■群馬県環境影響評価条例では、事業者が排出ガス量が1時間当たり最大4万ノルマル㎥を超える工場又は事業場を新設または増設する場合、環境影響評価方法書の作成を義務付けています。そして、事業者から送付された環境影響評価方法書は群馬県により公告、縦覧され、県民は意見書を提出することができることになっています。
ところが、東電グループでも最大の関電工らが計画している前橋バイオマス発電施設では、排出ガス量が毎時4万ノルマル㎥を超えるにもかかわらず、条例に基づく環境影響評価方法書の作成が為されていません。関電工の説明では、群馬県との協議により、特例扱いとされたことになっています。
そのため、当会ではなぜ群馬県が関電工に対して「特例」措置を行ったのか、その経緯を徹底追及するため、情報開示請求を行いましたが、不存在という理由で一切開示されませんでした。
ところがその後、当会の調査で、実際には水分20%として排ガス量を計算してもよいという起案が群馬県の環境行政内部文書として存在することが判明したのです。そこで当会は2016年11月4日に不存在決定処分の取消を求めて提訴しました。
■その第1回口頭弁論期日が、2017年1月18日(水)午前10時30分から前橋地裁の第21号法廷で開催されました。
第1回口頭弁論では、裁判長から原告に「反論があると思うが、どうか?」と聞かれたので、原告は「はい、山ほど反論があります」と答えました。すると裁判長は「どのくらいの期間が必要か?」と聞くので、原告は「1ヶ月あれば十分対応できます」と答えました。
その上で裁判長は、「では原告には、2月17日までに書面を出してもらいたい。そうすると次回の第2回口頭弁論期日は3月1日午前10時30分でどうか?」と述べたので、原告は「分かりました」と答えました。ところが、被告の訴訟代理人は「差支えます」と述べました。
裁判長は、「そうすると、3月8日午前10時30分ではどうか?」というので。原告は「異存ありません」と言いましたが、被告訴訟代理人はまたもや「差支えます」と注文を付けました。結局、第2回口頭弁論は3月15日(水)午前10時30分。大丈夫か?」というので、原告らは「大丈夫です」というと、ようやく被告訴訟代理人も「はい」と言いました。
この第1回口頭弁論期日までの本件の経緯は次のブログをご覧ください。
〇2016年11月6日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!・・・環境影響評価条例を歪めた証拠文書不存在でオンブズが県を提訴↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2155.html
〇2016年12月12日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!・・・環境アセス不要の根拠文書不存在訴訟で地裁から補正指示↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2184.html
〇2017年1月15日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!・・・環境アセス不要の根拠文書不存在訴訟で被告群馬県から答弁書↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2208.html
〇2017年1月19日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!・・・環境アセス不要の根拠文書不存在訴訟の1.18第1回弁論の様子↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2216.html
■それから1ヶ月が経過した2月20日(月)午前11時35分に前橋地裁の書記官から電話がありました。聞くと、「2月17日(金)までに反論のための準備書面の提出がないが、どうしたのか?」と書記官が言うので、原告は「確か3月15日が次回弁論期日だったので、1週間前に提出すればよいと考えていました」と言いました。
すると書記官は、「たしかに今すぐでなくても構わないが、裁判長は大変時間を気にするかたなので、法廷で決めたことにこだわられるため、早めに出せるなら出した方がよい」という趣旨を述べました。
そこで早速、原告準備書面(1)の作成に着手し、4月23日までに書き上げました。そして、一昨日2月24日(金)午前11時30分に、当会の事務局長が裁判所と被告訴訟代理人に次の内容の裁判資料を提出しました。
*****原告準備書面(1)*****
事件番号 平成28年(行ウ)第24号 公文書不存在決定処分取消請求事件
原告 市民オンブズマン群馬
被告 群馬県
平成29年2月24日
前橋地方裁判所民事第1部合議係 御中
原告準備書面(1)
原告 市民オンブズマン群馬 ㊞
