市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

東邦亜鉛安中製錬所における第22回工場視察会の参加報告

2013-04-09 23:46:00 | 東邦亜鉛カドミウム公害問題
■今年も、恒例の東邦亜鉛安中製錬所の視察会が4月6日(土)午前9時半から11時半まで実施されたので、当会も実に久しぶりに参加しました。


 出席者は次のとおりです。

<会社側:東邦亜鉛>敬称略。左側から着席順。
本社環境管理部長   富澤芳幸
顧問弁護士      眞田淡史
本社総務本部副本部長 野口純
本社総務本部本部長  鈴木茂実
安中製錬所長     沼崎孝則
安中製錬所副所長   秋山武郎
安中製錬所環境室長  津金幸男
安中製錬所事務係   吉澤勇夫


<地元住民側:緑の大地を守る会ほか>
副会長2名、会員ら、弁護団4名、県議1名、市議2名ら総勢約20名。(藤巻千浪会長は直前に怪我をして急遽欠席となった)

■当会は、午前9時に東邦亜鉛安中製錬所の事務棟に行き、1階の中会議室で、緑の大地を守る会の会員らと一緒に待機していたところ、9時20分を過ぎて、会社側から会場の準備ができたと言うことで、2階にある大会議室に移動しました。そして、9時30分から視察会の行事が始まったのでした。

吉澤司会:それでは皆さん、あらためましておはようございます。

一同:おはようございます。

吉澤司会:事務部を担当しております、吉澤と申します。本日の工場視察会の司会進行役を努めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。それではまず会社側の出席メンバーの紹介をさせていただきたいと思います。まず本社から、総務本部長の鈴木常務取締役執行役員でございます。

鈴木本部長:鈴木です。どうぞよろしくお願いいたします。

司会:隣が総務本部副本部長の野口取締役でございます。

野口取締役:野口でございます。よろしくお願いします。

司会:そして当社の顧問弁護士であります眞田弁護士でございます。

眞田弁護士:よろしくお願いします。ああ。

司会:続きまして本社環境管理部の富澤部長でございます。

富澤部長:富澤でございます。よろしくお願いいたします。

司会:次に安中製錬所のメンバーでございますが、所を代表します沼崎常務執行役員所長でございます。

沼崎所長:沼崎です。よろしくお願いいたします。

司会:続いて技術の責任者であります秋山執行役員副所長でございます。

秋山副所長:秋山でございます、よろしくお願いします。

司会:次に環境管理室長の津金室長でございます。

津金室長:津金です。よろしくお願いします。

司会:それと所の事務部を担当しております私、吉澤の、8名の会社側メンバーということで、今日の視察会の対応をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。では、続きまして、朝の代表挨拶を頂戴したいと思いますけども、藤巻会長がお怪我されたということで、藤巻副会長に朝のご挨拶をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

藤巻副会長:皆さん、おはようございます。

一同:おはようございます。

藤巻副会長:朝早くから、大勢のところ参加いただきました。ありがとうございます。また、会社のほうでもですね。会場を設定していただきまして、また今日は、よりよい視察会になる、というふうに希望しております。まあ、今年は、暑い日、寒い日がこう繰り返しておりまして、体調を維持するのが大変な状況でございましたが、今、桜がちょうど満開になっておりまして、今日明日と全国的に天気が荒れそうだというふうに予報も出ておりまして。これが明日だったら、かなり(桜が)散ってしまうのかなと思っておりましたけれども、そのようなちょうどよい日でもあります。ひとつ、今日はですね。また会社の中を見せていただきますが、その際に、我々素人でございますから、素人でもわかるように説明していただければと思います。また、素人ですから、つまらない質問が出るかもしれませんけれども、それに対してもですね、分かりやすく説明していただけたらなあ、と思っております。今日の視察会が、成功することを念じております。以上で挨拶とさせて頂きます。(拍手)

司会:藤巻会長、ありがとうございました。それでは続いてですね、会社を代表しまして、所長沼崎よりご挨拶を申し上げます。

沼崎所長:えー、あらためまして、おはようごさいます

一同:おはようございます。

沼崎所長:えー、日ごろ皆様方には大変お世話になっております。この場を借りまして厚く御礼申し上げます。ちょうど昨年、21回の視察会が4月の7日に行われました。従いまして、ちょうど今日で1年ということです。この1年を振り返って見ますと、会社としましては、環境、安全、操業。全ての面で、特に問題なく推移してまいりました。特に昨年はですね、電気代の大幅な値上げ。これに対応するために、夏場に2ヶ月、操業を停止しました。9月に操業再開したんですけども、スムーズに、垂直の立ち上げをすることができました。私どもも4月1日からですね、新年度、25年度が始まったわけです。えー、この電気代の問題。これは引続き、私どもの大きな壁として、のしかかっているわけですが、なんとしてもこれを乗り越えていこうと、従業員一同心をあらたにしたところであります。ひとつ、今年1年、また、皆様などのご指導ご支援をいただきながら、操業を続けて行きたいと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。

司会:続きまして、当月の視察コースの説明、それから日程等の説明につきまして、環境管理室の津金より説明さしていただきます。

津金室長:津金でございます。よろしくお願いいたします。これから視察会に入っていだきますが、先ほど藤巻さんからお話がありましたように、天候の悪化を非常に心配しております。今のところ何とか持ちそうだなあ、ということなので、昨年の同様のコースの視察になりますので、よろしくお願いいたします。まず安中製錬所のメーンの製品であります、亜鉛の製造工程、ならびに公害防止設備を中心にご案内させていただきますので、よろしくお願いいたします。今年も、マイクロバス2台をご用意してございます。まあ、健脚コースの1班は、視察ごとの場所ごとにバスから降りましてのご案内となりますので、ヘルメットの着用をよろしくお願いをいたします、担当は中島がさしていただきます。あとは一般コースの2班でありますが、バスの中からの視察なので、バスの乗り降りはしませんので、乗り降りがちょっと辛くなられるかたの乗車をお勧めいたします。案内は青山がさしていただきます。ほんとに若干注意事項としまして、場内の写真撮影は申し訳ありませんが、ご遠慮をよろしくお願いいたします。ではこれから視察会に入りますが、その前に全員で今日一応桜が満開になっておりまして、下に降りまして、桜をバックに記念撮影をさしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。じゃああの誘導のほうをよろしくお願いいたします。

司会:では只今より、これから出発いたしますけども、今ご案内がありましたとおり、玄関先の桜をバックに写真を取りたいと思います。あの、トイレ等済ましてですね、玄関先にご移動をお願いしたいと思います。

■このあと、全員が事務棟の1階に下りて玄関の外に出て、庭のサクラの木をバックに記念撮影を撮りました。

 東邦亜鉛側から示された工場視察会・視察コースと時間割は「健脚コース」と銘打った第1班では次のとおりでした。

9時40分、事務棟前を出発
9時50分、最終処分場
9時55分、排煙脱硫装置
10時5分、焙焼炉
10時15分、新電解工場
10時25分、8号バグフィルター
10時30分、第二鋳造工場
10時40分、浄水展望台
10時50分、硫酸工場
11時00分、事務棟前に帰着

 一方、楽々コースの第2班は次の時間割で視察しました。
9時50分、事務棟前を出発
9時55分、硫酸工場
10時5分、最終処分場
10時15分、新電解工場
10時20分、8号バグフィルター
10時30分、第二鋳造工場
10時40分、事務棟前に帰着、休憩

