市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

4月1日にゴミ焼却施設の所長に昇進した途端、死に追いやられた安中市職員の一体なぜ?(続報2)

2013-04-29 20:27:00 | 困ったちゃん岡田義弘・元市政
■4月2日の碓氷川クリーンセンター所長の急死については、翌3日の新聞で報道されて市民の知るところとなりましたが、当会は、この新聞記事を見て、安中市がマスコミにどのような経緯で連絡したのかを確認すべく、4月4日に次の内容でFAXにより岡田市長あてに情報開示請求をしました。なお、文中敬称は略させていただきます。

悲劇が起きた松井田の処分場入口。出入口の鉄扉にはこのようにカンヌキがかけられ南京錠で施錠されていた。なぜ8時半に連絡を受けて捜索を開始し、わずか15分後に発見できたのだろうか。この疑問に市秘書課はきちんと回答をしなかったのが気にかかる。
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<開示を請求する行政文書の内容又は件名>
平成25年4月3日の産経新聞は「ごみ焼却施設の所長 最終処分場で自殺か」と題して「安中市は2日、同市原市のごみ焼却処理施設『碓氷川クリーンセンター』所長(51)が急死したと発表した。自殺の可能性が高いとしている」「秘書課によると、所長は1日付で同センターの係長から所長に昇格し、同日はいつも通り仕事をしていたという」などと報じた。これに関する次の情報。
①安中市がマスコミに発表した全ての内容。
②平成10年4月以降、平成25年3月まで碓氷川クリーンセンター所長職にあった市職員の氏名、およびそれぞれの異動前、異動後の所属と職位。
③今回急死した職員の異動前の所属と職位。
④碓氷川クリーンセンターの組織体制(同居する環境推進課との関連)が分かるもの。組織図あるいは組織表を含む。
※急死した職員の氏名は開示対象に含めません。
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■この結果、4月16日付で開示通知があり、日時を調整の上、4月22日(月)午前9時に市役所本庁2階法制課で開示を受けたことは前回ご報告しました。

 そして、開示に際して、異例の「親族の心痛を逆なですることのないように配慮せよ」という主旨の書面が添えられていたことや、上記①の安中市がマスコミに発表した全ての内容と、④碓氷川クリーンセンターの組織体制についても前回報告しました。

■今回は、上記②と③について、分析してみました。

 上記②と③に対する安中市役所からの回答は次のとおりです。

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【岡田市長からの情報提供通知】
                    安秘発第101号
                 平成25年 4月16日
安中市野殿980
小 川  賢 様
                  安中市長  岡 田 義 弘
 平成25年4月4日に請求のありました行政文書の開示請求につきまして、下記のとおり情報を提供いたします。
          記
1.提供する資料
 行政文書開示請求書の「開示を請求する行政文書の内容又は件名」の②及び③
2.提供内容     別紙のとおり

【別紙:情報提供】
■「開示を請求する行政文言の内容又は件名」の②
 期 間 / 所長職氏名 / 前 職 名
・平成18年3月18日~平成24年3月31日/大塚敏彦/異動前:-、異動後:(H 24.3.31)退職
・平成24年4月1日~平成25年3月31日/田村昌俊/異動前:松井田支所産業建設課林政係主幹/異動後:(H 25.4.1)教育委員会生涯学習課課長
■「開示を請求する行政文書の内容又は件名」の③
異動前 所属:碓氷川クリーンセンター業務2係
異動前 職位:係長


【岡田市長からの承継行政文書の任意的公開回答書】
                    安ク発第63号
                    平成25年4月16日
安中市野殿980
 小 川  賢 様
                  安中市長 岡田 義弘
 平成25年4月4日付けで受理した行政文書開示請求書のうち、安中市情報公開条例附則第3墳に規定する承継行政文書に該当するものにっいて、実施機関において保有していないため、回答します。
開示請求に係る行政文書の内容:別紙行政文書開示請求「'②平成10年4月以降、平成25年3月まで碓氷川クリーンセンター所長職にあった市職員の氏名、およびそれぞれの異動前、異動後の所属と職位。」のうち合併前の安中・松井田衛生施設組合の情報
承継文書が存在しない理由:安中・松井田衛生施設組合の当時は碓氷川クリーンセンター所長職位はないため。なお、平成10年4月から平成18年3月17目までの期間において、碓氷川クリーンセンター所長職に相当する職は安中・松井田衛生施設組合事務局長であるため、別紙のとおり情報を提供いたします。
事務担当課:市民部 クリーンセンター課 電話番号 027-381-0747
備考:-

<行政文書開示請求に関する行政文書の写し一覧>
 開示請求の件名/行政文書の名称/開示の別/不開示とした箇所/不開示とした理由/開示請求に対する説明/枚数(枚)
・行政文書開示請求書「開示を請求する行政文書の内容又は件名の②/平成10年4月以降、平成25年3月まで碓氷川クリーンセンター所属職にあった市職員の氏名、およびそれぞれの移動前、移動後の所属と職位/-/-/-/-

