■群馬県ではかつてカラ出張や出張費の水増し、そして官官接待が常套化していました。市民オンブズマン群馬では1995年設立直後からこの問題に取り組み、「カラ出張を考える!群馬県庁の不正支出問題」と題する本も出版しました。
※カラ出張を考える!群馬県庁の不正支出問題
http://www.ne.jp/asahi/ombudsman/gunma/kiji/book.htm
↑本日、補正書を提出した県庁26階の監査委員事務局。↑
その後、末尾記事にもあるように、会計検査院の調査により「プール」「とばし」「またぎ」と呼ばれる公金の不正流用による裏金作りの実態が明るみになりました。こうした群馬県特有の裏金体質は、その後解消されたかに見えますが、実はそうでもなさそうだということを今回、指摘しておきたいと思います。
群馬県では、「社会参加費」という得体の知れない支出科目があります。他の都道府県や市町村では、「社会参加費」という呼び方で「交際費」のような、あるいは「食糧費」のような費用を支出しているところは見当たりません。
「交際費」の名目としては、行政を円滑に執行するため、外部との交際を進める上で必要な経費で、「食糧費」は各種会議用茶菓等に係る経費として支出されるのが一般的なようです。いずれも支出に当たっては、社会通念に照らし、適正な範囲で最小にとどめるよう配慮することが求められています。
■筆者は先年、埼玉県庁を訪れた際に「社会参加費」という呼び方をする支出科目があるかどうか、同県庁職員に尋ねたことがあります。その職員は即座に「そういうのは聞いたことがありません」と答えました。
実際に、「社会参加費」というキーワードでネット検索をしても、群馬県庁の関係部署しかヒットしません。他の都道府県では、「交際費」と「食糧費」そして「旅費」として、その支出状況を一覧表にしていますが、群馬県の場合は「交際費」と「社会参加費」という呼び方でそれぞれの部署ごとに、ホームページで掲載しているだけです。
その執行基準はホームページを探す限り見当たりませんが、「交際費」は部長クラス以上が費消する場合を指しており、「社会参加費」というのは課長以下の職員らの「交際費もしくは食糧費」に相当しているようです。しかし、いつ誰が何のために費消したのかはホームページ上からは全く読み取れません。
■宮城県庁の場合、「交際費」と「食糧費」の使い方については、きちんと執行基準を定めており、「旅費」についても年度ごとにいくら支出したのか公表しています。これは、かつて官官接待やカラ出張の問題を反省して、支出状況をガラス張りにして県民に公表するという姿勢の表れだと思われます。ちなみに宮城県庁の場合、平成26年度は旅費が17億3274万4千円、交際費が1434万9千円、食糧費が8678万5千円となっています。
※宮城県交際費執行基準 PDF ⇒ s.pdf
※宮城県食糧費執行基準 PDF ⇒ hs.pdf
埼玉県庁の場合、平成27年度の総計を見ると、旅費が21億2693万399円、交際費が505万2460円、食糧費が1082万2182円となっています。
※埼玉県の交際費、旅費、食糧費の支出状況について【平成27年度3月分】
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0304/kousaihi/kousaihi2803.html
■こうした実情を踏まえて、2月10日付で群馬県監査委員から送り付けてきた住民監査請求の補正命令に対して、当会は2月15日午前10時過ぎに、次の内容の補正書を群馬県監査委員事務局の窓口に提出しました。
*****送り状*****PDF ⇒ 20170215ilnukqj.pdf
平成29年 2月15日
〒371-8570
前橋市大手町1-1-1 群馬県庁26階
群馬県監査委員 丸 山 幸 男 様
同 林 章 様
同 岩 井 均 様
同 須 藤 和 臣 様
(群馬県監査委員事務局気付)
〒379-0114
群馬県安中市野殿980
請求人 小川 賢
TEL 090-6190-6480
住民監査請求の補正について(補正書の提出)