視察会用に会社側が仕立てた2台のマイクロバス。

■全員による記念写真の撮影後、さっそく東邦亜鉛側から当会に対して「視察中は質問はしないように」と釘をさされました。途端に憮然たる気持ちにさせられつつも、9時45分ごろ、1号車に乗車して出発しました。視察会の案内担当は、環境管理室の中島氏。同氏の説明によると「当初、ロータリーキルンを視察コースに入れていたが、本日は定期修理と重なったので視察できなくなり、代わりに排ガス処理工程を視察することになった」とのこと。

 第1班のメンバーを乗せたマイクロバスは、工場の正門に入り、まず始めに安中製錬所の一番上に向かい、それから順次下に下るという順序で視察することになりました。順番としては、最終処分場→排ガス脱硫装置→焙焼炉→新電解工場→8号バグフィルター→第二鋳造工場→浄水の展望台(いわゆる排水処理工程)→硫酸工場ということになります。

 安中製錬所では、主に、亜鉛、鉛の地金の生産をしており、その他、電子部品の材料や粉末冶金の部品を作っています。関連した製品としては、亜鉛華、亜鉛合金地金、酸化亜鉛、粉末冶金による焼結部品があります。亜鉛は年間約12万トン、月に1万トンを生産しており、国内生産量の約2割強をこの安中製錬所で製造しています。生産した亜鉛は約6割が自動車等に使われる自動車用鋼板のメッキに使われています。

 途中、ロータリーキルンの付近を上ってゆく際、道路わきに山積みされたスラグから白い煙が立ち上っていました。定期修理のため停止したばかりのロータリーキルンから出たスラグがまだ熱を持っていて蒸気を発生している様子がうかがえます。定期修理は高温に晒される耐火レンガの補修だと思われます。

■まもなく、9時52分ごろ、安中製錬所の一番上にある最終処分場に到着しました。中島氏の説明によれば、「安定型という処分場の種別だが、敢えて底部に遮水シートを張ってあり、浸透水は回収して排水処理工程で処理をするという構造。埋立面積が2083㎡、埋立容積が1万2747㎥となっており、見ての通り大きさとしては非常に小規模ということができる」とのことでした。バスからは降ろしてもらえず、車内からの説明だけでしたが、処分場を窓越しで見ていた車内の参加者らから「あんなにパッチがあたっていて、大丈夫だろうか」「動物が破くのかな」という声が発せられました。

東邦亜鉛サンパイ処分場標識。


東邦亜鉛サンパイ場。

 筆者が「廃棄物処理施設を示す看板を見せてほしい」というと、マイクロバスがUターンをする際に看板の前を通ったので車窓から確認できました。「石綿含有物質」という文字の上に、白い絆創膏のようなテープが貼ってありました。とりあえずアスベストを含む物質は廃棄物質の中には含まないという意思表示のようです。

■最終処分場を後にして、下り始めたところで、9時55分に精鉱鉱舎前でいったん停止しました。会社側の説明によれば、原料は海外から全量輸入されており、この鉱舎は、亜鉛製造の原料である亜鉛精鉱をストックするための倉庫で、面積1750㎡で、約1万トンの亜鉛精鉱をここに保管できるということです。

 この次に視察する培焼炉に、この倉庫からコンベアで精鉱を運搬することが出来るようになっています。なお、亜鉛精鉱には、亜鉛約50%、硫黄約30%、鉄が約10%の組成で含まれています。

 移動する際に、車内からは、道路わきに穴が開いているのを見えたので「イノシシが出るのかな」などという声が上がっていました。

■9時56分に排煙脱硫装置の前でバスを降りて見学しました。亜鉛の製錬工程で発生するスラッジをロータリーキルンに投入して、スラッジに含まれる亜鉛など重金属を高温で蒸発させますが、それらを含む排煙をガスクーラーで冷却し、その後バグフィルターで粗酸化亜鉛を回収し、そのガスがこの排煙脱硫工程に送られてきます。

 この工程ではダストの除塵をしたあと、ガスに含有されている亜硫酸ガスを「亜鉛のTCA」、「苛性ソーダのTCA」、「水のTCA」の3段階で脱硫、水洗をして、水色の排気塔から処理後のガスを大気中に放出しています。排ガス中の硫黄酸化物の測定には、赤外線分析計が使用されていて、それは水TCAの出口に設置されているそうです。硫黄酸化物の濃度測定を常時行っていて管理していて、煤塵の測定は2ヶ月に一度定期的に測定しているとの会社側の説明でした。なお、TCAというのはTurbulent Contact Absorber(乱流式接触吸収器)の頭文字をTCAと略称したものです。

 この工程について、中島氏の説明では、まず「亜鉛のTCA」では、ロータリーキルンで発生したガスに含まれる粗酸化亜鉛をバグフィルターで回収したものを水で乳化して、それを吸収剤としてTCAの上部からシャワー上に降らせており、一方、排ガスは塔の下から入れて、上から降ってくるシャワー状の液体と接触させて亜硫酸ガスを吸収させているとのことです。

 次に「苛性ソーダのTCA」は、東側に見える塔において、ここでは苛性ソーダの溶液を吸収剤としてTCAの上部から同様にシャワー状に降らせて、下から送り込まれるガスと接触させて亜硫酸ガスの除去、すなわち脱硫をするものです。

 その西隣にある塔は「水のTCA」です。ここでは亜鉛TCA、苛性ソーダのTCAで脱硫してから、さらにこの水TCAでさらに洗浄してから、その南隣りにある高さ35mの水色の主排気塔から排ガスを排出しています。

 これらのTCAの塔の中には、ちょうどピンポン玉のようなボール状のものが多数入っていて、これにより上から流し込む溶液が一度に落ちずに、シャワー状になって落ちるのと、下側から入ってくるガスにより、この軽いボールが細かく動きため、気体と液体の接触が効率よく行われて亜硫酸ガスが吸収されるという原理なのだそうです。

 このとき、ピンポン玉のような形状と概観のボールの様子をカメラ収めようとしたら、会社側から「カメラは遠慮してくれ」と言われました。「建物内部ではなく、外部ではかまわないのでは」と抗議をしたところ「屋内だけでなく、工場内全部が撮影禁止」なのだそうです。秘密主義を好む東邦亜鉛らしい指導だと感じました。通常は、「ここはとってもいいか」と主催者に聞いたうえで、OKが出ればそのアングルを確認してもらい、「撮影可能」となるのが常識です。ロシアを訪れた際、国防施設内でも、その方法で撮影許可を得ました。ましてや、今回の公害防止装置では、どのような原理やプロセスで有害物の除去を行っているのか、聴取とメモだけでは記憶が困難だからです。

■続いて、10時5分に、培焼炉に到着しました。ここでは、模式図が掲示してあったので、これも撮影許可を求めましたが、許可はもらえませんでした。松井田出身の金井議員のブログでは、これまで毎回施設内部の写真が掲載されていますが、一般の住民に対しては東邦亜鉛は別の対応をするようです。

 直径9.15m、高さ7.9mのこの炉では、亜鉛の原料となる精鉱を投入するとともに、下から空気を吹き込むと、投入された精鉱が流動状態となります。ここに熱を加えると、精鉱に含まれる硫黄が着火して燃え始めます。この燃焼により、精鉱の成分である硫化亜鉛が酸化亜鉛に変化します。

