市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10.26前橋バイオマス補助金返還第11回弁論に向け被告証拠意見書が届く

2018-10-22 00:52:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災
■東電グループの関電工を事業主体とする前橋バイオマス発電施設は、群馬県が定めた環境アセスメントを行わないまま、昨年末迄に事実上竣工し、本年2月から本格運転が開始され、4月24日には行政関係者を招いて完成披露式=開所式まで開かれてしまいました。この暴挙を食い止めようと、当会は地元住民団体とともに、発電施設に隣接する木質チップ製造施設に対する補助金交付の「差止」もしくは「処分の取消」を求める訴訟を2016年7月15日に提起しました。それから早くも2年3カ月が経過しようとしています。9月5日の第10回弁論準備では、裁判長がいよいよ証人尋問に向けた方針を示し、原告住民に対し人証の証拠申出書の作成と提出を訴訟指揮しました。そこで原告住民らは、指定された10月1日の朝、当該申立書を郵送で前橋地裁と被告群馬県訴訟代理人宛てに発送しました。一方、被告群馬県も裁判長の訴訟指揮に基づき、求釈明への反論として10月3日付で第8準備書面を提出してきました。これに続いて、被告から原告証拠申出書への反論として10月19日付で証拠意見書が送られてきました。いかに群馬県の役人が、自らの保身と、群馬県に本社のないヨソモノ事業者に忖度し、住民の安全・安心な生活環境や、群馬の県土の秩序ある保全を軽視しているかが、如実にわかる内容となっています。

被告から10月20日に届いた証拠意見書を同封した普通郵便の封筒。

 今年4月25日(水)午後4時30分に開かれた第8回弁論準備以降、これまでの本件裁判に関する情報はブログ記事を御覧下さい。
○2018年6月15日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…6月20日前橋バイオマス補助金返還第9回弁論に向け原告が準備書面(8)提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2669.html
○2018年8月4日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…9月5日前橋バイオマス補助金返還第10回弁論に向け被告が第7準備書面提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2716.html
○2018年8月28日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…9月5日前橋バイオマス補助金返還第10回弁論に向け原告が準備書面(8)提出
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2737.html
○2018年10月2日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10月26日前橋バイオマス補助金返還第11回弁論に向け原告が証拠申出書を提出
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2767.html
〇2018年10月6日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10.26前橋バイオマス補助金返還第11回弁論に向け被告第8準備書面が届く
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2772.html

■今回、原告住民らに届いた被告の証拠意見書の内容は次のとおりです。

*****送付書*****PDF ⇒ 20181019.pdf
前橋地方裁判所民事第2部合議係
ご担当 森山書記官 殿
原 告 小川 賢 殿
原 告 羽鳥昌行 殿
                       平成30年10月19日
                      前橋市大手町3丁目4番16号
                      被告訴訟代理人
                      石原・関口・猿谷法律事務所
                      弁護士 織  田  直  樹
                       電話027-235-2040

            送  付  書

事件の表示: 前橋地方裁判所
       平成28年(行ウ)第27号
         住民訴訟によるバイオマス補助金支払差止請求事件
当 事 者: 原 告: 小川賢1名
       被 告: 群 馬 県
次 回 期 日: 平成30年10月26日午前10時30分

下記書類を送付致します。
  1 証拠意見書                 1通(2枚)
                         本書含み 3枚
                               以上

--------------------------------切らずにこのままでお送りください-----------------------------------
            受  領  書

上記書類、本日受領致しました。
                  平成30年10月20日

      原 告       小 川   賢 
 
前橋地方裁判所(森山書記官)御中:FAX 027-233-0901
石原・関・猿谷法律事務所  御中:FAX 027-230-9622

*****証拠意見書*****PDF ⇒ 20181019.pdf
<P1>
平成28年(行ウ)第27号 住民訴訟によるバイオマス補助金支払差止請求事件
原 告 小川賢 外1名
被 告 群馬県知事 大澤 正明

              証拠意見書

                        平成30年10月19日
前橋地方裁判所民事第1部合議係 御中
            被告訴訟代理人弁護士 石   原   栄   一
            同          関   夕   三   郎
            同          織   田   直   樹
            同          安 カ 川   美   貴
            同指定代理人     板   垣   哲   夫
            同          笛   木   元   之
            同          生   方   宏   久
            同          武   藤       淳
            同          浅   見       淳
            同          石   井   米   吉

 原告ら提出の証拠申出書(平成30年10月1日付)について, いずれも不必要であるから採用されるべきではない。

<P2>
1 証人唐澤素子について
  原告らは,被告の条例アセスメントと木質バイオマスに関する「考え方の変遷の過程」から,「被告は関電工の度重なる圧力に屈し,環境アセスメントの実施をしないで済む方法を画策したのではないかとの疑念を抱かざるを得ない。」などと述べ, その考え方の変遷の過程を詳細に聞き取る必要がある旨主張する。しかし,原告らの主張する「圧力」とは漠然とした抽象的なものであり,唐澤素子に対する証人尋間によりその真偽を確かめることは不可能である。
  したがって,唐澤素子に対する証人尋間は不適切かつ不必要である。

2 証人石井米吉及び桑原光二について
  原告らは,「予算は効率的に使用されていると判断されたことになるが,この判断が正しかったのかどうか,決裁した当事者に話を聞き,経緯を検証しながら,この決裁の正当性を検証する。」などと述べる。このように,原告らの石井米吉及び桑原光二に対する証人尋間の目的は,本件補助金の正当性について議論しようとするものに尽きるから,本件補助金の違法性に関する「争点」(平成30年2月15日付裁判所作成書面。以下,「本件争点」という。)の判断につき,何ら資するものではない。
  したがって,石井米吉及び桑原光二に対する証人尋間は不適切かつ不必要である。

3 証人東泉清壽について
  原告らは,尋問事項として挙げる,事業計画の信頼性(尋問事項①)や施設の稼働状況(尋問事項②)は,本件争点と直接関連性がない。
  また,放射性物質が付着した木材を扱う能力や技術力等があるのか(尋問事項③)については,評価の問題であるから証人尋間に適さない。
  さらに,補助金の不正流用を疑わせるような事情がないか(尋問事項④)については,かかる疑惑を推認する具体的事実が示されていない以上,尋問事項として不適切である。
  したがって,東泉清壽に対する証人尋問も不適切かつ不必要である。

4 証人福本雅邦について 原告らの立証趣旨は,関電工の被告に対する「 圧力」や「 付度」がなかったかと

<P3>
いうものである。
  しかし,原告らの主張する「圧力」や「付度」は,抽象的かつ漠然としたものであり,本件争点の判断に資するものではない。
  したがって,福本雅邦に対する証人尋問も不適切かつ不必要である。
                                以上
**********

■自らの主張が正当だというなら、堂々と証人尋問に応じればよいものの、「その真意を確かめるのは不可能だから、証人尋問は不要だ」とか、「争点の判断に資するものではない」として、我々県民の安心・安全な生活環境を守るはずの環境森林部が、徹底した尋問拒否の姿勢をとっているのには、あきれ果ててしまいます。

 さらに、事業者の関電工とトーセンのこの事業遂行に携わった責任者らの証人尋問については、群馬県としても、きちんと環境アセスメントの免除の妥当性や、補助金で調達した機材の正当性の主張を展開してきたのですから、事業責任者らの証人尋問には、積極的に応じるはずです。ところがすべて尋問拒否の立場を強く示してきたことから、よほど群馬県のお役人様は、事業者らとの事前協議における密約を探られるのが嫌だとみえます。

 今週末に迫った10月26日(金)10時30分からの前橋地裁31号ラウンド法廷における第11回弁論準備(非公開)で、裁判長がどのような指揮を示すかが注目されます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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鉛・ヒ素入りスラグ問題!…高崎市の水道施設前はスラグだらけだった!

2018-10-21 21:50:00 | スラグ不法投棄問題
■高崎市や榛東村の道路や駐車場、公園などから環境基準を大幅に超えた鉛やヒ素が含まれている建設資材が発見されています。2018年9月18日みさと芝桜公園の駐車場▽公園付近の路上▽善地梅林広場の駐車場▽みさと梅公園蟹沢駐車場が鉛やヒ素だらけだと報道されました。読者の皆様、この現場がどうなっているか?気になりませんか。

 今回の調査場所の衛星写真はこちらです。↓↓


 今回の調査場所の地図はこちらになります。↓↓


 9月18日の新聞報道はこちらです。↓↓
〇2018年9月18日:【速報】公園にも鉛スラグ報道…やはり高崎渋川線バイパスだけでなかった非鉄スラグ投棄問題!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2757.html#readmore

 当会専属調査団によるスラグ調査レポートが届いています。さっそく見ていきましょう!

*****リットン調査団・非鉄スラグレポート*****
 スラグ不法投棄特別調査チーム「リットン調査団」集合(^^)/。

団長A:前回の調査では、非鉄スラグ100%生一本が押し固まって、鉛色してたね。
団長B:あれは、どぎつい色でしたね。まさに鉛が押し固まっていたようで、寒気がしましたね。
団員C:みさと芝桜公園の周辺はいったい何トンの非鉄スラグが投棄されているのだろうね?お役人様がだらしない不法投棄天国・群馬県ならではの異常さだね。トホホ・・・。
団員D:ついでだからもう少し周辺をブラブラ徘徊調査してみよう!


みさと芝桜公園の周辺道路を登ってきました。左の白いフェンスの先が、みさと芝桜公園となっています。水たまりの跡がちょっと黄色っぽいですね。


黄色っぽいというか、石灰を撒いたようになっていますね。まさか悪徳資材販売業者の(株)佐藤建設工業が群馬県中にばら撒いた大同有害スラグではないでしょうね。かなり怪しいね。


しんとうスポーツアリーナ駐車場には、非鉄スラグと大同有害スラグがコラボレーション(同居)投棄されていましたが、石灰が白く押し固まっているような様子を見るにつけ、ここにも大同有害スラグが使われているのかしら?と思ってしまうのがリットン調査団の面々です。


もう少し先に進んでみよう。この道路は、ほんのり赤く見えますが、アップで撮影してみましょう。


石灰が押し固まったような中に、石やコンクリートなどと混じって、赤茶けた非鉄スラグ発見!


みさと芝桜公園の白いフェンスの下はもっと赤く見えますね。


安物カメラでズームアップして撮影すると、あらあら、赤茶けた非鉄スラグだらけだ。いい加減にしてよ。


さて、みさと芝桜公園の反対には、なにやら施設がありますが、その施設の前も赤茶けて見えますね。


うわぁ~~赤茶た非鉄スラグだらけだ。この施設は一体なんだろう?