平成29年1月10日付の被告答弁書に関する原告の反論を次のとおり陳述する。
第1 「第3 被告の主張」について
(1)「1 本件文書(請求の原因第1の1と同義。以下同じ。)は存在しない」について
被告は、「群馬県環境影響評価条例に基づく環境アセスメント(以下「条例アセスメント」という)は,事業者において,その対象となるか否かを自ら判断する制度である。つまり,後述のとおり,行政機関は,条例アセスメントにつき,その対象となるか否かを判断する立場にない。したがって,その判断に関する情報を記録する必要性はなく,また,同条例上も求められていないことから,これに係る公文書は存在しないのである」と主張するが、失当である。
被告が定めた群馬県環境影響評価条例(以下「条例」という)(甲6)の第3条(県等の責務)には、「県、事業者及び県民は、群馬県環境基本条例(平成8年群馬県条例第36号)第3条の基本理念にのっとり、事業の実施前における環境影響評価の重要性を深く認識して、この条例の規定による環境影響評価その他の手続が適切かつ円滑に行われ、事業の実施による環境への負荷をできる限り回避し、又は低減することその他の環境の保全についての配慮が適正になされるようにそれぞれの立場で努めなければならない。」と明記してある。
この趣旨は、「この条例により、手続きが円滑に行われることにより、環境保全等を図れる」ことが前提である。にもかかわらず被告は「事業者の自らの任意の判断で実施しなくてもよい」と断言している。条例のどこにそのようなことが記載されているのか、原告はもとより県民の誰もが読み取れない状況に置かれていることを被告は知るべきである。このことについて、被告に釈明を求める。こうして被告は条例を捻じ曲げて解釈しようとしており、その主張は県民の健康や命、そして、環境の保護をないがしろにするものである。
条例第46条(勧告及び公表)第1項には、「知事は、事業者が条例の規定に違反して環境影響評価その他の手続を実施しなかったときには、当該事業者に対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができる」と明記してある。ところが被告の主張は、事業者が自らの任意の判断で手続きを実施しなくても、それは事業者次第であるから問題ないというふうに受け取れる。このことは、「事業者が条例に定めた手続きをしなかったときに、当該事業者に対して、必要な措置をとるべきことを勧告できるが、被告はそれを怠ったので勧告をすることができなかった」という意味とは全く異なり、条例の趣旨を完全に逸脱するものである。もし被告が主張するように、環境アセスメントの実施の有無を、事業者自らの判断に委ねているとすれば、この第1項は意味をなさず不要なものになってしまう。このことに関する被告の釈明を求める。
条例第46条第2項には、「知事は、事業者が前項の規定による勧告に従わなかったときは、規則で定めるところにより、その旨を公表することができる」と定めがある。被告の主張が仮に正しいとすれば、事業者が自らの任意の判断で環境アセスメントの手続きをしなくてもよいのだから、第1項の規則による勧告に従わなくても何ら問題がないのであり、この第2項は意味をなさない不要なものになる。このことに関する被告の釈明を求める。
さらに条例第46条第3項では、「知事は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、その公表の理由を当該事業者に通知し、当該事業者が意見を述べ及び有利な証拠を提出する機会を与えなければならない」と定めている。だが、被告の主張が仮に正しいとすれば、環境アセスメントの手続きをしない業者に対して、公表の理由を通知する必要もなく、当該事業者から意見を聴取する機会も不要になるわけであり、この第3項は意味をなさない不要なものになる。このことに関する被告の釈明を求める。
被告が定めた群馬県環境影響評価条例施行規則(以下「施行規則」という)(甲7)の第3条(第一種事業)には「条例第2条第2項の規則で定める事業は、別表第一の第一欄に掲げる事業の種類ごとにそれぞれ同表の第二欄及び第三欄に掲げる要件に該当する一の事業並びに第5条第1号の規定により第一種事業に係る環境影響評価その他の手続を実施するものとする一の事業とする」と明記してある。本件事業は第一種事業に該当するのだから、施行規則によっても環境影響評価等の手続きを実施するものとされており、完全に義務付けがうたわれている。
以上のことから、被告が主張する「条例アセスメント」では、事業者が自ら要否を判断するという根拠は全く見当たらない。被告は特定の事業者の権益を脱法的に守るために、特例措置をとったことになり、まさに、条例順守を事業者に支持する立場の被告が、自ら条例をないがしろにしていることになり、被告の存在意義を自ら否定することになる。この自己矛盾に関して、被告の釈明を求める。
