市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

若宮苑不正給付事件…住民監査の結果、棄却・却下通知を出した県監査委員の背景にある告発義務意識の欠如

2017-11-26 01:31:00 | 高崎市の行政問題

■高崎市の若宮苑を巡る補助金の不正給付を巡り、当会会員が高崎市を相手取って係争中ですが、本来はこうした介護保険制度の根幹を揺るがす事件が起きた場合、行政が率先して是正措置をとらなければなりません。ところが被告高崎市はなんと若宮苑を補助参加させて、不正行為を是正するどころか隠蔽しようと法廷で、公金を使って訴訟代理人の弁護士を起用して、抵抗を続けています。そのため、当会会員は、介護保険制度の元締めであり、補助金の一部も支給している群馬県に対して、不正給付を通報し是正措置を相談しましたが一向に埒があきません。そこで、2017年9月19日に群馬県監査委員あてに群馬県職員措置請求書(住民監査請求書)を提出したところ、この度、11月21日付で住民からの監査請求を棄却・却下するとする監査結果通知が送られてきました。

 なお、本件住民監査請求の経緯は次のブログ記事を参照ください。
〇2017年9月20日:若宮苑不正給付事件…不正支出のうち群馬県が負担した公金分の回収を求めて当会会員が県に住民監査請求
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2417.html#readmore
〇2017年10月2日:【速報】若宮苑不正給付事件…高崎市の不正支出のうち県負担分の回収を求める住民監査請求で補正書提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2428.html#readmore
〇2017年10月17日:若宮苑不正給付事件…県が負担した公金分の回収を求めて当会会員が県監査委員の前で10月16日に陳述
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2440.html#readmore

*****住民監査結果*****PDF ⇒ scn_0001.pdf

<P0>
                          群監第202-30号
                          平成29年11月21日
小川 賢 様
                     群馬県監査委員 丸 山 幸 男
                     同       林     章
                     同       橋 爪 洋 介
                     同       星 名 建 市

            住民監査請求に係る監査結果について

平成29年9月19日付けで収受した標記請求に係る監査結果は、別紙のとおりです。

                      群馬県監査委員事務局
                       特定監査係
                       TEL:027-226-2767

<P1>
             群馬県職員措置請求監査結果
第1 請求人
   群馬県高崎市剣崎町906番地
   岩崎 優
   群馬県安中市野殿980番地
   小川 賢
第2 請求書の提出
   平成29年9月19日
   なお、請求人に対し、同月29日に補正を求め、同年10月2日に補正が行われた。
第3 請求の内容
 1 請求の要旨(請求書原文が長文にわたるため、当監査委員がその内容を要約したもの)
   請求人岩崎優の母親(以下「本件入所者」という。)は、平成27年6月20日から同年8月12日まで介護老人保健施設若宮苑(以下「若宮苑」という。)に入所していた(以下「本件入所1」という。)が、若宮苑が施設サービス計画(以下本件措置請求において「ケアプラン」という。)を作成したのは、事実証明書1のとおり同年7月15日であり、入所日から約25日間はケアプランなしで介護保健施設サービスが提供されていたことになる。
   介護保健施設サービスは、ケアプランに基づいて提供されるものであり、ケアプランを欠くことは、利用者に合わせた適切な介護及び療養は不可能であることから、介護保険法(平成9年法律第123号。以下「介護法」という。)第8条第28項の規定及び介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成11年厚生省令第40号。以下「基準省令」という。)第13条第1項の規定に違反する。
   加えて、当該ケアプランは、本件入所者本人の同意が得られておらず、交付もなされていないことから、基準省令第14条第7項及び第8項の規定にも違反する。
   また、本件入所者は、平成27年9月18日から同年10月15日まで若宮苑に入所していた(以下「本件入所2」という。)が、本件入所2についてもケアブラン本体が作成されていないため、当然、本件入所者本人の同意が得られておらず、交付もなされていない。よって、この点についても介護法第8条第28項の規定並びに基準省令第14条第7項及び第8項の規定に違反する。
   さらに、本件人所1及び本件入所2(以下これらを「本件入所」という。)における極めて重大な違法事由は、ケアプラン第2表の利用者(家族)確認欄(以下「栄養ケア計画」という。)の請求人岩崎優名義の署名が偽造されている点である(事実証明書1及び2)。請求人岩崎優は、栄養ケア計画に署名したことはなく、名前が誤って署名されていることから、外形上、請求人岩崎優本人の署名でないことは明らかであるが、このことは、鑑定人による筆跡鑑定の結果により立証されている(事実証明書3)。
   栄養ケア計画の署名を偽造し、若宮苑の用に供することは、刑法(明治40年法律第45号)第159条及び第161条に規定する私文書偽造罪及び同行使罪に該当し、犯罪である。
   市町村から事業者に支払われる介護給付費については、全体の50%が国・県・市町村の公費から負担されているが、施設等給付費の場合と居宅介護費の場合でその割合は異なり、施設等給付費の場合、国20%、県17.5%、市町村12、5%とされている。本件入所に関し、高崎市長から若宮苑に支払われた介護給付費(以下「本件介護給付費」という。)の合計金額は829,103円である(事実証明書4)が、その17.5%に相当する145,092円は、群馬県知事が高崎市長に支出した平成27年度介護給付費県費負担金を財源とするものである。
   そして、市町村を保険者とする介護保険制度における都道府県の役割は、介護法第5条第2項の規定により、

<P2>
介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるように、必要な助言及び適切な援助をしなければならないとされている。また、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第239条第2項において、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪かあると思料するときは、告発をしなければならない」とされている。
  本件入所に関し、若宮苑が栄養ケア計画の署名を偽造し、及び介護報酬の支払を受けたことは、介護法第22条第3項にいう偽りその他不正の行為により介護報酬の支払を受けたことにほかならず、高崎市長は、若宮苑に対し、本件介護給付費の額及び当該額に100分の40を乗じて得た額を徴収すべき義務があるところ、これを徴収していない。そのため、群馬県知事は、高崎市長に対し、介護法第5条第2項の規定に基づき、高崎市長から若宮苑に支払われた本件介護給付費のうち、群馬県知事が高崎市長に支出した平成27年度介護給付費県費負担金を財源とする部分(以下「本件県費負担金」という。)を回収させるよう助言すべきであるが、これを怠っている。
  よって、群馬県知事に対し、高崎市長を告発し、失われた県民の財産である本件県費負担金を回収するよう、監査委員が勧告することを求める。
 2 事実証明書
   請求人から提出された事実証明書は、次のとおりである(各事実証明書の表題は、措置請求書等における請求人の記載をそのまま使用した。ただし、事実証明書6は、個人名のみ加筆した。また、補正書とともに請求人から追加提出された資料は、当監査委員において表題を記載し、事実証明書7として付番した。)。
  (1) 事実証明書1 ケアプラン総合計画書(本件入所1関係)
           偽造ケアブラン第2表(本件入所1関係)
  (2) 事実証明書2 偽造ケアプラン第2表(本件入所2関係)
  (3) 事実証明書3 筆跡鑑定書
  (4) 事実証明書4 高崎市・介護保険給付のお知らせ
  (5) 事実証明書5 URL(資料として提出されているわけではなく、請求人陳述実施時にURLのみ提出された。)
  (6) 事実証明書6 介護保険法第5条2項の規定を蔑ろにする群馬県の代理人である弁護士甲(以下「弁護士甲」という。)からの手紙
  (7) 事実証明書7 平成28年4月20日付け群馬県知事宛て高崎市長発「平成27年度介護給付費県費負担金の実績報告について」ほか添付書類
 3 補正について
  (1) 補正依頼
本件措置請求については、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「地自法」という。)第242条第1項に規定する請求の要件を具備しているかどうか判断するに当たり不明な点が存在したことから、請求人に対し、平成29年9月29副寸けで補正依頼通知を送付し、同年10月2日に補正書が提出された。
  (2) 補正書の内容(当監査委員が補正を求めた嘔項に対する請求人の回答をまとめたもの)
   ア 誰に関する措置請求かについて
   (回答) 群馬県知事に関する措置請求である。
   イ 今回の措置請求は、「群馬県から高崎市に対して支払われた平成27年度介護給付費県費負担金の返還に加えて、当該介護給付費県費負担金の額に介護法第22条第3項の規定による100分の40を乗じて得た額の返還請求を含むもの」と解釈してよいか。
   (回答) 100分の40を乗じて得た額の返還請求は含まない。
  (3) 補正依頼期間の取扱いについて

<P3>
    監査委員が措置請求書に記載された不明部分を確認するために補正を求めることは、適正な監査の実施に当たり必要不可欠な手順であることから、請求人に対し補正依頼通知を送付した日の翌日(平成29年9月30日)から哺正書が提出された日(同年10月2日)までの期間については、地自法第242条第5項に規定する監査を行う期間(60日)の計算から除外した。
第4 請求の受理
   本件措置請求は、地自法第242条第1項に規定する要件を具備しているものと認め、平成29年10月11日に受理を決定した。
第5 監査の実施
 1 監査対象事項
   本件措置請求に係る措置請求書、事実証明書及び補正書の記載を総合し、監査対象事項は次のとおりとした。
   高崎市に支出した平成27年度介護給村費県費負担金のうち、本件県費負担金相当額の返還等について
 2 監査対象機関
   健康福祉部介護高齢課(以下「介護高齢課」という。)
 3 請求人の証拠の提出及び陳述の機会の付与
  (1) 証拠の提出及び陳述の機会の付与
    平成29年10月16日、地自法第242条第6項の規定により、請求人に対し、証拠の提出及び陳述の機会を設けたところ、請求人岩崎優は次のとおり陳述を行い、事実証明書5及び6を追加提出した(ただし、事実証明書5は、URLのみ提出された。)。
  (2) 請求人陳述の要旨
    介護法第123条第1項第2号において、「都道府県は、市町村に対し、介護保険施設及び特定介護施設入居者生活介護に係る介護給付に要する費用の額について、100分の17.5を負担する」とされている。
    また、介護法第5条第2項において、「都道府県は、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるように、必要な助言及び適切な援助をしなければならない」とされている。
    しかしながら、群馬県知事は、若宮苑に対して不適正なケアプランに基づく介護保健施設サービスに係る介護給付費を支払った高崎市長に対し、当該介護給付費の財源の一部である本件県費負担金を回収させるよう助言すべきところ、これを行っておらず、群馬県民全体に損害を与えていることから、請求人岩崎優は群馬県知事に損害の補填のための是正措置を求めた。
    これに対し、群馬県の代理人である弁護士甲から請求人岩崎優宛てに手紙が送付されてきた。
    この手紙には、高崎市長を刑事告発するか否かは、請求人岩崎優が決めるべき問題であり、群馬県が刑事告発することはない旨が記されていた。
    しかし、厚生労働省老健局介護保険計画課長通知(手成26年8月29日付け老介発0829第1号)において、保険者、都道府県又は国保連に寄せられた事業者に関する不適切なサービス提供、介護報酬不正請求等の苦情・告発・通報情報等の適切な把握及び分析を行い、事業者に対する指導監督を実施することとされている。また、全国介護保険指導監査担当課長会議資料(第2分冊・厚生労働省老健局)において、指導や監査において犯罪の恐れがあるものについては、警察、検察当局とも協議の上、刑事告発等についても検討することとされている。
    それにもかかわらず、弁護士甲は、「群馬県が刑事告発することはない」と主張しているのである。
    仮に、請求人岩崎優が若宮苑に対する刑事処罰を求めないこととした場合、不適正なケアプランに係る犯罪が全く存在しなかったことになる。その結果、群馬県が県民の損害を補填する義務を放棄したことになり、群馬県民全体の損害が補填されなくなってしまう。

<P4>
 この点、熊本県においては、介護事業所を詐欺罪で刑事告発しているので、群馬県だけが無法地帯ということはあってはならない。
   また、弁護士甲からの手紙には、介護保険給付に係る事務は保険者である高崎市が行い、介護保険施設に対する指導監督も中核市である高崎市が行うこととされていることから、本件は高崎市において検討すべき問題であり、原則として、群馬県が高崎市の判断に働き掛けることはない旨が記されているが、このことは、介護法第5条第2項違反である。弁護士甲の手紙からは、群馬県知事に本件県費負担金を回収する意思がないことが伺える。
 さらに、この手紙には、群馬県としては、請求人岩崎優と高崎市との間で住民訴訟が係属中であると承知しており、このような状況の下、群馬県が高崎市に対して働き掛けることはなく、当該住民訴訟の結果により、何らかの事務処理が必要となった場合は、適切に処理したい旨が記されている。
   しかし、これでは群馬県知事が群馬県民全体の損害の補填を自ら放棄してしまうことになり、介護法に規定されている義務の不作為を宣言したも同然である。つまり、群馬県知事は、自ら群馬県民全体の損害を補填すべく高崎市長から本件県費負担金を回収すべきであるにもかかわらず、請求人岩崎優に失われた本件県費負担金を回収させようともくろんでおり、介護法第5条第2項における地方公共団体の責務を放棄しているものといえる。
   したがって、地自法上、群馬県監査委員には、群馬県民全体の損害の補填を正しく実行する責務がある。
   よって、今回の住民監査請求に基づき、速やかに次の6点の措置を講じるよう、群馬県知事に対し、群馬県監査委員が勧告することを求める。
   1 介護法第5条第2項の規定により、高崎市長に対し、必要な助言をすること。
   2 高崎市長を告発し、失われた県民の財産である本件県費負担金を回収すること。
   3 予備的に法的手段を講じること。
   4 文書偽造により公金を不正に受給したことは犯罪行為であり、群馬県に損害を与え、極めて悪質であることから、警察に被害届を提出し、厳しく対処すべきこと。
   5 介護法第69条の39の規定により、ケアプランを偽造した介護支援専門員の登録の消除を速やかに実施すること。
   6 文書偽造という刑事事件の犯罪を、事後に是正するために必要な措置として、若宮苑を処分するよう高崎市長に速やかに助言すること。
 4 監査の実施
   平成29年10月24日、介護高齢課に対し、監査委員による対面監査を行った。また、これに先立つ同月19日、監査委員事務局職員による事務監査を行った。
第6 監査の結果
   監査対象機関に対する監査の結果及び関係書類の調査等を行った結果は、次のとおりである。
 1 関連する法令等(各法令等の記載は、該当部分の抜粋である。)
  (1) 介護法
     (国及び地方公共団体の責務)
    第5条 国は、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるよう保健医療サービス及び福祉サービスを提供する体制の確保に関する施策その他の必要な各般の措置を講じなければならない。
    2 都道府県は、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるように、必要な助言及び適切な援助をしなければならない。
    3 (略)