<行政文書開示請求に関する情報提供の一覧>
 開示請求の件名/情報の名称/枚数(枚)
・行政文書開示請求書「開示を請求する行政文部の内容又は件名の②/開示情報が少ないため、一枚にまとめて提供します。/-

【情報提供】
「情報を請求する行政文言の内容又は件名」の②
 安中・松井田衛生施設組合事務局長の職にあった市職員の氏名
 期 間 / 職 / 氏 名
・平成10年4月1日/事務局長/小嶋六郎
・平成11年4月1日~平成12年3月31日/事務局長/半田晴美
・平成12年4月1日~平成16年3月31日/事務局長/高橋弘安
・平成16年4月1日~平成18年3月17日/事務局長/横田道夫
 それぞれの異動前、異動後の所属と職位に関する文書は存在しません。

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■ちょっと分かりにくいのですが、要するに歴代のトップはつぎのとおりでした。

<安中・松井田衛生施設組合>
・平成10年4月1日~平成11年3月31日/事務局長/小嶋六郎 移動前:? 異動後:?
・平成11年4月1日~平成12年3月31日/事務局長/半田晴美 異動前:? 異動後:?
・平成12年4月1日~平成16年3月31日/事務局長/高橋弘安 異動前:? 異動後:?
・平成16年4月1日~平成18年3月17日/事務局長/横田道夫 異動前:? 異動後:?
<碓氷川クリーンセンター>
・平成18年3月18日~平成24年3月31日/所長/大塚敏彦 異動前:?、異動後:(H 24.3.31)退職
・平成24年4月1日~平成25年3月31日/所長/田村昌俊 異動前:松井田支所産業建設課林政係主幹/異動後:(H 25.4.1)教育委員会生涯学習課課長 ←【当会注:田村昌俊は、平成22年4月1日付で、松井田支所住民税務環境交通係課長補佐から松井田支所産業建設部土地改良課主幹に昇格していた。つまり課長補佐から課長になるまで、主幹を2年間経ていた】

■開示されたこの情報を見て、思わず声が出そうになりました。合併前の安中・松井田衛生施設組合当時のトップには、あの有名な御仁らの名前が連なっているからです。

 秘書課に確認したところ、高橋弘安も横田道夫も既に退職しているとのことです。おそらく衛生施設組合の事務局長を花道に退職したものと見られます。

 高橋弘安は、最近まで安中市商工会の事務局長をしていましたが、秘書課によると、平成25年3月末で辞めたということです。また、横田道夫の現在の動静についても秘書課に質問しましたが、市役所からは離れているとしか答えてもらえず、現在の処遇は不明となっています。

 この御仁らは、安中市土地開発公社を舞台にした空前絶後の巨額詐欺横領事件で、重要な役割を果たしたかたがたですが、ふたりとも、退職前の花道に、当時、安中市民の目に付かずらかった安中・松井田衛生施設組合の事務局長にそれぞれ4年間と2年間も居座っていたことがわかりました。高橋弘安については、元公社の事務局次長としてタゴの直属の上司でしたが、タゴ事件の発覚後、民事訴訟でいつもタゴの配偶者と一緒に安中市・公社と群馬銀行との間の裁判を傍聴していたのが市民らによって目撃されていました。その民事裁判もおわり、103年ローンの和解が決まり、事件の幕引きと時を同じくして、タゴと家族ぐるみの付き合いをしていた高橋弘安が衛生施設組合に雲隠れをして、しかも報酬は2割程度アップするという情報が当時、市民の間で飛び交いました。

 ところが、タゴ事件で秘書課の係長として、市長公印を管理していた横田道夫が、高橋弘安が4年間居座った後に、2年間も引き続き居座っていたことが今回の情報開示でわかりました。この人物は、タゴに言われるまま偽造書類に市長公印をペタペタ押して、億単位の公金をタゴが群銀からおろせるようにしたのでした。警察の調書では「事情を知らないまま」と陳述していましたが、当時、市内に建てられたこの人物の自宅を見て、いぶかしく思った市民は少なからず居ます。

 このように、碓氷川クリーンセンターの前身だった安中・松井田衛生施設組合は、タゴ事件の残党の巣窟でした。

■こうした由緒ある組織のトップに抜擢されるというのはそれなりに人事異動の際に、重要な配慮がなされてしかるべきだと当会は考えています。それだけに、今回、係長から所長(=課長)への大抜擢人事の背景について、何らかの事情があり、それが今回の悲劇の遠因になったのではないか、という疑念が持ち上がるのです。

【疑問1】係長から所長=課長への大抜擢の背景は何か?