(2)「2 環境アセスメントの手続について」について
被告は「群馬県内における環境アセスメントには,環境影響評価法(以下「法」という)に基づくアセスメント(以下「法アセスメント」という)と,群馬県環境影響評価条例に基づく条例アセスメントの2種類があり,それぞれアセスメントの対象事業を別個に規定する。すなわち,法アセスメントの対象事業に該当しない類型及び規模の事業であっても,環境に影響を及ぼす程度が著しいと考えられる類型の事業について,一定の規棋要件を満たす場合に条例アセスメントの対象事業となる。 まず,法アセスメントは,その対象事業として,第一種事業及び第二種事業を規定し,第一種事業については無粂件でアセスメントが必要であるとし,第二種事業については,アセスメントが必要かどうかにつき行政機関による「判定」を行うものと規定している(同法2条3項,4条)。この「判定」手続では,事業者の届出により,主務大臣等が,都道府県知事の意見を聴いたうえ,環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあると認めるときに,アセスメントが必要であると決定する(同法4条)。例えば,火力発電所の設置工事事業を行う場合,出力が15万キロワット以上であれば第一種事業に該当し,出力が11万2500キロワット以上15万キロワット未満であれば,第二種事業に該当する(法施行令別表第1の5号ホ)。第二極事業に該当する場合,法アセスメントが必要かどうか「判定」が行われることになる。この点,「前橋バイオマス発電施設」については,出力が6700キロワットであるため,その設置工事が法アセスメント対象事業ではないことは明白である」などと、条例とは関係のない法について縷々説明しているのは争点を意図的にぼやかすものであり遺憾である。
さらに被告は「他方,群馬県環境影響評価条例に基づく条例アセスメントは,法アセスメントの適用対象とならない事業のうち環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業を対象とするものである(同条例2条2項,3項)。同条例は,その規定する第一種事業及び第二種事業について,いずれも条例アセスメントの対象事業となるか否かにつき「判定」を必要としていない(同条例2条2項,3項,5条,25条)。この点,「前橋バイオマス発電施設」設置工事は,同条例施行規則別表第1のG号イ(工場又は事業場の新設又は増設の事業)により,排出ガス量(温度が0度で圧力が1気圧の状態に換算した1時間あたりの湿り排出ガスの最大量)が「4万立方メートル以上」である場合,条例アセスメントの対象となる」と主張して、「判定」は必要とされない、などと、およそ原告が聞いてもいないことを持ち出して、あたかも「判定」は不要だから、事業者が自ら任意で該当するかどうかを判断することが正当であるかのような、呆れた論旨を主張しているのは、順法精神が強く求められる自治体・公務員としてあるまじきふるまいであることをここにはっきりと指摘しておきたい。ちなみに、同条例2条2項、3項では、「別表に規則として定めるもの」と明記があり、同条例5条、25条では、「環境影響評価方法書を作成しなければならない」と明記されており、「判定」ではなく、「義務」付けがなされているのである。
ところが被告はあくまでも自らのコンプライアンス違反を糊塗したいらしく、挙句の果てに被告は、「このように,『前橋バイオマス発電施設』設置工事は,法アセスメントの対象とならないことは明白であり,条例アセスメントの対象となる可能性があるのみであるから,法アセスメントの第2種事業に適用される『判定』(スクリーニング)は不要である。この点,原告は,法アセスメントと条例アセスメントに必要とされる手続を混同し,環境政策課がアセスメント対象除外を判断したのであると誤解したものと思料する」などと、自ら特定事業者に便宜を図るあまり、法外な理屈をこじつけて自らの不法行為を正当化しようとしているが、到底許されてはならないものである。
第2 求釈明
(1) 被告は「事業者の自らの任意の判断で実施しなくてもよい」と断言するが、条例のどこにそのようなことが記載されているのか、具体的な個所を示してわかりやすく説明されたい。
(2) もし被告が主張するように、環境アセスメントの実施の有無を、事業者自らの判断に委ねているとすれば、条例第46条(勧告および公表)第1項は意味をなさず不要なものになってしまうと思われるが、被告の見解を質したい。
(3) 仮に被告の主張が正しいとすれば、条例第46条第1項の規則による勧告に従わなくても何ら問題がないわけであり、条例第46条第2項は意味をなさない不要なものになると思われるが、このことに関する被告の見解を質したい。
(4) 仮に被告の主張が正しいとすれば、環境アセスメントの手続きをしない業者に対して、公表の理由を通知する必要もなく、当該事業者から意見を聴取する機会も不要になるわけであり、条例第46条第3項は意味をなさない不要なものになると思われるが、このことに関する被告の見解を質したい。