<P5>
     (保険給付の種類)
    第18条 この法律による保険給付は、次に掲げる保険給付とする。
     一 被保険者の要介護状態に関する保険給付(以下「介護給付」という。)
     二 被保険者の要支援状態に関する保険給付(以下「予防給付」という。)
     三 (略)
     (登録の消除)
    第69条の39(略)
    2 都道府県知事は、その登録を受けている介護支援専門員が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該登録を消除することができる。
    一~三(略)
    3 (略)
     (報告等)
    第100条 都道府県知事又は市町村長は、必要があると認めるときは、介護老人保健施設の開設者、介護老人保健施設の管理者若しくは医師その他の従業者(以下「介護老人保健施設の開役者等」という。)に対し報告若しくは診療録その他の帳簿書類の提出若しくは提示を命じ、介護老人保健施設の開設者等に対し出頭を求め、又は当該職員に、介護老人保健施設の開設者等に対して質問させ、若しくは介護老人保健施設、介護老人保健施設の開設者の事務所その他介護老人保健施設の運営に関係のある場所に立ち入り、その設備若しくは診療録、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
    2~3 (略)
     (業務運営の勧告、命令等)
    第103条 都道府県知事は、介護老人保健施設が、次の各号に掲げる場合に該当すると認めるときは、当該介護老人保健施設の開設者に対し、期限を定めて、それぞれ当該各号に定める措置をとるべきことを勧告することができる。
     -~2(略)
    2 (賂)
    3 都道府県知事は、第1項の規定による勧告を受けた介護老人保健施設の開設者が、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかったときは、当該介護老人保健施設の開設者に対し、期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命じ、又は期間を定めて、その業務の停止を命ずることができる。
    4~5 (略)
     (許可の取消し等)
    第104条 都道府県知事は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該介護老人保健施設に係る第94条第1項の許可を取り消し、又は期間を定めてその許可の全部若しくは一郎の効力を停止することができる。
     一~十二(略)
    2~3(略)
     (都道府県の負担等)
    第123条 都道府県は、政令で定めるところにより、市町村に対し、介護給付及び予防給付に要する費用の額について、次の各号に掲げる費用の区分に応じ、当該各号に定める割合に相当する額を負担する。
     一 介護給付(次号に掲げるものを除く。)及び予防給付(同号に掲げるものを除く。)に要する費用100分の12.5

<P6>
     二 介護給付(介護保険施設及び特定施設入居者生活介護に係るものに限る。)及び予防給付(介護予防特定施設入居者生活介護に係るものに限る。)に要する費用100分の17、5
    2~4 (略)
     (報告の徴収等)
    第197条 (略)
    2 (略)
    3 都道府県知事は、市町村長(指定都市及び地方自治法第252条の22第1項の中核市(第203条の2において「中核市」という。)の長を除く。以下この項において|川じ。)に対し、当該市町村長が第5章の規定により行う事務に関し必要があると認めるときは、報告を求め、又は助言若しくは勧告をすることができる。
    4~5 (略)
     (大都市等の特例)
    第203条の2この法律中都道府県が処理することとされている事務で政令で定めるものは、指定都市及び中核市においては、政令の定めるところにより、指定都市又は中核市(以下「指定都市等」という。)が処理するものとする。この場合においては、この法律中都道府県に関する規定は、指定都市等に関する規定として、指定都市等に適用かおるものとする。
  (2) 地方自治法施行令(昭和22年政令第16号。以下「地自令」という。)
     (介護保険に関する事務)
    第174条の49の11の2 地方自治法第252条の22第1項の規定により、中核市が処理する介護保険に関する事務は、介護保険法第4章第3節及び第4節並びに第5章第2節及び第4節から第6節までの規定により、都道府県が処理することとされている事務(司法第75条の2第1項、第82条の2第1項、第89条の2第1項、第99条の2第1項及び第115条の6第1項の規定による都道府県知事による連絡調整又は援助に関する事務を除く。)とする。この場合においては、次項及び第3項において特別の定めがあるものを除き、同法第4章第3節及び第4節並びに第5章第2節及び第4節から第6節までの規定中都道府県に関する規定(前段括弧内に掲げる事務に係る規定を除く。)は、中核市に関する規定として中核市に適用があるものとする。
  (3) 群馬県介護給付費等県費負担金交付要綱(以下「県費負担金交付要綱」という。)
     (交付の対象事業)
    第2条 この負担金は、次の事業を交付の対象とする。
    (1) 介護給村費負担事業(介護給付費県費負担金)(市町村が法の規定に基づいて行う介護給付及び予防給付に要する費用の支給事業をいう。)
    (2) (略)
     (交付額の算定方法)
    第3条 この負担金の交付額は、算定政令の規定により算定するものとする。ただし、(略)。
 2 介護高齢課の主張及び説明
  (1) 介護保険制度について
   ア 介護保険制度について
    介護保険制度は、介護を要する状態になっても、できる限り自宅で自立した日常生活を営めるよう、真に必要な介護サービスを総合的・一体的に提供する制度で、平成12年4月に開始されたものである。
    市町村が保険者となっており、制度運営の中心を担っている。

<P7>
   イ 介護老人保健施設について
     要介護1から5までの認定を受けた高齢者に対し、施設サービス計画に基づき、その自立を支援し、家庭への復帰を促すために、医師による医学的管理の下、看護・介護といったケアはもとより、作業療法士や理学療法士等によるリハビリテーションに加え、栄養管理、食事、入浴などの日常サービスまで併せて提供する施設である。医療と介護の中間的な位置づけの施設であるといえる。
   ウ 介護老人保健施設において利用できる介護サービスのうち、施設サービス(入所)の内容について要介護者の在宅復帰等を支援することを目的として提供される介護サービスで、策定された施設サービス計画に基づき、要介護者が介護老人保健施設に入所後、医療、介護、リハビリテーション等のサービスを受けるものである。
   エ 介護支援専門員について
     介護支援専門員とは、要介護者又は要支援者(以下「要介護者等」という。)からの相談を受け、要介護者等がその心身の状況等に応じて適切な介護サービスを受けられるよう、介護サービス事業者等との連絡・調整を行う者で、要介護者等が自立した日常生活を営むために必要な援助に関する専門的知識・技術があるとして介護支援専門員証の交付を受けた人をいう。
     介護老人保健施設における介護支援専門員の果たす役割は、主に次のとおりである。
     ・ 入所者及びその家族との面接による課題の把捉(アセスメントの実施)
     ・ 施設サービス計画の原案の作成
     ・ 施設サービス計画の作成及び交付
     ・ 施設サービス計画の変更
   オ 介護保険施設におけるケアプランについて
     介護保険施設の計画担当介護支援専門員が、当該介護保険施設に入所する要介護者1入1人に対して、当該介護保険施設において提供する介護サービスの種類、内容、担当者等を定めた計画をいう。
   カ 介護保険施設におけるケアプランのうち、入所者又はその家族の同意を必要とする単位について個別に作成され、管理されていれば、それぞれに同意が必要である。
   キ 介護給付に係る国・県・市町村の費用負担の割合について
     次のとおりである。
     ・ 介護保険施設及び特定施設入居者生活介護に係るもの
       国20%、県17.5%、市町村12,5%
     ・ その他の介護給付に係るもの
       国25%、県12.5%、市町村12.5%
  (2) 高崎市に対する平成27年度介護給付費県費負担金の支出等について
   ア 介護給付費県費負担金を支出する根拠について
     介護法第1 2 3条第1項の規定により、都道府県は、市町村に対し、介護給付及び予防給付に要する費用の額について、同項に定める割合に相当する額を負担するものとされている。
     詳細は、次のとおりである。
     ・ 関係法令等 介護法
             介護保険の国庫負担金の算定等に関する政令(平成10年政令第413号。以下「算定政令」という。)
             県費負担金交付要綱
     ・ 対象経費介護給付及び予防給付に要する費用

<P8>
     ・ 県費負担金の算定方法 介護保険施設及び特定入居者生活介護に係るもの17.5%
                    その他の介護給付に係るもの12.5%
   イ 平成27年度介護給付費県費負担金の対象範囲について
     平成27年度介護給付費県費負担金の対象となるのは、平成27年3月から平成28年2月までに提供された介護サービスに係る費用である。
   ウ 高崎市に対する平成27年度介護給付費県費負担金の交付について
     次のとおりである。
     ・ 交付申請年月日及び金額平成27年4月17日3,741,841,000円
     ・ 交付決定年月日及び金額平成27年5月7日3,741,841,000円
     ・ 変更交付決定年月日及び金額平成28年3月31目3,904,081,937円
     ・ 確定年月日及び金額平成28年5月11日3,904,081,937円
   エ 高崎市に対する平成27年度介護給付費県費負担金の支出について
     次のとおりである。
     ・ 概算払年月日及び金額平成27年5月20日ほか10件合計3,430,009,000円
     ・ 精算払年月日及び金額平成28年5月20日474,072,937円
  (3) 介護保険制度における県と市町村との関係等について
   ア 介護保険制度における都道府県の役割について
     介護保険制度における都道府県の役割は、広域的なサービス提供体制の整備に取り組むとともに、必要な助言と適切な援助により保険者である市町村を支援することである。
     都道府県の主な事務は、おおむね次のとおりである。
     ・ 淑町村支援に関する事務
     ・ 事業所・施設に関する事務
     ・ 介護サービス情報の公表の事務
     ・ 介護支援専門員の登録等に関わる事務
     ・ 財政支援に関わる事務
     ・ 介護保険事業支援計画の策定に係る事務
     ・ その他の事務(国民健康保険団体連合会の指導監督)
   イ 介護法第5条第2項に規定する「必要な助言及び適切な援助」の内容について
     介護保険制度における都道府県の責務や役割が規定されたものであり、それ以上の内容を説明をする文書等はないが、介護法第5条第2項の規定は、具体的な事務を行う上で直接の根拠法令となるものではない。
   ウ 介護保険制度における都道府県と市町村又は中核市との関係について
     介護法第1 9 7条第3項の規定により、都道府県知事は、市町村長に対して、介護法第5章の規定により行う事務に関し、必要があると認めるときは、報告を求め、又は助言若しくは勧告ができるとされているが、同項の規定は中核市の長を除くこととされているため、中核市に対しては適用されない。
   エ 都道府県が処理する介護保険に関する事務のうち、中核市が処理するものとされている事務について
     介護法第203条の2の規定により、地自今第174条の49の11の2に規定されている事務については、中核市が処理するものとされている。
     したがって、中核市に所在する介護老人保健施設に対する質問又は立入検査(第100条第1項)、業務運営の勧告又は命令(第103条第1項又は第3項)、許可の取消し(第104条第1項)等の各権限

<P9>
     ・ 県費負担金の算定方法介護保険施設及び特定入居者生活介護に係るもの17.5%
               その他の介護給付に係るもの12.5%
   イ 平成27年度介護給付費県費負担金の対象範囲について
     平成27年度介護給付費県費負担金の対象となるのは、平成27年3月から平成28年2月までに提供された介護サービスに係る費用である。
   ウ 高崎市に対する平成27年度介護給付費県費負担金の交付について
     次のとおりである。
     ・ 交付申請年月日及び金額平成27年4月17日3,741,841,000円
     ・ 交付決定年月日及び金額平成27年5月7日3,741,841,000円
     ・ 変更交付決定年月日及び金額平成28年3月31目3,904,081,937円
     ・ 確定年月日及び金額平成28年5月11日3,904,081、937円
   エ 高崎市に対する平成27年度介護給付費県費負担金の支出について
     次のとおりである。
     ・ 概算払年月日及び金額平成27年5月20日ほか10件合計3,430,009,000円
     ・ 精算払年月日及び金額平成28年5月20日474,072,937円
  (3) 介護保険制度における県と市町村との関係等について
   ア 介護保険制度における都道府県の役割について
     介護保険制度における都道府県の役割は、広域的なサービス提供体制の整備に取り組むとともに、必要な助言と適切な援助により保険者である市町村を支援することである。
     都道府県の主な事務は、おおむね次のとおりである。
     ・ 淑町村支援に関する事務
     ・ 事業所・施設に関する事務
     ・ 介護サービス情報の公表の事務
     ・ 介護支援専門員の登録等に関わる事務
     ・ 財政支援に関わる事務
     ・ 介護保険事業支援計画の策定に係る事務
     ・ その他の事務(国民健康保険団体連合会の指導監督)
   イ 介護法第5条第2項に規定する「必要な助言及び適切な援助」の内容について
     介護保険制度における都道府県の責務や役割が規定されたものであり、それ以上の内容を説明をする文書等はないが、介護法第5条第2項の規定は、具体的な事務を行う上で直接の根拠法令となるものではない。
   ウ 介護保険制度における都道府県と市町村又は中核市との関係について
     介護法第197条第3項の規定により、都道府県知事は、市町村長に対して、介護法第5章の規定により行う事務に関し、必要があると認めるときは、報告を求め、又は助言若しくは勧告ができるとされているが、同項の規定は中核市の長を除くこととされているため、中核市に対しては適用されない。
   エ 都道府県が処理する介護保険に関する事務のうち、中核市が処理するものとされている事務について
     介護法第203条の2の規定により、地自今第174条の49の11の2に規定されている事務については、中核市が処理するものとされている。
     したがって、中核市に所在する介護老人保健施設に対する質問又は立入検査(第100条第1項)、業務運営の勧告又は命令(第103条第1項又は第3項)、許可の取消し(第104条第1項)等の各権限