 もともと亜鉛と一緒にくっついていた硫黄も、この過程で酸化されて亜硫酸ガスとなります。これをダストで導き、廃熱ボイラーで熱改修をしてから硫酸工場に送り、硫酸の原料としています。培焼炉の燃焼温度は約930~940度。もともと硫黄が付いているので、硫黄が酸素と化合することで、最初に点火させてやれば、その後は自己燃焼を続けるため、外部からの燃料供給は不要となります。

 その後、培焼炉の脇にある、培焼炉の運転を管理する電気室(制御室のこと)に案内されました。畳8畳ほどの室内にはパネルがビッシリ壁にならび、中央の机にもパソコンや表示盤を載せた机がおいてありました。2名の係員が計器の並ぶパネルを注視しながら培焼炉やその関連装置をここで24時間監視しています。

 ここでは培焼炉への給鉱量や炉内状況、廃熱ボイラー等の管理をしています。入口から一番奥のパネル盤が給鉱コントロール盤で、視察時には「10.64」の数字が表示されていました。これは毎時の精鉱量の投入量(トン/時)を示しています。その手前が培焼炉自体を制御している盤で、視察時の炉の温度が「932」度Cをしめしていました。その脇にある大きな温度計のような表示盤は、培焼炉内で有害な亜硫酸ガスが発生するため、常に負圧をかけなければなりませんが(かつては密閉型の培焼炉ではなかったため、大気中に有害な亜硫酸ガスが大量に放出され、桑などの植物や人体に悪影響を及ぼし、養蚕の終了悪化やぜんそく患者の増加を引き起こしました)、その負圧のレベルを示しています。

 電気室の一番手前には廃熱ボイラーのコントロール盤があり、このボイラーから発生する蒸気の発生量が1時間あたり6トン余りと3トンであることを表示しています。トータルで毎時9トン余りの蒸気を廃熱ボイラーで生み出しています。

 その後、培焼炉の前に戻り、タラップを降りて、マイクロバスに再び乗車しました。培焼炉の周りでは、終始、キーンという高周波の音がしていますが、どうやら負圧を発生させるための蒸気イジェクターから発生する音のようです。作業者は耳栓をする必要があると思われます。

■そのあと参加者と工場関係者ら10数名を乗せたマイクロバスはさらに坂道を下って、10時17分に新電解工場に到着しました。建物の東端にある階段を上って建屋の中に入り、電解槽の上面に出ました。広々とした天井の高い奥行きの深い空間に、2系列の電極板を詰め込んだ電解槽が、床にびっしりと並んでいました。以前の電解工場ではツンと鼻をつく硫酸特有の臭いが立ち込めていましたが、ブラジルから輸入したという大きなファンが天井の中央部に取り付けてあり、発生した硫酸ミスとを吸引しているためか、臭いはさほど感じませんでした。しかし、新電解工場に近い北野殿の東の畑で作業をしていると、吸気ファンの唸りは相当気になる音です。

 この新電解工場は、会社側の説明によると、平成23年9月に稼動開始した最新鋭の工場で、亜鉛溶解液を電気分解して金属を回収し、まず電解液を中央のパイプを通じて左右の電解槽に供給します。この電解槽には直流の電気を供給しており、白っぽく見えるのがアルミの陰極板です。この陰極板の間に見える黒っぽい板が鉛製の陽極板です。この電極の間に電気を印加するとアルミ製の陰極板に亜鉛金属が析出します。

 陰極板上に析出した亜鉛は、陰極板とともに新電解工場東端にある自動剥離機にかけてアルミの極板に付いた亜鉛金属を剥ぎ取り、電気亜鉛を回収します。この結果、電解槽に入っている電解液中の亜鉛濃度が下がるので、その電解液は再び製錬工程に戻して、造液工程というところで、さきほど視察した培焼炉でつくった焼鉱をこの電解液の中に溶かし込んで、本来の亜鉛濃度に戻して、再度、電解工程に導き、循環させています。

 この新電解工場の特長は、上部に設置して稼動させている大型換気装置で、これにより作業環境の改善が図られました。以前の第2電解工場からすると、電解槽がかなり大型化しています。これにより電解槽の数を減らして、効率をアップしているのだそうです。それと、作業に必要な機器の自動化を図り、省力化として作業者の人数を減らしています。

 剥ぎ取ったカソード亜鉛は自動搬送機でこの後で視察する鋳造工場に運へるようにしてあるのも特長だということです。ここに設置してある電解層の数は、片側ラインが72槽で、両側で144槽です。極板の数は全部合せると1万5000~1万6000枚に上るということです。階段を下りたところにアルミ陰極板と、鉛製の陽極板、そして、亜鉛が析出したアルミ陰極板の3つが展示してあります。析出した亜鉛は、ナイフ状のウェッジ(くさび)を横から入れると簡単にパラッと剥がせるそうです。アルミ製の陰極板の表面は鏡のようにピカピカに磨いてあります。表面に傷が付くと析出の効率が低下し、無駄な電力消費となるため、常に表面の平滑度を維持することが電力節約の観点からも重要なのだそうです。

 電解工場の内部は電極の集合体のようなもので、特有のノイズが結構うるさく、近くに寄らないと説明者の声がよく聞き取れない状況です。ここでも長時間現場で作業する場合には耳栓の着用が必要だと思われますが、自動化でほとんど制御室で計器の監視をしているとして会社側では「必要ない」と言うのかもしれません。

 通電時間は24時間及び48時間の2方法がとられているようですが、工場全体の電力使用量等を勘案しながら選択しているものと想定されます。すなわち電力さえ投入すれば生産量は2倍まで拡大することができるわけです。現在、東邦亜鉛では年産12万トンとしていますが、昨年はこれを電気代の値上げと在庫調整で夏場の2ヶ月を除く10ヶ月で達成していることから、工場の潜在的な生産能力としては、どこまで増産が可能なのか計り知れません。

■新電解工場から再びマイクロバスにのり、直ぐに第二鋳造工場の東側の屋外に設置されている8号バグフィルターのところに着きました。時間は10時28分です。ここには4基の亜鉛溶解炉があり、約500度で熔かし鋳型に入れてインゴットを作りますが、それぞれの溶解・鋳造工程で発生する亜鉛酸化物のヒュームなどを環境吸引して、バグフィルター4基で収集しています。1992年4月12日の第1回視察会に参加した当時はバグフィルターは3基でしたので、生産能力は1.33倍になった勘定です。

 バグフィルターの材質は、第1回視察会当時質問したところゴアテックスという商標の防水透湿性素材を使っているとのことでしたが、可燃性のためおそらく現在は別の素材を使用していると思われます。これで環境吸引した気体に含まれる細かい粒子を濾し取りますが、バグフィルターの濾布に穴が開いた場合の自動検知装置(スモーク・デテクター)は、22年前と同じ原理です。ここで警報が出るとバグフィルターの運転を止めて、破損したエレメントを特定して交換します。

■そこから直ぐ目の前の第二鋳造工場に徒歩で向かいました。

 最初は主に自動車用亜鉛メッキ鋼板製造用の調合亜鉛を作るためのエリアです。ここで、各製鉄会社ごと、あるいは製品用途毎に微妙に異なる調合レシピに基づいて、調合亜鉛を製造しています。第1回視察会当時は重油焚きでしたが、現在でもそうなのかは聞きそびれました。