(5) 被告が主張する「条例アセスメント」では、事業者が自ら要否を判断するという根拠はどこにも見当たらない。被告は特定の事業者の権益を脱法的に守るために、特例措置をとったことになり、まさに、条例順守を事業者に支持する立場の被告が、自ら条例をないがしろにしていることになり、被告の存在意義を自ら否定することになると思われるが、この自己矛盾のリスクに関して、被告の見解を質したい。
以 上
*****証拠説明書(甲6・7)*****
PDF ⇒ buev20170224.pdf
*****甲第6号証*****
PDF ⇒ 20170224b61.pdf
20170224b62.pdf
20170224b63.pdf
*****甲第7号証*****
PDF ⇒ 20170224b71.pdf
20170224b72.pdf
20170224b73.pdf
**********
■まもなく東日本大震災と東電福島第一原発事故から6年が経過します。今日の東京新聞の一面記事によれば、福島第一原発をはじめとする廃炉や使用済み燃料処理など原発の後始末に要する費用が膨張していて、同紙が政府推計や予算資料を集計してみたら、国内の原発処理の経費は最低40兆円に達することが判明したということです。
また、政府は、福島の原発事故の処理費を2014年の時点で11兆円と推計していましたが、現在は21.5兆円に倍増していて、被災者への賠償金は、新電力会社も含めて全国民の電気代に転嫁され、福島原発廃炉費用も東電管内では電気代負担となる見通しであり、除染費用も一部地域について2017年度から税金投入(初年度300億円)されることになっています。
原発事故のせいで、これほどまでに国民に負担を強いておきながら、群馬県の場合、さらに放射能汚染された林地の間伐材や廃材を、バイオマス発電という名目で、焼却処理をしようとする東電グループの関電工の陰謀計画に加担し、我々国民・県民の血税4.8億円を間伐材・廃材チップ工場建設のためにくれてやるほか、環境アセスメント条例さえも不問にして、便宜を図る始末です。
■群馬県がいかに関電工のために便宜をはかっているのか・・・3月15日(水)午前10:30から前橋地裁本館2階21号法廷で開かれる第2回口頭弁論において、裁判長がどのような訴訟指揮をするのか、引き続き注目されます。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
ところが、東電グループでも最大の関電工らが計画している前橋バイオマス発電施設では、排出ガス量が毎時4万ノルマル㎥を超えるにもかかわらず、条例に基づく環境影響評価方法書の作成が為されていません。関電工の説明では、群馬県との協議により、特例扱いとされたことになっています。
そのため、当会ではなぜ群馬県が関電工に対して「特例」措置を行ったのか、その経緯を徹底追及するため、情報開示請求を行いましたが、不存在という理由で一切開示されませんでした。
ところがその後、当会の調査で、実際には水分20%として排ガス量を計算してもよいという起案が群馬県の環境行政内部文書として存在することが判明したのです。そこで当会は2016年11月4日に不存在決定処分の取消を求めて提訴しました。
■その第1回口頭弁論期日が、2017年1月18日(水)午前10時30分から前橋地裁の第21号法廷で開催されました。
第1回口頭弁論では、裁判長から原告に「反論があると思うが、どうか?」と聞かれたので、原告は「はい、山ほど反論があります」と答えました。すると裁判長は「どのくらいの期間が必要か?」と聞くので、原告は「1ヶ月あれば十分対応できます」と答えました。
その上で裁判長は、「では原告には、2月17日までに書面を出してもらいたい。そうすると次回の第2回口頭弁論期日は3月1日午前10時30分でどうか?」と述べたので、原告は「分かりました」と答えました。ところが、被告の訴訟代理人は「差支えます」と述べました。
裁判長は、「そうすると、3月8日午前10時30分ではどうか?」というので。原告は「異存ありません」と言いましたが、被告訴訟代理人はまたもや「差支えます」と注文を付けました。結局、第2回口頭弁論は3月15日(水)午前10時30分。大丈夫か?」というので、原告らは「大丈夫です」というと、ようやく被告訴訟代理人も「はい」と言いました。
この第1回口頭弁論期日までの本件の経緯は次のブログをご覧ください。
〇2016年11月6日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!・・・環境影響評価条例を歪めた証拠文書不存在でオンブズが県を提訴↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2155.html