「この水道施設に○○○○周辺を汚染してはならない。」「違反者は罰せられます。 高崎保険福祉事務所」と書いてあります。なんと非鉄スラグが投棄されていたのは、高崎市の水道施設周辺だったのです。投棄者に告ぐ! 水道施設周辺を“鉛やヒ素”で汚染してはなりません。高崎保険福祉事務所様に申し上げます。違反者をただちに罰するべく刑事告発していただきますようお願いいたします。
*****非鉄スラグレポート・続く*****

■当会では、群馬県東吾妻町萩生川西地区の田園の中を通る農道に有害スラグ100%生一本が投棄されている状況に危機を感じ、住民訴訟を提起しました。現在、東京高等裁判所で係争中です。来る10月31日(水)10時30分から東京高裁424号法廷で開かれる第2回控訴審口頭弁論で、再反論の要否について、裁判長が意見を群馬県に聞くことになっており、県の回答内容次第で、もう一度今度は被控訴人群馬県側に主張させるかどうかを見極めたいというのが、前回8月15日の第1回控訴審口頭弁論での裁判長の訴訟指揮でした。

 群馬県が誇る田園地帯に悪徳建設資材販売業者の(株)佐藤建設工業により、大同有害スラグ100%生一本が投棄されている状況は、それはそれは悲惨であり、食の安全を脅かす重大な事態です。そのため当会は、大同有害スラグの徹底撤去を求めて、住民訴訟を提起し、徹底的に法廷で戦う決意を固めました。

 ところが、食の安全にはもっとも敏感であるはずの群馬県農政部農村整備課や出先の我妻農業事務所は、なんと応訴をして、有害スラグが投棄された農道に簡易舗装をしただけで、有害物質による農業環境への脅威はありえない、と法廷で主張しているのですから、あきれ果ててしまいます。

■今回、リットン調査団からレポートのあった高崎市の水道施設周辺道路に鉛・ヒ素入り非鉄スラグが投棄されている実態は、萩生川西地区の悲惨な状況同様に大変深刻な問題です。

 健全な食材の生産と同様に、健全な水の供給も安全・安心な生活環境と営農環境の維持のためには、共に欠かせない要素です。高崎市民の水道水というライフラインにどのような影響があるのか、大変心配でなりません。地下水というものは、汚染されてから対処したのでは、原状回復するまで大変な時間と労力が必要になるからです。

 当会が、群馬県県土整備部が建設を進める高崎渋川線バイパスに、非鉄スラグが投棄されている状況を告発してから、早くも1年余りが過ぎようとしています。廃棄物の監督官庁である環境森林部や高崎市の廃棄物を監督する高崎市廃棄物課は、未だに何のアクションを示しません。

 廃棄物処理法に基づいて粛々と調査、廃棄物認定、撤去原状回復の措置命令が発出されなければなりません。当会は微力ながら“きれいな群馬ちゃん”を守るため活動を続けてまいります。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考資料1「県による佐藤建設工業への行政処分」
**********
 (株)佐藤建設工業は、大同有害スラグを天然石と混合したことで群馬県より廃棄物の許可を取り消される行政処分を受けた悪質建設資材販売業者です。
 また(株)佐藤建設工業は豊富なスラグマネーを背景に建設業にも手を広げ、ソフトバンクソーラー造成工事(榛東村)、ビックカメラソーラー造成工事(安中市)、八ッ場ダム関連建設工事などを請け負い、その工事でスラグと知りながら積極的に有害物を使用しました。
 (株)佐藤建設工業は産業廃棄物の処理や運搬する許可を群馬県から受けていたので、廃棄物について熟知しており、スラグを取り扱うことが違法であることを知りながら、悪意で建設工事に有害スラグを使い続けていたのです。せめて自ら請け負った工事に使用したスラグは(株)佐藤建設工業に撤去片づけさせなければなりません。
 行政処分の内容はこちらです。↓↓
○2016年08月05日:【速報】佐藤建設工業に行政処分
http://blog.livedoor.jp/lytton_cyousadan/archives/5289331.html
**********

※参考資料2「群馬県による非鉄スラグ調査結果」
**********
 群馬県の調査により非鉄スラグから環境基準を超える鉛やヒ素が検出され大変危険な状況です
〇2018年7月29日: 【速報】高崎渋川線バイパスにスラグ汚染報道・・鉄鋼スラグに続いて非鉄スラグの不法投棄か
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2710.html
**********

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墜落した防災ヘリの原因究明と責任所在を阻む群馬県の情報非開示体質 

2018-10-19 23:42:00 | オンブズマン活動
■搭乗員9人全員が死亡した群馬県の防災ヘリコプター「はるな」(全長17.1m、重さ5.4トン)の墜落事故をめぐり、群馬県は3548万8800円(税込み)を投じ、昨年の長野県消防防災ヘリ墜落事故でも機体を引き上げた航空事業会社の朝日航洋(東京都)の大型ヘリを使って現場から機体を10月15日に回収しました。機体はその日のうちに陸路で群馬ヘリポート(前橋市)の県防災航空隊格納庫に運ばれ、国土交通省運輸安全委員会や県警が調査し、事故原因の解明を進めるものと見られます。
 一方、当会では代表名で、いち早く墜落の原因を究明すべく、群馬県に10件の情報開示を求めていましたが、残念ながら秘密体質の行政だけに、開示されたのは今年の4月から修理や調整をしていた経緯を示す不適合報告書など4件のみで、肝心の運航管理関連情報については5件すべてが開示拒否されてしまい、1件が不存在とされました。
 この他に、当会副代表が、別の視点からこの墜落事故について、真相を探るために情報開示を求めていましたが、群馬県はいずれも不存在処分を通知してきました。

防災ヘリ「はるな」の墜落の5日前に群馬県が大々的に特集記事を組んで県内全戸に新聞折り込みをした「ぐんま広報2018年8月号」(平成30年8月5日発行)の表紙。

 この群馬県防災ヘリ墜落に関するブログ記事は次を参照ください。

〇2018年8月14日:防災ヘリ墜落事故の原因究明を裏付ける情報開示を群馬県に請求
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2726.html
〇2018年8月16日;【速報】防災ヘリ墜落事故で明らかになった群馬県の航空法違反のズサン管理で国交省から厳重指導
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2727.html
〇2018年8月24日:防災ヘリ墜落事故の原因究明を裏付ける情報開示請求に対し県が早くもよこした2か月の開示延長通知
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2736.html
〇2018年10月15日:防災ヘリ墜落事故の情報を2か月ぶりに一部分のみ開示してきた群馬県
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2780.html
〇10月17日:墜落した防災ヘリの残骸回収・・・懸念される原因究明と責任所在明確化及び再発防止策
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2783.html

■当会の大河原副代表が、群馬県に開示請求をしていた情報の項目は次の通りです。

【情報開示請求1件目】
8月10日墜落した「群馬県の防災ヘリ」事故に関して
1 墜落当時のヘリコプターの損害額がわかる文書。
2 死亡した9人の経歴、給料の月額(死亡時)、給料の年間総額(平成29年は全額、平成30年は死亡時まで)、公務災害が認定された場合の補償額がわかる文書。

【情報開示請求2件目】
1 墜落当時のヘリコプターの機体や搭乗者にかけられていた保険の付保条件
2 墜落当日8月10日のヘリコプターの燃料タンクの容量と、実際にヘリコプター離陸時に積んでいた燃料の量

【情報開示請求3件目】
8月10日墜落した「群馬県の防災ヘリ」事故に関して「航空隊員がヘルメットに装着していた小型カメラ2台と、ハンディカメラ1台の映像」(NHKが8月28日報じている。)

 以上3件について情報公開請求していました。ところが先日、群馬県は次の理由でいずれも「不存在」決定処分通知を送り付けてきました。
 ●県の職員ではないので「不存在」
 ●県警が刑事訴訟法に基づいて捜査として持って行ったので、県には「不存在」
 ●機体は航空会社のものなので、県には「不存在」
 ●カメラの映像は運輸安全委員会が群馬県から収去したので、県では保管していないので「不存在」


 このように、群馬県の対応は、行政権限を自分に都合よく解釈しただけの無責任な対応となっています。

■ところで、群馬県は防災ヘリの墜落について、やたらとマスコミを通じて、ヘリの運航を委託している「東邦航空」の責任ばかり追及しています。委託すれば責任が全部委託先にあるかのような無責任ぶりです。しかし、あまりにも自らの管理監督責任を棚に上げていることから、身内の行政関係者からも異論が出てきています。

**********上毛新聞2018年10月19日一面
太田市長「運航管理ずさん」 県防災航空隊への派遣中止意向
 県防災ヘリコプターの墜落事故を受け、太田市の清水聖義市長は18日までに、ヘリを運航する県防災航空隊に派遣している市消防本部職員を引き揚げる意向を示した。26日の県消防長会で表明するという。清水市長は「運航管理がずさんで、大切な職員を預けておくわけにいかない」と話している。
 県消防保安課によると、同隊には本年度、渋川と富岡甘楽を除く県内9消防機関が各1人を派遣。うち多野藤岡と吾妻の職員が事故で亡くなった。
 清水市長は「(派遣職員の配属先の)仲間が亡くなったのに知事から何の説明もない。命というものに対する県の常識は私と違うようだ」と県を批判。日程調整中の合同追悼式をめどに派遣を打ち切る考えだ。
 一方、同課は今月初めに各消防機関に人員確保の協力を呼び掛け、了解を得たと説明。担当者は「正式に聞いていない。今後対応を検討する」とした。
**********

 太田市の清水市長は、8月にも防災ヘリ墜落事故に関連して、苦言を呈していましたが、この時は、発言が過激だとして批判を受け、謝罪に追い込まれてしまいました。

**********産経新聞2018年8月26日 15:40
【防災ヘリ墜落】群馬・太田市長「防災やる者が自爆。全くお粗末」…発言を謝罪
 搭乗員9人が死亡した群馬県の防災ヘリコプター「はるな」の墜落事故について、同県太田市の清水聖義市長が25日に市内で開かれた市総合防災訓練のあいさつで「防災をやる者が自爆してしまった。全くお粗末だと思った」などと話していたことが26日、分かった。
 清水市長は26日、報道各社に向けたコメントで「自分でしゃべったつもりはないが、無意識に言葉に出てしまったのかもしれない。不快に思われた方がいたら大変申し訳ない」と謝罪した。
 市によると、訓練会場には消防、防災などの関係者ら約800人が参加していた。10日に墜落事故が起きるまでは、はるなが訓練に参加予定だったという。
 はるなをめぐっては、県防災航空隊が事実と異なる到着報告をしたり、実際の飛行ルートとは異なる飛行計画を提出したりするなど運航管理のずさんさが明らかになっている。
 清水市長は「『お粗末』ということを思っていて頭に残っていたのだろう。防災ヘリコプターが事故のために、参加できずに残念だったというあいさつの中で、自分はしゃべったつもりはないが、無意識に言葉に出てしまったのかもしれない」と釈明した。
**********

 今回の太田市長の発言は、そのときの発言を反省にして、自らの思いを伝えるために、前記の意向表明に結び付いたものと思われます、

■確かに群馬県の日ごろからの体質からすれば、ずさんな行政対応は日常茶飯事と言えるでしょう。太田市も行政団体としては、群馬県と目くそ鼻くそのようなものですが、それでも群馬県の無責任な対応と、何でもかんでも防災ヘリ運航委託先の東邦航空に責任を押し付けたがる様は、トップの目に異様に映ったようです。それほど今回の事故に限らず、群馬県の無責任体質は目に余るものがあります。