請求人が平成29年1月30日に提出した住民監査請求(群馬県職員措置請求)について、平成29年2月10日付群監第02-104号により貴殿から、地方自治法第242条に規定する請求の要件を具備しているかどうかを判断するに当たり、不明な点があるとして、補正依頼があったため、添付のとおり補正書を提出いたしますのでよろしくご査収くださるようお願い申し上げます。
=====補正書=====
群馬県職員措置請求書の補正書
平成29年1月30日に提出のありました「群馬県職員措置請求書」(以下「措置請求書」という。)については、地方自治法第242条に規定する請求の要件を具備しているかどうかを判断するにあたり、不明な点がありますので、下記の補正を依頼します。
各質問事項について、枠線内に回答を記入してください。回答は、簡潔かつ具体的なものとしてください。
記
1 あなたが今回の措置請求の対象とした行為(「課長以下の職員ら7名」分の社会参加費計49,000円の支出)が実際にあったことがわかる資料を事実証明書として追加提出してください。
(※あなたが提出した事実証明書4は、群馬県知事が平成28年4月13日に開催された記者クラブとの懇談会(以下「本件記者クラブ懇談会」という。)に出席する際、7,000円が支出されたことを証する資料であって、あなたが今回の措置請求の対象とした「課長以下の職員ら7名」が本件記者クラブ懇談会に出席する際、社会参加費7名分計49,000円が支出されたことを証するものではありません。
「課長以下の職員ら7名」が本件記者クラブ懇談会に出席する際、現に社会参加費7名分計49,000円が支出されたことがわかる資料(当該7名分の領収証等)を提出してください。)
すでに提出済みの事実証明書12の「群馬県・総務部の交際費・社会参加費28年4月」をご覧ください。ここには総務部長の交際費として4月13日に支出件名「県幹部と記者クラブとの懇談会会費」として支出金額「7,000円」という記載があります。また、社会参加費の28年4月分の件数「10件」、支出額「98,000円」とあります。部長以外に参加したと思われる秘書課、財政課、広報課の職員ら7名分の会費「49,000円」はこの中に含まれているものと推察されます。
なお、今回の住民監査請求に先立ち、2016年6月7日付けで次の内容の公文書開示請求書を提出しました。(事実証明書13参照)
(1)2016年4月13日に群馬県知事が7000円を支出した記者クラブとの懇談会にかかる領収書、主催者名、参加各団体・組織・法人の名称、参加メンバーの氏名・職位、開催案内、開催の目的・趣旨、開催時間、開催場所、式次第など懇談会の内容が分かる一切の情報。
(2)これ以前にも、大沢知事が就任後、開催された同様の記者クラブとのすべての懇談会の開催日時、場所、回数、参加者(記者クラブ側と県庁側のそれぞれの参加各社・部署の名称、参加者・職員の氏名・所属部署名・職位を含む)が分かる一切の情報。
(3)県庁記者クラブには18社が「加盟」していると言われているが、その構成各社が分かる一切の情報。
(4)県庁記者クラブの運営・維持に関して県が過去5年間に支出した年間の経費(光熱費などのユーティリティ費用とその内訳、県有施設の占有スペースにかかる租税公課などの内訳ごとの情報を含む)が分かる一切の情報。
上記(1)のとおり、関係者の領収書を含め開示請求をしたところ、なぜか知事の領収書だけしか開示されませんでした。この理由として不存在なのか、あるいは個人情報なのか、それとも開示すると不都合だったのかは不詳です。(事実証明書14、15、16、17参照)
お手数ですが、監査委員の権限により、調査をしてご確認くださるよう強く要請いたします。
2 措置請求書2ぺージ(9)に、「記者クラブとの懇談会に参加させた課長以下の職員ら7名に対して、(中略)合計7名分×@7,000円=4万9000円を、群馬県に変換させるよう勧告することを求めます」と記載されています。
「課長以下の職員ら7名」とは、措置請求書1ページ(3)に記載された「秘書課長星野恵一、財政課長友松寛、広報課長五十嵐優子、秘書課次長平井一成、広報課次長設楽修一、広報課飯塚毅・深津昇平」の7名を指すものと解釈してよいでしょうか(別紙による回答も可)。
措置請求書に記載したとおりです。当該職員7名を指すものと解釈して構いません。