<P9>
は、当該中核市がその権限を有することになる。
   オ 介護保険施設等に対する指導監督の権限について
     都道府県が指定した介護保険施設等に対しては、都道府県に指導監督の権限があるが、中核市が指定し、又は権限移譲により移管された介護保険施設等に対しては、中核市が指導監督の権限を有する。
     具体的には、上記エのとおりである。
  (4) 若宮苑について
   ア 若宮苑の概要について
     次のとおりである。
     ・ 医療法人十薬会介護老人保健施設若宮苑
     ・ 〒370-0031高崎市上大祭町759番地管理者矢島祥吉
     ・ 入所定員一般棟50名、認知症専門棟10名
・ 開設年月日平成2年4月16日
     なお、開設許可は県が行ったが、平成24年4月に改正介護法が施行されたことに伴い、指導監督権限は中核市である高崎市に移譲されている。
   イ 本件入所の事実及び介護給付の提供について
     請求人岩崎優から介護高齢課に送付された文書や高崎市が若宮苑に指導に入った時の文書等により間接的に確認している。
   ウ 高崎市が若宮苑に支出した本件介護給付費の金額について
     介護高齢課では把握していない。
   エ 若宮苑に対する調査等について
     介護高齢課では行っていないし、法令上もすることができない。
   オ 若宮苑に対する任意の調査について
     請求人岩崎優と高崎市が住民訴訟で争っている現段階において、調査等をする予定はない。
  (5) その他
   ア 本件入所に関し、若宮苑が本件入所者に提供した介護保健施設サービスが法律上の原因を欠いている(又は介護法の規定に違反する)とする請求人の主張について
   介護法において、介護保険の保険者は市町村とされており、個別の介護給付費の支給に関する審査・支払に関する事務は市町村が実施している。また、高崎市に所在する介護保険施設に対する指導監督権限は、中核市である高崎市にあるため、法令上、県が高崎市に対して指導や助言をすることもできない。
     したがって、県は、本件入所に係る事実の詳細を知りうる立場にはなく、若宮苑による本件介護給付費の請求が法令に違反するか否かは高崎市において判断されるものである。
   イ 本件入所に関し、若宮苑が本件入所者の栄養ケア計画の署名を偽造したとする請求人の主張について
     栄養ケア計画の署名の偽造が事実であるか否かも含め、県には若宮苑に対して指導監督を行う権限はないため、請求人の主張に対し、調査し、又は判断することはできない。
   ウ 本件入所に関し、本件入所者の栄養ケア計画の署名が偽造されていた場合における本件県費負担金への影響について
     本件介護給付費の支給が不正又は不適正なものとして、高崎市が若宮苑に対し、本件介護給付費の返還を求めた場合には、本件県費負担金の算定基礎となる介護給村費が減額となるため、本件県費負担金も減額となる。その場合、県は高崎市から本件県費負担金相当額を返還してもらうことになる。
   エ 請求人岩崎優と高崎市との住民訴訟の審理の状況等について

<P10>
     請求人岩崎優と高崎市との間の事案であり、現在も係争中であることは承知しているが、県が関与する立場にはないため、審理状況等は把握していない。
   オ 本件介護給付費の支出等に係る高崎市に対する県の指導・助言等の実施状況及び今後の対応について
     中核市である高崎市に対して、県には指導・助言を行う権限がないため、特に行っていない。
     なお、請求人岩崎優と高崎市との間で係属している住民訴訟の結果、高崎市に対して本件県費負担金の返還を求める必要が生じた場合には、返還の事務処理等を適切に行うこととする。
   カ その他請求大の主張に対する反論について
     本件措置請求は、高崎市が所管する介護保険施設が提供したサービス内容に起因するものであるが、法令上、請求人岩崎優と高崎市との間で解決されるべきものである。若宮苑が提供したサービスの内容や支払われた介護給付費が適正であったか否かは、高崎市において判断されるものであり、県に判断する権限はない。
     また、本件介護給付費の支給の適否について請求人岩崎優と高崎市との間で裁判で争っている状況の下で、本件介護給付費の支給が不正又は不適正であることを前提とした本件措置請求も適当ではないものと考える。
 3 事実関係の認定
  (1) 介護給付に要する費用の負担害I」合について
    都道府県における介護給付に要する費用の負担割合は、介護法第1 2 3条第1項、算定政令第2条第1項及び県費負押金交付要綱第3条の規定により、次のとおりとされている。
    ・ 介護保険施設及び特定施設入居者生活介護に係るもの17.5%
    ・ それ以外の介護給付に係るもの12、5%
  (2) 高崎市に対する平成27年度介護給付費県費負担金の交付決定、支出等について
    交付決定伺い、変更交付決定伺い、概算払伺い、確定及び精算払伺い、支出回議書等を調査したところ、高崎市長に対し、次のとおり決定され、及び支出されていた。
   ア 交付決定等
                 決定年月日       金額
     交付決定     平成27年5月 7日  3,741,841,000円
     変更交付決定   平成28年3月31日  3,904,081,937円
     確定       平成28年5月10日  3,904,081,937円
   イ 支出
                 支出年月日       金額
     概算払  1回目  平成27年5月20日   311,819,000円
          2回目  平成27年6月19日   311,819,000円
          3回目  平成27年7月17日   311,819,000円
          4回目  平成27年8月20日   311,819,000円
          5回目  平成27年9月18日   311,819,000円
          6回目  平成27年10月20日  311,819,000円

<P11>
          7回目  平成27年11月20日  311,819,000円
          8回目  平成27年12月18日  311,619,000円
          9回目  平成28年 1月20日  311,819,000円
         10回目  平成28年 2月19日  311,819,000円
         11回目  平成28年 3月18日  311,819,000円
         合計     -         3,430,009,000円
     精算払       平成28年 5月20日  474,072,937円
     合計         -         3,904,081,637円

  (3) 高崎市に支出した平成27年度介護給付費県費負担金のうち、本件県費負担金相当額について
    介護高齢課では把握しておらず、判明しなかった。
    介護高齢課では、介護給付費県費負担金の支出に当たり、県費負担金交付要綱の規定に基づいて事務を行っており、各市町村に対して、個々の事業者ごとに支払った介護給付費の内訳等の資料の提出を求めていないとのことだった。
  (4) 介護法第5条第2項の規定の趣旨について
    介護法第5条第2項は、都道府県に対して、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われる容易必要な助言及び適切な援助をしなければならないと規定しているが、「逐条解説介護保険法」(増田雅暢著、平成26年4月発行)によれば、同項の規定は、介護保険事業が健全かつ円滑に行われるように、保険者である市町村を重層的に支えて言うことを狙いとして、都道府県の責務を規定したものとされている。
  (5) 都道府県が処理する事務の中核市への権限移譲について
    地自令第174条の49の11の2は、介護法第4章第3節及び第4節並びに第5章第2節及び第4節から第6節までの規定により都道府県が処理することとされている介護保険に関する事務に関し、中核市が処理すると規定しており、この中には介護老人保健施設の開設許可(第94条)、質問又は立入検査(第100条第1項)、業務運営の観光又は命令(第103条第1項又は第3項)、許可の取消し(第104条第1項)等の事務も含まれているなど、都道府県の権限が中核市に移譲されていた。
  (6) 中核市に対する都道府県の助言等について
    介護法第197条第3項は都道府県知事が、市町村長に対して、当該市町村長が介護法第5章の規定により行う事務に関し、報告を求め、又は助言若しくは勧告をすることができると規定しているが、同項の規定は、中核市の長に対しては除外されている。
第7 監査委員の判断
   本件措置請求に関して、認定した事実関係を基に監査委員が判断した結果は、次のとおりである。
   なお、課判断紅毛は、請求人陳述実施時における請求人の主張に対応させたものである。
 1 判断
  (1) 介護法第5条第2項の規定による高崎市長への助言について
    請求人は、介護法第5条第2項の規定を根拠として、群馬県知事が高崎市緒に和解や円から本件介護給付費の返還等の助言をするよう主張している。
    しかしながら、同項の規定は、地域保険方式による介護保険事業の導入に伴って、保険者となって制度の

<P12>
中心的役割を担い、事務的・財政的負担が増すことになる市町村を、国、都道府県、医療保険者、年金保険者等が重層的に支えていくことを狙いとして、介護保険事業が健全かつ円滑に運営されるよう、都道府県の責務を抽象的に宣言したにとどまるものであり、都道府県に対して具体的義務を際したものではない。したがって、それのみでは法的規範性を有しておらず、「必要な助言及び適切な援助」の具体的実効性は、別途、同項の規定の趣旨を実現するために個別に規定された介護法の各条項によってはじめて与えられるものである。
    これをもとに本件をみるに、都道府県知事か市町村長に対して助言等をする根拠となる介護法第197条第3項は、市町村長に対して、当該市町村長が介護法第5章の規定により行う事務に関し、報告を求め、又は助言若しくは勧告をすることができる旨を規定しているものの、中核市の長を除外している。また、介護老人保健施設に対する質問又は立入検査(第100条第L項)、業務運営の勧告又は命令(第103条第1項又は第3項)、許可の取消し(第104条第1項)等の各権限についても、同法第203条の2の規定による地自令第174条の49の2の11の規定により、既に中核市に移譲されているというのであるから、結局のところ、群馬県知事は、中核市たる高崎市の長に対し、介護法第5条第2項を根拠とする具体的な助言をすることはできないというべきであって、請求人の主張は失当である。
    そして、本件県費負担金の取扱いにつき、高崎市長に対し、さらに進んで任意の助言、調査等を行うかどうかについて、介護高齢課長は、請求人岩崎優と高崎市との間で係属している住民訴訟の結果により高崎市が若宮苑から本件介護給付費の返還が必要となった場合には、本件県費負担金相当額についても返還の措置を講じるとしており、上記の介護保険制度における都道府県と市町村又は中核市との法的関係性に加え、介護給付費県費負担金は都道府県が負担するとされているものであることを考慮すれば、このような同課長の判断も合理性を欠くものと評価することはできない。
    なお、請求人は、厚生労働省老健局介護保険計画課長名の通知(平成26年8月29日付け老介発0829第1号)を挙げて、都道府県は保険者(市町村)、都道府県等に寄せられた事業者に関する不適切なサービス提供や介護報酬の不正請求等に関する苦情・告発・通報情報等の適切な把握及び分析を行い、事業者に対する指導監督を実施することとされている旨を主張するが、当該引用部分は「第二保険者による適正化事業の推進」に属するものであることから、保険者たる市町村に対する記述であることは明らかであって、同主張は採用することができない。また、同様に、全国介護保険指導監査担当課長会議資料(第2分冊・厚生労働省老健局)を挙げて、指導や監査において、犯罪の恐れがあるものについては、警察、検察当局とも協議の上、刑事告発も検討することとされている旨を主張するが、若宮苑に対し指導や監査を実施する権限を有するのは中核市たる高崎市であるから、間主張は採用することができない。
    さらに、請求人は、熊本県が介護事業者を刑事告発した事例を挙げて、群馬県も同様に対応するよう主張するが、熊本県の事例は中核市ではない市町村に所在し同県が指導監督権限を有する介護事業者に対して行われたものであるから、本件措置請求に適切でなく、同主張は採用することができない。
    以上のことからすれば、本件措置請求のうち、群馬県知事が高崎市長に介護法第5条第2項の規定による助言をするよう求めるとする部分については、請求人の主張は理由がない。
  (2) 本件県費負担金相当額の返還について
    請求人は、群馬県知事か高崎市長に対して本件県費負担金相当額の返還等の措置を講じないことが違法又は不当な財産の管理を怠る事実に当たるとして、高崎市長から本件県費負担金相当額を返還させるよう主張しているが、当該怠る事実を認めるためには、高崎市が若宮苑に支出した本件介護給付費が違法又は不当と認められ、かつ、高崎市長から群馬県知事に本件県費負担金相当額が返還されない状態でなければならないところ、現段階において、高崎市は本件介護給付費の支出を正当として請求人岩崎優とも係争中であるとい