 上述のとおり、平成25年3月31日まで所長だった前任者は次のように、課長補佐→主幹(2年)→所長(=課長)というふうに段階的に昇格しています。
●平成22年4月1日
松井田支所産業建設課土地改良係=主幹に昇格(松井田支所住民税務課環境交通係課長補佐)田村昌俊
●平成23年4月1日
松井田支所産業建設課林政係主幹(松井田支所産業建設課土地改良係主幹)田村昌俊
◆平成24年4月1日
市民部クリーンセンター課長=課長に昇格(松井田支所産業建設課林政係主幹)田村昌俊
◆平成25年4月1日
教育委員会出向・課長(産業部商工観光課観光係主幹)田村昌俊

 4月1日付の安中市異動によれば、課長として辞令が交付された13名のうち、異動前も課長だった4名以外の、新しく課長級になった9名のうち、異動前の職位は主幹級が8名で、今回急死した職員だけが係長級でした。

 今回、新たに課長に昇格した環境推進課長の真下明の場合は、課長補佐→主幹(3年)→課長に昇格しています。
●平成22年4月1日
市民部環境推進課廃棄物対策係=主幹に昇格(市民部環境推進課廃棄物対策係課長補佐)真下明
◆平成25年4月1日
市民部環境推進課長=昇格(市民部環境推進課廃棄物対策係主幹)真下明

 子ども課長に昇格した三浦尚明も、課長補佐→主幹(3年)→課長に昇進しています。
●平成22年4月1日
保健福祉部子ども課保育助成係=主幹に昇格(保健福祉部子ども課保育助成係係長補佐)三浦尚明
◆保健福祉部子ども課長=同(保健福祉部子ども課保育助成係主幹)三浦尚明

 松井田支所の保健福祉課長に昇格した茂木雅俊の場合も、課長補佐→主幹(3年)→課長というコースをたどっています。
●平成22年4月1日
保健福祉部福祉課人権擁護係=主幹に昇格(保健福祉部福祉課人権擁護係課長補佐)茂木雅俊
◆松井田支所保健福祉課長=同(保健福祉部福祉課人権擁護係主幹)茂木雅俊

 教育委員会に課長として出向する田村武志の場合も、課長補佐→主幹(3年)→課長です。
●平成22年4月1日
教育委員会出向・総務課庶務係=主幹に昇格(教育委員会出向・総務課庶務係課長補佐)田村武志
◆教育委員会出向・課長=昇格(教育委員会出向・総務部庶務係主幹)田村武志

 同じく教育委員会に課長として出向する萩原弘も、課長補佐→主幹(3年)→課長となっています。
●平成22年4月1日
産業部商工観光課観光係=主査に昇格(産業部商工観光課観光係課長補佐)萩原弘
◆平成25年4月1日
教育委員会出向・課長=昇格(産業部工事観光係主幹)萩原弘

 なお、本庁ではなく、公立碓氷病院の人事で4月1日付で課長になった竹内清孝の場合も、課長補佐→主幹(3年)→課長という過程を経ていることも注目されます。
●平成22年4月1日
松井田支所地域振興課総務係=主幹に昇格(松井田支所住民税務課国保年金係課長補佐)
●平成25年4月1日
事務部総務課長(市民部環境推進課長)竹田清孝
 ちなみにこの人物は、タゴ事件で今回産業部長に昇格した竹内克美とともに、タゴと一緒に土地開発公社で業務をしていたことで知られています。

■こうしてみると、クリーンセンター所長として課長に昇進した直後に急死した職員が、いかに大抜擢されたのかが良く分かります。前任者の田村昌俊の場合は、課長になる前に通常3年間の主幹の期間が2年と短くなっていますが、係長から課長補佐、主幹を経て課長になるまでには数年を要するものと見られます。ところが、急死した職員は、係長からいきなり課長に抜擢されました。

 既述のとおり、安中市の人事では、昇格の段階は、主事補→主事→主査3級→主査4級→係長代理→係長→課長補佐→主幹→課長→参事→部長という順番になっています。

 課長になるには、その手前の主幹で2、3年を過ごすことが殆どで、たまに課長補佐から主幹を飛び越えて課長にすることもあるようです。また、確かに平成22年4月1日付の異動を見ると、矢島正子が会計課審査係係長→市民部市民課長に昇格しています。しかし、矢島正子は平成23年4月1日付で退職しており、最後のお手盛り人事だったのかもしれません。ちなみに、平成22年4月1日付の異動では、矢島正子以外の13名の課長昇格者は全員主幹からの昇進者でした。

■市役所の人事は秘書課が担当しているとことですが、実際には、首長の裁量や議員の口利きなど、いろいろな要素が絡んでいるはずです。急死した職員の大抜擢の背景にはなにがあったのか、亡くなった場所が処分場であることから、公務との関連も気になります。引き続き、調査を進めていく予定です。

【ひらく会情報部・公務員労働環境調査班】

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