〇2016年12月12日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!・・・環境アセス不要の根拠文書不存在訴訟で地裁から補正指示↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2184.html
〇2017年1月15日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!・・・環境アセス不要の根拠文書不存在訴訟で被告群馬県から答弁書↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2208.html
〇2017年1月19日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!・・・環境アセス不要の根拠文書不存在訴訟の1.18第1回弁論の様子↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2216.html
■それから1ヶ月が経過した2月20日(月)午前11時35分に前橋地裁の書記官から電話がありました。聞くと、「2月17日(金)までに反論のための準備書面の提出がないが、どうしたのか?」と書記官が言うので、原告は「確か3月15日が次回弁論期日だったので、1週間前に提出すればよいと考えていました」と言いました。
すると書記官は、「たしかに今すぐでなくても構わないが、裁判長は大変時間を気にするかたなので、法廷で決めたことにこだわられるため、早めに出せるなら出した方がよい」という趣旨を述べました。
そこで早速、原告準備書面(1)の作成に着手し、4月23日までに書き上げました。そして、一昨日2月24日(金)午前11時30分に、当会の事務局長が裁判所と被告訴訟代理人に次の内容の裁判資料を提出しました。
*****原告準備書面(1)*****
事件番号 平成28年(行ウ)第24号 公文書不存在決定処分取消請求事件
原告 市民オンブズマン群馬
被告 群馬県
平成29年2月24日
前橋地方裁判所民事第1部合議係 御中
原告準備書面(1)
原告 市民オンブズマン群馬 ㊞
平成29年1月10日付の被告答弁書に関する原告の反論を次のとおり陳述する。
第1 「第3 被告の主張」について
(1)「1 本件文書(請求の原因第1の1と同義。以下同じ。)は存在しない」について
被告は、「群馬県環境影響評価条例に基づく環境アセスメント(以下「条例アセスメント」という)は,事業者において,その対象となるか否かを自ら判断する制度である。つまり,後述のとおり,行政機関は,条例アセスメントにつき,その対象となるか否かを判断する立場にない。したがって,その判断に関する情報を記録する必要性はなく,また,同条例上も求められていないことから,これに係る公文書は存在しないのである」と主張するが、失当である。
被告が定めた群馬県環境影響評価条例(以下「条例」という)(甲6)の第3条(県等の責務)には、「県、事業者及び県民は、群馬県環境基本条例(平成8年群馬県条例第36号)第3条の基本理念にのっとり、事業の実施前における環境影響評価の重要性を深く認識して、この条例の規定による環境影響評価その他の手続が適切かつ円滑に行われ、事業の実施による環境への負荷をできる限り回避し、又は低減することその他の環境の保全についての配慮が適正になされるようにそれぞれの立場で努めなければならない。」と明記してある。
この趣旨は、「この条例により、手続きが円滑に行われることにより、環境保全等を図れる」ことが前提である。にもかかわらず被告は「事業者の自らの任意の判断で実施しなくてもよい」と断言している。条例のどこにそのようなことが記載されているのか、原告はもとより県民の誰もが読み取れない状況に置かれていることを被告は知るべきである。このことについて、被告に釈明を求める。こうして被告は条例を捻じ曲げて解釈しようとしており、その主張は県民の健康や命、そして、環境の保護をないがしろにするものである。
条例第46条(勧告及び公表)第1項には、「知事は、事業者が条例の規定に違反して環境影響評価その他の手続を実施しなかったときには、当該事業者に対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができる」と明記してある。ところが被告の主張は、事業者が自らの任意の判断で手続きを実施しなくても、それは事業者次第であるから問題ないというふうに受け取れる。このことは、「事業者が条例に定めた手続きをしなかったときに、当該事業者に対して、必要な措置をとるべきことを勧告できるが、被告はそれを怠ったので勧告をすることができなかった」という意味とは全く異なり、条例の趣旨を完全に逸脱するものである。もし被告が主張するように、環境アセスメントの実施の有無を、事業者自らの判断に委ねているとすれば、この第1項は意味をなさず不要なものになってしまう。このことに関する被告の釈明を求める。