<P12>
うのであるから、上記の介護保険制度における都道府県と中核市との法的関係性を考慮すれば、群馬県知事が違法または不当に財産の管理を怠っているということはできないというべきであって、請求人の主張は失当である。
    以上のことからすれば、本件措置請求のうち、群馬県知事が高崎市長から本件県費負担金相当額を返還させるよう求めるとする部分については、請求人の主張は理由がない。
  (3) 高崎市長の刑事告発その他の求める措置について
    その他、請求人は、群馬県知事に対し、①高崎市長を刑事告発すること、②警察に被害届を提出すること、③介護法第69条の39第2項の規定による介護支援専門員の登録の消除を実施すること、④若宮苑の処分を高崎市に助言することを求めているが、本件措置請求は、高崎市長が若宮苑に支出した本件介護給付費のうち、本件県費負担金相当額の返還等の措置を群馬県知事が講じないことにつき、違法または不当な財産の管理を怠る損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを請求することができるところ、上記の請求人の求める措置は、請求人が群馬県の被った損害であるとする本件県費負担金相当額の返還や補填をするために必要な措置とはいえないから、地自法第242条に規定する住民監査請求として不適法である。
    また、請求人は、群馬県知事が「予備的に法的手段を講ずるよう」主張しているが、求める措置の内容が具体的に特定されていないから、住民監査請求として不適法である。
    したがって、本件措置請求のうち、群馬県知事が高崎市長を刑事告発すること等を求めるとする部分及び予備的な法的手段を求めるとする部分については、いずれも却下を免れない。
 2 結論
   以上のことから、本件措置請求のうち、群馬県知事が介護法第5条第2項の規定による高崎市長への助言をするよう求めるとする部分及び本件県費負担金相当額を返還させるよう求めるとする部分については、請求人の主張は理由がないから、これをいずれも棄却する。
   また、群馬県知事が高崎市長を刑事告発すること等を求めるとする部分及び予備的な情的手段をこうじるよう求めるとする部分については、住民監査請求として不適法であるから、これをいずれも却下する。
                      以上
**********

■群馬県の監査委員は、実質的にすべて監査作業を県の職員に任せてしまっています。書金が仕上げた監査結果にちょっと目を通すだけで、県職員のなすがままです。だから、実態として全く機能しません。今回の監査結果もその背景や経緯が如実に読み取れる内容となっています。

 とくに刑事訴訟法で定められた公務員の告発義務について、当会を含む監査請求人が、この権限を行使して、財務会計行為上の損害を回復するように求めたのですが、あろうことか県監査委員(=群馬県職員の傀儡)は、「予備的に法的手段を講ずるよう求める請求人のしゅちょうには、求まる措置の内容が具体的に特定されていないから、不適法である」として、切って捨てました。これでは、そもそもこうした不祥事件に対する自浄作用の乏しい役所の組織の怠慢や無責任体質を温存しさらに助長しかねません。

 また、介護法に定めた県の立場は市町村に対して重層的な役割を果たすと認識していながら、「高崎市は中核市だから、権限はすべて高崎市にある」として、自らの不関与を正当化しようと監査結果で縷々記述する始末です。

 このまま住民訴訟に持ち込んでも、行政側に立って審理する裁判所の体質からして、費用の時間のムダだという意見もあります。他方、これでは中核市の場合、中核市自らが違法行為を行ってもそれを監視する上部組織が存在しないことになり、違法行為=犯罪が野放しになってしまうため提訴すべきだとする意見もあります。

 年末までの30日間に対象方針を検討の上、判断する所存です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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大同有毒スラグ問題を斬る!・・・スラグ徘徊調査「渋川市は山林もスラグだらけだった」その1

2017-11-25 23:25:00 | スラグ不法投棄問題
■群馬県中に不法投棄された有害スラグ問題ですが、廃棄物の監督官庁である群馬県環境森林部・廃棄物リサイクル課がスラグを撤去させたのは、スラグを無許可で仮置きし、天然石と混ぜ、再生砕石と偽装していた大同・佐藤のブラック連合の直営アジトだった「中央橋混合場」についてのみとなっています。
 その他の場所の有害スラグは、このスラグを使用してきた国・県・渋川市などの工事実施主体で構成される「鉄鋼スラグ連絡会議」と呼ばれる何の権限も法的に付与されていない組織に処理が任されました。そしてこの怪しげな組織は、スラグを撤去せず「アスファルトで蓋をすればよい」とする方針を打ち出し、廃棄物処理法に反する施策を行っています。
 殊に大同特殊鋼や佐藤建設工業が所在する渋川市などは、彼らに忖度するあまり、アスファルトで蓋をすることすら実施したがらないのが実情のようで、要するに“何もしない”のも同然の方針が実施されています。その結果、有害スラグから発生する砂ぼこりや雨水による地下水汚染が野放し放題となっているのが実態なのです。

今回のスラグレポートは、渋川市が立てた不法投棄禁止の看板の真下に、堂々と大同特殊鋼由来の猛毒スラグが不法投棄されているというお話です。

 今回の調査場所はこちらです。↓↓


 衛星写真もどうぞ。↓↓


*****リットン調査団の報告*****
 有害スラグ不法投棄特別調査チーム「リットン調査団」集合(^^)/。

 実は皆様に告白したいことがあります。

 それは・・・・スラグ徘徊調査をしたものの、頼んでいる孫が忙しく、写真の整理ができずにレポートを放置している案件が少なからずあることです。

 というわけで、今回は2016年3月に行ったスラグ徘徊調査のレポートです。
(今回レポートするスラグには、1年半以上も経つのに、未だに撤去やアスファルト舗装で蓋さえも為されていません。)


「ごみを捨てると、処罰されます。」と黄色い高札には、“声高らかに”掲示されている。大同特殊鋼の有害スラグは「不法廃棄物」なのだ。古いスラグは“一概に廃棄物とは言えない”などとほざくお役人様がいるけれど、六価クロムの環境基準値の設定は古く、大同スラグはその毒性から不法廃棄物である疑いが濃厚だ。


その先に進むと、渋川市に多く見られる、カラコーンにガムテープで書き物を張り付けただけの、チンケな注意書きが見られる。


「今後、市民の健康及び周辺への影響を十分に考慮しながら、適切な対応を実施していきます。 渋川市建設部土木維持課」だと。市民の健康を気遣ってくれるなら、廃棄物処理法に基づいて、直ちに原因者負担で撤去片づけてもらいた。廃棄物処理法の基本原則は原因者負担による撤去・片づけに尽きる。法律で書いてあることだから仕方ないよね。まさか市民の健康より大同特殊王様の財布の中身を十分に考慮しているのかな?もちろん大同特殊王様は神様仏さまなのだろうけど。


その先に調査の歩みを進めると、なぜか?落ち葉が無い所に、“で・か・スラグ~↗”がゴロンと鎮座している。このデカスラグには猛毒六価クロムが環境基準値を超えて含まれていることが、国土交通省などの調査により、はっきりわかっているのだ。


だんだん、目が慣れるとスラグが目に簡単に見つかってくる。サビが浮いているね。


う!ボツボツ、噴出するイボ状サビ浮きスラグ!見るからに有害そうだ。大同特殊鋼様は、スラグに六価クロムが環境基準を超えて含まれているのを知りながら、山林に投棄している。これは不法投棄に該当する行為と考えられる。六価クロムは発がん性がある猛毒なのだ。


**********続く**********

■スラグは、群馬県環境森林部廃棄物・リサイクル課が不法廃棄物と認定しています。にも拘らず、国・県・渋川市の工事実施主体で構成される「鉄鋼スラグ連絡会議」は廃棄物処理法を無視し、有害スラグを撤去せず蓋をして放置する施策を実施しています。

 中でも大同特殊鋼渋川工場のある渋川市では、大同特殊鋼に“忖度”し、率先して大同特殊鋼に頭を下げ、顔色をうかがいながら協定を結ばせてもらい、学校内に放置されたスラグでさえも撤去せず、アスファルトで舗装をして“臭い物には蓋”をする施策を実施しています。

 その渋川市では、2017年8月市長選挙が行われ、高木新市長が誕生しています。この市長は、大同特殊鋼に“忖度”する前市長と異なり、その就任会見で「市長選などを通じて身近な生活環境に対する市民の不満が強いと感じた」とお話になるなど、住民目線で市政を運営していこうとする気概を強く感じさせる市長として、市民の期待と注目を集めています。

■廃棄物処理法には、その目的として第1条が示されています。

(目的)
第一条 この法律は、廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする。

 渋川新市長におかれましては、廃棄物処理法の目的に鑑み、住民の生活環境の保全を通じて住民の健康を第一に施策を実施されます事を切にお願い申し上げます。

【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】

※参考資料:「渋川市副市長人事の怪」
**********
通常、前市長が選挙に敗れ退任するとき、その副市長や教育長も前市長と一緒に辞表を提出し辞任するのが常識です。しかし渋川市では、なぜか前市長に任命された副市長が、恥も外聞もなくのさばり、とうとう新市長登壇の9月定例市議会にまで、市役所に出仕し禄を食んだようです。黒い影というところでしょうか?


**********2017年11月21日朝日新聞 群馬版
渋川市の田中猛夫副市長が辞任 /群馬県
 渋川市の田中猛夫副市長(62)が20日付で辞任した。同日の定例会見で高木勉市長が明らかにした。田中氏は、官製談合事件で有罪判決が確定し、解職された前副市長の後任として、前市長時代の2016年4月に就任した。今年8月の市長選後、前市長を破った高木市政でも副市長として9月議会の対応にあたった。13日に辞職願が出された。高木市長は「後任については白紙」とした。
**********

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アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…「校報」人事情報不開示の審査請求で総務省審査会へ意見書送付

2017-11-25 01:45:00 | 群馬高専アカハラ問題
■2017年11月21日付で総務省情報公開・個人情報保護審査会事務局から、諮問庁の高専機構(実質は群馬高専)が提出した理由説明書とともに、意見書又は資料提出の通知が当会事務局に届きました。それによれば、意見書等の提出の場合は、提出期限が12月12日(火)とされています。そのため急きょ意見書をまとめて、11月24日午後5時ごろ、ファクシミリで直接審査会事務局あてに送信しました。

11月23日(祝)午前10:05~10:59にかけてNHK総合テレビで放送された高専ロボコン全国各地区大会のうち関東地区大会で雄姿を披露した群馬高専A・Bチーム。残念ながら地区大会優勝は逃したが、準決勝まで進んだ群馬高専Bチームが地区大会推薦で全国大会出場が決定!
※参考URL:https://www.nhk.or.jp/robocon/kosen/kantokoshinetsu.html
 関連情報は末尾参照。


 これまでの経緯は当会の次のブログ記事をご覧ください。
○2017年8月14日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専・・・西尾前校長の選任過程等を機構と文科大臣宛に情報開示請求
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2383.html
○2017年10月10日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…機構が開示した不開示処分決定書の原案から分かる本音
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2434.html
○2017年10月11日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…「校報」人事情報不開示への審査請求と山崎校長の思惑
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2435.html#readmore
○2017年11月24日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…「校報」人事情報不開示の審査請求で群馬高専から理由説明書
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2474.html#readmore

*****総務省審査会への意見書*****PDF ⇒ 20171124rfax.pdf

                  意見書
                          平成29年11月24日

総務省 情報公開・個人情報保護審査会事務局 御中

                  審査請求人:
                   郵便番号  371-0801
                   住  所  群馬県前橋市文京町一丁目15-10
                   氏  名  市民オンブズマン群馬
                         代表 小川 賢 (65歳)
                   連 絡 先  TEL:027-224-8567
                         事務局長 鈴木 庸(65歳)

 下記1の諮問事件について、諮問庁の理由説明書に対する審査請求人の反論および追加意見を、下記3の通り審査会に提出する。

1 諮問事件
  諮問番号:平成29年(独情)諮問第71号
  事件名:特定学校「校報」の一部開示決定に関する件

2 開示請求に係る法人文書の名称
  群馬高専「校報」第127、129号及び131号のうち、教職員の異動者・退職者の氏名・事由等を記した人事関係欄。特に公的性質の強い常勤教員に関する情報。

3 審査請求人の反論および追加意見
  審査請求人は、平成29年8月14日付で、独立行政法人国立高等専門学校機構(以下「諮問庁」という)に対して、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という)第4条第1項の規定に基づき、前項2の法人文書(以下「本件情報」という)について開示請求を行ったところ、機構は平成29年9月20日付の29高機総第77号で行った法人文書開示決定で、本件情報のうち校報129号の該当箇所を全面的に不開示とする処分をなした(以下「本件処分」という)。このため、審査請求人は平成29年10月11日付で審査請求を行い、それに対して平成29年11月21日付情個審第3583号別添で諮問庁の理由説明書が送付されたため、ここに次のとおり審査請求人の反論および追加意見を述べる。

(1)諮問庁は、本件情報が、人事管理に関する事務が公正かつ円滑に行われることを目的に学校内部で活用することを目的として作成されたもので、法5条1号イに規定される公領域情報ではない旨主張する。しかしながら審査請求人が、公領域情報であり開示が妥当と主張しているのは、ピンポイントに本件情報そのものではなく、記載のある教職員の氏名等情報である。これらがすでに群馬高専のHP等で公開されていることは、審査請求書にも記したとおりであり、また理由説明書において諮問庁自身が認めるとおりでもある。このように考えれば、諮問庁のこの主張は論点のすり替えであると言ってよく、誤謬も甚だしいと断じてよいものである。

(2)諮問庁は、本件情報が「慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報ではないから」公開を取りやめた旨説明するが、常識として、公開を取りやめる結果として公にされなくなるのであって、因果関係が逆転しており、率直に言って支離滅裂である。というよりは、「公にしないから、公にしない」というふうに理由と結果が循環しており、意味不明である。本件処分をなした判断の土台となっている諮問庁による本件情報の公開停止ですら、このように正当な理由の認められない不明瞭なものであり、本件処分が妥当なものであるとは到底認められない。

(3)諮問庁は、群馬高専「学校だより」やHPに掲載されている情報と、本件情報は性質が異なり不開示は妥当である旨主張するが、(1)で説示したとおり、本件情報に記された教職員の氏名等情報はすでに全員が公表済なのであって、どの道すでに対象者が特定個人として識別可能である状況に変わりはない。また諮問庁の理由説明において「『既に掲載されている情報と照合することにより、特定の個人を識別することができる』ことが問題」とあるが、本件情報は「すでに別途公表されている」個人識別情報そのものであって、「照合」など持ち出す意図が不明であり、また何が「問題」なのかも客観的に見て極めて理解不能である。