**********産経新聞2018年8月17日 22:02
【防災ヘリ墜落】ずさん管理常態化か 群馬県、提出ルート確認せず
 搭乗員9人が死亡した群馬県の防災ヘリコプターの墜落事故をめぐり、国土交通省に「(帰投先の)ヘリポートに到着した」と事実と異なる通知をし、さらに実際の飛行ルートと飛行計画が異なっていたことが判明した問題で、運航主体の県側が飛行ルートと国交省に提出する飛行計画に食い違いがないか確認していなかったことが17日、分かった。県は過去にも飛行ルートと異なる計画を提出したことがあるとしており、ずさんな管理体制が常態化していた可能性もある。
 県によると、事故が起きた10日の飛行は、吾妻広域消防本部が県防災航空隊に依頼。7月19日に県に申請書を提出した。本来の計画は、消防隊員5人を乗り降りさせるため稲包(いなつつみ)山付近で折り返す前後に西吾妻福祉病院(同県長野原町)を経由、着陸することを盛り込んでいた。消防本部の意向に沿った形で防災航空隊員が作成し、飛行直前のミーティングでも内容は隊員の間で共有されていた。
 しかし、飛行当日の運航管理者だった委託先の東邦航空(東京都)に所属する60代の男性隊員はヘリポートを離陸し、折り返し後にヘリポートに着陸するという計画を国交省に提出した。
 県は、安全管理に関わる大部分を同社に委託していたとして、提出する計画の二重のチェックを行わず、事故から4日後の今月14日に国交省から食い違いを指摘されるまで把握していなかった。隊員が本来と異なる計画を提出した理由は不明。同社は、計画の変更について「特にメリットはない」としている。
 ヘリが墜落したとみられる時間帯に「ヘリポートに到着した」と事実とは異なる通知を行ったのもこの隊員だった。県と同社によると、隊員は20年以上のベテランで、操縦士の資格を持つ。衛星利用測位システム(GPS)を使用し、ヘリの位置を確認できる「動態管理システム」が作動していないことに気付いたのも、この隊員だった。
 同社は複数回にわたり、飛行ルートと異なる計画を提出していたことを認めている。過去に起きた同様の事例を認識できておらず、「派遣されている社員と本社との間でコミュニケーションが不足していた」との見解を示している。
 一方、総務省消防庁は16日付で全国の自治体に対し、防災ヘリの安全管理の徹底を求める通知を出した。飛行計画に沿った運航が行われているかなど、防災ヘリの運用状況を調べることも検討している。
**********

■産経新聞の記事にもあるように、全国の防災ヘリの運用状況はどうなっているのでしょうか。ネットで調べたところ、全日本航空事業者連合会の調査データが見つかりました。

**********
【消防防災ヘリコプターの運行委託状況等について】
  運航委託会社/運航団体数(団体)/ドクターヘリ運航の有無/備考※(主な事業内容)
1 中日本航空/6(青森県・福島県・石川県・愛知県・三重県・広島県)/○/人員輸送・報道取材
2 東邦航空/5(岩手県・群馬県・富山県・奈良県・和歌山県)/○/報道取材・物資輸送
3 朝日航洋/4(北海道・新潟県・鳥取県・山口県)/○/人員輸送・送電線調査
4 セントラルヘリコプターサービス/3(福井県・岐阜県・島根県)/○/人員輸送・操縦訓練
5 四国航空/3(岡山県・徳島県・香川県)/○/送電線調査・建設協力
6 東北エアサービス/2(宮城県・山形県)/×/視察調査(送電線調査含む。)
7 本田航空/2(栃木県・埼玉県)/○/人員輸送
8 鹿児島国際航空/2(宮崎県・鹿児島県)/○/人員輸送・薬剤散布
9 つくば航空/1(茨城県)/×/写真撮影・操縦訓練
10 (株)ジャネット/1(山梨県)/○/人員輸送
11 静岡エアコミューター/1 (静岡県)/×/報道取材・写真撮影
12 大阪航空/1(滋賀県)/×/写真撮影・操縦訓練
13 愛媛航空/1(愛媛県)/×/消防防災ヘリコプター運航のみ
14 オリエンタルエアブリッジ/1(長崎県)/×/消防防災ヘリコプター運航のみ
15 九州航空 /1(大分県)/×/写真撮影・遊覧
16 天草エアライン/1(熊本県)/×/消防防災ヘリコプターの運航のみ
※その他の事業内容ついては、平成26年度において、稼働実績が多いものを抽出した。(全日本航空事業者連合会調べ。)
**********

 この中には、昨年3月5日に防災ヘリが墜落した長野県は入っていませんが、同県を含め、秋田、高知、岐阜の4件は、運用の形態が「自前」でパイロットやヘリなどすべてを賄う「自主運航」だからです。

 また、防災ヘリの運航は、自主運航にしても民間委託にしても、県内市町村から分担金により運用経費を賄っていると言われています。群馬県の場合は、どうなっているのでしょうか。当会副代表の公文書幹事請求に対して群馬県は、「機体は航空会社のものなので、県には『不存在』である」と回答しています。

■防災ヘリの正式名称は「消防防災ヘリコプター」と言い、防災・消防・救助活動などに用いられます。保有者は東京消防庁・指定都市の消防局、各道県、総務省消防庁などとなっているようです。

 消防は本来市町村の役割ですが、ヘリの運用・維持は費用的に難しいということもあり、多くの自治体では県がヘリを購入し、防災航空隊という組織を設置してその役割を担っているようです。一方、京都や大阪などのように、府県が役割を担っておらず、指定都市や消防庁がその役割を担っているところもあるようです。

 全国消防防災協議会のHPによれば、2018年5月7日現在、全国の防災ヘリの配備状況は以下の通りです。
http://www.habataki.org/information.html

*****消防・防災ヘリコプターの配備状況(平成30年5月7日現在)*****
1 平成30年5月7日現在配備状況   76機(45都道府県、55団体)
 ○消防庁保有ヘリコプター        5機(東京消防庁、京都市消防局、埼玉県、宮城県及び高知県が無償使用)
 ○消防機関保有ヘリコプター      31機(東京消防庁、15政令指定都市)
 ○道県保有ヘリコプター        40機(38道県)

2 未配備県域数  2県域(佐賀県、沖縄県)
 ※千葉県、神奈川県、京都府、大阪府、福岡県は消防機関の保有のみで、府県は保有していない
 ※平成30年5月から長野県ヘリがリース機により運航再開(※救助活動を除く)


**********

■今回の墜落事故の犠牲になった方々は、吾妻広域消防本部に所属する職員の方と、民間航空会社である東邦航空の社員の計9名の皆さんです。

 それでは、群馬県の役割はなんだったのでしょうか。通常であれば、県が防災ヘリを保有してその費用を拠出し、県庁内の組織として設置する防災航空隊の組織の責任を担うことになると思います。

 群馬県の場合、群馬県防災航空隊が防災ヘリの管理をしているようですが、「ヘリの機体は県で保有していない」としていることから、その費用のみを負担しているものと考えられます。また、実際の消防・救助活動は、市町村の消防本部から県に出向している職員が担い、ヘリの操縦や保守・点検などは民間航空会社である東邦航空に委託していることになります。

 なお、群馬県の防災航空隊のHPによれば、その組織体制は、下図の通りです
※参考URL「群馬県防災航空隊」↓
 http://www.pref.gunma.jp/05/a5510030.html
当会注:この中に「平成29年度群馬県防災ヘリコプター『はるな』業務統計」があります。
http://www.pref.gunma.jp/contents/100066214.pdf
 ところが、なぜか現在は平成22~28年度までの業務統計しかダウンロードできません。津最近まで平成29年度の業務統計がダウンロードできたのに、不可思議です。おそらく県では都合が悪いと判断して、リンク機能を外したものとみられます。



 この組織図によると、県職員である危機管理監(部長級)をトップに、消防保安課長をナンバー2(ここまでが責任者)とし、防災航空隊基地内(県庁とは別の場所にある)では消防保安課長補佐(県職員)の下に隊長を含めて15名の隊員(市町村消防本部からの派遣9名、東邦航空6名)が在籍するという構成になっています。

 防消防防災ヘリと言いつつも、火事絡みで出動をするというケースはかなり少なく、救助・救急活動や訓練活動(市町村との合同訓練など)がメインの運航業務となっています。

 群馬県の平成29年度の運航活動状況(訓練は除く)は以下の通りです。

  火災出動:  1件
  救助出動: 61件
  救急出動: 92件
  災害応急:  0件
  広域応援: 36件
  合  計:190件

 活動履歴を見ると、運航活動の7割を占める救助・救急活動においては、山岳救助が殆どです。これは遭難した登山者を救助する仕事です。

 また、急病人を病院に運ぶというドクターヘリ的な運用も行われています。この場合は、ドクターヘリが出動していて不在の時などにこういった運用が行われることになります。群馬県では平成29年度で20件こうした運用が行われていたようです。

 なお、広域応援というのは県をまたいだ活動です。例えば隣県である福島県や長野県の山での遭難者の救助などで、これもまた山絡みが多いようです。

■運用のための経費が高いため県が防災ヘリを保有しているわけですが、具体的にどのくらいの運営費用がかかるのでしょうか。情報開示に消極的な群馬県は公表していないようなので、他県の平成30年度予算を抜粋してみましょう。
  栃木県(1機保有):約1億9000万円
  埼玉県(3機保有):約6億4700万円
  鳥取県(2機保有):約2憶6400万円


 内訳は鳥取県が細かく公表しています。それによれば、
  〇運航管理委託料(朝日航洋へ委託) 1億2600万円
  〇点検検査料              3900万円
  〇燃料費                2500万円
  〇部品・修繕費             2800万円
  〇航空保険料              2000万円

となっています。これらの費用は県と国(総務省)で折半するという形がとられているようです。

■このようにヘリ1機を運用するには、当然経費も大きくなることがわかります。一方、費用対効果の観点からは、例えば地上からのアクセスが困難な山火事や冬山の遭難などが発生した際に、ヘリが無いから手の施しようがないでは済まされません。

 群馬県の平成29年度実績で見れば190件の救命・救助(緊急案件だけで見ても、少なくとも数十名の命を救っている)を行っていることがわかります。ですから、非常に意義のある費用対効果の事業であることは確かです。

 それだけに、今回の事故は、救助する側に尊い人命と高価な機材の損失が発生したわけで、かえすがえすも残念な結果です。

■現在のところ事故の原因はまだ解明されていませんが、事故の原因を構成する2つの要因として、機材トラブルと運航管理問題が想定されます。

 今回ヘリの運航管理業務を委託されていた東邦航空は、2017年11月8日に、同社保有のJA9672号機が群馬県上野村藤沢橋上に墜落して、大破・炎上する事故を起こし操縦士と整備士(計4名)が死亡しました。その後、2018年2月2日には東京航空局が同社に対して、規程に即していない整備の実施や航空日誌に必要事項が記載されていなかったなどとして、業務改善命令が発せられるなど、このところ度々問題を起こしていたのは事実です。

 防災ヘリ「はるな」についても同社が整備を行ってきていたということで、当会の情報公開で得られた不適合報告書などを見ると、今年3月から6月にかけて、エンジンの調整でいろいろとややこしい経緯があった時期が続いただけに気になるところです。

 ですが、業務改善命令後は整備体制を見直し、東邦航空が保有する全ての航空機に関して一斉点検を行ったということなので、原因は、必要性もないのに、悪天候をついて、無理な飛行をなぜしなければならなかったのか、というところにもあるのではないかと考えられます。

 また、東京航空局に通報されていた「はるな」の飛行計画では、群馬ヘリポートを飛び立って、途中で離着陸をせずに約2時間のフライトを実施する計画していました。しかし実際に当日予定していた飛行概要によれば、群馬ヘリポートを飛び立って15分のフライトの後、西吾妻福祉病院に着陸して搭乗者を乗せ、5分後には離陸して、約1時間20分ほど山中をフライトすることを計画し、山中をフライト後、西吾妻福祉病院に着陸し、その後基地である群馬ヘリポートへ帰投する予定でした。すなわち、航空局に通報していた飛行計画にはない、飛行計画以外の場所(西吾妻福祉病院)への離着陸を予定していたことになります。

