵐の合間に行われた平成25年春の道普請

2013-04-08 22:41:00 | 困ったちゃん岡田義弘・元市政
■ことしも恒例の春の道普請が安中市内各所で行なわれました。東邦亜鉛安中製錬所の南側の丘陵地帯の上に位置する北野殿(=岩野谷第4区)でも、午前8時から住民総出で、地区内を走る市道の清掃管理作業が実施されました。当日は未明まで大雨が降り、朝のうちは断続的に雨が残る空模様でしたが、次第に晴れ間がのぞき、路面から立ち上る湿気で蒸し暑い環境の中、住民らは道普請に精を出したのでした。

さながら本格的土木工事。

 筆者は、事前の割り振りにしたがって、今回から東邦亜鉛安中製錬所の敷地周辺をとりまく農免道路のうち、北野殿の東京ガスのバルブステーションから西岩井に下る部分を担当しました。草カキを肩に、剪定ばさみと鋸を腰に下げて家を出ました。

このあたりはまだ楽だった。

 最初は、道の両側が畑で、道端のアスファルトと側溝の隙間に生えた雑草を削っていきましたが、山林部にさしかかると、道路の両脇に大量の落ち葉がたまり始めました。道路端の白線が見えるまで、落ち葉や泥を除去するように努めました。

山林部に差しかかる。

 ところが、下り坂で、山側の検地ブロックの石垣に面した側溝には蓋がしておらず、途中で道路を横切って、道の反対側に排水するための枡(ます)の部分に大量の落ち葉が詰まっており、その状態が側溝のかなり長い距離続いていました。

そもそも蓋がないのが問題。あきらかに設計ミスあるいは手抜き工事か。

側溝の落ち葉の凄まじい堆積状況。

いくらとっても埒が明かない。

↑側溝の終端部の枡付近の様子。

 人海戦術では埒が明かないため、家からトラクターを持ち出して、軽トラック数台分の落ち葉を撤去することを余儀なくされました。ここでは、道具として熊手、フォーク、ほうき、箕(み)が必需品です。


■心無いドライバーが窓から捨てて行く空き缶、弁当ガラ、包装紙、紙おむつ等や、大きなものでは壊れたブラウン管テレビ、灯油ストーブ、家具、古タイヤなどが道路わきの山林に散乱していましたが、藪が深く、とても除去に手が回らず、道路に近い場所しか回収することができませんでした。

道路わきに堆積した落ち葉の放射線量0.15μSvh。原発事故から2年経過してもまだ高い。

道普請では誘導係や作業のため注意を喚起する三角コーンもない。

道路わきに散乱する夥しいゴミ。

不法投棄の現場がいたるところに。

昨晩の大雨でこうして土砂と落ち葉が路上のに堆積。土砂は冬場に撒いた滑り止めの砂が由来と見られる。

この辺りは本来は3区(西岩井)の所掌だが、交通に支障がないように堆積した土砂と落ち葉を除去。

 約2時間余り作業をした後解散しましたが、本来このような作業は道路管理者である安中市が納税者が納めた税金を使って実施すべきものであり、道路管理者ではない納税者であり沿線住民が、交通事故の危険や作業中のケガのリスクを犯してまで、道路の維持管理作業をする必要はなく、安中市もこのことは裁判で主張しました。

■そもそも、道路管理者でもない者が道路の維持管理を行う場合には、道路管理者の許可を得なければなりません。しかし、安中市では道普請について、正式な許可を出した形跡がありません。安中市が平成14年にサイボウ環境の廃棄物処分場へのゴミ搬入道路工事に許可を出した時、道路承認前に安中市が勝手に業者の私道工事を承認したり、境界確定書で30年前に無くなった地権者を立会わせたりしたのは違法な手続だとして、沿線住民が平成15年に道路工事承認の無効確認の訴訟を起こしました。

 ところが、道普請等で生活道路としての市道には利害関係があると法廷で主張する原告の沿線住民に対して、安中市は、道普請等は、あくまで住民が勝手にやるものだから、住民には生活道路について問題が起きても訴訟する資格がない、と主張して、最高裁もその判断を支持しました。

 大半の地元住民は、そうした安中市の独善的な法廷での主張は安中市から教えてもらっていませんから、毎年春と秋の2回ずつ、律儀に市道の道普請をおこなってきました。そこで、道普請の意義を道路管理者が認識しない場合、昔からの美徳習慣が無くなってしまうことを懸念した当会は、安中市に対して、早急に道普請に対する位置付けを住民にきちんと教示するよう粘り強く働きかけてきました。

■この件に関して安中市は、安中市総合計画のパブコメへの回答として、「道路里親制度は、道路管理者と合意書を取り交わすことにより、道路の一定区画が住民や企業によって愛情と責任を持って清掃美化されることから『アダプト(養子にする)』に例えられ、『アダプト・プログラム』と呼ばれています。ボランティア活動に意欲を持つ住民や企業にまちづくりに参加してもらい、美しい生活環境や快適な空間をつくる新しいシステムです。2011年度末現在で、実施自治体数369自治体、参加団体数約26,000団体、活動者数約140万人が参加しております。」などと美辞麗句を並べています。

 ボランティアなどという外来語がはびこる遥か昔から、我々日本人は「ゆい」と呼ばれる共同奉仕活動に親しんでいました。にもかかわらず、道路法で道路管理者となっている安中市は、廃棄物処分場にゴミを搬入するための道路を業者に作らせ、生活道路として長年にわたり道普請を通じて自主的に維持管理してきた沿線住民の役割と実績を踏みにじったのです。

 安中市が今後、市内の全地区の区長や企業との間で「道路里親制度」の同意書を本気で取り交わすのかどうかわかりませんが、おそらく口先だけでしょう。

 安中市はこの道路里親制度について「美しい生活環境や快適な空間をつくる新しいシステムです」と自画自賛しています。道普請という昔からの美的習慣があるのに、いまさらこうしたキャンペーンを出すのは、サイボウ環境の廃棄物処分場で「道普請」の意義に泥を塗ったことを糊塗するための“目くらまし”ではないか、と当会は見ています。






道普請を終えたあとの市道の様子。

【ひらく会情報部】

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