条例第46条第2項には、「知事は、事業者が前項の規定による勧告に従わなかったときは、規則で定めるところにより、その旨を公表することができる」と定めがある。被告の主張が仮に正しいとすれば、事業者が自らの任意の判断で環境アセスメントの手続きをしなくてもよいのだから、第1項の規則による勧告に従わなくても何ら問題がないのであり、この第2項は意味をなさない不要なものになる。このことに関する被告の釈明を求める。
さらに条例第46条第3項では、「知事は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、その公表の理由を当該事業者に通知し、当該事業者が意見を述べ及び有利な証拠を提出する機会を与えなければならない」と定めている。だが、被告の主張が仮に正しいとすれば、環境アセスメントの手続きをしない業者に対して、公表の理由を通知する必要もなく、当該事業者から意見を聴取する機会も不要になるわけであり、この第3項は意味をなさない不要なものになる。このことに関する被告の釈明を求める。
被告が定めた群馬県環境影響評価条例施行規則(以下「施行規則」という)(甲7)の第3条(第一種事業)には「条例第2条第2項の規則で定める事業は、別表第一の第一欄に掲げる事業の種類ごとにそれぞれ同表の第二欄及び第三欄に掲げる要件に該当する一の事業並びに第5条第1号の規定により第一種事業に係る環境影響評価その他の手続を実施するものとする一の事業とする」と明記してある。本件事業は第一種事業に該当するのだから、施行規則によっても環境影響評価等の手続きを実施するものとされており、完全に義務付けがうたわれている。
以上のことから、被告が主張する「条例アセスメント」では、事業者が自ら要否を判断するという根拠は全く見当たらない。被告は特定の事業者の権益を脱法的に守るために、特例措置をとったことになり、まさに、条例順守を事業者に支持する立場の被告が、自ら条例をないがしろにしていることになり、被告の存在意義を自ら否定することになる。この自己矛盾に関して、被告の釈明を求める。
(2)「2 環境アセスメントの手続について」について
被告は「群馬県内における環境アセスメントには,環境影響評価法(以下「法」という)に基づくアセスメント(以下「法アセスメント」という)と,群馬県環境影響評価条例に基づく条例アセスメントの2種類があり,それぞれアセスメントの対象事業を別個に規定する。すなわち,法アセスメントの対象事業に該当しない類型及び規模の事業であっても,環境に影響を及ぼす程度が著しいと考えられる類型の事業について,一定の規棋要件を満たす場合に条例アセスメントの対象事業となる。 まず,法アセスメントは,その対象事業として,第一種事業及び第二種事業を規定し,第一種事業については無粂件でアセスメントが必要であるとし,第二種事業については,アセスメントが必要かどうかにつき行政機関による「判定」を行うものと規定している(同法2条3項,4条)。この「判定」手続では,事業者の届出により,主務大臣等が,都道府県知事の意見を聴いたうえ,環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあると認めるときに,アセスメントが必要であると決定する(同法4条)。例えば,火力発電所の設置工事事業を行う場合,出力が15万キロワット以上であれば第一種事業に該当し,出力が11万2500キロワット以上15万キロワット未満であれば,第二種事業に該当する(法施行令別表第1の5号ホ)。第二極事業に該当する場合,法アセスメントが必要かどうか「判定」が行われることになる。この点,「前橋バイオマス発電施設」については,出力が6700キロワットであるため,その設置工事が法アセスメント対象事業ではないことは明白である」などと、条例とは関係のない法について縷々説明しているのは争点を意図的にぼやかすものであり遺憾である。
さらに被告は「他方,群馬県環境影響評価条例に基づく条例アセスメントは,法アセスメントの適用対象とならない事業のうち環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業を対象とするものである(同条例2条2項,3項)。同条例は,その規定する第一種事業及び第二種事業について,いずれも条例アセスメントの対象事業となるか否かにつき「判定」を必要としていない(同条例2条2項,3項,5条,25条)。この点,「前橋バイオマス発電施設」設置工事は,同条例施行規則別表第1のG号イ(工場又は事業場の新設又は増設の事業)により,排出ガス量(温度が0度で圧力が1気圧の状態に換算した1時間あたりの湿り排出ガスの最大量)が「4万立方メートル以上」である場合,条例アセスメントの対象となる」と主張して、「判定」は必要とされない、などと、およそ原告が聞いてもいないことを持ち出して、あたかも「判定」は不要だから、事業者が自ら任意で該当するかどうかを判断することが正当であるかのような、呆れた論旨を主張しているのは、順法精神が強く求められる自治体・公務員としてあるまじきふるまいであることをここにはっきりと指摘しておきたい。ちなみに、同条例2条2項、3項では、「別表に規則として定めるもの」と明記があり、同条例5条、25条では、「環境影響評価方法書を作成しなければならない」と明記されており、「判定」ではなく、「義務」付けがなされているのである。