3 あなたは、監査委員に求める措置として、「群馬県知事大澤正明をして、記者クラブの懇談会に参加させた課長以下の職員ら7名に対して、群馬県特有の意味不明な「社会参加費」として支出を認めた総務部長に対して、合計7名分×@7,000円=4万9000円を、群馬県に返還させるよう勧告することを求めます」と記載しています。
今回の措置請求は、「課長以下7名の職員が記者クラブとの懇談会に出席する際、社会参加費を支出することを認めた総務部長に対し、当該支出に相当する4万9,000円の金員を群馬県に返還させるよう、群馬県知事に監査委員が勧告することを求めるもの」と解釈してよいでしょうか(別紙による回答も可)。
社会参加費の支出の決裁者については、開示された情報からは確認できません。提出済みの事実証明書12をご覧ください。ここに記載してある内容をみたうえで、総務部のHPに支出の事実が推察される情報が記載されていることから、最高職位にある総務部長がこの支出の決裁を行ったものと判断した次第です。
本来、社会参加費についても、もっと詳しく支出内容や状況についてHP上に開示されるべきです。
このことについても、お手数ですが、監査委員の権限により、調査をしてご確認くださるよう強く要請いたします。
上記のとおりです。
群馬県監査委員あて
2017年(平成29年)2月15日
住 所 安中市野殿980
氏 名 小川 賢 印
※氏名は自署(ご本人が実際に記載)してください。
印鑑は、措置請求書に押印した印鑑と同じ印鑑で押印してください。
事実証明書
13.公文書開示請求書(2016年6月7日)
PDF ⇒ pr20160607mjimlnukj1.pdf
14.公文書部分開示決定通知書(第16-1号、平成28年6月22日、広報課報道係)
JPEG ⇒ ps201606221lnujm.jpg
15.公文書開示決定通知書(第16-1号、平成28年6月22日、広報課報道係)
JPEG ⇒ pt201606222lnujmlwj.jpg
16.公文書不存在決定通知書(第16-1号、平成28年6月22日、広報課報道係)
JPEG ⇒ pu201606223lnusmlwj.jpg
17.公文書開示決定通知書(総秘第30000-4号、平成28年6月22日、秘書課調査係)
JPEG ⇒ pv201606224lnujmwj.jpg
**********
■提出時に、窓口の担当者の職員らには「時間稼ぎの補正命令はあれほどやめてほしいといったのに、今回もまた無用な補正命令が出されたのは実に遺憾です」と伝えました。
また、社会参加費に関する詳しい支出情報についても、ホームページ上にきちんと掲載するよう強く申し入れました。
監査委員事務局では、「この後陳述の機会を設けるが、都合の良いのはいつか?」と聞かれたので、「できれば3月3日金曜日にしてください」とお願いをしました。しかし、最終的には監査委員の都合を勘案したうえで最終決定するとのことです。
当会からは「請求人の陳述に実施機関の担当職員らが立ち会うのだから、公平性の観点から、実施機関の担当職員らの陳述時には、住民監査請求人にも立ち会う権利を認めた欲しい」と、これまで再三申し入れて来たことを改めて監査委員事務局に対して強く要請しました。
身内の職員をどの程度厳しく監査できるかどうか、また監査委員がどの程度県民の目線で自主的に監査できるかどうか、今後の展開が注目されます。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※参考記事
**********東京新聞2009年4月21日
県庁の不正経理問題(群馬県) 『カラ出張』教訓生かせず
↑経費の不正支出について釈明する大沢正明知事=昨年10月、前橋市の群馬県庁で↑
「経費の使途を正しく申告するという当たり前の事務が行われていなかった。今度不正があれば、県民の信頼を完全に失うことになる」
群馬県の不正経理が発覚してから半年がたった今月中旬。県会計局の担当者は自戒を込めてこう語った。
会計検査院の指摘を受けて県が内部調査した結果、沼田土木事務所(沼田市)で、架空発注した事務用品の購入費を業者にプールする「預け金」の存在が明らかになった。裏金作りにつながる悪質な事例があったことを踏まえ、県は今年二月、現職の部長や当時の担当職員ら三十四人を処分。新年度を迎えた今月からは、経費の申告書類に納品書の添付を義務付けるなど、新たな会計処理制度をスタートさせた。