 こうしたことは事故後に明らかになりましたが、群馬県の姿勢をみていると、委託先の東邦航空が全面的に責任があるような論調となっています。しかし、あくまでも管理責任は発注側の群馬県にあるのではないでしょうか。

■他方、運用面として、例えば、2009年に岐阜県で起きた同様の防災ヘリ墜落事故では、山岳地帯特有の気流の乱れなどが考えられると、国交省が事故後の調査報告で指摘しています。

 今回も同様に気象絡みということであれば、不可抗力ということで、なかなか対応は難しかったかもしれませんが、不要不急でのフライトを誰が判断したのか、というところはきちんと明らかにする必要があるでしょう。

 群馬県が、県警に捜査資料として提供したので不存在として、当会に対して非開示扱いにしていますが、こうした県の姿勢は、きわめて不信感をいだかせるものです。もし改善が可能な原因であれば、次に活かして今後このような事故が起こらないようにしていくという積極的な対応姿勢が最も重要だと思います。

■ここで当会が今回の防災ヘリ墜落の報道に接して、疑問視をした背景についてもう一度整理をしてみたいと思います。
※ぐんま広報P1(稜線トレイル):PDF ⇒
20180805lp1igcj.pdf
※ぐんま広報P2(稜線トレイル):PDF ⇒
20180805lp2igcj.pdf
※ぐんま広報P3(稜線トレイル):PDF ⇒
20180805lp3igcj.pdf

 そもそも「ぐんま県境稜線トレイル」事業に関連づけた今回の防災ヘリ事故については、当初から次の事項が疑問点として浮かんできました。

疑問点その1
県境トレイルの調査になぜ空からの確認が必要だったのか?

疑問点その2
あれだけの長距離のトレイル・ルートを数十分で空から確認することに意味があったのか?

疑問点その3
なぜ、現地を歩いて確認するのが、当然に最優先のことと思わなかったのか?

疑問点その4
誰が立案計画をして誰が承認したのか?

疑問点その5
よもや物見遊山的な発想で誰かが言い出して、それがまかり通ったのではかったのか?

 民間であれば、こうした事故が発生した場合、立案・計画・承認したものが一番の責任を負うべきなのに、群馬県は、現場の東邦航空に責任を転嫁しているようにしか思えません。県には監督責任がありますから、丸投げしておいて知らなかったでは済まされないはずだと思います。

 とくに知事はその最高責任者ですから、事故後に東邦航空を責めるのはみっともない気がします。群馬県の合同葬儀も、パフォーマンスとしか思えません。本当に遺族によりそっているのでしょうか。

■また、「ぐんま県境稜線トレイル」ですが、一体誰が利用するのでしょうか?

 このルートのうち、野反湖から三国峠までの長いトレイルは山中での一泊が必要でしょう。しかし途中に水場がありませんから水を持たなくてはいけません。安易に踏みこむと、とんでもないことになります。

 それにこの辺りは、夏季は雷の発生があるところでもあり、今回のヘリ墜落の要因のひとつとも考えられています。一方、冬季は雪深くアクセス道路も閉ざされてしまいます。

 また、野反湖に車を駐車して縦走した場合、その回収はどうするのでしょうか?利用する人は本当に限られると思います。

 なぜ、県民税でこんなものを作って大々的にPRするのだろうか、という疑問は最初から付きまとっています。


 こうした疑念を晴らそうと当会では事故後、いち早く情報開示に踏み切ったのですが、群馬県が開示に応じたのは、なぜか委託先の東邦航空の整備ミスを示唆する技術情報と、航空法の手続きミスの情報だけで、肝心のなぜ不要不急のフライトが誰によって指示されたのか、について群馬県はまったく開示しようとしません。

 当会の副代表によるヘリ墜落に関する公文書開示請求に対する一連の不開示決定処分を見ても、群馬県がこの事故の真相究明について消極的なことは明らかです。当会は一丸となって、群馬県の秘密体質を改めさせて、この墜落事故の真相を究明し、責任の所在の明確化を図ることで、二度と悲惨な事故が起きないように、微力ながら尽力してまいります。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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相変わらずオンブズマンを反社会勢力と見なしている群馬県学事法制課にユーレイ職員?

2018-10-18 23:08:00 | オンブズマン活動
■群馬県庁の中に学事法制課という部署があります。その傘下に「行政対象暴力対策係」というセクションがあります。市民オンブズマン群馬は、群馬県において行政の違法不当な権限の行使による税金の無駄遣いや、住民の不利益を住民の立場から是正を図ることを活動の目的としている民間の市民団体ですが、なぜか、当会会員が県庁を訪れると、頼みもしないのに「行政対象暴力対策係」がいつのまにか、隣で聞き耳を立てていることが、昨年発覚しました。その後、当会がこの問題を取りざたしてからは、この「行政対象暴力対策係」は暫く鳴りを潜めていましたが、県庁内では相変わらず、オンブズマンのことを「行政対象暴力」集団だと見なしていることが、10月15日に県庁秘書課を訪れた当会会員の報告で明らかになりました。しかも、その際、上から目線の言葉を投げつけてきた総務部学事法制課の名札を付けていた職員が、県職員名簿に見当たらないことが判明したのです。

「学事法制課 稲垣和敏」と書かれた名札を付けた職員。しかし県職員名簿に登載されていない。

 なお、群馬県がオンブズマンをヤクザと同一視している問題に関する情報は次のブログ記事を参照ください。
○2017年5月31日:【大河原報告】偽造ケアプランで不正支出された税金の回収要請をしようとした当会会員らを県職員が盗聴・盗撮!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2325.html
○2017年6月2日:【大河原報告・続報】来庁する一般県民の相談者を専門に盗聴・盗撮する群馬県庁の組織的体質が明らかに!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2328.html
○2017年6月7日:【大河原報告・続々報】来庁する一般県民の相談者を専門に盗聴・盗撮する群馬県庁の監視カメラの実態等
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2336.html
○2017年6月13日:【大河原報告・続々続報】来庁する一般県民の相談者を専門に盗聴・盗撮する群馬県庁の監視カメラの実態等
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2342.html
○2017年7月13日:来庁する一般県民の相談者を盗聴・盗撮する群馬県への情報開示請求に対して県知事から届いた不存在通知
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2361.html
○2017年7月18日:来庁する一般県民を盗聴・盗撮する群馬県がよこした情報不存在通知に対して再度開示請求提出
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2365.html
○2017年7月26日:一般県民の相談者を専門に盗聴・盗撮する群馬県庁の実態のビデオ録画映像で分析継続
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2369.html
〇2018年10月16日:相変わらずオンブズマンを反社会勢力と見なしている群馬県
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2781.html

■そこで、さっそく、同じく群馬県総務部の人事課あてに次のメールで調査を求めました。

*****当会⇒県人事課あて送信メール*****
---------- Original message ---------
Cc: 小川 賢 <ogawakenpg@aol.com>
From: masaru ogawa <ogawakenpg@gmail.com>
Date: 2018年10月18日(木) 13:13
Subject: 群馬県職員の学事法制課所属の「稲垣和敏」の素性について
To: <jinjika@pref.gunma.lg.jp>
Cc: 小川 賢 <ogawakenpg@aol.com>


群馬県総務部人事課 御中

毎々お世話になります。

さて、10月15日に当会会員が県庁を訪れた際に、「学事法制課 稲垣和敏」というネームプレートを付けた職員から心無い言葉をかけられました。

不審に思い、職員名簿を調べると、学事法制課にはそのような氏名の人物は存在していないことがわかりました。

さらに、職員名簿の氏名索引で、「稲垣」姓をチェックしたのですが「稲垣和敏」なる氏名は見当たりませんでした。

ついては、お手数ですが、「稲垣和敏」は正職員なのかどうか、正職員でないのであれば、嘱託、OB、アルバイト、中途採用なのか、同人の処遇(所属、職位、雇用形態など)について、過去5年間にさかのぼって、現在までの状況を、折り返しご教示いただけると幸いです。

ご多用のところ誠に恐縮ではございますが、なにとぞよろしくご対応くださるようお願い申し上げます。

市民オンブズマン群馬
小川賢


PDF ⇒ 20181018wp65.pdf

PDF ⇒ 20181018i_aqj.pdf
※いずれも、関係個所を着色してあります。発信メールに添付したものには着色はありません。
**********

【10月19日追記】
*****県人事課⇒当会への回答メール*****
2018年10月19日(金) 11:18 jinjika@pref.gunma.lg.jp <jinjika@pref.gunma.lg.jp>:
市民オンブズマン群馬
小川賢 様

 お問い合わせいただきました件につきまして、次のとおり回答させていただきます。

 稲垣和敏は学事法制課に所属する非常勤嘱託職員です。
 平成25年度から同課に在籍しています。



 平成30年10月19日

群馬県総務部人事課長 半田 良幸

*****当会⇒県人事課への質問メール*****
2018年10月19日(金) 12:08 masaru ogawa <ogawakenpg@gmail.com>:
群馬県総務部人事課長
半田良幸様

毎々お世話になります。
調査結果とご報告をありがとうございます。
ちなみに、当該職員「稲垣和敏」については、公務員の資質として問題があるとの報告を当会会員から受けております。次のURL記事を参照ください。
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2781.html

非常勤嘱託職員の実態について、県職員名簿に登載されていないとなると、県民として把握できません。
ついては、つぎのお願いがあります。

1.嘱託県職員名簿を1部分けてくださいますか。

2.正職員との権限の違いや、処遇における相違点など、関連する条例、要綱、規則、施行規則、内規などについて知りたいのですが、HPでアクセスできますでしょうか。アクセスのやりたかを教えてください。

3.それとも、県庁の人事課で閲覧しなければならないのでしょうか。閲覧手続きについて教えてください。

4.あるいは、行政文書開示請求で入手するしかないのでしょうか。教えてください。

5.それとも、正規の公務員ではないため、個人情報として開示の対象ではないのでしょうか。ご確認をお願いします。

お手数ですが、これらのことについて、ご教示いただけますと幸いです。

市民オンブズマン群馬
代表 小川賢

*****当会⇒県人事課への追加質問メール*****
2018年10月19日(金) 12:53 masaru ogawa <ogawakenpg@gmail.com>:

群馬県総務部人事課長
半田良幸様

度々申し訳ございません。
追加の質問です。

6.非常勤嘱託職員の「稲垣和敏」は、学事法制課の行政対象暴力対策係の専属でしょうか。
なぜなら、次の資料により「稲垣和敏」は平成27年度から学事法制課の行政対象暴力対策係に所属していることがうかがえるためです。
http://www.nc.center.gsn.ed.jp/?action=common_download_main&upload_id=4662
2ページ目中段
学事法制課 補佐 石川 哲
行政対象暴力対策係 稲垣 和敏

7.となると、非常勤嘱託職員として、勤務体系は、次のどれに相当するのでしょうか?
a) 毎週、月曜、水曜、金曜として、あらかじめ決められた曜日、時間帯のみ勤務している。
b) 必要に応じて(たとえば、オンブズマンや反社会勢力が県庁を訪問した際)関係部署からの要請により都度、出勤している。
c) 学事法制課の行政対象暴力対策係などの部署内に、専用のデスクを置いて、出勤時にはそこを使用している。
d) 決まったデスク・椅子は置いておらず、タイムカードによる勤怠記録で管理している。
e) 上記にあてはまらない勤務体系として、次のような勤怠管理をしている。(__________)