ところが被告はあくまでも自らのコンプライアンス違反を糊塗したいらしく、挙句の果てに被告は、「このように,『前橋バイオマス発電施設』設置工事は,法アセスメントの対象とならないことは明白であり,条例アセスメントの対象となる可能性があるのみであるから,法アセスメントの第2種事業に適用される『判定』(スクリーニング)は不要である。この点,原告は,法アセスメントと条例アセスメントに必要とされる手続を混同し,環境政策課がアセスメント対象除外を判断したのであると誤解したものと思料する」などと、自ら特定事業者に便宜を図るあまり、法外な理屈をこじつけて自らの不法行為を正当化しようとしているが、到底許されてはならないものである。
第2 求釈明
(1) 被告は「事業者の自らの任意の判断で実施しなくてもよい」と断言するが、条例のどこにそのようなことが記載されているのか、具体的な個所を示してわかりやすく説明されたい。
(2) もし被告が主張するように、環境アセスメントの実施の有無を、事業者自らの判断に委ねているとすれば、条例第46条(勧告および公表)第1項は意味をなさず不要なものになってしまうと思われるが、被告の見解を質したい。
(3) 仮に被告の主張が正しいとすれば、条例第46条第1項の規則による勧告に従わなくても何ら問題がないわけであり、条例第46条第2項は意味をなさない不要なものになると思われるが、このことに関する被告の見解を質したい。
(4) 仮に被告の主張が正しいとすれば、環境アセスメントの手続きをしない業者に対して、公表の理由を通知する必要もなく、当該事業者から意見を聴取する機会も不要になるわけであり、条例第46条第3項は意味をなさない不要なものになると思われるが、このことに関する被告の見解を質したい。
(5) 被告が主張する「条例アセスメント」では、事業者が自ら要否を判断するという根拠はどこにも見当たらない。被告は特定の事業者の権益を脱法的に守るために、特例措置をとったことになり、まさに、条例順守を事業者に支持する立場の被告が、自ら条例をないがしろにしていることになり、被告の存在意義を自ら否定することになると思われるが、この自己矛盾のリスクに関して、被告の見解を質したい。
以 上
*****証拠説明書(甲6・7)*****
PDF ⇒ buev20170224.pdf
*****甲第6号証*****
PDF ⇒ 20170224b61.pdf
20170224b62.pdf
20170224b63.pdf
*****甲第7号証*****
PDF ⇒ 20170224b71.pdf
20170224b72.pdf
20170224b73.pdf
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■まもなく東日本大震災と東電福島第一原発事故から6年が経過します。今日の東京新聞の一面記事によれば、福島第一原発をはじめとする廃炉や使用済み燃料処理など原発の後始末に要する費用が膨張していて、同紙が政府推計や予算資料を集計してみたら、国内の原発処理の経費は最低40兆円に達することが判明したということです。
また、政府は、福島の原発事故の処理費を2014年の時点で11兆円と推計していましたが、現在は21.5兆円に倍増していて、被災者への賠償金は、新電力会社も含めて全国民の電気代に転嫁され、福島原発廃炉費用も東電管内では電気代負担となる見通しであり、除染費用も一部地域について2017年度から税金投入(初年度300億円)されることになっています。
原発事故のせいで、これほどまでに国民に負担を強いておきながら、群馬県の場合、さらに放射能汚染された林地の間伐材や廃材を、バイオマス発電という名目で、焼却処理をしようとする東電グループの関電工の陰謀計画に加担し、我々国民・県民の血税4.8億円を間伐材・廃材チップ工場建設のためにくれてやるほか、環境アセスメント条例さえも不問にして、便宜を図る始末です。
■群馬県がいかに関電工のために便宜をはかっているのか・・・3月15日(水)午前10:30から前橋地裁本館2階21号法廷で開かれる第2回口頭弁論において、裁判長がどのような訴訟指揮をするのか、引き続き注目されます。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】