県が出直しを強く誓ったのには大きな理由がある。約十三年前の一九九六年、県庁は経費の不正支出問題に揺れた。いわゆる「カラ出張」問題で、九四、九五年度に旅費として計上された総額約七億円が“ヤミ手当”などへ不正に流用されていたことが分かった。
さらに「処分も支出金の返還も求めない」とした当時の小寺弘之知事の方針が「世間の常識から外れた判断だ」と強い批判を浴び、結局は職員の処分や支出金の自主返還などを行うという苦い経験をしている。
経費支出に関する県庁内の長年のあしき慣習が発覚したことで、組織のうみは出し尽くしたはずだった。だが、この間も「役所の常識」は温存され、不正経理は再び繰り返された。
大沢正明知事ら県幹部は「深く県民におわびしたい」と陳謝したが、一方で「経費の私的流用はなかった」「年度の繰り越しが難しい会計処理の技術的な問題も含んでいた」などと述べ、カラ出張問題とは性質が異なると強調し続けた。
カラ出張問題を追及した市民オンブズマン群馬の小川賢代表は「使い切れない経費を手元に残そうとする発想が、不正経理の温床につながる」と強く批判。「問題の本質は、県がカラ出張問題以降も、予算の『完全消化主義』から脱却できていなかったことにある」と指摘する。
単年度決算で融通の利かない自治体の会計制度にも問題点は多い。だが、現状のルールの中でも改善できる部分はある。不正な会計処理をなくすには、県職員全体が、旧態依然とした“お役所体質”を克服し、市民の目線で公金を取り扱う姿勢に転換する努力が必要だ。 (中根政人)
あのとき
昨年十月、会計検査院は任意に調査した十二道府県で不正経理が見つかったことを明らかにした。このうち、群馬県では二〇〇二-〇六年度にかけて、国の補助対象外の旅費計上や発注品とは違う事務用品の購入などで約千九百七十万円が不適切に支出されたほか、事務用品を架空発注し取引業者に経費を保管させた「預け金」約三百四十万円も発覚。ずさんな会計処理の実態が明るみに出た。
**********
※カラ出張を考える!群馬県庁の不正支出問題
http://www.ne.jp/asahi/ombudsman/gunma/kiji/book.htm
↑本日、補正書を提出した県庁26階の監査委員事務局。↑
その後、末尾記事にもあるように、会計検査院の調査により「プール」「とばし」「またぎ」と呼ばれる公金の不正流用による裏金作りの実態が明るみになりました。こうした群馬県特有の裏金体質は、その後解消されたかに見えますが、実はそうでもなさそうだということを今回、指摘しておきたいと思います。
群馬県では、「社会参加費」という得体の知れない支出科目があります。他の都道府県や市町村では、「社会参加費」という呼び方で「交際費」のような、あるいは「食糧費」のような費用を支出しているところは見当たりません。
「交際費」の名目としては、行政を円滑に執行するため、外部との交際を進める上で必要な経費で、「食糧費」は各種会議用茶菓等に係る経費として支出されるのが一般的なようです。いずれも支出に当たっては、社会通念に照らし、適正な範囲で最小にとどめるよう配慮することが求められています。
■筆者は先年、埼玉県庁を訪れた際に「社会参加費」という呼び方をする支出科目があるかどうか、同県庁職員に尋ねたことがあります。その職員は即座に「そういうのは聞いたことがありません」と答えました。
実際に、「社会参加費」というキーワードでネット検索をしても、群馬県庁の関係部署しかヒットしません。他の都道府県では、「交際費」と「食糧費」そして「旅費」として、その支出状況を一覧表にしていますが、群馬県の場合は「交際費」と「社会参加費」という呼び方でそれぞれの部署ごとに、ホームページで掲載しているだけです。
その執行基準はホームページを探す限り見当たりませんが、「交際費」は部長クラス以上が費消する場合を指しており、「社会参加費」というのは課長以下の職員らの「交際費もしくは食糧費」に相当しているようです。しかし、いつ誰が何のために費消したのかはホームページ上からは全く読み取れません。