8.先ほどの質問項目2.にも関連しますが、「非常勤嘱託職員」の嘱託契約、職務規律、処遇、報酬などに関する内部規定をご教示ください。

9.学事法制課、とりわけ行政対象暴力対策係には、ほかにも非常勤嘱託職員は配置されていますか。

10.「稲垣和敏」はどのような手続きで非常勤嘱託職員として採用されたのでしょうか。採用に当たり、どのような条件が求められたのでしょうか(民間警備会社の勤務経験、あるいは武道有段資格、あるいは警察勤務経験など)。

以上、お忙しいところ恐縮ですが、よろしくご対応賜りたくお願い申しあげます。

市民オンブズマン群馬
代表 小川賢

**********

【10月24日追記】
*****県人事課⇒当会への受信メッセージ*****
From: jinjika@pref.gunma.lg.jp <jinjika@pref.gunma.lg.jp>
Date: 2018年10月24日(水) 15:43
Subject: ご質問の回答について
To: masaru ogawa <ogawakenpg@gmail.com>

市民オンブズマン群馬
代表 小川賢 様

 平成30年10月19日にお問い合わせいただきました非常勤嘱託職員に関する件につきましては、現在公表しているものがなく、また個人情報が含まれるものもあるため、お手数ですが、公文書開示請求の制度により請求いただき、情報公開条例に基づき回答させていただきます。
 
 平成30年10月24日
群馬県総務部人事課長 半田 良幸


*****当会⇒県人事課への送信メッセージ*****
---------- Forwarded message ---------
From: masaru ogawa <ogawakenpg@gmail.com>
Date: 2018年10月24日(水) 15:57
Subject: Re: ご質問の回答について
To: <jinjika@pref.gunma.lg.jp>


群馬県総務部人事課長
半田様

毎々お世話になります。
本件了解いたしました。
さっそく、このあと公文書開示請求の手続きを執るようにいたします。
よろしくお願いします。

市民オンブズマン群馬
小川賢

**********


■県から回答など反応があり次第、報告します。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※関連情報「県職員の給与5年連続アップ」

 また公務員のサラリーがお手盛り引き上げになるという。県民の信頼を裏切っても給料が上げられるのだから、まさに役人天国と言える。
**********上毛新聞2018年10月18日一面
県職員の給与 引き上げ勧告 人事委、5年連続
 民間との給与の差を是正するため、県人事委員会(森田均委員長)は17日、県職員の月給を0・15%、ボーナス(期末・勤勉手当)を0・05カ月それぞれ引き上げるよう、大澤正明知事と橋爪洋介県議会議長に勧告した。引き上げ勧告は5年連続。
 月給は4月1日にさかのぼって適用し、ボーナスの改定は12月1日とする。勧告通りに改定されると、一般行政職員(平均年齢44・0歳)の平均年間給与は0・5%(3万円)増の617万1千円となる。対象は教職員や警察官などを含め2万1284人で、約9憶2千万円の人件費の増加が見込まれる。
 県人事委が県に178事業所を調査して比較したところ、4月分の月給が0・16%(612円)、直近1年間のボーナスが0・05カ月分、それぞれ県が民間を下回った。
 このほか、仕事と家庭の両立を推進するため、育児・介護休業制度の普及と啓発や職員の状況の把握、フレックスタイム制鶴寿の検討が必要とした。
 勧告を受け、大沢知事は「勧告制度の趣旨を踏まえ、慎重に検討した上で適切に対処していきたい」と述べた。

**********東京新聞2018年10月18日
【群馬】本年度 県職員の月給、賞与 5年連続引き上げ勧告
 県人事委員会は十七日、本年度の県職員の月給を0・15%(前年0・23%)、賞与に当たる期末・勤勉手当を〇・〇五カ月分(同〇・一〇カ月分)、ともに引き上げるように大沢正明知事と県議会に勧告した。引き上げの勧告はいずれも五年連続。
 人事委によると、勧告の対象は正規雇用で、常勤の教職員、警察官などを含む約二万千三百人。一般行政職員(平均四十四歳)の年収は三万円上がり、約六百二十七万円となる。一般行政職員の平均月給(四月現在)は約三十七万五千三百円。県内の従業員五十人以上の事業所を調査した結果、平均月給(同)は約三十七万五千九百円だった。
 賞与は七月までの一年間を比べると、一般行政職員の四・四〇カ月分に対し、事業所の平均は四・四五カ月分となった。このため、給与水準を近づけようと、引き上げを勧告した。
 本年度中に、関連条例の改正案を県議会に提出し、可決後に差額を支給する予定。
(菅原洋)
**********


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墜落した防災ヘリの残骸回収・・・懸念される原因究明と責任所在明確化及び再発防止策

2018-10-17 23:14:00 | オンブズマン活動
■搭乗員9人全員が死亡した群馬県の防災ヘリコプター「はるな」(全長17.1m、重さ5.4トン)の墜落事故をめぐり、群馬県は3548万8800円(税込み)を投じ、昨年の長野県消防防災ヘリ墜落事故でも機体を引き上げた航空事業会社の朝日航洋(東京都)の大型ヘリを使って現場から機体を10月15日に回収しました。機体はその日のうちに陸路で群馬ヘリポート(前橋市)の県防災航空隊格納庫に運ばれ、国土交通省運輸安全委員会や県警が調査し、事故原因の解明を進めるものと見られます。
 一方、当会では、いち早く墜落の原因を究明すべく、群馬県に10件の情報開示を求めていましたが、残念ながら秘密体質の行政だけに、開示されたのは今年の4月から修理や調整をしていた経緯を示す不適合報告書など4件のみで、肝心の運航管理関連情報については5件すべてが開示拒否されてしまい、1件が不存在とされました。

 この群馬県防災ヘリ墜落に関するブログ記事は次を参照ください。

〇2018年8月14日:防災ヘリ墜落事故の原因究明を裏付ける情報開示を群馬県に請求
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2726.html
〇2018年8月16日;【速報】防災ヘリ墜落事故で明らかになった群馬県の航空法違反のズサン管理で国交省から厳重指導
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2727.html
〇2018年8月24日:防災ヘリ墜落事故の原因究明を裏付ける情報開示請求に対し県が早くもよこした2か月の開示延長通知
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2736.html
〇2018年10月15日:防災ヘリ墜落事故の情報を2か月ぶりに一部分のみ開示してきた群馬県
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2780.html

■今回は、具合の悪かったエンジンの整備や調整に関する2件の不適合報告書を詳しく見て行きたいと思います。


 その前に、ヘリコプターの飛行特性とエンジンの仕組みについて、少しおさらいをしましょう。次のURLをご覧ください。
※参考URL:ヘリコプターが飛行する仕組みとは?↓
https://www.youtube.com/watch?v=NqOgC2Mycf0&t=4s
※参考URL:ヘリコプターのエンジンを理解する「ターボシャフトエンジン」↓
https://www.youtube.com/watch?v=CR0voZGgMis&pbjreload=10

 それでは、不適合報告書を見てみましょう。

*****エンジン サージ不適合報告書*****
<表紙>
                          H30.5.7 MESCO 計-30012
                        MHIエアロエンジンサービス㈱
            群馬防災殿
          東邦航空株式会社殿
      PT6T-3Dエンジン サージ不適合報告書

       MHI Aero Engine Service Co., Ltd.

<P1>
                          H30.5.7 MESCO 計-30012
   群馬防災殿 PT6T-3Dエンジン サージ不適合報告書
1.目的
 群馬防災殿 PT6T-30エンジンにおいて発生しましたサージ不適合につきまして、御報告致します。

2.対象エンジン
(1) ENG S/N:PCE-TG0006 (No.1 P/S:CP-PSTH0015,No.2 P/S:CP-PSTH0016, RGB:CP-GBTJ0008) ⇒当会注:「P/S」動力部(Power Section)。本エンジンは2基のタービンから構成。
(2) 使用時間:23:00/7,150:26 hr (TSO/TT) ⇒当会注:「TT」装備換を行った時の発動機の製造後の総使用時間(Total Time)、「TSO」装備換を行った時の管理に必要な前回オーバーホール後の使用時間 (Time Since Overhaul)。
(3) 前回作業: O/H(オーバーホール)
(4) 出荷日:H30.2.26

3.経 緯
(1) 東邦航空殿で当該エンジンを機体搭載後のグランド・ランにてNo.1P/Sのサージが発生しました。その後、ブリード・バルブを予備品と交換して不適合は解消したため、ブリード・バルブの機能不良と判断しました。 ⇒当会注:「ブリード・バルブ」抽気(air bleed)の為の弁のこと。コンプレッサの中段や後段に抽気弁を設け、低速回転のときに弁を自動的に開き,たまった圧縮空気の一部を大気中に放出させてエンジン・ストールを防ぐ。
(2) H30.3.31 機体運航を開始し、H30.4.6のフライト中にNo.1P/S及びNo.2P/Sの両エンジンでサージが発生しました。
(3) 故障探究にてブリード・バルブの閉位置の点検、その後、No.1P/Sのブリード・バルブの調整/変換、AFCUの減速調整/交換を実施しましたが事象は解消されませんでした。
(4) H30.4.10 群馬防災殿より現地での確認要請があり、H30.4.11 群馬防災殿へ出張致しました.