(4)諮問庁は、本件情報を公開することによってその公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある旨主張するが、すでに別途公開されている氏名等情報を公開したところで諮問庁の業務に影響を及ぼすことは到底考えられないし、しかもこのような状況において、本件情報が内部向けかどうかということが、諮問庁の公正かつ円滑な人事を揺るがすかどうかを決めるというのは荒唐無稽な話である。そもそも、我が国の情報公開制度において開示されてきた文書の大半はそもそも外部の人間向けに作られていない(というより、外部向けに作られているという事はすなわち公表されているのであり、開示請求をする意味がない)ものであり、情報が内部向けかどうかを判断基準にする諮問庁はそもそも情報公開制度そのものの意義を理解していない。

(5)さらに、人事管理(組織運営)の為の情報であることと、外部者の閲覧が認められないことに、直接の因果関係は無い。事実、「校報」は全体として諮問庁のいう「内部向け」に作られているにも関わらず、本件情報を除いた部分について、未だに群馬高専HPにて公開されていることは諮問庁自身認める通りであり、自己矛盾している。

(6)諮問庁は、群馬高専HP上に掲載している情報が、教育研究情報として掲載しているものであって、異動情報として掲載しているものではない旨主張するが、問題となるのは本件情報と同質(あるいは、そのように利用できる)の情報が公開されているか否かであって、諮問庁が公開情報や本件情報をどう捉え扱っているかは問題ではない(だいいちそれ自体がたいへん恣意的なことである)。

(7)諮問庁は、職員配置図は(群馬高専の)学生・教職員の利用に供するものであると捉え、公衆の知り得る状態にないとし、よって公領域情報ではない旨主張する。しかしながら、当該校の事務室は、外部の人間も立ち入ることができ、また外部の人間が文書閲覧や各種手続等で利用することがままある。事実、審査請求人も外部者ではあるものの、同校の運営に関するヒアリング、校内発行物の閲覧、内部文書の開示請求や受取・閲覧等で何度も事務室に無案内で訪問している経緯があり、これは公然と認められていることである。したがって職員配置図についても現に公衆の知り得る状態に置かれているのであり、公領域情報であるといえる。

(8)研究内容・学術活動・同校への貢献等を評価した教職員への表彰や、同校により授与された名誉教授称号などは、その関連情報含めそもそも公表するのが当たり前の性質のものであり、仮に係る者の氏名等がホームページで公開されていなかったとしても、不開示とする合理的な理由が一切見当たらない。

(9)ホームページ上における氏名の掲載を理由として、内部文書に記載された氏名等情報の開示が認められた答申としては、例えば平成15年度(行情)答申第340号があり、こうした答申例と見比べても、本件処分は判断に当たって入念な検討を欠いた著しく不当なものであると言わざるを得ない。

(10)審査請求人が審査請求において挙げた理由のうち、(6)、(7)、(8)、(10)に関して諮問庁はそれらに対応する理由説明ないしは反論をなしておらず、これらに関する不開示処分には正当な理由が一貫して見当たらない。すなわち諮問庁は理由なき不開示処分を行ったということであるが、これは原則開示を定めた法に違反する行為であり、該当箇所については議論の余地なく即刻本件処分を撤回し開示とするのが妥当である。

4 結言
  かかる状況を、あらゆる観点から検討、分析、熟慮しても、諮問庁による本件処分には妥当な根拠がなく、その速やかな取消を求める。

5 付記
  審査請求人の審査理由にあるように、本件情報に記載のある群馬高専教職員らの氏名等情報が同校ホームページや刊行物にて公表されていることについて、諮問庁も公表の事実自体はおおかた認めており、また研究者データベースや他校のホームページにおいても対象者らの氏名等情報を把握可能である事実についても、諮問庁はその事実性について争う姿勢を見せていないため、これらが事実であることは審査請求人と諮問庁の共通認識であり、審査にあたっても前提としてよいと考えられる。
  こうした関連するホームページや刊行物のコピーを証拠資料として提出してもよいが、その場合著しく膨大な量になることが予想されるため、このことをもって、前提の事実性の証明としたい。

                            以 上
**********

■当会の意見書を審査会ではどのように評価するのでしょうか。今度は早めに結果通知を出してほしいものです。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考情報:「高専ロボコン」
**********NHKオンライン2017年11月23日 (木)
「地区大会を全部見たい!」 そんな皆さまのために集中編成のお知らせです!
 本日、各地で行われた「地区大会」の様子を放送しましたが、お楽しみいただけましたでしょうか?
 さらに、「他の地域の地区大会も見たい!」という欲張りな皆さまのために
 来週、集中編成で一挙大公開します!
 詳しくはコチラから。
http://www.nhk.or.jp/robocon/parts/images/roboconweek.jpg
 12月3日の全国大会に向け、気分を高めていきましょう!
●アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト
 全国大会 2017年12月3日(日) 有明コロシアム

●ロボコンウィーク

**********

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【速報】アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…アカハラ情報不開示訴訟で東京地裁が原告一部勝訴判決!

2017-11-24 23:15:00 | 群馬高専アカハラ問題
「主文1 被告が平成28年4月27日付で原告に対してした法人文書不開示決定のうち、別紙記載の各部分を不開示とした部分を取り消す。」
 本日2017年11月24日(金)午後1時25分に、東京地裁第522号法廷で判決言渡しがあり、裁判長の声が法廷に響きました。2016年10月26日に東京地裁に情報不開示決定処分の取り消しを求める訴状を提出してからちょうど1年と1ヵ月が経過しようとしていました。

とうとうこの日を迎えた東京地裁。



 当日は朝10時に、群馬高専でこの裁判の訴訟代理人弁護士への費用支払いに関する殆ど黒塗り同然の決議書の情報開示を受けた後、東京に向かいました。午後1時25分からの判決言渡しに臨み、判決文を入手するためです。

 午前11時2分に高崎駅発の上越新幹線に乗り、ちょうど正午に東京駅に着きました。いつものように東京メトロ丸の内線に乗り換えて、霞が関でおり、12時半に東京地裁に着きました。地下の食堂で昼食を取り、5階の第522号法廷に着いたのは午後1時でした。法廷の開廷表には次の予定が記載されてありました。

*****東京地裁開廷表*****
522号法廷(5階)開廷表
平成29年11月24日 金曜日
●開始/終了/予定 10:20/10:40/弁論
○事件番号/事件名 平成29年(行ウ)第332号/目黒区校長交際費支出損害賠償請求事件
○当事者      須藤甚一郎/目黒区長
○代理人       ―  /―
○担当       民事第3部 B2係
          裁判長 古田孝夫
          裁判官 貝阿彌亮
          裁判官 志村由貴
          書記官 佐藤春徳
●開始/終了/予定 10:45/10:55/弁論
○事件番号/事件名 平成28年(行ウ)第372号/裁決取消等請求事件
○当事者      ミランダ・ポールジョン/国
○代理人          ―     /―
○担当       民事第3部 B2係
          裁判長 古田孝夫
          裁判官 貝阿彌亮
          裁判官 志村由貴
          書記官 佐藤春徳
●開始/終了/予定 13:25/弁論(判決言渡)
○事件番号/事件名 平成25年(行ウ)第263号/法人税更正処分取消請求事件
○当事者      上村工業株式会社/国
○代理人       ―  / ― 
○担当       民事第3部 B2係
          裁判長 古田孝夫
          裁判官 貝阿彌亮
          裁判官 志村由貴
          書記官 佐藤春徳
●開始/終了/予定 13:25/弁論(判決言渡)
○事件番号/事件名 平成28年(行ウ)第499号/法人文書不開示処分取消請求事件
○当事者      市民オンブズマン群馬/独立行政法人国立高等専門学校機構
○代理人       ―  / ― 
○担当       民事第3部 B2係
          裁判長 古田孝夫
          裁判官 貝阿彌亮
          裁判官 志村由貴
          書記官 佐藤春徳

●開始/終了/予定 13:25/弁論(判決言渡)
○事件番号/事件名 平成29年(行ウ)第246号/採決取消等請求事件
○当事者      ヤガワ・ローリイター・パグラヤン/国
○代理人       ―  / ― 
○担当       民事第3部 B2係
          裁判長 古田孝夫
          裁判官 貝阿彌亮
          裁判官 志村由貴
          書記官 佐藤春徳
**********

 午後1時15分過ぎに、法廷の傍聴人席の入口ドアの施錠が外されるまで、隣の待合室にいると、高専機構の総務課職員のかたが先に待機していました。挨拶をしましたが、原告と一緒にいるのは居心地がよくないためか、職員のかたはまもなく廊下に出て行ってしまいました。傍聴席入口が開けられると、当会と機構職員を含め10数名の傍聴者が傍聴席に着席して、判決言渡しの開始時刻を待ちました。

 午後1時25分に始まった判決言渡しは、開廷表の順番に行われました。最初の事件では「原告請求を棄却する」と、いつも聞きなれたセリフが裁判長から告げられました。「やはり今回もこれと同じセリフが告げられるのだろうか」という思いが、脳裏をよぎりました。

 続いて群馬高専のアカハラ問題に関して当会が提起した事件の判決言渡しです。裁判長の口を注視していると、裁判長は淡々と冒頭のセリフを読み上げたのでした。

 3件の判決言渡しを終えると裁判長は陪席裁判官2名を連れて、一礼をすると法廷を退出しました。

 傍聴席には3件の当事者らしき傍聴人が当会も含めて10数名着席して、3件の判決を静かに聞いていましたが、言渡しが終わるや否や、全員ゾロゾロと外に出ました。当会は、法廷内で後片付けをしている書記官に声をかけて「判決文はどこで受領できますか?」と訊ねました。

 すると佐藤書記官は「10階にある書記官室で判決文が交付されます」と教えてくれました。

■低層階のエレベータで9階に上がり、高層階のエレベータに乗り換えて10階にある書記官室に行きました。さっそく入ろうとすると携帯電話に当会会員からの電話が入ったため、話していると、目の前を藍澤弁護士と機構職員がちょうど書記官室から出てくるところでした。

 見ると手に判決文を持っていました。表情が二人とも硬いように見えたのは、完全勝訴ではなかったためでしょうか。被告の当事者の二人は足早にエレベータで下に降りてしまいました。早速、善後策でも打ち合わせるのかもしれません。

 当会会員からの電話が終わると当会も書記官室の窓口で、受領用紙に署名と押印をして、判決文を受け取りました。全部で23ページの判決文は次に示す通りです。
※判決文: PDF ⇒ 20171124niqnajnsjij.pdf

■内容の詳細は吟味中ですが、判決文3の「訴訟費用はこれを3分し、その2を原告の負担として、その余を被告の負担とする」と記されているように、原告としては大体3割程度部分勝訴した感じがいたします。

 アカハラの被害者が開示してもよいと認めた文書について、開示すべきという判断は判決文では示されておらず、かなり不満な内容ではありますが、すべて個人のプライバシーだとして不開示にしてきた群馬高専にとっては、思いもよらない結果だと推察されます。

 群馬高専=機構側が控訴するかどうかは、14日以内の動静を見極めないと何とも言えません。なぜなら、裁判所が今回示したのは原告と被告の双方の主張の間にひかれた線引きの位置なので、控訴しても大きく変動するとは思えないと判断するのか、あるいはオンブズマンに対して毅然たる態度を徹底してとる必要があると判断するのか、予断を許さないからです。

■引き続き、本件裁判の行方についてご注目ください。


東京はヒートアイランド現象の為か、群馬県より紅葉が遅い。

↑裁判所の前の歩道には大勢の人だかりが。

リニア訴訟で集まった方々だ。
※リニア訴訟第7回口頭弁論(2017年11月24日午後2時30分から東京地裁第103号法廷)
http://blog.goo.ne.jp/ictkofu/e/aa8904ff92301fb9d75b5d9480e16eaa



【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※東京地裁の判決文の全文
*****判決******
<P1>
平成29年11月24日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成28年(行ウ)第499号 法人文書不開示処分取消請求事件
口頭弁論終結日 平成29年9月1日
              判     決
   群馬県前橋市文京町一丁日1 5 - 1 0
      原     告      市民オンブズマン群馬
      同代表者代表       小  川     賢
   東京都八王子市東浅川町701番2
      被告兼処分行政庁     独立行政法人国立高等専門学校機構
      同代表者理事長      谷  口     功
      同訴訟代理人弁護士    本  村  美  隆
                   藍  滞  幸  弘
              主     文
 1 被告が平成28年4月27日付けで原告に対してした法人文書不開示決定のうち,別紙記載の各部分を不開示とした部分を取り消す。
 2 原告のその余の請求を棄却する。
 3 訴訟費用はこれを3分し,その2を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。
              事実及び理由
第1 請求
 被告が平成28年4月27日付けで原告に対してした法人文書不開示決定を取り消す。
第2 本案の概要
 本件は,原告が,被告に対し,独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)に基づき,その保有する法人文書の開示を請求したところ,被告から,法5条1後の不開示情報に該当するとしてその全部に

<P2>
つき開示をしない旨の決定(以下「本件不開示決定」という。)を受けたことから,同決定は違法であると主張し,その取消しを求める事案である。
1 関係法令の定め
(1)法人文書の定義及び開示請求権
  法2条2項本文は,法において「法人文書」とは,独立行政法人等の役員又は職員が職務上作成し,又は取得した文書,図面及び電磁的記録であって,当該独立行政法人等の役員又は職員が組織的に用いるものとして,当該独立行政法人等が保有しているものをいう旨を定め,法3条は,何人も,法の定めるところにより,独立行政法人等に対し,当該独立行政法人等の保有する法人文書の開示を請求することができる旨を定めている。
(2)法人文書の開示義務
  法5条柱書きは,独立行政法人等は,開示請求があったときは,開示請求に係る法人文書に同県各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き,開示請求者に対し,当該法人文書を開示しなければならない旨を定めている。
  そして,同条1号は,本文において,個人に関する情報であって,当該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより,特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが,公にすることにより,なお個人の権利利益を害するおそれがあるものを掲げる一方で,ただし書において,人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公にすることが必要であると認められる情報(同号ロ),当該個人が公務員等(独立行政法人等の役員及び職員を含む。)である場合において,当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときにおける当該情報のうち,当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分(同号ハ)等を除く旨を定めている。