■宮城県庁の場合、「交際費」と「食糧費」の使い方については、きちんと執行基準を定めており、「旅費」についても年度ごとにいくら支出したのか公表しています。これは、かつて官官接待やカラ出張の問題を反省して、支出状況をガラス張りにして県民に公表するという姿勢の表れだと思われます。ちなみに宮城県庁の場合、平成26年度は旅費が17億3274万4千円、交際費が1434万9千円、食糧費が8678万5千円となっています。
※宮城県交際費執行基準 PDF ⇒ s.pdf
※宮城県食糧費執行基準 PDF ⇒ hs.pdf
埼玉県庁の場合、平成27年度の総計を見ると、旅費が21億2693万399円、交際費が505万2460円、食糧費が1082万2182円となっています。
※埼玉県の交際費、旅費、食糧費の支出状況について【平成27年度3月分】
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0304/kousaihi/kousaihi2803.html
■こうした実情を踏まえて、2月10日付で群馬県監査委員から送り付けてきた住民監査請求の補正命令に対して、当会は2月15日午前10時過ぎに、次の内容の補正書を群馬県監査委員事務局の窓口に提出しました。
*****送り状*****PDF ⇒ 20170215ilnukqj.pdf
平成29年 2月15日
〒371-8570
前橋市大手町1-1-1 群馬県庁26階
群馬県監査委員 丸 山 幸 男 様
同 林 章 様
同 岩 井 均 様
同 須 藤 和 臣 様
(群馬県監査委員事務局気付)
〒379-0114
群馬県安中市野殿980
請求人 小川 賢
TEL 090-6190-6480
住民監査請求の補正について(補正書の提出)
請求人が平成29年1月30日に提出した住民監査請求(群馬県職員措置請求)について、平成29年2月10日付群監第02-104号により貴殿から、地方自治法第242条に規定する請求の要件を具備しているかどうかを判断するに当たり、不明な点があるとして、補正依頼があったため、添付のとおり補正書を提出いたしますのでよろしくご査収くださるようお願い申し上げます。
=====補正書=====
群馬県職員措置請求書の補正書
平成29年1月30日に提出のありました「群馬県職員措置請求書」(以下「措置請求書」という。)については、地方自治法第242条に規定する請求の要件を具備しているかどうかを判断するにあたり、不明な点がありますので、下記の補正を依頼します。
各質問事項について、枠線内に回答を記入してください。回答は、簡潔かつ具体的なものとしてください。
記
1 あなたが今回の措置請求の対象とした行為(「課長以下の職員ら7名」分の社会参加費計49,000円の支出)が実際にあったことがわかる資料を事実証明書として追加提出してください。
(※あなたが提出した事実証明書4は、群馬県知事が平成28年4月13日に開催された記者クラブとの懇談会(以下「本件記者クラブ懇談会」という。)に出席する際、7,000円が支出されたことを証する資料であって、あなたが今回の措置請求の対象とした「課長以下の職員ら7名」が本件記者クラブ懇談会に出席する際、社会参加費7名分計49,000円が支出されたことを証するものではありません。
「課長以下の職員ら7名」が本件記者クラブ懇談会に出席する際、現に社会参加費7名分計49,000円が支出されたことがわかる資料(当該7名分の領収証等)を提出してください。)
すでに提出済みの事実証明書12の「群馬県・総務部の交際費・社会参加費28年4月」をご覧ください。ここには総務部長の交際費として4月13日に支出件名「県幹部と記者クラブとの懇談会会費」として支出金額「7,000円」という記載があります。また、社会参加費の28年4月分の件数「10件」、支出額「98,000円」とあります。部長以外に参加したと思われる秘書課、財政課、広報課の職員ら7名分の会費「49,000円」はこの中に含まれているものと推察されます。
なお、今回の住民監査請求に先立ち、2016年6月7日付けで次の内容の公文書開示請求書を提出しました。(事実証明書13参照)