4.調 査
(1) 機上運転試験
 H30.4.11 機上にて以下の運転試験を行い、サージ発生状況を確怒しました。
 ① グランド・ランでNg:約85%、Nr:100%(両P/Sフルオープン)からNo.2P/Sをグランド・アイドルまで減速したところ、No.1P/S でサージが発生(パン・パン・パンと連続音)し、ITTが上昇(300℃以上)しました。⇒当会注:「Ng」Gas Generatorの回転数(rpm)、「Nr」Main Rotorの回転数(rpm)。
 ② 機上にてブリード・バルブを交換した際、バルブの閉位置を目視のみで確認し、専用治工具にて記録していなかったため、当社より持参した治工具にてNo.1P/Sのバルブの閉位置を点検しました。その結果、閉位置は規定値(Ng:90.2~92.3%, OAT:21℃)より高め(Ng:92.5%)にセッ卜されており、遅く閉じる側でありました。今回のサージ領域はNg:83~84%であり、バルブが速く閉まる側はサージが発生しにくい側となるため、影響はないと判断しました。 ⇒当会注:「OAT」外気温(Outside Air Temperature)。
 ③ No.1P/Sフルオープン(Ng:約96.5%)、No.2P/Sアイドル(Ng:約61.0%)でNo.1P/Sをアイドルへ減速時(スロットル操作ゆっくり)にNg:83~84%付近(ブリードバルブ:オープン状態)でサージが発生し、ITTが上昇(800℃超過)しました。 ⇒当会注:「ITT」タービン内部温度(Inter Turbine Temperature)。
 以上の結果より、エンジン内部の問題と考えられたため、エンジンを取り下し、工場へ総入することを決定しました。
(2) 社内運転試験
 H30.4.18 テストセルでNo.1P/SとNo.2P/Sに対して以下の運転試験を行うと共にサージ発生有無を確認しました。
 ① リード・バルブ動作確認
  作動規定値内でクローズしており、正常に動作しておりました。サージの発生はありませんでした。
 ・No.1P/S 実測値:Ng 91.7% 規定値:Ng 90.23~92.33% OAT:20.9℃
 ・No.2P/S 実測値:Ng 90.6% 規定値:Ng 89.60~91.70% OAT:16.5℃
 ②加速/減速試験
  エンジンの加速/減速試験を行いましたが、サージの発生はありませんでした。
 ③ 性能評価試験
  エンジンの性能試験を行いましたが、サージの発生はありませんでした。
  なお、エンジンの性能はマニュアル要求値を満足しておりました。
(3) 故障探求試験
 上記(2)項での運転試験後、以下の故障探求試験(機上再現試験)を行い、サージ発生有無を確認しました。
 以下の試験はブリード・エア・ケース取外し状態(ブリード・バルブのブリード・エアが吸入され易い状態〉で行いました。(添付1参照)
 ・No.2側Ng:約50%、No.1側Ng:約70%から約90%まで加速した結果、No.1P/Sでサージング発生。(5回中、1回)
 ・No.2側Ng:約70%、No.1側Ng:約70%から約90%まで加速した結果、No.1P/Sでサージンク発生。(5回中、1回)
 その他以下の試験を実施しましたが、No.1P/S、No.2P/Sの何れもサージは発生しませんでした。
 ・No.2側Ng:グランド・アイドル(約53~55%)、No.1側Ng:約70%から約90%まで加速。
 ・No.1側Ng:グランド・アイドル(約53~55%)、No.2側Ng:約70%から約90%まで加速。
 ・No.1側Ng:約50%、No.2側Ng:約70%から約90%まで加速。
 ・No.1側Ng:約70%、No.2側Ng:約70%から約00%まで加速。
(4) 分解検査
 No.1P/SとNo.2P/Sに対して、分解検査を行った結果、以下のとおりでした。
 ① ブリード・バルブの空気系統点検
  ブリード・バルブの開閉に使用する空気系統に異物/閉塞等の異常はありませんでした。
 ② コンプレッサから燃斜コントロールの空気系統点検
  コンプレッサ出口(P3)から燃料コントロール(AFCU)への空気系統に異物/閉塞等の異常はありませんでした。
 ③ パワータービンガバナー(PTG)、トルクコントロールユニット(TCU)から燃料コントロール(AFCU)への空気系統(Pgライン)に異物/閉塞等の異常はありませんでした。 ⇒当会注:「AFCU」自動燃料管制装置(Automatic Fuel Control Unit)。
 ④ Gas Generator Caseのボアスコープ点検にてディフューザー入口部に形状異常/閉塞等の異常はありませんでした。

5.エンジン・メーカー(P&WC社)見解
 エンジン・メーカーへ機上運転試験、社内運転試験及び故障探求試験における試験データ等の情報を提供し、本不適合の対応方法について情報を得ました。
(1) 空気通路面積
 メーカーよりPT6T-3DエンジンでGas Generator Caseを交換した際の標準的なCT VaneとPT Vaneの空気通路面積は、CT Vane:6.50in2、PT Vane:15.55in2で組み合わせているとの情報がありました。この情報は、マニュアル等に記載されていないものであり、今回初めて開示された情報です。⇒当会注:「CT Vane」コンプレッサタービン羽根、「PT Vane」パワータービン羽根。
(2) サージ対応方法
 当該エンジンのO/H時の性能検討においては、過去にGas Generator Caseを交換した実績が少なく、又、この部品を交換することで回転数と温度がどのくらい変化するか技術情報がない状況において、O/H作業でGas Generator Caseを交換したことから、CT VaneとPT Vaneを当該エンジンのメーカー製造時に近い値(No.1P/S:6.41 in2、No.2P/S:6.41 in2)のものを組込みました。その後、運転試験を行なった結果、マニュアルの要求を満足する性能が得られ、エンジンを出荷しておりますが、結果的に上記のメーカー標準値よりは狭いCT Vaneとなっておりました。
 今回のサージ対策として、CT Vaneの空気通路面積を広げることでサージを解消できるか確怒したところ、CT Vaneを広げることは、コンプレッサ圧力(P3)を減少する方向であり、有効であるが、排気温度が高くなり規定値を越える可能性があり注意が必要、との回答を得ました。 ⇒当会注:CT Vaneを広げると、コンプレッサ圧力も減ることがわかるが、なぜ排気温度が高くなるのかが理解できない。空気が圧縮されれば温度が上がるのでは。

6.考察
 サージ発生要因につきましては、以下のとおりと考えます。
(1) 当該エンジンは、前回出荷時(H23年)に、回転数と温度のどちらもO/H出荷規定値内ではあるものの、上限に近い値にて出荷となっておりました。これは部品の継続使用により性能余裕が減っていたためと脅えます。
(2) このため、今回のO/H作業にて、エンジン出力に影響する部品(Gas Generator Case, CT Vane, PT Vane)を交換し、回転数と温度の余絡を確保することと致しました。
(3) このときの性能検討にて、CT Vane,PT Vaneの空気通路面積を当該エンジン新製時に組込まれていた値に近いものを組込み、その後、当該エンジンの運転試験にて、マニュアルに規定される性能を満足していること、又、サージがないことを確認して出荷しております。
(4) 当該エンジンは、性能に影響する主要部品を交換したことで、コンプレッサの圧縮効率が回復しましたが、P3が規定値の上限側となりました。P3が高くなる要因としては、CT Vaneの空気通路面積が相対的に狭いことが考えられます。
(5) コンプレッサの空気流量/空気圧力に対してCT Vaneの空気通路面積が狭いと、空気流量が小さくなり、サージマージンが少ない側になります。一般的に、このような状態で外部からの空気の乱れ(エンジン入口に対する流入空気の流速や温度などの不均一)等を受けると、サージが起こり易くなります。
(6) 社内での故障探求試験にて、ブリード・エア・ケースを取外してサージが発生したのは、ブリード・バルブからの空気を再吸入したことによるものと考えます。この状態は、機上での運転試験でサージが発生した環境に近いものとだと考えます。

7.推定原因
 当該エンジンは、サージマージンが少ない側であるため、ブリード・バルブのブリード・エアを再吸入したことにより、サージが発生したと推定します。

8.対応処置
 今回のサージ不適合に対して、5.(2)項のメーカー回答に基づき、以下の処置を行います。
(1) CT Vaneの調整
 No.1P/SとNo.2P/S共にCT Vaneの空気通路面積を広げる方向に調整(交換)します。その後、エンジンの性能試験及び故障探求試験(4.(3)項)を行います。
(2) PT Vaneの調整
 上記(1)項にて、サージの再発及び/又は性能が満足しない場合は、PT Vaneの空気通路面積を広げる方向に:調整(交換)します。

9.スケジュール
 当該エンジンの復旧スケジュールは以下の通りです。
・・・表が不明瞭の為、表示できず・・・

=====添付1=====


通常試運転状態(ブリードエアーケース取付け)


故障探求試運転状態(ブリードエアーケース取外し)

=====エンジン不適合報告書=====
<P1>
                          H30.2.13 MESCO 計-29065A
   群馬防災殿 PT6T-3Dエンジン不適合報告書
1.目 的
 群馬防災殿PT6T-3Dエンジンの領収運転において発生しました不適合につきまして、御報告致します.

2.対象エンジン
(1) ENG S/N
 ・PCE-TG0008 (No.1 P/S:CP-PSTH0015, No.2 P/S:CP-PSTH0016, RGB:CP-GBTJ0008)
(2)使用時間/Cycle
 ・No.1 P/S 2,462:30/7,127:26Hr (8,021/25,653 cyc)
 ・No.2 P/S 2,462:30/7,127:26Hr (8,021/25,653 cyc)
 ・RGB   2,462:30/7,127:26Hr (-----/-----)
(3) 整備作業
 ・O/H(オーバーホール)

3.不適合内容
 H30.1.31 当該エンジンの領収運転において、以下の規定値外れが発生しました。
(1) 性能規定値外れ
 ①タービン温度(@970SHPのみ)
 項目      回転数(Ng) 回転数(Ng) タービン温度(TS) タービン温度(TS)
          (rpm)    余裕(rpm)   (℃)      オーバー(℃)
マニュアル規定値 38,500     ――     1,900       ――
No.1P/S実測値  37,600     -900    1,923      +23
No.2P/S実測値  37.540     -960    1,911      +11
 ②コンプレッサ圧力(@Ng37,800 rpm)
 項目     入口空気流量(W1) コンプレッサ圧力(P3) コンプレッサ圧力(P3)
           (pps)       (psla)         (psla)
No.1P/S規定値    7.00       111.8          
No.1P/S実測値    7.00       113.5          1.7
No.2P/S規定値    7.00       112.4          
No.2P/S実測値    7.00       114.0          1.6
 ③トルクメーター・インデックス表(Mo.1P/SとNo.2P/Sの差)
 項目        インデックス値     インデックス差
マニュアル規定値   1.0以上~9.0以内    3.5以内
No.1P/S実測値       1.6
No.2P/S実測値       7.5        5.9

4.エンジン性能検討(添付1参照)
 今回のO/H作業にあたり、前回出荷時の運転試験データを確認したところ、エンジン回転数/タービン温度のどちらも規定値内ではあるものの、上限に近い値にて出荷となっておりました。これは部品の継続使用による劣化が進んでいたためと考えます。
 そのため、今回のO/H作業にて、エンジン出力に影響する部品(Gas Generator Case, CT Vane, PT Vane)を交換(Exchange)し、エンジン回転数/タービン温度の余絡を確保することと致しました。

5.運転データ比較(添付2参照)
 前回出荷時と今回運転時の運転データを比較すると、前回出荷時よりエンジン回転数/タービン温度のどちらも規定値上限に対して余裕があり、エンジン性能は回復しておりました。
 今回の事象は、エンジンの性能を評価するポイント3箇所のうち、1箇所(@970SHP)がエンジン回転数は規定を満足しているものの、タービン温度が規定を超えておりました。それ以外の2箇所(@1100SHP, @1130 SHP)は、エンジン回転数もタービン温度も規定を満足しておりました。

6.検討及び処置
(1) 性能規定値外れ
 当該エンジンは、性能評価ポイント1箇所のみタービン温度が規定を超えておりますが、エンジン回転数は規定に対して十分な余裕(No.1P/S:900rpm, No.2P/S:960rpm)があります。
 今回のO/H作業にて、エンジンの性能は大幅に回復しましたが、性能回復のために主要部品を交換したことで、エンジンの性能特性が大きく変化したため、出カが低いポイント(@970SHP)でエンジン回転数は十分に余裕があるものの、タービン温度のみが規定を外れたと考 えます。
 これは、タービンノズル(PT Vane)の空気通路面積が狭い側にあるため、エンジン内の燃焼ガス温度が高い側に調整された形となっていることが原因と考えます。
 タービン温度を下げるため、以下のとおりタービンノズル(PT Vane)を空気通路面積の広いものに交換することで、エンジン回転数の余裕をタービン温度へ振り向け、タービン温度を規定値内に納めることができると考えます。
 また、空気通路面積を広げて回転数が上がることで上流側の圧縮空気の流速も速くなるため、コンブレッサ圧力が低くなりコンブレッサ圧力も規定値内に納めることができると考えます。
PT Vane   当該品  交換品  フローエリア  回転数   温度  回転数  温度
      フローエリア値 フローエリア値  変化量  変化量  変化量  余裕   余裕
       (in2)  (in2)   (in2)  (rpm)   (℃)  (rpm)   (℃)
No.1P/S   13.612  13.997  +0.385  +323    -27  -577    -4
                              (=-900+323) (=+23-27)
No.2P/S   13.642  13.989  +0.347  +291    -24  -669    -13
                             (=-960+291) (=+11-24)
(2) トルクメーター・インデックス(添付3参照)
 ア.履歴調査
  トルクメーター・インデックスに関係する部品について、今回O/H時と前回出荷時の部品履歴を調査したところ、今回のO/Hにて、いくつかの部品を新品に交換しておりました。また、今回運転時と前回出荷時のインデックス値を比較したところ、No.2P/Sに比べて、No.1P/Sのインデックス値に大きな変化が見られました。
 部品名称      今回O/H時       前回出荷時
         No.1P/S  No.2P/S   No.1P/S  No.2P/S
10.5 BRG      ×     ×     〇     ×
12.5 BRG      〇     ×     ×     ×
クラッチギヤ     〇     〇     ×     ×
No.13 BRG      〇     ×     ×     〇
No.14 BRG      〇     ×     〇     ×
ヘリカルキヤ    〇     ×     ×     ×
×:継続使用、〇:交換  ⇒当会注:「BRG」ベアリング(Bearing)
 インデックス    今回O/H時       前回出荷時
         No.1P/S  No.2P/S   No.1P/S  No.2P/S
 実測値      1.6     7.5     4.6     6.6
No.1/No.2差       5.9            2.0

