市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

鉛・ヒ素入りスラグ問題!…高渋バイパスの有害スラグ土壌調査等費用を原因者負担させる住民監査請求が棄却

2019-04-26 01:46:00 | スラグ不法投棄問題
■当会が告発した高渋バイパス分離帯に不法投棄された非鉄スラグ事件では、2018年8月20日に群馬県は「県道工事に使用された建設資材の下の土壌調査結果について -『土壌への影響はありませんでした』-(建設企画課)」と題する記者発表を行いました。そこで、当会はさっそく8月30日に群馬県土木整備部建設企画課を訪れて、事情説明を求めましたが、埒が明かないため、関連事項の情報開示請求を行い、その結果10月31日に部分開示がなされました。しかし、土壌調査にかかった費用については開示情報に含まれていなかったため、11月16日に改めて開示請求を行ったところ、12月2日に部分開示されました。この調査費用は、税金から支出されるべきものではないと考えた当会は、2月22日に住民監査請求書を群馬県に提出しました。すると今回は補正命令もなく、3月12日(火)午後1時半から監査委員らの面前で陳述が行われ、当会代表が30分間、目一杯、調査費用の公金支出の不当性を力説しました。その結果、4月15日付の監査結果通知が同19日に届きました。開けてみると、なんと「棄却」となっています。一体なぜ棄却されたのでしょうか。

配達証明付きで届けられた監査結果通知が同封された封筒。

 この間のこの問題の経緯は次のブログを参照ください。
○2018年7月27日:【速報】群馬県スラグ行政を象徴!…当会の告発から1年かかってようやく公表の背後に東邦亜鉛の影か
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2708.html
○2018年7月29日:【速報】高崎渋川線バイパスにスラグ汚染報道・・鉄鋼スラグに続いて非鉄スラグの不法投棄か!
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2710.html
○2018年8月5日:高崎渋川線バイパスの鉛・ヒ素入りスラグ撤去方針!…じゃ~佐藤がばら撒いた有害スラグも撤去しろよ!↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2712.html
○2018年8月12日:鉛・ヒ素入りスラグ不法投棄問題!…群馬県中にばら撒かれているかも?
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2724.html
〇2018年8月17日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…鉛・ヒ素入りサンパイを盛り土扱いする群馬県が情報開示拒否を当会に通知
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2729.html
○2018年10月27日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…高渋バイパスに投棄のスラグ履歴情報非開示を不服として知事に審査請求書を提出
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2794.html
○2018年11月16日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…鉛・ヒ素入りスラグ撤去に係る公文書が2か月遅れでやっと県から部分開示
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2815.html
○2018年11月17日:高崎市内で岡田工務店が大量に投棄した鉛・ヒ素スラグを東邦亜鉛由来だと認めない群馬県
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2819.html
○2018年12月7日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…鉛・ヒ素入りスラグ撤去前の事前調査に係る費用が部分開示で判明
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2842.html
○2019年2月22日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…高渋バイパス投棄の有害スラグ土壌調査費用を原因者負担させるべく住民監査請求
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2888.html
○2019年3月13日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…高渋バイパス投棄の有害スラグ土壌調査等費用を原因者負担させる住民監査で陳述
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2906.html