 その隣のエリアでは電気亜鉛を作っています。見た目は調合亜鉛と似ていますが、20キロ単位での板状の製品を鋳造しています。ここには、新電解工場で剥ぎ取った亜鉛金属を低周波誘導炉に自動搬送で投入し、熔けた亜鉛を金型に入れて冷却し、号濾されてから金型から取り出し、製品として出荷します。こちらのほうは、製品が20キロ単位ということもあって、作業ロボットによる自動化が進んでいます。できあがった20キロ亜鉛板は50個集めて合計1トンごとの束にしてトラックに積んで出荷されます。

 参加者からは、「前(に見た時)はドロドロしたの(熔けた亜鉛)が見えたが、それが見えなくなってそんなに怖くなくなった」「服に穴が開いているので聞いたら、熔けた亜鉛の火の粉のせいだといっていた」「(ここで作業をしていた)うちの近所のひとは怪我(=やけど)をしたことがある」という声がありました。

 この言葉の通り、2002年7月18日午後4時15分ごろ亜鉛の溶解工程で爆発事故があり、530度に解けた亜鉛が周囲半径4mにわたって飛び散り、重傷3名、軽傷2名が出たと会社が発表したが、重傷者のうち重体が2名で翌日死亡者も出たという情報がありました。

■10時39分に排水処理設備に到着しました。一同、タラップを上り、排水処理工程が見渡せる展望台に出ました。

 ここでは製錬所の中で発生した排水が、まず集水池に集められ、これを中和槽で苛性ソーダを入れてpH10~11程度のアルカリ性にします。すると、排水中に溶けていた金属イオンが水酸化物として沈殿します。その液に沈降剤を加えてからシックナー(回転する掻き取り装置のついた円形の沈殿池)に入れます。ここで上澄み液を分離し、下に沈んだスラッジは自動フィルターで濾過して、スラッジは回収してから、先ほどの電解液として亜鉛原料に利用されます。丸い形のシックナーの奥にある四角形の槽が沈殿池で、シックナーの上澄み液と自動フィルターから出た液を、ここでさらにきれいにします。その後、砂濾過を経て、最後にきれいになった液に、もう一度希硫酸を入れて、pH10~11のものを今度はpH8の中性にして、地下埋設の導管を経て、下流の高崎市野附町にある金ヶ崎という場所まで送られて、そこで碓氷川に放流されます。

 なお、排水処理施設に有る石膏ボードの製造装置は、以前からそのまま存在しているので、現在も使用しているのかと会社側に質問したところ、石膏ビジネスは、今、発電所でも脱硫装置から石膏が出来るので、それと同じレベルの価格になっているため、採算があわないので現在は、使っていないそうです。

■次に硫酸工場に移動し、10時46分に到着しました。マイクロバスから降りて装置のある区域に入りました。工場の上のほうに有る培焼炉で発生した亜硫酸ガスは、グレー色のパイプラインで送られてきて、そのガスを、まずミストコットレル(電気集塵機)で粉塵やミストをここで除去します。次の乾燥塔で、ミストコットレルで除去しきれなかった水分を、95%硫酸を上から降らせることにより、ガス中の水分をさらに吸収させます。

 乾燥塔の後に、熱交換器が配置されますが、転化器の前後に熱交換器が設置されています。転化器では、SO2ガスを五酸化バナジウムを使った触媒でSO3ガスに変換します。これはSO2ガスのままだと硫酸にならないので、硫酸にするために一旦SO3にするのです。このために触媒反応を効果的に得るには、温度コントロールが必要なので、熱交換器を転化器の前後に配置しているのです。

 転化機でSO2ガスがSO3ガスに変化したものを、中間吸収塔と最終吸収塔で水に吸収させて、SO3ガスから硫酸を製造します。SO3ガスが吸収されたあと、残りのガスは調湿塔に送られます。もともと培焼炉から出た亜硫酸ガスの濃度は7%ほどありますが、こちらにある吸収塔でSO2ガスを吸収してから調湿塔に送られた時点で、亜硫酸ガスの濃度は200ppm~300ppmになります。

 この吸収塔でSO3ガスを水に吸収させた後、残りのガスはミストコットレル(電気集塵機)できれいにされます。このとき、湿気がないと上手く機能しません。ここで使っているのは苛性ソーダの溶液で、これにTCA方式でさらに残ったSO2を吸収させて、最終排気塔から出る排ガスについては、硫黄酸化物(Sox)は20~30ppmとなります。硫酸製造工場とは言いながら、実は亜硫酸ガスを除去すると同時に、硫酸製造も兼ねているのです。

 なお、会社側によれば、硫酸工場の排気塔出口におけるSOx(硫黄酸化物)濃度は常時測定しているとのことで、その他にも、年に4回測定をしているそうです。

■硫酸工場を出て、事務棟に向かう際に、右手に乾電池のリサイクル設備のある建物が見えましたが、シャッターが閉まっていました。「乾電池のリサイクル事業はもうやっていないんだってね」と車内から声があがりました。会社側に聞いてみると、電炉メーカーがこのビジネスに参入したため、コスト競争が厳しくなり、東邦亜鉛として採算が合わなくなったというのが理由のようです。それであれば、同社のHPでもその旨説明置くべきでしょうが、いまだに同社のHP上で乾電池リサイクル事業のことを掲載しています。

■予定のコースにしたがって視察を終えた参加者は、10時55分に会場である事務棟2階の会議室に戻りました。そして、11時から会議室で意見交換会が開催されました。

吉澤司会:それではみなさん。大変ご視察ご苦労様でございました。まあ、天気ももって、十分隅々まで見ていただけたかと思っております。それでは意見交換会に移らさせていただきますけども、引き続いて会社側の司会役を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いします。それでは、会社側からの報告ということで、平成24年度の経過と、それから25年度の設備改善計画につきまして、技術担当の秋山副所長より、ご報告させていただきます。

秋山副所長:工場視察、大変お疲れ様でございました。それでは早速ですが、私のほうから、製錬所の24年度の近況と25年度の設備改善計画をあわせて報告させていただきます。まず24年度の安中製錬所は、各製品の在庫増と、夏場の使用電力を抑えるために、2ヶ月間停止する厳しい事業運営を強いられました。停止期間中も含め、環境、設備の維持向上には細心の注意を払って対応してきましたが、とくに問題も無く順調に推移しております。一方、操業面におきましても、停止等ありましたが、順調な操業でありました。大型更新工事といたしましては、硫酸工場の最終吸収塔の更新、培焼の背圧タービンの更新、濾過工程のルーツブロアの更新など、いずれも老朽化に対応する更新工事を実施しております。25年度につきましても、設備の老朽化に対応すべく、計画的に更新工事の実施が予定されております。具体的にはロータリーキルンの駆動関係の更新、それから受電設備のオーバーホールなどが主でございます。ま、以上、述べさせていただきましたが、今後共に、安中製錬所の取り組みは、計画的によりよい施設に改善する所存でありますが、地元の皆様方の深いご理解とご指導、ご鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。引き続きまして、環境問題の懸案事項となっております、畑地土壌改良事業につきまして、担当の吉澤より報告させて頂きます。