 イ.分解調査
  トルクメーター・インデックスの値は、ギヤボックス内に組み込まれているヘリカルギヤのスラスト力に比例するものであり、今回の事象(No.1側とNo.2側のインデックス値の差)は、双方のヘリカルギヤの軸方向へのスラスト力に差があることが要因として考えられます。
 分解検査にて、ギヤボックスのアウトプットシャフトを手回しにて回転させ、双方のヘリカルギヤのスラスト力を確認したところ、No.2側に比ベてNo.1側のほうが軸方向へのスラスト力が弱い状態であり、差が見られました。
 また、双方のヘリカルギヤを入れ替えて手回ししたところ、No.2側に事象が移りました。更に、No.1側(新品)を在庫品(O/H品}と入れ替えて手回ししたとこる、双方のスラスト力は同程度でした。
 これらのヘリカルギヤについて歯面の表面粗さを計測したところ、No.1側:4.0μin、No.2側:4.9μin、在庫品:4.3μinであり、表面粗さに差が見られました。(添付4参照)
 各々のインデックス値はマニュアルの規定値(1.0以上~9.0以内)を満足しているが、双方のインデックス値の差(3.5以内)が規定値を満足していないことから、個々のヘリカルギヤは良好であるが、アウトプットシャフトと組み合わせた際にヘリカルギヤの個体差(歯菌の表面粗さ、歯当たり面積、歯面角度等)により、双方のスラストカが異なったため、インデックス値に差が生じたものと考えます。
 上記より、No.1側のヘリカルギヤを在庫品と入れ替えることで、双方のスラスト力がほぼ同じとなり、インデックス値の差が規定値を満足すると考えます。
 なお、分解検査にて、トルクメーター・インデックスに関係する部品(BRG,ギヤ,パッキング,シール等)の外観検査/寸法検査等を行いましたが、マニュアルに規定される要求を満足しておりました。

7.今後の予定
 今後、当診エンジンについて、以下の作業を実施致します。日程は別途、御調整させて頂きますようお願い致します。
(1) エンジン性能不足(タービン温度/コンブレッサ圧力)
 No.1P/S及びNo.2P/Sのタービンノズル(PT Vane)を空気通路面積の広いものに交換致します。
(2) トルクメーター・インデックス
 上記6.(2)項の調査結果より、No.1側のヘリカルギヤを在庫品(O/H品)と交換致します。

=====添付1=====
Gas Generator Case/CT Vane/PT Vane説明



Gas Generator Case


CT Vane


PT Vane

=====添付2(2/3)=====




No.1 P/S 性能グラフ比較(前回出荷時/今回運転時)

=====添付2(3/3)=====




No.2 P/S 性能グラフ比較(前回出荷時/今回運転時)

=====添付3=====
トルクシステム機構説明図


原理:ヘリカル・ギアは、歯が斜めのため、動力(トルク)を伝達するときに軸方向にも力を発生させる。この力を油圧で釣り合わせ、その油圧(トルク圧力)を計測することで間接的にトルクが計測できる。トルクインデックスは、力と油注の関係を示す数値で、数値が小さいほど油圧(トルク圧力)が小さい側であることを示す。

=====添付4=====
群馬防災向けPT 6T3D ヘリカルギア 表面粗さ計測結果









=====PRATT & WHITNEY CANADA=====
<COMPRESSOR STALLS (Surge)>
Compressor Stalls (Surge)
Possible Contributors & Maintenance
コンプレッサ・ストール(サージ現象)
想定される要因とメンテナンス


<COMPRESSOR STALL>
Definition
定義

In a turbine engine, compression is accomplished aerodynamically as the air passes through the stages of the compressor. The air flowing over the compressor airfoils can stall (the same as the air over the wing of an airplane can). When this airfoil stall occurs, the compressor is less effective thus allowing high-pressure air behind the stall, to escape forward through the compressor and out the inlet.
This occurs suddenly and is often quite audible as a loud bang.
Instruments may show high T5 in multiple stalls but, in single stalls, the event is often over so quickly that the instruments do not have time to respond.
タービンエンジンでは、空気が圧縮機の各段を通過する際に空気力学的に圧縮される。コンプレッサのブレード上を流れる空気は失速する可能性がある(飛行機の翼の上の空気と同じ)。 このブレードにストールが発生すると、圧縮機の効率が低下し、ストール箇所の後方にある高圧空気が圧縮機を通って前方に逃げる現象が起きる。これは突然発生し、多くの場合、大きな音として聞こえる。計器は複数のストール発生で高い温度を示すことがあるが、単一のストールでは、事象はしばしば非常に早すぎるため、計器が応答する時間がない。


P&WC Proprietary Information

<COMPRESSOR STALL CONTRIBUTORS>
Compressor FOD, cleanliness, erosion
<コンプレッサ・ストールの発生要因>
コンプレッサへの鳥の衝突など外部要因ダメージ(Foreign Object Damage :FOD)、コンプレッサ構成部品の摩耗、汚れ、腐食.



Issue
課題

Dirty, eroded or damaged blades reduce efficiency of compressor
Higher compressor stall risk
Poor fuel efficiency
Reduced ITT margins
汚れ、腐食、破損したブレードは圧縮機の効率を低下させる。
 ・圧縮機失速のリスクが高い
 ・燃費が悪い
 ・ITT(タービン排ガス温度)マージンの削減


Solutions
解決策

Performance Recovery Washes per EMM
Make it a point to inspect inlet for cleanliness following engine washes
May have to adjust wash schedule when using new environment friendly cleaning products

 ・Every Monday Matter(毎週月曜日毎)の機能回復洗浄
 ・エンジン洗浄後の吸気口の清浄度の点検実施
 ・環境に優しいクリーニング用新製品を使用する際には洗浄スケジュール調整が必要



Refer to Maintenance Manual for damage
損傷についてはメンテナンスマニュアル参照

Compressor inspection requirement
Min requirement 300 hrs/12 mth + every inlet screen removal.
Inspect more often if operating in highly erosive or impact laden environments
Compressor must be clean for proper inspection
コンプレッサ検査要件
 ・最小必要条件300時間/12カ月+すべてのインレットスクリーン除去
 ・高度に腐食され易い環境や影響の大きい環境で運転する場合は、より頻繁に点検すること
 ・適切な検査のためにコンプレッサーは清潔であること



Remove Rough (Feathered) Edges
エッジ部分が粗くなったら(毛羽立ったら)交換が必要


Compressor Blade Erosion
コンプレッサブレード腐食
COLD SECTION 2.6
**********

■エンジン・メーカーの資料に明記されている通り、ターボシャフトエンジンは、内部の汚れや摩耗、腐食などでタービンブレードの表面が粗くなると、エンジンのストール現象を発し易くなるため、小まめに洗浄し、点検する必要があるようです。

 果たして、群馬県や東邦航空ではどの程度きちんとメンテナンスをやっていたのでしょうか。老朽化した機材であれば尚のこそ、丁寧な保守作業が求められます。

 もうすぐ新しい機材を導入するから、あまり手を掛けずにおこう、などと、よもや考えてはいなかったでしょうが、事故の真相究明には、ぜひ予断を許さない公平、公明な立場で、第三者による調査を粛々と進めてほしいと思います。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考記事「墜落した防災ヘリの回収作業」
**********産経2018年10月15日 (月) 10:48配信
墜落の群馬県防災ヘリ 機体をつり上げて回収

群馬県の防災ヘリコプターが山中に墜落し、機体残骸を調べる県警の捜査員ら=9月11日午後1時13分、群馬県中之条町

梱包された墜落ヘリの機体=15日午前、長野県山ノ内町(糸魚川千尋撮影)

梱包には、機体のどの部分かラベルが貼られていた=15日、長野県山ノ内町(糸魚川千尋撮影)

梱包された機体をつり上げるヘリコプター=15日午前、群馬県中之条町

梱包された墜落ヘリコプターの機体を降ろすヘリ=15日午前、長野県山ノ内町(糸魚川千尋撮影)

トラックに積み込まれる墜落したヘリの機体=15日午前、群馬県中之条町
 群馬県の防災ヘリコプター「はるな」が8月に墜落し、搭乗員9人全員が死亡した事故で、県は15日、中之条町の横手山付近斜面に残されたままだった機体をつり上げて回収した。
 機体は険しい山中に墜落したため、回収に時間がかかっていた。県は降雪前の回収を目指し、委託業者が10月初旬から現場の木を伐採し、機体を切断して8個の梱包(こんぽう)に分けていた。
 午前8時30分ごろから梱包を大型ヘリでつり上げ、現場から南に約1・3キロ離れた駐車場に降ろし、トラック4台で群馬ヘリポート(前橋市)に運搬。今後、県警や運輸安全委員会が機体を詳しく調べる。
 県保安課の福島計之次長は「無事に機体を回収することができた。今後の調査で、一日も早く事故の原因が究明できることを期待している」と話した。

**********読売新聞2018年10月15日 11時49分
墜落したままの防災ヘリ、雪降る前に残骸を回収

ヘリを使って回収される、8月に墜落した群馬県防災ヘリ「はるな」の機体の残骸(15日午前8時53分、群馬県中之条町で、読売ヘリから)=守谷遼平撮影
 群馬県中之条町の横手山(2307メートル)の東麓に8月、県の防災ヘリ「はるな」が墜落し、乗員9人全員が死亡した事故で、県は15日午前、大型ヘリを使って現場の山中に残ったままになっていた事故機を回収した。
 機体の残骸は、水平方向約60メートルにわたって散乱していたため、事前にシートで8個に分けて梱包(こんぽう)県が委託した航空会社の大型ヘリが15日午前8時半過ぎから約30分かけ、現場からつり上げて、約1・3キロ離れた国道292号沿いの駐車場までピストン輸送した。機体は大型トラックで群馬ヘリポート(前橋市)の格納庫に運んで保管し、県警と国の運輸安全委員会が事故原因究明のため調べる。
 事故は8月10日午前に発生した。現場は急峻(きゅうしゅん)な斜面で木々も生い茂っていたことから、県は今月2日から周辺の樹木を伐採する作業を進め、降雪期前の回収を目指していた。