■その後、現在に至るまで、鉛・ヒ素入り非鉄スラグを巡る動きは活発に続いています。次のブログ記事をご覧ください。

〇2018年8月21日:鉛・ヒ素入りスラグ不法投棄問題!…群馬県中にばら撒かれているかも?(その2)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2730.html
〇2018年8月21日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…鉛・ヒ素だらけでも「土壌に影響なし」宣言した群馬県の重金属汚染思考マヒ
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2731.html
〇2018年8月26日:【緊急レポート】鉛・ヒ素入りスラグ問題・・・なんと早業!撤去始まる!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2734.html
〇2018年8月30日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…鉛・ヒ素入り資材を猛スピードで撤去中の群馬県に経緯と根拠を開示請求
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2738.html
○2018年9月2日:【緊急レポート】鉛・ヒ素入りスラグ問題…高崎市に続き榛東村にも飛び火!しかも大同スラグと無法コラボ!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2739.html
〇2018年9月8日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…猛スピードでサンパイ撤去中の群馬県が経緯と根拠の開示を先送り
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2751.html
〇2018年9月10日:【ついでにレポート】鉛・ヒ素入りスラグ問題…飛び火した榛東村を更に調査!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2744.html
〇2018年9月16日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…高渋バイパスで有毒な非鉄スラグを撤去中の現場レポート
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2756.html
〇2018年9月18日:【速報】公園にも鉛スラグ報道…やはり高崎渋川線バイパスだけでなかった非鉄スラグ投棄問題!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2757.html
〇2018年9月19日:【続報】公園にも鉛スラグ報道…やはり高崎渋川線バイパスだけでなかった非鉄スラグ投棄問題!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2759.html
〇2018年9月20日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…高渋バイパスどころか箕郷町の県道脇ソーラー発電造成地にもスラグ捨て放題!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2758.html
〇2018年10月13日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…みさと芝桜公園周辺をさらに調査!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2777.html
〇2018年10月21日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…高崎市の水道施設前はスラグだらけだった!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2787.html
〇2018年10月26日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…高崎市内の多数の公益施設に投棄された非鉄スラグの早期撤去を高崎市長に要請!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2793.html
○2018年10月28日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…梅花見物は恐ろしい!(その1)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2796.html
○2018年11月10日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…梅花見物は恐ろしい!(その2)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2808.html
○2018年11月18日:【緊急報告】鉛・ヒ素入りスラグ問題!…今この時も、鉛とヒ素の不法投棄は、着々と続いている!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2817.html
○2018年11月20日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…大同スラグに蓋をする県・渋川市等と異なり撤去前提の対策を打ち出した高崎市
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2820.html
○2018年11月20日:公園にも鉛スラグ報道…高崎・箕郷の公園の非鉄スラグ撤去決定で問われるその根拠!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2821.html
○2018年11月25日:【緊急報告】鉛・ヒ素入りスラグ問題!…読者投稿・なんと地域の集会場まで鉛・ヒ素入りスラグ汚染!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2825.html
○2018年12月2日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…戦国武将も怒っているぞ!(松風騒ぐ風雲箕輪城その1)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2834.html
○2018年12月4日:高崎市箕郷町に投棄された鉛・ヒ素入りK砕の現地調査と学習会で分かった環境被害の実態と深淵(1)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2606.html
○2018年12月5日:高崎市箕郷町に投棄された鉛・ヒ素入りK砕の現地調査と学習会で分かった環境被害の実態と深淵(2)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2552.html
○2018年12月8日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…戦国武将も怒っているぞ!(松風騒ぐ風雲箕輪城その2)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2836.html
○2018年12月15日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!・・・腑に落ちない日本鉱業協会スラグ委員会に不参加の東邦亜鉛の真意
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2843.html
○2018年12月16日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…戦国武将も怒っているぞ!(松風騒ぐ風雲箕輪城その3)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2841.html
○2019年2月10日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…♪スラグ街道冬景色♪その1
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2879.html
○2019年2月24日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…♪スラグ街道冬景色♪その2
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2885.html
○2019年2月26日:【速報】ソーラー発電所の非鉄スラグ報道…鉛やヒ素が危険なのにいまだに調査中を繰り返す群馬県
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2886.html
○2019年3月14日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…箕郷梅林を鉛中毒の恐怖に晒す非鉄スラグを表向き撤去させた高崎市が抱える憂鬱
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2901.html
○2019年3月17日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…箕郷町の松之沢にある岡田興業のスラグ置き場の実態と群馬県の節穴検査
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2905.html

■それではどんな内容の監査結果だったのか、見てみましょう。

*****送り状*****ZIP ⇒ 20190419.zip
                           群監第202-3号
                           平成31年4月15日
小 川  賢  様

                  群馬県監査委員 丸 山 幸 男
                  同       林     章
                  同       萩 原   渉
                  同       水 野 俊 雄