司会:それでは、私のほうから懸案事項の報告ということで、24年度の経過について、ご報告申し上げます。まず、弊社の最終処分場でありますけども、今回の視察コースにも入れておりまして、現場でも説明があったかと思いますけども、当社のその最終処分場に関する経過について、まず報告をさせていただきたいと思います。これはかねてより当社固有の、いわば製錬所で発生した廃棄物に限った最終処分場ということで、鉱山保安法から引き続いて、一般法の廃棄物処理法のもとにですね、使用開始の手続きを進めてまいりましたが、昨年の11月に、群馬県より完成検査が終了して、使用許可が下りております。その処分場の使用開始にあたりましては、一部の住民のかたより、アスベスト含有物も含まれているではないか、というご指摘もありました。えーまあ、ご指摘の通りですね、あのう、えー・・・まあ一般的な申請をしましたので、そういったかたちで、県から許可が下りてしまったのですけれども、弊社としましては、アスベスト含有物というのはスレートの屋根材とか、壁に使われていますけども、それに微量に含まれております。昔のものはですね。今はもう含まれてないですけども。昔のものにそういうものが含まれているということで、そういった廃棄物もあるんですけども、そのアスベスト含有物の処分については、全て外部に委託するという方針でございます。地域の皆様に不安を持たれないように、このアスベスト含有物を含むという部分については、削除する手続を群馬県に提出しまして、それは既に終わっております。今日の看板の中でも、ちょっとテープで貼ってあるかと思いますが、それが群馬県に申請し直した新しい許可証の内容でございます。ちょっと難しい話になってしまいしたけれども、次は公特事業の推進についてご報告したいと思います。この件については、本日ご出席いただいてます茂木県議が、今年2月の県議会の一般質問で、群馬県農政部長にご質問をして、その回答がありました。非常に明確に整理されていますので、その内容について、ご報告をさせていただきたいと思います。茂木県議からのご質問は、1点目としては公特事業のこれまでの経過。それから2点目としては、未だに事業が実施できない理由。3点目として、今後の進め方は、と。大きく3項目について、群馬県の考え方を問い質したかたちとなっております。この中で会社も注目したのは、今後の進め方に関する考え方ですけども、次のとおり明らかとなってます。まず、1点目は、対策地域内の土地利用計画について、再確認する必要があると、いうことから、地元地権者に対してアンケート調査を実施します。で、2点目としましては、土壌の汚染状況の再確認と土の入替方法。これはですね、ちょっと時間が経過していますので、昔の分析結果はあるんですけども、今どういうことになっているかということで、もう一度再調査することなんだそうであります。そういった観点から、土壌中のカドミウム濃度を調査したい、ということです。今後については、この2つの調査結果に基づき、土地利用計画や対策処方について決定しまして、できる限り早期着手に向けた努力をしていきたい、という回答をいただいているようであります。まあ、それを受けて県議からも、事業主体である県が、長年苦しんできた地元の皆さんの気持ちも汲んで、ぜひ積極的に取り組んでほしい、ということで、住民の皆さんの心を大事にして要望されております。一方、安中市の農林課でも、いろんな角度から推進に向けた努力を模索しているようであります。そのひとつに、公特事業で使う客土を事前調達できないか、という事案につきまして、積極的に検討したようでありますけども、最終的には土量、土の量ですね。とか、品質。これは砂利が混じっているとか、いい土かどうかというような問題が解決されずに、不調に終わったという報告を受けております。会社としましては、このように動き出した県や市の早期実現に向けた努力に、今後も期待を寄せながら注目をしていきたい、というふうに考えております。3点目に、24年度産のカドミウム濃度の調査結果についてご報告をいたします。ご案内のとおり、23年度米から作付禁止の新基準が0.4ppmになりまして、さらには国による買取制度もなくなったことから、このカドミウム濃度の調査結果の動向が注目されていましたけれども、24年度も昨年度に引続き、問題なし、という報告を受けています。安中市におきましては、昨年と同様に、5軒の農家の、調査希望の人を対象にですね、検査を実施しましたが、結果はいずれも基準値を大きく下回る、まあ、0.1を切るくらいのですね、非常に問題ない水準の濃度であったという報告を受けております。一方、高崎市でも、対象2地点の調査結果から、いずれも0.4ppmを大きく下回る水準であり、問題なし、という報告を受けております。以上が、会社が把握している24年度の情報の概要ですけども、詳細等についてはご質問にお答えする形でご報告していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。それでは以降の進行につきましては、高坂先生に取り仕切りをお願いしたいと思いますので、どうかよろしくお願いします。

高坂弁護士:それではこれから会のほうから、今日の視察会を踏まえてのご質問、ご意見でも結構ですし、あるいは日ごろ疑問に思っていることでも結構ですので、質問あるいはご意見がありましたら、お出しいただきたいと思います。

白石副会長:はい。

高坂司会:はいどうぞ。

白石副会長:先ほど、見さしてもらった、一番先に見させてもらった処分場なんですけども、だいぶほころびというかツギ当てみたいな感じがあるようですが。

吉澤司会:あのう、遮水シートというのはですね、あのう、何重にもなっていまして、一番上に、紫外線によるゴムの劣化を防ぐための、ま、シートですね。ゴムを貼る基準になっています。ご指摘の通り、あれは、鳥が巣作るので食ってっちゃうんですよ。いろいろテープ張ったりとかもやっているんですけど、一応あの目的はですね。あのフエルトは紫外線をカットする目的のものでございますので、それは逐一補修をして、その機能が保てるようにしていきたいというふうに思っています。ただ、ちょっと追いかけっこ的なことになっているのは事実ですけども。そういった状況でございます。よろしいでしょうか。

白石副会長:まあ、昨年から見るとだいぶ、つぎはぎのところが多くなったように見受けられたので。

高坂司会:ありがとうございます。

鈴木本部長:富澤さん、あれは厚さはどれくらいあるんですか

富澤部長:あれ10mm、約1センチ。

藤巻副会長:鳥があれですか。鳥がそれ、つつけないようにネットを張るとか、そういうことは考えられないんですか。

富澤部長:ネットはると、(廃棄物の)ものが運び込む時、搬入する時にネットがじゃまになっちゃうし、そのシートそのものにネットを張らなくても、今言ったように補修していきますので。さらにあの下に、別のシートが入っていますので、あのシートが破れてもその下に直ぐ土があるわけではございませんので。まだあの下にまだ、もう一個別のシートが入っていますので。

本部長:今回の社水シートはその遮蔽シートの下にまた何重にもなっているわけです。直接あの、上の、うわっかわだけカラスにつつかれても、相対的には影響ないと思っているんですが、ただ見栄えがですね、毎回ご覧いただいく時、なんかパッチ当てみたいになっていたりとか、ほころんでいたりとか、いうことがあるんですけども、我々もその点については、非常に気を使っているつもりなんですが。都度、早期に発見して、補修だけはさせていただいています。

藤巻副会長:はい。

高坂司会:どうぞ。

藤巻副会長:あの、処分場が、どこの処分場にいってもシートを張ってあるわけなんですけども、あのシートというのものは、耐用年数という、いわゆる埋めた場合ですね。どれくらいあるものでそうかね。ま、実験はしてあるかどうかはわからないんだけども。というのはですね。土地というのは10年経ったらもういいんだとか、20年たてばいいとか、いうものではないんですね。これはずーっと、千年でも万年でも続いていくわけです。ですから、そういう質問があると、半永久的だよ、と、こういうんですけれども、半永久的というのは絶対永久的ではないということではないんですよね。言葉尻をとらえると。つまり、そういう逃げ道を設けてあるんですよね。ですから、その点が私、どうしてもね。今までもずーっと処分場を見てきて、思っていることなんですけどもね。これ、会社としては、答えられるかどうかわかりませんですけども、実際問題として、あのシートはどれくらい持つと想像しているんでしょうか。