<P3>
  また,同条4号は,独立行政法人等が行う事務又は事業に関する情報であって,公にすることにより,人事管理に係る事務に関し,公車かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ,(同号へ)等があるものを掲げている。
(3)部分開示
  法6条1項は,本文において,独立行政法人等は,開示請求に係る法人文書の一部に不開示情報が記録されている場合において,不開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは,開示請求者に対し,当該部分を除いた部分につき開示しなければならない旨を定める一方で,ただし書において,当該部分を除いた部分に有意の情報が記録されていないと認められるときは,この限りでない旨を定めている。
  同条2項は,開示請求に係る法人文書に法5条1号の情報(特定の個人を識別することができるものに限る。)が記録されている場合において,当該情報のうち,氏名,生年月日その他の特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くことにより,公にしても,個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるときは,当該部分を除いた部分は,同号の情報に含まれないものとみなして,法6条1項の規定を適用する旨を定めている。
(4)公益上の理由による裁量的開示
  法7条は,独立行数法人等は,開示請求に係る法人文書に不開示情報が記録されている場合であっても,公益上特に必要があると認めるときは,開示請求者に対し,当該法人文書を開示することができる旨を定めている。
2 前提事実(証拠等により認定した事実はその証拠等を掲記する。証拠等の掲記のない事実は,当事者問に争いがない。)
(1)当事者等
  原告は,地方公共団体等の不正,不当な行為の監視と是正を目的とする権利能力なき社団である(弁論の全趣旨)。

<P4>
  被告は,独立行政法人国立高等専門学校機構法及び独立行政法人通則法の定めるところにより設立された同法2条1項所定の独立行政法人であり,法2条1項により法の連用を受ける独立行政法人である。
  群馬工業高等専門学校(以下「本件高専」という。)は,被告が設置する国立高等専門学校である,本件高専には,機械工学科,電子メディア工学科,電子情報工学科,物質工学科,環境都市工学科の5つの学科があり,各学科の入学定員はそれぞれ40人(各学科の学生定員は5学年でそれぞれ計200人),各学科所属の教員はいずれも10人程度である。(甲15,弁論の全趣旨)
(2)本件不開示決定に至る経緯
 ア 原告は,平成27年6月26日付けで,被告に対し,次の文書について,法人文書開示請求(以下「本件開示請求」という。)をした。
 (ア)平成26年4月1日以降,請求日までの間に,本件高専内の関係者(教職員,学生を含む。)又は本件高専外の関係者(卒業生,同窓生,保護者を含む。)に対して学内のハラスメント行為に関して発信した一切の文書(以下「本件対象文書1」という。)
 (イ)平成26年4月1日以降,請求日までの間に,本件高専学内のハラスメント行為に関して,本件高専の校長ら幹部,総務課,学生相談室又はカウンセラー宛に,本件高専内(教職員,学生を含む。)又は本件高専外の関係者(卒業生,同窓会,保護者を含む。)から寄せられた申立てや相談などの一切の文書(以下「本件対象文書2」とい.う。)
 (ウ)上記(イ)の受付後,本件高専内において対応等を協議した場合は,その起案書や議事録などの一切の関連文書(以下「本件対象文書3」という。)
 イ 被告は,平成27年7月23日付けで,原告に対し,本件開示請求に係る文書については,その存否を答えることにより,ハラスメント行為に関

<P5>
して申立てや相談があったという事実の有無を示すことになるから,法8条により,その存否を明らかにすることができないとして,不開示決定をし,その旨の通知をしたが,原告の異議申立てがあったことから情報公開・個人情報保護審査会に諮問をしたところ,同審査会から,上記決定を取り消すべきである旨の答申を受けたため,平成28年4月27日付けで上記決定を取り消すとともに,同日付けで,原告に対し,本件対象文書1に該当する文書は3通,本件対象文書2に該当する文書は2通,本件対象文書3に該当する文書は1通あるが,いずれも個人情報を含み,公にすることによって個人の権利利益を害するおそれがあるから,法5条1号の不開示情報に該当するとして,上記文書全部の不開示決定(本件不開示決定)をし,その旨の通知をした。
3 争点及び当事者の主張
(1)法5条1号本文の特定の個人を識別することができる情報(以下「個人識別情報」という。)該当性(争点1)
 (被告の主張)
 ア 本件対象文書1に該当する文書
   本件対象文書1に該当する文書は,本件高専が同校の学生の保護者に対して,同校の内部者からハラスメントの申告があったこと,申告に対する同校の対応状況及び同校としての今後の対応方針を説明した書面3通である(以下,これらの3通を併せて「本件文書1」という。)。
   本件文書1には,いずれにも,①作成者の氏名・肩書,②作成年月日,③標題(配布対象者である保護者の属性(学科・学年を含む。以下同じ。)の記述を含む。),④申告の経緯,⑤申告された事実(申告者と申告の対象者との関係,申告者以外の行為の相手方の所属・属性),⑥本件   高専において行った調査(期間・概要・方法,調査に至った経緯,調査担当者の所属・属性,調査結果),⑦申告の対象者への対応の概要,⑧学校

<P6>
としての今後の対応方針が記録され,④ないし⑧の中には申告者及び申告の対象者の所属・属性の記述が含まれている。
  これらの情報(①,②を除く。)は,申告者,申告の対象者,申告者以外の行為の相手方,調査担当者,調査対象者の各個人に関する情報であって,氏名の記述はないものの,本件高専のウェブサイトに掲載されているシラバス,学校だより等の資料や,原告のウェブサイトに掲載されている本件訴訟の訴訟記録等の情報と照合すると,上記の各個人が識別され得る情報であるから,法5条1号本文の個人識別情報に該当する,
 イ 本件対象文書2に該当する文書
   本件対象文書2に該当する文書は,本件高専の内部者が同校内におけるハラスメントとされる行為について同校校長に申告した書面と,同校内部者複数名が連名でハラスメントとされる行為について同校校長に申告した書面の2通である(以下,これらの2通を併せて「本件文書2」という。)。
   本件文書2には,いずれにも,①作成者(申告者)の氏名・所属・属性,②作成年月日,③標題,④申告の経緯,⑤申告された事実(ハラスメントとされる行為に至った経緯,申告者と申告の対象者との関係,行為の具体的内容・時期・頻度,申告者が説明する被害の内容,申告者が見聞きした申告者以外の者を対象とする行為の内容。これらの中には,申告者以外の行為の相手方の氏名・所属・属性の記述を含む,)が具体的に記録され,④及び⑤の中には申告者及び申告の対象者の氏名・所属・属性の記述が含まれている。
   これらの情報(②,③を除く。)は,申告者,申告の対象者,申告者以外の行為の相手方,調査担当者,調査対象者,関係する教職員及び学生の各個人に関する情報であって,それらの個人が識別され得る情報であるから,法5条1号本文の個人識別情報に該当する。

<P7>
 ウ 本件対象文書3に該当する文書
   本件対象文書3に該当する文書は,上記のハラスメントの申告を受けて,本件高専が事実関係を調査の上作成した書面1通である(以下,これを「本件文書3」という。)。
   本件文書3には,①作成者の氏名・肩書,②作成年月日,③標題,④申告の経緯,⑤申告された事実(ハラスメントとされる行為に至った経緯,申告者と申告の対象者との関係,行為の具体的内容・時期・頻度,申告者が説明する被害の内容,申告者が見聞きした申告者以外の者を対象とする行為の内容。これらの中には,申告者以外の行為の相手方の氏名・所属・属性の記述を含む。),⑥本件高専において行った調査(期間・概要・方法,調査に至った経緯,調査担当者の所属・属性,調査結果,これらの中には,関係当事者の氏名の記述を含む。)が具体的に記録され,④ないし⑥の中には申告者及び申告の対象者の氏名・所属.・属性の記述が含まれている。
   これらの情報(①ないし③を除く。)は,申告者,申告の対象者,申告者以外の行為の相手方,調査担当者,調査対象者,関係する教職員及び学生の各個人に関する情報であって,それらの個人が識別され得る情報であるから,法5条1号本文の個人識別情報に該当する。
  (原告の主張)
   本件開示請求の対象文書やその内容は不知であるが,本件文書1には,平成27年4月1日付けで本件高専校長が同校の特定の学科・学年の保護者宛に配布した文書が含まれ,また,本件文書2は,平成26年12月24日付けの「ハラスメントに関する申立番」及び平成27年2月25日付けの「人権・被害救済の申し立て」であると推測される。その余は争う。
(2)法5条1号ロの情報該当性(争点2)
 (原告の主張)

<P8>
  アカデミックハラスメントを受けた被害者(学生及び職員)はうつ病を発症したり自殺をしたりすることがあるところ,被害者の生命,健康,生活を保護するためには,ハラスメントの実態を記した文書を公表し,真相を究明し,責任の所在を明確化し,再発防止策を講じることが必要であるから,本件文書1ないし3に記録されている情報は,被害者が氏名等の開示に同意しない場合でない限り,法5条1号ロの情報に当たり,開示されるべきである。
 (被告の主張)
  法5条1号ロの情報に該当するか否かについては,情報を開示することにより,当該情報に係る個人の権利利益よりも,人の生命,健康,生活又は財産の保護の必要性が上回るかどうかという比較衡量により判断されるべきであるところ,本件においては,ハラスメントに係る事実は加害者とされる側と被害者とされる側の双方にとってプライバシー性の高い情報であり,その調査を行うことや,懲戒処分等を行うかどうかの判断は人事管理に関する事項として被告又は本件高専が行うべき事柄であって、本件文書1ないし3を開示することと,関係者の生命等の保護との関連性は,全くないか,極めて弱いものである。したがって,本件文書1ないし3に記録されている情報は,法5条1号ロの情報に該当しない。
(3)法5粂1号ハの情報該当性(争点3)
 (原告の主張)
  本件において,アカデミックハラスメントの加害者及び被害者の一部は独立行政法人等の教職員であり,加害者は本件高専の職務を遂行する過程で他の教職員や学生に対しハラスメントを行ったのであるから,本件文書1ないし3に記録されている加害者及び被害者のうち教職員の職及び職務遂行の内容に係る情報(氏名も含む。)は法5条1号ハの情報に当たり,開示されるべきである。
 (被告の主張)

<P9>
  本件文書1ないし3には,ハラスメントとされる行為の相手方の個人識別情報が記録されているところ,そのうち学生の個人識別情報は学生が「公務員等」に当たらないことから,また,教職員の個人識別情報はハラスメントとされる行為の相手方となったことが「職務遂行の内容」に当たらないことから,いずれも法5条1号ハの情報には当たらない。そして,懲戒処分等を受けることは公務員等に分任された職務遂行に係る情報とはいえないから「職務遂行の内容」に当たらないし,ハラスメントの行為者とされる人物の個人識別情報が「職務遂行の内容に係る情報」を含んでいると解する余地があるとしても,ハラスメントとされる行為の相手方の個人識別情報にも当たるから,結局,法5条1号ハの情報には当たらないというべきである,
(4)本件文書2及び3の法5条4号の情報(同号へのおそれがあるもの)該当性(争点4)
 (被告の主張)
  本件文書2及び3は,本件高専がハラスメントに該当する事実の有無及び対象教職員への処分の要否を検討することを念頭に作成された書面であり,これらの書面が開示された場合には,今後ハラスメント等が疑われる事実が生じた場合に,関係者が文書開示をおそれて萎縮することなどが容易に想定され,関係者から事実関係を聴取する等の調査を実施して人事管理を行うことが困難となる。したがって,本件文書2及び3に記録されている情報は,作成年月日及び標題を除き,被告が行う事務又は事業に関する情報であって,公にすることにより,人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるから,法5条4号の情報(同号へのおそれがあるもの)に該当する。
 (原告の主張)
  争う。
(5)法6条による部分開示をしないことの適法性(争点5)

<P10>
(原告の主張)
  本件文書1ないし3のうち,氏名等の個人識別情報とそれ以外のアカデミックハラスメント事件の存在及び経緯に関する情報等とは容易に区分可能であり,前者については不開示情報に当たるとしても,被告は,少なくとも後者について法6条により部分開示をしなければならなかったところ,全部不開示とした本件不開示決定は違法である。
  被告は,後者も関係者のプライバシーに関わる情報である旨主張するが,本件文書1のうち,本件高専において行った調査の期間・概要・方法に関する情報は特定の個人のプライバシーに関わる情報とはいえないし,本件高専の申告の対象者への対応の概要に関する情報については,これまで加害者について懲戒処分が行われておらず非公式な方法により上記の対応が行われたと考えられることからすると,対応の内容から特定の個人を識別することはできない。また,同文書は本件高専の学生及び保護者に既に配布されていることから,開示されたとしても加害者には特段の不利益は生じない。
  本件文書2のうち,ハラスメント行為の具体的内容が被害者側のプライバシーに関わる情報に当たるとしても,当該被害者が開示に同意した場合には,その人物に係る情報は開示されるべきであり,現に,被害者らの多くが原告に対し開示に同意する意思を示しているところ,被告は,同意の有無を確認した上で,同意を得られた人物に係る情報を開示するべきである。
  本件文書3のうち,調査方法,調査に至った経緯,調査結果の中に含まれているはずの被告又は本件高専が導き出した結論は,氏名・所属・職位等の情報を除けば,個人識別情報に当たらず,特定の個人の権利利益を害するおそれもない。また,調査対象者から提供された情報について,当該対象者が開示に同意した場合に開示されるべきことは,本件文書2について述べたところと同様である。
  不開示情報が記録された部分を除いた部分に有意性がない旨の被告の主張