**********朝日新聞デジタル2018年10月15日12時58分
墜落した群馬の防災ヘリ、機体回収 原因解明に向け調査

墜落した群馬県の防災ヘリ「はるな」の機体の一部を搬送する大型ヘリ=2018年10月15日午前8時45分、群馬県中之条町、仙波理撮影

梱包されて回収された群馬県の防災ヘリ「はるな」の機体の一部を調べる運輸安全委の係官ら=2018年10月15日午前9時5分、群馬県中之条町、仙波理撮影

墜落現場から回収され、トラックに積み込まれる群馬県の防災ヘリ「はるな」の機体の一部=2018年10月15日午前9時19分、群馬県中之条町、仙波理撮影
 8月に墜落した群馬県の防災ヘリコプター「はるな」の機体が15日朝、墜落現場の同県中之条町の山林から回収された。事故では、山岳遭難に備えて視察中の消防隊員ら乗員9人全員が死亡した。今後、国の運輸安全委員会や県警などが事故原因の解明に向けて機体を調べる。  (森岡航平)

**********日経2018/10/15 13:22 (2018/10/15 13:23更新)
墜落防災ヘリの機体回収作業 群馬の9人死亡事故
 群馬県の防災ヘリコプター「はるな」が8月に墜落し、9人が死亡した事故で、県は15日、同県中之条町の山中に残されたままだった機体の回収作業を始めた。

梱包された機体を運ぶヘリコプター(15日午前、群馬県中之条町)=共同
 現場であらかじめ切断、梱包された機体を別のヘリでつり上げて約1.3キロ離れた場所まで搬送し、トラックに積み込んだ。同日午後に前橋市の群馬ヘリポートにある県防災航空隊の格納庫へ移し、その後に運輸安全委員会や県警が墜落時の状況や原因を詳しく調べる。
県消防保安課の福島計之次長は報道陣に「一日も早く事故原因が究明できることを期待している」と述べた。
 機体は険しい山中に墜落したため、回収に時間がかかっていた。県は降雪前の回収を目指し、委託業者が10月初旬から現場の木の伐採や機体の切断、梱包作業を進めていた。
防災ヘリは8月10日、群馬、長野、新潟県境の稜線(りょうせん)の視察に向かい墜落。搭乗していた県防災航空隊と吾妻広域消防本部の9人全員が死亡した。〔共同〕

**********NHK NEWS WEB 2018年10月15日 17時30分
9人死亡の防災ヘリ事故 機体を回収 原因解明へ 群馬
 ことし8月、群馬県中之条町の山中に県の防災ヘリコプターが墜落し9人が死亡した事故で、現場に残されていた機体が15日、別のヘリコプターによって回収されました。警察が回収した機体などを調べて業務上過失致死の疑いで捜査するほか、国の運輸安全委員会も事故原因の解明を進めることにしています。
 ことし8月、群馬県中之条町の山中で登山道の視察のため飛行していた群馬県の防災ヘリコプター「はるな」が墜落し、乗っていた県の防災航空隊の隊員と地元の消防署員合わせて9人が死亡しました。
 県は、現場に残された機体をシートで包むなどして回収作業に向けた準備を進めてきました。
 そして、15日午前8時半ごろから県の委託を受けた民間のヘリコプターが機体をつり上げて回収する作業を始めました。
 作業は複数回にわけて行われ、機体は1キロ余り離れた山あいの駐車場にいったん下ろされたあと、トラックに積み替えられ前橋市内の保管場所に運ばれました。
 この事故では、GPSの位置情報の記録などから、防災ヘリが低空飛行を繰り返したあとUターンするように急旋回し、山の斜面に衝突したと見られています。
 今後、警察は回収した機体や当時、乗員らが撮影していたカメラの映像などを詳しく調べて、業務上過失致死の疑いで捜査する方針です。
 また、国の運輸安全委員会も16日、改めて航空事故調査官を派遣して、機体の損傷状況などを確認し、事故原因の解明を進めることにしています。
 群馬県消防保安課の福島計之次長は「警察の捜査や国の運輸安全委員会の調査で、一日も早く事故原因を究明してほしい。遺族が要望している機体の公開については今後、検討していきたい」と話していました。

**********東京新聞2018年10月16日
県防災ヘリ回収 急斜面での作業 無事終了に安ど

回収した機体の一部を降ろすヘリコプター=中之条町で
 県の防災ヘリコプター「はるな」が八月、中之条町の山中に墜落し乗員九人が死亡した事故で、県は十五日、現場に残っていた機体を別のヘリで回収した。同町の渋峠駐車場では、梱包(こんぽう)した機体をトラックに積み込む作業が行われ、県職員らが作業の様子を見守った。 (市川勘太郎、菅原洋)
 午前八時二十五分ごろ、回収を委託されたヘリ運航会社「朝日航洋」(東京)のヘリが、墜落現場の調査飛行のため待機場所の志賀高原総合会館98(長野県山ノ内町)を離陸。作業が可能な天候だったことから同三十一分から回収作業を始めた。
 ヘリは現場と同駐車場を計六往復し、ブルーシートに包まれた大小八個の機体の一部を搬出。午前九時二分に降ろす作業を終え、作業員らがクレーン付きのトラック四台に積み込んだ。
 県消防保安課の福島計之次長は「現場で霧が出ていたので、状況を見ながら作業を進めた。無事に終わりほっとしている」と話した。
 委託業者は機体回収のため、十月一日に入山し、同二日から作業を開始。七人ほどの作業員が木の伐採や機体をブルーシートで梱包し、七日にすべての作業を終えていた。福島次長は機体回収で困難だったのは「現場の傾斜が三五度もあったこと」と振り返った。事故の遺族から機体の公開を求める声があることについては「(遺族からの)意向は聞いている。ただ、県警の捜査もあるので現状では何とも言えない」と話した。
 一方、前橋市下阿内町の群馬ヘリポートには十五日午後二時十分ごろ、機体の一部を複数に分けて積んだトラック四台が到着。県防災航空隊の格納庫へ順番に入り、作業員たちが約五十分かけてクレーンで荷台から一つずつ降ろした。

**********上毛新聞2018年11月16日一面
墜落機体を回収

 県防災ヘリコプター「はるな」が8月に中之条町の山中に墜落し、9人が死亡した事故で、県は15日、墜落現場に残されたままだった機体を回収した。機体は陸路で前橋市の群馬ヘリポートに運ばれた。今後、運輸安全委員会や県警が詳しい事故原因を調べる。〔関連記事21面〕
 大型ヘリが同日午前8時半ごろから、現場であらかじめ切断、梱包(こんぽう)された機体を搬出した=写真。ヘリが現場から約1・3キロ離れた駐車場まで運び、その後、4台のトラックがヘリポートに搬送した。
 県防災ヘリは8月10日午前、「ぐんま県境稜線(りょうせん)トレイル」の視察に向かい墜落。搭乗していた県防災航空隊と吾妻広域消防本部の9人全員が死亡した。

防災ヘリ 日誌搭載せず運搬 県、航空法違反疑い報告
 県防災ヘリコプター「はるな」の墜落事故で、事故機が当日、気体の整備状況を記録した航空日誌を搭載せずに運航していたことが15日、関係者への取材で分かった。操縦士が資格を持つことを示す技能証明書などを飛行中に所持していなかったことも判明。県は日誌の搭載や証明書の携帯を義務付けた航空法などに違反する疑いがあるとして、国に報告する。
 防災ヘリを巡っては、事前に国に提出した飛行計画と異なる運航を、昨年4月から事故機を含め約290回行っていたことが判明している。運航委託先の東邦航空(東京)とともに、改めて安全管理体制の不備が問われそうだ。
 航空日誌は突然の機体の故障など緊急事態に備えるため、航空法に基づき飛行中は機内に常備するよう義務付けられている。東邦航空は昨年11月、上野村で自社機が墜落事故を起こした際、航空日誌に機体の不具合などを記載しておらず、国土交通省から事業改善命令を受けている。
 関係者によると、航空日誌は事故後、県の事務所内で見つかった。技能証明書や操縦に必要な心身状態かを示す航空身体検査証明書、無線を使うのに必要な無線従事者免許証は当日の担当操縦士のカバンに遺されていたという。
 東邦航空は取材に「事実関係を調査しているが、現段階では何も答えられない」、県は「コメントできない」とした。

**********上毛新聞2018年11月16日社会面
墜落ヘリ回収 原因究明へ調査加速 遺族、機体公開を要望

 山岳救助の経験豊富な県防災航空隊員ら9人の命が失われた県防災ヘリコプター「はるな」の墜落事故から約2カ月。中之条町の山中に残されたままになっていた機体は15日、墜落現場から引き上げられ、群馬ヘリポート(前橋市)にある同隊の格納庫に移された。遺族からは改めて、原因究明を求める声や機体の公開を望む声が上がった。
 引き上げ作業は、気温2度と真冬を思わせる寒さの中で行われた。立ち会った県消防保安課の福島計之次長は「無事に回収することができた。今後は運輸安全委員会と警察による調査が行われる。一日も早く事故原因が究明できることを期待している」と述べた。一部の遺族から機体公開の要望が出ていることについては、「意向があるとは聞いているが、捜査などがある。現時点では何とも言えない」とした。
 事故当時、警察や消防の捜索拠点となった渋峠ホテル(長野県山ノ内町)の男性経営者(80)は作業を見つめ、「墜落時は指揮本部ができて大変だった。もう2カ月たったのかと思う」と振り返った。
 トラックに積まれた機体は午後2時すぎ、群馬ヘリポートに到着。荷台からクレーンでつり上げられ、県防災航空隊の格納庫に搬入された。国の運輸安全委員会や県警は今後、機体を詳しく調べるとともに、隊員らが身に着けていたカメラの映像などを分析し事故原因を調べる。
 亡くなった吾妻広域消防本部の消防隊員の親族の男性は「機体が回収されたからといって、つらい気持ちはなくならない。事故原因はすぐには判明せず長期戦になるだろうが、原因究明を求めていきたい」と話した。別の遺族の男性は機体について「見たいような見なくないような複雑な気持ち。見たいという遺族には公開しても良いのではないか。県には遺族の思いをくんだ対応をしてほしい」と要望した。
 ヘリは険しい山中に墜落したため、機体の回収に時間がかかっていた。県は降雪前の回収を目指し、委託業者が今月初めから周囲の木を伐採するなどして準備を進めてきた。

**********産経2018年9月25日 20:52
群馬・防災ヘリ墜落、飛行計画と異なるフライト293回 不適切な運航体制が常態化
 搭乗員9人が全員死亡した群馬県の防災ヘリコプター墜落事故で、県は25日、昨年4月から事故直前まで、ヘリが国に提出した飛行計画と異なるフライトを293回行っていたと明らかにした。県が業務委託していた東邦航空(東京都)社員らへの聴取などから判明。県は同日、国土交通省に報告した。
 県によると、不適切な飛行計画の提出は、同期間のフライトの約76%で行われていた。計画の作成、提出やヘリの到着通知などの運航管理業務は主に東邦航空社員3人が行っていた。
 このうち60代の男性社員は県防災航空隊が発足した平成9年から、「(ヘリが)途中経路上の離着陸場所でエンジンを停止しない場合は、当該場所を飛行計画に記入する必要はない」と誤認し続けていた。
 社員は事故当日の8月10日、ヘリが実際には群馬ヘリポート(前橋市)に到着していないのに、独断で国交省に対して到着通知を行っていた。
 県は、不適切な運航体制が常態化していたと認め、今後の防災航空体制のあり方を検討する委員会を設置。安全管理について全面的に検証する方針だ。
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