(1)2016年4月13日に群馬県知事が7000円を支出した記者クラブとの懇談会にかかる領収書、主催者名、参加各団体・組織・法人の名称、参加メンバーの氏名・職位、開催案内、開催の目的・趣旨、開催時間、開催場所、式次第など懇談会の内容が分かる一切の情報。
(2)これ以前にも、大沢知事が就任後、開催された同様の記者クラブとのすべての懇談会の開催日時、場所、回数、参加者(記者クラブ側と県庁側のそれぞれの参加各社・部署の名称、参加者・職員の氏名・所属部署名・職位を含む)が分かる一切の情報。
(3)県庁記者クラブには18社が「加盟」していると言われているが、その構成各社が分かる一切の情報。
(4)県庁記者クラブの運営・維持に関して県が過去5年間に支出した年間の経費(光熱費などのユーティリティ費用とその内訳、県有施設の占有スペースにかかる租税公課などの内訳ごとの情報を含む)が分かる一切の情報。
上記(1)のとおり、関係者の領収書を含め開示請求をしたところ、なぜか知事の領収書だけしか開示されませんでした。この理由として不存在なのか、あるいは個人情報なのか、それとも開示すると不都合だったのかは不詳です。(事実証明書14、15、16、17参照)
お手数ですが、監査委員の権限により、調査をしてご確認くださるよう強く要請いたします。
2 措置請求書2ぺージ(9)に、「記者クラブとの懇談会に参加させた課長以下の職員ら7名に対して、(中略)合計7名分×@7,000円=4万9000円を、群馬県に変換させるよう勧告することを求めます」と記載されています。
「課長以下の職員ら7名」とは、措置請求書1ページ(3)に記載された「秘書課長星野恵一、財政課長友松寛、広報課長五十嵐優子、秘書課次長平井一成、広報課次長設楽修一、広報課飯塚毅・深津昇平」の7名を指すものと解釈してよいでしょうか(別紙による回答も可)。
措置請求書に記載したとおりです。当該職員7名を指すものと解釈して構いません。
3 あなたは、監査委員に求める措置として、「群馬県知事大澤正明をして、記者クラブの懇談会に参加させた課長以下の職員ら7名に対して、群馬県特有の意味不明な「社会参加費」として支出を認めた総務部長に対して、合計7名分×@7,000円=4万9000円を、群馬県に返還させるよう勧告することを求めます」と記載しています。
今回の措置請求は、「課長以下7名の職員が記者クラブとの懇談会に出席する際、社会参加費を支出することを認めた総務部長に対し、当該支出に相当する4万9,000円の金員を群馬県に返還させるよう、群馬県知事に監査委員が勧告することを求めるもの」と解釈してよいでしょうか(別紙による回答も可)。
社会参加費の支出の決裁者については、開示された情報からは確認できません。提出済みの事実証明書12をご覧ください。ここに記載してある内容をみたうえで、総務部のHPに支出の事実が推察される情報が記載されていることから、最高職位にある総務部長がこの支出の決裁を行ったものと判断した次第です。
本来、社会参加費についても、もっと詳しく支出内容や状況についてHP上に開示されるべきです。
このことについても、お手数ですが、監査委員の権限により、調査をしてご確認くださるよう強く要請いたします。
上記のとおりです。
群馬県監査委員あて
2017年(平成29年)2月15日
住 所 安中市野殿980
氏 名 小川 賢 印
※氏名は自署(ご本人が実際に記載)してください。
印鑑は、措置請求書に押印した印鑑と同じ印鑑で押印してください。
事実証明書
13.公文書開示請求書(2016年6月7日)
PDF ⇒ pr20160607mjimlnukj1.pdf
14.公文書部分開示決定通知書(第16-1号、平成28年6月22日、広報課報道係)
JPEG ⇒ ps201606221lnujm.jpg
15.公文書開示決定通知書(第16-1号、平成28年6月22日、広報課報道係)
JPEG ⇒ pt201606222lnujmlwj.jpg
16.公文書不存在決定通知書(第16-1号、平成28年6月22日、広報課報道係)
JPEG ⇒ pu201606223lnusmlwj.jpg
17.公文書開示決定通知書(総秘第30000-4号、平成28年6月22日、秘書課調査係)
JPEG ⇒ pv201606224lnujmwj.jpg