副所長:富澤さん。

富澤部長:あのう、今ご質問でですけども、藤巻副会長が言われますように、えーとあのう、半永久的っていうふうに皆さん言いますけど、モノですからどっかでいずれは壊れると思います。私ども、あの最終処分場につきましては、統一的な言葉で言って申し訳ございませんけども、安定型最終処分場と、いうことで、本来であれば、全くシートもせずに、ただ普通に穴を掘って、入れられるものしか、要するに汚染されたものは入れないという、内容のものでございます。ただ、あのう、会社として、まあ、上からこれをつくるときの縛りもありますので、そういうことでシートを張って、地元の方に迷惑もかけないようにし、また水も回収して処理しようよ、という形でございますので、まあ、さき・・・鶴巻副会長が言われましたように、なんで、と言われますと非常に難しいんですけども、私的にはほんとに、他の人と同じように、半永久的に、永久といいますか、半永久的に、あの、持つから、そうしても大丈夫かなと。ましてや、あのう、外部からのモノは一切入れませんので、社内だけでの発生する廃棄物しか入れませんから、管理もそういった点から安定的なモノしか入れないということで、地元の皆さんには将来にわたってご迷惑かけることはないということを、申し上げられると思います。

本部長;今回、あの、シートを敷くという、法律上は必要ないんですけども、まあ万全を期してという意味で、シートを張っていると。さらに私どもは20年使うつもりなわけですが、あの、10センチのゴム、あるいは紫外線があたらなければ20年以上はもつ、という・・・

富澤部長:ああ、充分。

本部長:端的に言えば、そういうことで私どもは技術指導しているつもりなんです。まあ、我々は、半永久的っていうか、そういうふうには思っていませんが、20年くらいで、あのう、一応あそこは満杯になってしまう。その間は、ゴムシートはきちんと機能を果たすであろうと、こういうふうに思っております。

藤巻副会長:はい、ありがとうございます。要するに、そのう、20年くらいまでの間には満杯になってしまうと、いうことと、シートは少なくとも20年は持つという、まあ、お話のようでございます。で、廃棄物処理をしたあと、上のほうをどうするかによってまた変わってくるんですけれども、上は土砂で埋めてあるというかたちだと、当然のことながら、雨水かなんかが滲み込んでいくと、こういうことですよね。住民が心配しているのはやはり、その滲み込んだ水が、汚染されて出てきたのでは困ると、こういうことですよね。会社としては汚染された物質は、いろいろな、汚染といってもいろいろあるけども、汚染された物質はそこには埋めないと、いうことですから、その話を聞く限り、まあ安心できるのではないかなと思います。ただね、あちこちの、これは民間の一般の廃棄物処理場ですけども、廃棄物はこういうものですよ、ということで認可されているのにもかかわらず、全く別のものが埋められていて、それもですね、もう長い間埋められていたのが、ひょんなことからそれが露見してですね、とんでもないことだ、ということになった所がたくさんあるわけですよ。ま、例えばね、医療器具なんていうのは、あれは特別に廃棄しなければならないんだけども、それが一般廃棄物処理場に持ち込まれて処理されちゃっていると。るそれが長い間されちゃっているものだから、取り除くこともできないと、いうことで大騒ぎになっているところがある。ご存知だと思います。で、まあ、会社では汚染されたものは埋めないと言っておりますが、まあこれ20年かかるんだよね。ということになると、どこまで信用できるのかなあ、と。まあ、会社としては、信用してくださいということですよね。私たちも信用しなければ、これは話は進まないわけでございます。そういう中でね。やはり、少しの疑念があるということになると、住民とすると、安心していられない、という面がございまして、皆さんにその点をどういうふうに検証できるのかな、というものがございまして、やはり心配性というか、こういう状況なんですね。ですから、まあ、あれをどうやったらいいのかな、ということはわからないんですけども、例えば行政機関に時々、見回りをしてもらうと、いうことも、ないことはないんだけれども、まず行政機関は時間的にそういう時間は取れないと思います。県にしても、市にしてもですね。あるいは通産省、今は通産省ではないですが、にしてもね。ですから、そういう点が心配だな、と思っているんですけども、ああこれは会社を信用するよりほかないのかなあと思っているところです。まひとつ、住民とすると、そういうような心配もあるというとで十分に注意していただきたいと思います。

本部長:その点、充分私どもも心しております。それからもうひとつ補足させていただきますと、ま、雨水か何かがあそこに溜まって、その水がじゃあどうなるのか、滲み出たりとか、汚染されているのかとか、そういったものはちゃんと一応技術基準で決まっていまして、水を測定する、あるいはチェックする、そういう構造になっておりますので、その点。それから、まああの、法律で決まっておりますので、埋めてはいけないモノを埋めた場合、それはもう法律違反になりますから。もう、そういうふうになれば私どもの事業自体、命取りというか、罰金だけでは済まないわけですから。免許取り消しとか、そういうことも十分ありえますので。私どもは、そういうことは絶対無いように、ということで、まああのう、マネージメントととしてそういうことのないように、きちんとやっていくつもりでございますので、ぜひご信頼いただきたいと、こういうふうに思っています。

藤巻副会長:ぜひその点、よろしくお願いいたしたいと思います。

本部長:今、技術仕様のなかで、何か補足する点があったら。

富澤部長:今、うちの鈴木本部長が申し上げましたように、当然、月に1回とか、年に何回か、水のチェックをしなさい。ましてや、私ども、そっから出てくる水は直接、たとえば地元の皆様の岩井川ですとか、ああいう川に出すわけじゃございませんので、今日もあのう、視察していただきました排水処理工場。そこにまた水が全部集められます。で、そこで、酸性中和処理をして、ちゃんと法律の基準に合致したきれいな水を、この碓氷川のほうに流すということでございますので、まあ、鶴巻さん、ご懸念のあることにつきましては、まず、基本的に水とかは問題ない。それとあとはまあ、埋めるモノにつきましては、うちの鈴木が先ほど申し上げましたように、会社がそこまでのリスクを冒してですね、やって、企業をここで潰すわけにもいきませんので、そこだけはもう間違いなく我々は法律を遵守する、という格好でやってまいりますので、ぜひそのへんはご信頼いただければな、と思います。よろしくお願いします。

高坂司会:それに関係してなんですけど、どんなモノをあそこに捨てるっていうか、埋めるというか、どういうモノを考えているか。

本部長:看板をご覧になっておわかりだと思うんですけども、安定型という処分場になっておりますので、管理型、遮断型だとかいうとこのモノは埋められません。で、安定5品目をご説明して。

富澤部長:えーと、私ども、あれなんですけど、基本的には、例えば、えー、廃プラスチックだとか、ガラスくずとか、陶磁器ですとか、レンガくずとか。要するにそのもののなかに有害物、鉛だとか、カドミだとか、が、まず入っていない。それから、かくそこが汚れていない。そういうものを入れると、いうことでございますので、入れるそのものから有害物が溶け出すとか、ということはございません。それとあと、入れる時につきましても、えーと、3mだっけ。

副所長:そうです。

富澤部長:3m入れて、50センチだっけ。

副所長:うん。

富澤部長:あのう、埋めるとき、深さ3mのものを埋めると、その上に必ず50センチのきれいな土で覆土しなさいと。で、またその上にまた3mという、埋立て方が決められています。それに準じてやらないと、これまた法律でやってございますので、その辺十分管理をやっていくことで。しようと、あのう・・・

高坂司会;あのう、古い工場を解体することもあると思うんですけども、そういう問題とか、設備とかっていうのは書いていないんですか。

富澤部長:書いてないです。入れられるモノは決まっていますので、古い工場を解体したら、全部みんな入れちゃいますよ、ということはありません。

高坂司会:えー、ほかにご質問ありますか。

当会:いいですか?