<P11>
は争う。
 (被告の主張)
  本件文書1ないし3に記録されている情報のうち,申告の経緯,申告された事実,本件高専において行った調査,申告の対象者への対応の概要に関する部分は,氏名等を除いた部分も,その内容からして,申告者,申告の対象者,ハラスメントとされる行為の相手方,関係する教職員及び学生,調査対象者等の個人識別情報に当たる上,公にすることによりこれらの者のプライバシーが害されるおそれがあるから,法6条2項により部分開示をすることは相当でない。
  また,前記(4)の被告の主張のとおり,本件文書2及び3に記録されている情報のうち,文書の作成年月日及び標題を除いた部分は,法5条4号の情報にも該当する。
  そして,本件開示請求の趣旨が,アカデミックハラスメント事件の存在及び経緯に関する情報の公開にあると解されることからすれば,本件文書1ないし3のうちその余の部分には,有意の情報が記録されていないことが明らかであるから,法6条1項ただし書により,部分開示をしなくても違法にはならないというべきである。
(6)法7条による数量的開示をしないことの適法性(争点6)
 (原告の主張)
  本件開示請求の対象文書を開示することにより,アカデミックハラスメントの存在,実態,経過が明らかになり,第三者が,加害者への処分,被害者への謝罪やケア,本件高専の事件への対応や再発防止策が妥当であったかどうかを検証することが可能となり,アカデミックハラスメントの被害者の権利回復につながる上,中学生の進学先の判断材料にもなるから,公益に資する。したがって,本件開示請求の対象文書に不開示情報が含まれているとしても,二次被害が発生するおそれがある現在在籍中の被害者に係る個人情報

<P12>
を除き,法7条により裁量的に開示されるべきである。
 (被告の主張)
  争う。
第3 当裁判所の判断
1 争点1(法5条1号本文の個人識別情報該当性)について
(1)本件対象文書1に該当する文書について
 ア 証拠(甲14,乙5の1ないし3,)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
   本件対象文書1に該当する文書は,本件高専校長が同校の学生の保護者宛に配布した平成27年4月1日付けの書面2通及び同年6月2日付けの書面1通の計3通(いずれも全1頁のもの。本件文書1)であり,いずれも,同校校長が同校の学生の保護者に対して,同校の内部者からハラスメントの申告があったこと,申告に対する同校の対応状況及び同校としての今後の対応方針等を説明した書面である。
   本件文書1には,いずれにも,①作成者である本件高専校長の氏名・肩書,②作成年月日,③標題(配布対象者である保護者の属性の記述を含む。)のほか,④ハラスメントの申告の経緯,⑤申告された事実(申告者と申告の対象者との関係,申告者以外の行為の相手方の所属・属性),⑥本件高専において行った調査(期間・概要・方法,調査に至った経緯,調査担当者の所属・属性,調査結果),⑦申告の対象者への対応の概要,⑧学校としての今後の対応方針が一定程度具体的に記録され,④ないし⑧の中には申告者及び申告の対象者の所属・属性の記述が含まれているが,①を除いて個人の氏名の記述はない。
 イ 上記認定事実によれば,本件文書1には,いずれにも,上記アの③において配布対象者である保護者の属性(申告者や申告の対象者の所属・属性を推測させる記述であるといえる。),同④ないし⑧において申告者,申

<P13>
告の対象者及び申告者以外の行為の相手方の所属・属性,同⑥において調査担当者の所属・属性の各記述があり,同④ないし⑧の記載内容も一定程度具体的であることに加え,本件高専の各学科の学生数がいずれも1学年当たり40人程度であり,各学科の所属教員数がいずれも10人程度であること(前提事実(1))も併せて考慮すると,同③ないし⑧の情報は,個人の氏名の記述がないとしても,申告者,申告の対象者,申告者以外の行為の相手方及び調査担当者の各個人に関する情報であることは明らかであり,かつ,本件高専の教職員や学生は上記各個人を識別することができ,また,第三者も本件高専のウェブサイトに掲載されている学校要覧,シラバス,学校だより等の本件高専の教職員や卒業生の所属・属性や実名の記載(甲15,弁論の全趣旨)と照合することにより,上記各個人を識別することができると解される。
  したがって,本件文書1に記録されている上記アの③ないし⑧の情報は,法5粂1号本文の個人識別情報であると認められる。
 ウ なお,被告は,上記アの①及び②の情報については不開示情報に当たる旨の主張をしていないから,これらの情報は不開示情報ではないと認められる。
(2)本件対象文書2に該当する文書について
 ア 証拠(甲11,12)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
   本件対象文書2に該当する文書は,本件高専の内部者が同校校長ら宛に提出した,同校内におけるハラスメントの被害状況等を申告する内容の平成26年12月24日付けの「ハラスメントに関する申立書」1通(全14頁のもの)と,同校の内部者複数名が連名で同校校長ら宛に提出した,ハラスメントの被害を受け又はそれを見聞きした内郭者らから聴取した被害伏況等を報告する内容の平成27年2月25日付けの「人権・被害救済

<P14>
の申し立て」1通(全12頁のもの)の計2通(本件文書2)である,
   本件文書2には,いずれにも,①作成者(申告者)の氏名・所属・属性,②作成年月日,③標題,④宛先(本件高専の校長らの氏名・肩書),⑤申告の経緯,⑤申告された事実(申告者又は被聴取者(以下「申告者等」という。)がハラスメントを受けるまでの経緯,申告者等と申告の対象者との関係,申告者等に対するハラスメントの具体的内容・時期・頻度・結果(心身や業務・学業への被害状況等),申告者等が見聞きした申告者等以外を対象とするハラスメントに当たり得る行為の具体的内容・結果)が相当程度詳細に記録され,⑤及び⑥の中には申告者等及び申告の対象者の氏名・所属・属性の記述が含まれており,⑥の中には,申告者等以外の行為の相手方の氏名・所属・属性の記述が含まれている。
 イ 上記認定事実によれば,まず,上記アの①が作成者(申告者)に関する情報であって,個人を識別することができるものに当たることは明らかである。また,同⑤及び⑥も,申告者等,申告の対象者,申告者等以外の行為の相手方その他の本件高専の内部者(教職員・学生)らの氏名・所属・属性の記述がある上,その他の内容も相当程度詳細であることからすれば,申告者等,申告の対象者,申告者等以外の行為の相手方その他の本件高専の内部者(教職員・学生)らの各個人に関する情報であって,それらの個人を識別することができるものに当たると解される。
   したがって,本件文香2に記録されている上記アの①,⑤及び⑥の情報は,法5条1号本文の個人識別情報であると認められる。
 ウ なお,被告は,上記アの②ないし④の情報については不開示情報に当たる旨の主張をしていないから,これらの情報は不開示情報ではないと認められる。
(3)本件対象文書3に該当する文書について
 ア 弁論の全趣旨によれば,本件対象文書3に該当する文書は,上記のハラ

<P15>
スメントの申告を受けて,本件高専が事実関係を調査の上作成した調査の経緯及びその結果に関する書面1通(本件文書3)であり,本件文書3には,①作成者である本件高専の教職員の氏名・肩書,②作成年月日,③標題,④申告の経緯,⑤申告された本実(ハラスメントとされる行為に至った経緯,申告者と申告の対象者との関係,行為の具体的内容・時期・頻度,申告者が説明する被害の内容,申告者が見聞きした申告者以外の者を対象とする行為の内容。これらの中には,申告者以外の行為の相手方の氏名・所属・属性の記述を含む。),⑥同校において行った調査(期間・概要・方法,調査に至った経緯,調査担当者の所属・属性,調査結果。これらの中には,関係当事者の氏名の記述を含む。)が具体的に記録され,④ないし⑥の中には申告者及び申告の対象者の氏名・所属・属性の記述が含まれていることが認められる。
 イ 上記認定事実によれば,上記アの④ないし⑥は,申告者,申告の対象者,申告者以外の行為の相手方及び調査担当者の氏名・所属・属性の記述がある上,その他の内容も具体的であることからすれば,上記各個人に関する情報であって,それらの個人を識別することができるものに当たると解される。
   したがって,本件文書3に記録されている上記アの④ないし⑥の情報は,法5条1号本文の個人識別情報であると認められる。
 ウ なお,被告は,上記アの①ないし③の情報については不開示情報に当たる旨の主張をしていないから,これらの情報は不開示情報ではないと認められる。
2 争点2(法5条1号ロの情報該当性)について
 法5条1号ロが,同号本文の個人に関する情報であっても,「人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公にすることが必要であると認められる情報」についてはこれが記録された法人文書を開示すべき旨を定めているのは,

<P16>
個人に関する情報であっても,それを不開示とすることにより当該個人の権利利益を保護する必要性よりも,人の生命,健康,生活又は財産を保護する必要性が上回るときは,当該情報を開示する必要性及び正当性が認められることから,当該情報を開示すべきものとしたものと解されるから,「公にすることが必要であると認められる」とは,当該情報を不開示とすることにより保護される当該個人の利益と開示することにより保護される人の生命,健康,生活又は財産に係る利益とを比較衡量し,後者の利益が前者の利益に優越する場合をいうものと解するのが相当である。
 これを本件についてみると,前記1のとおり,本件文書1ないし3には,ハラスメントと申告されている行為の行為者(申告の対象者)及び相手方(申告者その他の者)が識別され得る情報が記録されており,かつ,これらの者の高度のプライバシーに関わる内容が記録されているところ,本件文書1ないし3を不開示とすることにより,これらの者のプライバシーを保護する必要性は大きいといえる一方,これらを開示することにより直ちに人の生命,健康,生活又は財産が保護される関係にあるとはいい難い。
 原告は,本件文書1ないし3を開示することにより,ハラスメントの真相究明,責任の所在の明確化,再発防止策の確立が図られ,うつ病を発症することなどがあり得る被害者の生命,健康,生活を保護することができるから,被害者が開示に同意しない場合でない限り,法5条1号ロの情報として開示すべきである旨を主張するが,前記1において認定した本件文書1ないし3の記載内容に照らすと,これらを開示することにより,ハラスメントと申告されている行為の行為者(申告の対象者)及び相手方(申告者その他の者)のプライバシーが侵害されることが具体的かつ確実に予測される(なお,これらの者を含め,本件文書1ないし3に記録された個人識別情報に係る各個人が,その開示に同意していることを認めるに足りる的確な証拠はない。)のに対し,ハラスメントの被害者のうつ病の発症等を予防し得るとか,生命,健康,生活を保護する

<P17>
ことができるという期待はいまだ抽象的なものにとどまるといわざるを得ないから,原告の上記主張は採用できない,
 したがって,本件文書1ないし3に記録された前記1の個人識別情報が法5条1号ロの情報に該当するということはできない。
3 争点3(法5条1号ハの情報該当性)について
 原告は,本件におけるアカデミックハラスメントの加害者及び被害者のうち教職員である者に関する情報は,法5条1号ハの情報に該当する旨を主張する。
 しかしながら,法5条1号ハの「職務の遂行に係る情報」は,公務員等として分任する職務の遂行に係る情報をいうと解されるところ,原告が主張するハラスメントが本件高専の教職員から他の教職員に対して行われたものであるとしても,被害者としてハラスメント行為を受けることやハラスメント行為の被害に関し調査を受けることは本件高専の教職員として分任する職務の遂行に係る情報とはいえず,また,ハラスメント行為をした加害者として申告を受けることやそれについて調査を受けることも本件高専の教職員として分任する職務の遂行に係る情報とはいえない。
 したがって,本件文書1ないし3に記録されたハラスメントと申告されている行為の行為者及び相手方に係る前記1の個人識別情報は,法5条1号ハの「職務の遂行に係る情報」に該当せず,同号ハの情報を含むものではないというべきである。
4 争点4(本件文書2及び3の法5条4号の情報(同号へのおそれがあるもの)該当性)について
 前記1において認定したとおり,本件文香2は,本件高専の内郭者がハラスメントの被害状況等を同校校長らに対し申告した書面であり,そのような書面が開校校長らに提出されることにより,本件高専における事実関係の調査の契機となり,また,それ自体,懲戒処分や人事異動等の人事管理に係る事務の資料となり得るものである。また,本件文書3は,上記の申告を受けて,本件高

<P18>
専が事実関係を調査の上作成した調査の経緯及びその結果に関する書面であり,懲戒処分や人事異動等の人事管理に係る事務の資料となり得るものである。そして,これらのハラスメント被害の申告書面やその調査に関する書面には,一般的に,ハラスメントと申告されている行為の行為者及び相手方のいずれにとってもプライバシー性が高く,通常秘匿にすることを欲する情報が記載されているものと解され,現に,前記1及び2において認定・説示したとおり,本件文書2(作成年月日,標題及び宛先の部分を除く。う及び本件文書3(作成者の氏名・肩書,作成年月日及び標題の部分を除く。)にもそのような情報が記録されていることが認められる。そうすると,これらが開示された場合には,今後,自身のプライバシーに関わる情報が保護されないことをおそれて,ハラスメント等について関係者が申告をすることや調査に応じることに萎縮し,被告が人事管理に係る事務を行うのに必要な情報を十分に収集することや記録化することが困難となるおそれがあるというべきである。
 したがって,本件文書2(作成年月日,標題及び宛先の部分を除く。)及び本件文書3(作成者の氏名・肩書,作成年月日及び標題の部分を除く。)に記録されている情報は,被告が行う事務又は事業に関する情妬であって,公にすることにより,人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるということができるから,法5条4号の情報(同号へのおそれがあるもの)に該当すると認められる。
5 争点5(法6条による部分開示をしないことの適法性)について
(1)前記1のとおり,本件文書1のうち,別紙記載1(1)の部分に記録されている情報(作成者の氏名・肩書及び作成年月日)は不開示情報ではない。また,前記1ないし3のとおり,本件文書1に記録されているその余の情報は不開示情報である法5条1号本文の個人識別情報であるが,証拠(乙5の1ないし3)及び弁論の全趣旨によれば,これらのうち別紙記載1(2)の部分に記録されている情報(本件高専の教職員,学生及びその保護者に係る所属