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■提出時に、窓口の担当者の職員らには「時間稼ぎの補正命令はあれほどやめてほしいといったのに、今回もまた無用な補正命令が出されたのは実に遺憾です」と伝えました。
また、社会参加費に関する詳しい支出情報についても、ホームページ上にきちんと掲載するよう強く申し入れました。
監査委員事務局では、「この後陳述の機会を設けるが、都合の良いのはいつか?」と聞かれたので、「できれば3月3日金曜日にしてください」とお願いをしました。しかし、最終的には監査委員の都合を勘案したうえで最終決定するとのことです。
当会からは「請求人の陳述に実施機関の担当職員らが立ち会うのだから、公平性の観点から、実施機関の担当職員らの陳述時には、住民監査請求人にも立ち会う権利を認めた欲しい」と、これまで再三申し入れて来たことを改めて監査委員事務局に対して強く要請しました。
身内の職員をどの程度厳しく監査できるかどうか、また監査委員がどの程度県民の目線で自主的に監査できるかどうか、今後の展開が注目されます。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※参考記事
**********東京新聞2009年4月21日
県庁の不正経理問題(群馬県) 『カラ出張』教訓生かせず
↑経費の不正支出について釈明する大沢正明知事=昨年10月、前橋市の群馬県庁で↑
「経費の使途を正しく申告するという当たり前の事務が行われていなかった。今度不正があれば、県民の信頼を完全に失うことになる」
群馬県の不正経理が発覚してから半年がたった今月中旬。県会計局の担当者は自戒を込めてこう語った。
会計検査院の指摘を受けて県が内部調査した結果、沼田土木事務所(沼田市)で、架空発注した事務用品の購入費を業者にプールする「預け金」の存在が明らかになった。裏金作りにつながる悪質な事例があったことを踏まえ、県は今年二月、現職の部長や当時の担当職員ら三十四人を処分。新年度を迎えた今月からは、経費の申告書類に納品書の添付を義務付けるなど、新たな会計処理制度をスタートさせた。
県が出直しを強く誓ったのには大きな理由がある。約十三年前の一九九六年、県庁は経費の不正支出問題に揺れた。いわゆる「カラ出張」問題で、九四、九五年度に旅費として計上された総額約七億円が“ヤミ手当”などへ不正に流用されていたことが分かった。
さらに「処分も支出金の返還も求めない」とした当時の小寺弘之知事の方針が「世間の常識から外れた判断だ」と強い批判を浴び、結局は職員の処分や支出金の自主返還などを行うという苦い経験をしている。
経費支出に関する県庁内の長年のあしき慣習が発覚したことで、組織のうみは出し尽くしたはずだった。だが、この間も「役所の常識」は温存され、不正経理は再び繰り返された。
大沢正明知事ら県幹部は「深く県民におわびしたい」と陳謝したが、一方で「経費の私的流用はなかった」「年度の繰り越しが難しい会計処理の技術的な問題も含んでいた」などと述べ、カラ出張問題とは性質が異なると強調し続けた。
カラ出張問題を追及した市民オンブズマン群馬の小川賢代表は「使い切れない経費を手元に残そうとする発想が、不正経理の温床につながる」と強く批判。「問題の本質は、県がカラ出張問題以降も、予算の『完全消化主義』から脱却できていなかったことにある」と指摘する。
単年度決算で融通の利かない自治体の会計制度にも問題点は多い。だが、現状のルールの中でも改善できる部分はある。不正な会計処理をなくすには、県職員全体が、旧態依然とした“お役所体質”を克服し、市民の目線で公金を取り扱う姿勢に転換する努力が必要だ。 (中根政人)
あのとき
昨年十月、会計検査院は任意に調査した十二道府県で不正経理が見つかったことを明らかにした。このうち、群馬県では二〇〇二-〇六年度にかけて、国の補助対象外の旅費計上や発注品とは違う事務用品の購入などで約千九百七十万円が不適切に支出されたほか、事務用品を架空発注し取引業者に経費を保管させた「預け金」約三百四十万円も発覚。ずさんな会計処理の実態が明るみに出た。
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