高坂司会:はいどうぞ。

当会:あんまりでしゃばるな、って言われたんだけど、すいません、北野殿の小川といいます。今の処分場の話はですね、遮水シートは、とにかく遮水シート協会ではですね、まあ10年持てばいいやというくらいのことで、15年はとてももちませんから。まあ、これは調べてもらえばわかります。それでね、何を埋めるか、ということについて、実は4区の区長さんに聞いたら、まあ、防災・・・災害防止協定か、これを結びたいなという意見書を出したところ、この間吉澤さんにお聞きしたらですね。東邦亜鉛側は一切そういうものは受け取ってませんと。ま、これは群馬県の環境リサイクル課がですね。住民の意見書というものは、これは手続き上必要なもので、それを受け取った場合は、必ず事業者に、つまり申請者にですね、処分場の申請者にそれを伝えると、何回もそういうことを言ってうるにもかかわらず、もしそういう状況であれば、行政の怠慢というか、私としては多分わざと(行政が)そういうことをしているんじゃないかということで、これは月曜日に県庁に行って追及してきます。それから、先ほどですね、公特事業の話が出ました。で、一番重要な問題の、勿論あのう、再汚染の問題です。それから昭和50年代に一回測ってですね。また、その指定の9ポイントだったかな。それをまあ県で測ると、もう測ったというようなことを言っていますけども。その結果について私が情報開示(請求)したところ、県は見せないんですよ。なぜ見せないかというと、小川に見せると、みんなブログに書いてですね、住民に周知をさせてしまうから、そうするとそれを東邦亜鉛も見るだろうから。そうするとですね。事業費の積算に圧力等々がかかって影響を与えるから、全部黒塗りだと、まあ、こういう話なんですよね。で、まあ、それは、今そういう実態だということを皆さんに言って、まあ、東邦亜鉛さんにも、まあ、今お伝えしたわけですけども。この公特事業について、先ほどのお話で、安中市からの報告によりますと、その、これ情報公開でいろいろ資料を入手したんですけどね、その県の人工飼料稚蚕センターの桑園が鷺宮にあります。この10町歩の土についてですね、少なくとも2年ほど前から、これはいいなというところで行政側も言っていたんですけども、えーとですね、これを、昨年の末に群馬県から安中市に払い下げるというところで、で、安中市としてですね、当然、この懸案である、我々一番注目しなければならない公特事業の推進に対して、この10町歩のちょうど適した桑園の、まあ、比較的健全な土、しかも近場にあるから。これをぜひ使いたいという話が進んでおりました。ところがですね。昨年の暮れから、今年の正月の9日に群馬県と安中市が協議したところ、これはもう物流基地のためにですね、土地開発公社が県から買って、もう造成を始めるんだから、もうこれはダメですよと、こういうことを言っているわけですね。でね、私はね。この土の問題というのが今一番大きな事項だと思いますけども、さきほど吉澤さんの話ですと、この土質の問題が、要するに、客土に適していないと、いうことなんですけども、これは余りに長くなるから、後ほどそれはどういうルートで、情報が御社に入ったのか確認させていただきたいと思うんですよ。、まあ、時間があるから、あと2分ぐらいですけども。そこをちょっと聞きたい。いろいろ言いましたけれども、公特事業のための客土の手当てについて、安中市が皆さんに対してどういう説明をしているのか、お聞きしたいんです。

高坂司会:その辺はどうですか。

吉澤司会:まず事業自体がですね。まだ決まっていないということで、で、県のそのう、カドミウムの調査についても、そのカドミウムの表面だけじゃなくて、深さとかも見ながら、この場所はどのくらいの客土が必要だ、排客土が必要だとか、この場所はこの程度だとか、そういうのを調べる根拠として再調査をしているっていうふうに、まず聞いております。で、客土をですね、事前に用意していないとか、そういうことについては、まだ計画全体ができていないということから、そのへんは具体的には全く聞いておりせん。ただ一番の大きな、おカネもかかるし、一番大変なことだということは伺ってますけど、それ以上具体的には聞いてないです。鷺宮というのは、あのう、そのう、えー、あれですね、あのう・・・公特事業のために土を全部採るということじゃなくて、平らにして余ったら、分ということになると、その砂利が混ざったとかそういうところも出てきちゃうということで、十分な量と質が確保できないという判断で断念したという。それは(安中市)農林課からですけども。あのう、詳しくじゃなくて、大雑把にですね。そういった報告は受けています。以上です。

高坂司会:他に何かありますか。

当会:どうぞ。詳しいやつはあとでいいや。

会場:・・・

高坂司会:今日の感想でもいいんですけど、何かあれば・・・

会場:・・・

高坂司会:そうすれば、また事前協議のときでも、あとでいろいろ考えたことでも、役員さんのほうにお伝えしていただければ、その都度協議したいと思いますので。今日はこれでよろしいですかね。

会場:・・・

高坂司会:はい。じゃ、質疑応答はこれで閉めさせていただきます。

吉澤司会:高坂先生ありがとうございました。それでは、まあ、閉めにあたりまして、えー、会社のほうからですね。全社の環境の責任者でもあります鈴木常務執行役員取締役よりご挨拶を申し上げたいと思います。