<P19>
・属性を除いた情報)は,公にしても,個人の権利利益が害されるおそれがない情報と認められるから,これらの情報は,法6条1項の適用においては,法5条1号の情報に含まれないものとみなされる(法6条2項)。そうすると,本件文書1のうち,不開示情報が記録されている部分は,別紙記載1の部分を除いた部分となる。そして,証拠(甲14,乙5の1ないし3)及び弁論の全趣旨によれば,これらの部分は,本件文書1から容易に区分して除くことができるものと認められ,当該部分を除いた部分に有意の情報(有意かどうかは客観的に定まり,開示請求者の主観的意図に左右されるものではない。)が記録されていないと認めることもできないから,被告は,法6条1項により,上記不開示情報が記録されている部分を除いた部分(別紙記載1の部分)につき開示すべき義務を負うというべきである(法6条1項)。
(2)次に,前記1ないし4のとおり,本件文書2及び3には,不開示情報である法5条1号本文の個人識別情報及び同条4号の情報(同号へのおそれがあるもの)が記録されているが,本件文書2のうち別紙記載2の部分に記録されている情報(作成年月日,標題及び宛先)及び本件文書3のうち別紙記載3の部分に記録されている情報(作成者の氏名・肩書,作成年月日及び標題)は,上記のいずれの不開示情報にも該当しないところ,上記の不開示情報が記録されている部分(別紙記載2及び3の部分を除いた部分)は本件文書2及び3から容易に区分して除くことができ,残余の別紙記載2及び3の部分に有意の情報が記録されていないと認めることもできないから,被告は,法6条1項により,本件文書2のうち別紙記載2の部分及び本件文書3のうち別紙記載3の部分につき,開示すべき義務を負うというべきである。
  原告は,本件文書2及び・3について,法人文書に個人のプライバシーに関する情報が含まれるとしても,当該個人が開示に同意した場合には,その人物に係る情報は開示されるべきである旨の主張をする。しかしながら,前記4のとおり,本件文書2及び3に記録されている個人のプライバシー関す

<P20>
る情報は,法5条4号へのおそれがあるものとして同号の不開示情報にも該当するものであるところ,同号へのおそれは,今後の人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれをいうから,当該文書に係る当該個人がたまたまその開示に同意したからといって,今後における上記のおそれがなくなるというものではない。したがって,原告の上記主張は採用できない。
(3)以上のとおり,被告は,原告に対し,本件文書1のうち別紙記載1の部分,本件文書2のうち別紙記載2の部分及び本件文書3のうち別紙記載3の部分につき開示すべき義務を負うから,本件不開示決定は,これらの部分につき開示をしなかった点で,違法である。
6 争点6(法7条による裁量的開示をしないことの適法性)について
 原告は,本件開示請求の対象文書を開示することにより,第三者がハラスメント行為の加害者及び被害者として申告された者への本件高専の対応及び再発防止策等の妥当性を検証することが可能となり,被害者の権利回復につながる上,中学生の進学先の判断材料にもなるから,公益に資する旨を主張するが,これまで述べたところからすれば,本件文書1ないし3は,前記5のとおり被告が部分開示をすべき義務を負う部分を徐き,これを開示することによりノヽラスメント行為の加害者及び被害者として申告された者等の高度のプライバシーが侵害されるおそれや被告における公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれが具体的かつ確実性のあるものとして認められる一方,本件文書1ないし3を開示することによる被害者の権利回復や中学生の進学先の判断材料の提供という効用はいまだ抽象的なものにとどまるといわざるを得ない。そうすると,被告が,本件文書1-ないし3を開示することが「公益上特に必要があると認めるとき」に当たらないとして,法7条により本件文書1ないし3を開示しなかったことが被告の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものであるということはできない。

<P21>
7 結論
 以上によれば,本件不開示決定は,別紙記載の各部分を開示しなかった点で,違法な処分として取消しを免れないが,その余の部分を開示しなかった点では適法なものというべきである。
 したがって,原告の請求は,主文第1項の限度で理由があるから認容し,その余は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。
  東京地方裁判所民事第3部

         裁判長裁判官   古   田   孝   夫

            裁判官   具 阿 彌       亮

            裁判官   志   村   由   貴

<P22>
(別紙)

1(1) 群馬工業高等専門学校長が同校の学生の保護者宛てに配布した平成27年4月1日付けの書面2通及び同年6月2日付けの書面1通のうち,作成者の氏名・肩書及び作成年月日の部分
 (2) 前記(1)の各書面のうち,群馬工業高等専門学校の教職員,学生及びその保護者に係る所属・属性(学科・学年を含む。)を記述した部分を除く部分(上記(1)の部分を除く。)
2(1) 群馬工業高等専門学校の内郭者が同校校長ら宛に提出した平成26年12月24日付けの「ハラスメントに関する申立書」1通のうち,作成年月日,標題及び宛先の部分
 (2) 同校の内部者複数名が連名で同校校長ら宛に提出した平成27年2月25日付けの「人権・被害救済の申し立て」1通のうち,作成年月日,標題及び宛先の部分
3 前記2によるハラスメントの申告を受けて群馬工業高等専門学校が事実関係を調査の上作成した調査の経緯及びその結果に関する書面1通のうち,作成者の氏名・肩書,作成年月日及び標題の部分

<P23>
これは正本である。
 平成29年11月24日
  東京地方裁判所民事第3部
   裁判所書記官 佐 藤 春 徳
                     東京11-478184
**********

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アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…群馬高専が開示した真っ黒けの弁護士費用支払決議書

2017-11-24 22:49:00 | 群馬高専アカハラ問題
■本日2017年11月24日(金)午後1時25分から、群馬高専において西尾・前校長当時、電子情報工学科を舞台に起きた陰湿なアカハラ事件に関する情報不開示取消訴訟の判決言渡しが東京地裁522法廷で行われることになっています。
 これに先立ち、当会では、この裁判で群馬高専が、今年4月以降、山崎新校長体制に移行してからも、引き続き起用している東京銀座の法律事務所に所属する弁護士を起用して裁判を継続しているため、一体いくら手数料を弁護士に支払っているのかを確認すべく、2017年10月11日に、国立高専機構に対して、法人文書開示請求書を提出したところ、11月16日に2枚のみの部分開示決定通知が届きました。しかし、その他の請求情報は全て不開示とされてしまいました。
 本日11月24日(金)午前10時に、その2枚の開示資料を受領しに、当会の代表と事務局長で久しぶりに群馬高専を訪れました。

群馬高専の正門から学校内の管理棟に伸びてくるプロムナードのイチョウ並木。すっかり色づいている。



管理棟の正面。

 この弁護士費用の開示手続きに関するこれまでの経緯は次のブログ記事を参照ください。
○2017年11月16日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…アカハラ情報不開示取消訴訟の弁護士費用がほぼ不開示とされる
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2462.html
○2017年11月17日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…アカハラ隠蔽を受け継ぐ山崎現校長の弁護士費用不開示に審査請求
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2463.html#readmore

 また、弁護士費用の開示手続きに関連する文書は次のとおりです。
※2017年10月11日の法人文書開示請求書(弁護士費用): PDF ⇒ 20171011_kikouate_houjinbunsho_kaijiseikyuusho.pdf
※2017年11月16日の法人文書の開示の実施方法等申出書(弁護士費用): PDF ⇒ oimpj.pdf
※2017年11月17日の審査請求書(弁護士費用): PDF ⇒ 20171117mpr.pdf

 今朝はよく晴れた秋の日で、群馬高専の正門から管理棟への続くプロムナードの両脇のイチョウ並木も黄色く色付いていました。

 午前10時きっかりに管理棟2階の総務課に伺うと、担当職員が2名対応し、閲覧用の当該資料2枚と、交付用にコピーをした2枚を閉じたファイルを窓口で示されました。閲覧用の文書も、既に黒塗りをしたものをコピーしてあり、閲覧の意味は既に失われていました。そしてファイルの中のクリアファイルに入っていた黒塗りの文書をリコピーした文書が写しとして交付されました。内容は次の2枚のとおりです。

20171124mpxcp.jpg
PDF ⇒ 20171124xc.pdf
2017年4月25日に弁護士に平成28年度分として支払った決議書。

20171124mpxcq.jpg
PDF ⇒ 20171124xc.pdf
2017年4月28日に弁護士に平成28年度分として支払った決議書。

 このとおり真っ黒けの文書ですが、かろうじて今年2017年の4月25日(火)と同28日(金)の2回に分けて支払いがなされたことだけが分かります。

 開示の際に、この理由を群馬高専の担当職員らに質問しましたが、「先日送った実施方法等申出書に記載のとおりだ」として、全く教えてもらえませんでした。おそらく、最初の着手金分の支払いと、平成28年度の日当・交通費などの実費分の支払いと推察されますが、群馬高専では頑なに口を閉じていました。

 本件裁判では、当会が2016年10月26日に東京地裁に訴状を提出し、群馬高専から2017年1月24日に答弁書が提出されたあと、口頭弁論がこれまでに6回開かれています。日にちとしては、第1回目が2017年2月3日、第2回目が同3月3日、第3回目が4月14日、第4回目が5月26日、第5回目が7月7日、第6回目が9月1日で、本日が判決言渡し予定ですので、2通の支払い決議書とも2017年4月3日に決議され同14日に起票されていることから、第2回目の口頭弁論までの訴訟関係費用を、藍澤弁護士の所属する法律事務所に支払ったものと見られます。

■群馬高専の総務課で、この2通の不開示同然の黒塗り文書を受領する際に、当会は担当職員らに「弁護士はいつも裁判所にひとりで出頭し、群馬高専は勿論、高専機構の職員も誰も同行してこなかった。このことは、オンブズマンとして評価したい。なぜなら、群馬県を相手取った行政訴訟の場合、地裁で開かれる口頭弁論の際には、訴訟代理人の弁護士の外にも、県職員が数名、多い時には傍聴席にも数名がさらに詰めかけ、東京高裁での控訴審でも同様に数名が同行するケースが恒常化している。さすがに国の組織はきちんと弁護士に業務委託をしており、無用な職員が公務の最中に裁判所に行って、ただ単に公務をさぼっているような群馬県の対応とは異なり、血税を無駄にしないように配慮する姿勢は評価できる。ついては、今後の参考にしたいので、なぜ、このような場合、職員を法廷に派遣しなくてもよい、との法律の有無と、該当条項について教えてもらいたい」とお願いしました。

 しかし、残念ながら群馬高専の総務課の職員らからは、何も返事がありませんでした。いつも対応してくれた櫻井課長は、机で公務中でしたが、こちらを一瞥することもありませんでした。今回のオンブズマン来訪への対応はすべて部下に任せている様子が見て取れました。

■当会では、この件で既に不開示同然の対応をとった群馬高専=機構あてに、11月17日に審査請求書を郵送で提出しました。今後、この弁護士費用の支払い等に関しても、総務省の情報公開・個人情報保護審査会に諮問されることになります。なぜなら実際に11月22日に機構から次の確認メールを受信したからです。

---------- 受信メッセージ ----------
From: 総務課(総務担当) <soumu@kosen-k.go.jp>
日付: 2017年11月22日 11:26
件名: 【高専機構】審査請求書を受付いたしました
To: ogawakenpg@gmail.com
Cc: soumu@kosen-k.go.jp

市民オンブズマン群馬
  代表 小川 賢 様

いつもお世話になっております。
高専機構事務局総務課の●●と申します。

平成29年11月10日付群高専総総第212-1号で行った
開示決定についての審査請求書を、平成29年11月20日に
機構事務局にて受付しましたのでご連絡いたします。

今後、機構において諮問の手続きを進めていきますので、併せ
てお知らせいたします。

+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
● ● ●●●
独立行政法人国立高等専門学校機構
本部事務局総務課課長補佐

〒193-0834 東京都八王子市東浅川町701-2
TEL: 042-662-3120 FAX: 042-662-3131
e-mail(係) :soumu@kosen-k.go.jp
e-mail(個人):nakamura@kosen-k.go.jp
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+



 これに対して、当方から折り返し次のメールを発信しました。

--------- 発信メッセージ ----------
From: masaru ogawa <ogawakenpg@gmail.com>
日付: 2017年11月22日 12:46
件名: Re: 【高専機構】審査請求書を受付いたしました
To: soumu@kosen-k.go.jp

国立高専機構事務局総務課
●●様

毎々お世話になります。
御連絡ありがとうございます。
出来る限り早期の手続きを希望する次第です。
引続き、情報共有化に向けてご理解ご協力をお願いします。

市民オンブズマン群馬
代表 小川賢
**********


■引き続き、弁護士費用に関する審査請求の今後の推移についてもご注目ください。



山崎校長は校長室に不在だった。

紅葉真っ盛り。



落ち葉を清掃中の業者。

群馬高専の正門を後に東京へ向かう。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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