本部長:心の準備ができておりませんので。あの、総務、本社で総務を担当しております鈴木でございます。本日はあのう、まあ天候快方になりましたけど、花冷えのなか視察していただき、只今のように、貴重なご意見、あるいは、えー、お言葉のほうを賜りましてありがとうございます。また日ごろは安中製錬所、とくに私ども従業員とその家族、大変お世話になっております。おかげさまで、安中製錬所の今度の4月18日で76回目の創立記念日を迎えることになりまして、これも長年お引き立ていただきました皆様のおかげと、重ねて御礼申し上げます。毎度、個人的な感想を申し上げて、お耳障りかもしれませんが、私は入社以来40年以上にわたりまして、皆様とお付き合いさせていただきますが、毎年こうしてお元気にお会いできることを大変に嬉しく、そして楽しみにさしていただいております。今日は生憎、会長さんがお怪我をされたということで、早い回復を祈っております。またあのう、弁護団の高田先生も、お会いできなかったので残念なんですが、また来年元気にお会いできたらなと、こういうふうに思っております。ここからがあの、私の本題ということでございまして、皆様とのこうした長いお付き合いの中で、勉強させられるといいますか、学びました、それから醸成されたという、弊社の基本理念といいますか、基本スタンスといいますか、について、初めておいで、お会いされる方もいらっしゃいますので若干お話させていただきたいと思います。まず、1つ目でございますが、皆様が長年にわたり、まあのう、端的に言えば、会社と行政に一番ご不満、ご不振を感じていらっしゃる土壌改良問題についてでございますが、先ほどの報告の通り、まああの、実は昨年も報告してますが、一昨年の8月に県市の担当者から、公特事業の舵が大きく切られ、24年度から既に有る土壌改良計画案に沿って動き出すので会社もその予定でいてくださいとのご案内をいただいております。この問題については、繰り返し申し上げておりますように、汚染原因をつくったものとして当社たいへん重く感じておりまして、これは個人的な意見でございません。会社としては土壌改良問題の解決なくして本当の意味での安中公害問題は解決していない、という認識でおります。えー、まあ、県議会の答弁にありますように、地権者の皆様のご意見、ご意向が固まり、計画が確定されればですね、関係各位と一体となり当社でも事業の速やかな進展に最大限努めて参りたいと、こういうふうに考えております。それから、2つ目でございますが、皆様との協定の目的にありますように、まさに本日の視察会の目的でもありますけども、弊社がなによりも皆様との信頼関係を強固なものにしていきたいと考えております。弊社にとっても、かつて大きな痛手を伴い、学んだことでありますけども、工場の発展、成長は、最新の設備、技術や社員の意気込みだけではできません。皆さんをはじめ地元の方々のご支援、ご協力が無ければ安中製錬所、ひいては東邦亜鉛の持続的成長は決してなしえないと、こういうことでございます。皆様からのこうした信頼を末永くいただくためには、先ほどの報告のとおりですね、といいますか、あのう、きちんとやっていくということですが、昨年の5月に鉱山保安法から一般法の適用を受けることになりまして、監督官庁も従来の国から県に移管されておりますが、これも再三申し上げておりますが、監督官庁がどこになろうとですね、当社がやるべきことをきちんと、先ほどの報告にありましたように果たして、安全操業に鋭意注力すると。近隣の皆様方に、万が一にも事故など起こし、ご迷惑をおかけすることのないように、ご迷惑をおかけすることのないように社員一同、適正操業を肝に銘じて取り組んで参りたいと、こういうふうに覚悟しております。えー、それから先の福島の原発事故を教訓にですね、想定外の自然災害が発生しても慌てず、適正な初期対応を、誰でもいつでも取れるよう、設備の補強に加えまして、社員教育を徹底し、非常時対応のノウハウを浸透させて参りたいと考えております。いざという時にも発揮できるような、ゆるぎない現場力の維持に努めて参ります。えー、当社の主力事業である亜鉛事業では、社長の、ああ、所長のご報告にありますように、電気代の大幅な値上げ等によりまして、国内での存続が危ぶまれるほど厳しい事業環境にあります。社長以下、社員一丸となって、石にかじりついてでもねすね、この難局を乗り切り、この安中製錬所を次世代へ引き継いで行きたいと考えております。どうか今後も末永く、当社へのご指導ご協力をお願いしたいという・・お願いを申し上げます。それから、最後に、恐縮ですが、皆様とご家族のご健勝、ご多幸を心より祈念しまして、長々となりましたが、ご挨拶をさせていただきます。本日は本当にありがとうございました。

吉澤司会:あのすいません。打ち合わせと順番を間違いまして大変失礼したんですけども、緑の大地を守る会を代表しまして、白石副会長からお言葉を頂きたいと思います。

白石副会長:本日は、視察会を開催していただきまして、大変ありがとうございます。またあのう、事前の用意をよくしていただきまして大変ありがとうございます。弁護団の先生方には、お急がし中、ご出席いただきまして大変ありがとうございます。また、オブザーバーとして出席していただきました県議また市議、お忙しい中大変ありがとうございました。緑の大地を守る会の会員の皆様におかれましては、昨年、長年事務局をやっていただきました萩原博さんが亡くなられまして、急遽、事務局ということで、私と中島さんがいちおう預からせていただいたわけですが、あらたに白石アキノブさんを事務局長となっていただくよう、今、段取りをとっているところでありますが、また、これから公特事業の推進にかけて、会員の洗い直し等々、今年中には何とか実現したいと思いますのでご協力のほどよろしくお願い申し上げます。本日は大変ありがとうございました。(拍手)

吉澤司会:本当にありがとうございました。それでは以上を持ちまして第22回の工場視察会を終了さしていただきたいと思います。どうも本当にありがとうございました。

会場:ありがとうございました。

■数年ぶりに参加した今回の工場視察会で感じたことは、公害防止機器については、更新はしているものの、原理的には第1回工場視察会の当時と全く変わり映えがしておらず、公害防止の導入技術面で停滞していることです。常に切磋琢磨して、少しでも技術の向上により、周辺環境への負荷を軽減するという意欲が東邦亜鉛には不十分であるということです。むしろ、更新のたびに、少しずつキャパシティを増やしているようです。

 また、鉱山保安法の山元製錬所から一般製錬所への移行により、廃棄物の処理も一般の廃棄物処理法によるサンパイの扱いとなったことについて、どさくさ紛れに手続きをしたこと自体、東邦亜鉛の体質を示すものですが、今回の視察会で、一応アスベスト含有物質は処分場に持ち込まないという手続きを後付けでしたことが判明しました。しかしこれも、当会が指摘しなければ、そのままアスベスト含有物質を合法的に捨てることができたわけで、周辺住民としては、東邦亜鉛の昔からの体質のなせる対応だというふうに受け止めざるを得ません。

 処分場の維持管理についても、重金属を周辺に撒き散らしている現況から、そこに入れるごみについても、既に重金属にまみれた物質が入ることになるわけですが、その事実やリスクについて、会社側の説明では、まったく触れられていません。さらに、遮水シートは本来、安定型処分場なので不要だとする会社側の説明にも納得がいきません。本当に安定5品目だけを対象にするのであれば、遮水シートそのものも不要なわけですが、安定5品目といっても、プラスチックくずなどは、地中に埋めると化学反応を起こして高温雰囲気となって、さまざまな有害物が分解・析出してそれらが雨水に溶けて地下に浸透したりするリスクがあります。ごみに含まれるカドミウムや鉛などの重金属も、雨水により浸出水のなかに含まれるわけで、だから遮水シートはそうしたリスクがあるからこそ、使用していると考えるのが普通だと思われます。

 今回の視察会で、東邦亜鉛として、土壌汚染問題について、一刻も早く負の遺産の解消を図りたいとする会社幹部の言葉を聴くことが出来ました。しかし、会社側の発した言葉にもあるように、これまでの会社と行政の仕打ちに対して、周辺住民の不信感は非常に根強いものがあります。

 今回の意見交換会で、当会が先日ブログで報告したとおり、地元住民を代表する区長が意見書のなかで、東邦亜鉛安中製錬所のサンパイ処分場の運用について「災害防止協定書」を結びたいとした要望が、肝心の会社側に届けられていないことが判明しました。このことについて、群馬県がなぜ会社側にそれを届けなかったのか、きちんと検証していきたいと思います。

 また、今回の視察会で、東邦亜鉛と関係の深い岡田市長の姻戚関係者が本社の部長として、説明や答弁を行いました。このような人物に視察会の対応をさせること自体、東邦亜鉛が本当にこの公害問題の早期の完全解決を図ろうという決意に影をさしかけるものではないかと、当会は危惧しています。

 いずれにしても、こうして住民として直接会社側と意見交換が出来る機会は貴重であり、次回もぜひ参加したいと考えています。

【ひらく会事務局】

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