         住民監査請求に係る監査結果について

平成31年2月22日付けで収受した標記請求に係る監査結果は、別紙のとおりです。

                     群馬県監査委員事務局
                      特定監査係
                      TEL : 027-226-2767

*****監査結果*****ZIP ⇒ 20190419.zip
<P1>
            群馬県職員措置請求監査結果
第1 請求人
   群馬県安中市野殿980番地
   小川 賢
第2 請求書の提出
   平成31年2月22日
第3 請求の内容
1 請求の要旨
 県道高崎渋川線バイパス(仲原交差点~新蟹沢大橋付近)の中央分離帯部に使用された一部の建設資材から、土壌汚染対策法(平成14年法律第53号。以下「土対法」という。)で定める基準値を超える「鉛」及び「砒素」が検出された。
 本来、JIS規格などルールに適合していなければならない材料を使用すべきところ、ルール不適合の有害物質を持ち込んだ工事施工事業者や、有害物質を排出したA社、そしてA社から有害物質を受け取り、工事施工事業者に供給したB社は、いずれも公共事業の資材として不適切と知りつつ有害物質を公道にばら撒いた責任は重い。県は、土壌分析調査及び現場立入防止対策を実施したが、原因者に対しこれらの費用を請求し、公金からの支出を取り戻さなければならない。
 よって、監査委員は、県土木に対して、不当に支出された上記の公金計1,747,800円を一刻も早く回収せしめるよう勧告されたい。
2 事実証明書(各事実証明書の表題は、措置請求書等における請求人の記載をそのまま使用した。ただし、陳述実施時に請求人から追加提出された資料は、表題の記載がないため、当監査委員において表題を記載し、事実証明書8及び9として付番した。)
(1) 事実証明書1 土壌溶出量調査及び土壌含有量調査の実施箇所
(2) 事実証明書2 保護路肩部の建設資材の環境調査結果
(3) 事実証明書3 2018年2月2日付の濃度計量証明書
(4) 事実証明書4 2018年11月16日付の公文書開示請求書
(5) 事実証明書5 2018年11月30日付の公文書部分開示決定通知書/公文書不存在決定通知書
(6) 事実証明書6 2018年8月1日付の業務委託変更契約書
(7) 事実証明書7 2018年7月27日付の見積書
(8) 事実証明書8 2017年4月19日付のA社宛て公開質問状ほか
(9) 事実証明書9 2019年2月18日付の公文書非開示決定の取消しについて(通知)ほか
第4 請求の受理
 本件措置請求は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「地自法」という。)第242条第1項に規定する要件を具備しているものと認め、平成31年2月27日に受理を決定した。
第5 監査の実施
1 監査対象事項
 本件措置請求に係る措置請求書及び事実証明書の記載を総合し、監査対象事項は次のとおりとした。県道高崎渋川線バイパスの中央分離帯部に使用された一部の建設資材から検出された有害物質の撤去に当たり措置に要した費用の回収について
2 監査対象機関
 県土整備部建設企画課(以下「建設企画課」という。)

<P2>
 県土整備部高崎土木事務所(以下「高崎土木事務所」という。)
3 請求人の陳述及び証拠提出
 平成31年3月12日、地自法第242条第6項の規定により、請求人の陳述を聴取し た。また、請求人から新たな証拠として事実証明書8及び9の追加提出があつた。
4 監査対象機関の対応
 平成31年3月14日、監査対象機関に対するヒアリングを実施し、同日 以後関係書類の調査等を行ったところ、以下のとおりであつた。
(1)「ルール不適合の有害物質(以下「有害物質」という。)を持ち込んだ工事施工事業者や、有害物質を工事施工事業者に供給したB社は、いずれも公共事業の資材として不適切と知りつつ有害物質を公道にばら撒いたこと」について
 当時(平成23年度)の工事記録が、文書保存期間(5年)を満了し廃棄されているため、建設資材の材料を特定することができない。また、施工業者(C社及びD社。以下「本件施工業者」という。)であつても、見た目が通常の砕石と変わらず、誤って使用してしまったほどで、県としても、一部の建設資材に有害物質が含まれていることに気がつかなかった。
(2) 「土壌分析調査費用や現場立入防止対策費用(以下「土壌分析調査等費用」という。)」について
 県が土壌分析調査等費用を支出したことは事実である。
(3) 「不当に支出された上記の公金計1,747,800円」について
 ア 支出までの経緯
   平成30年2月 7日 請求人が建設企画課に対し、採取した試料から有害物質(土対法で定める基準値を超える鉛及び砒素)が検出されたことを示す分析結果を提出
        6月14日 上記分析結果の透明性を確保するため、高崎土木事務所自らが土壌分析調査を発注
        7月 5日 上記土壌分析調査の速報値の段階で土壌溶出量調査の結果が環境基準を超過していることが判明したことにより、今後の対応方針を検討するため、高崎土木事務所が土壌分析調査の工期を2箇月延長
        7月27日 建設企画課が県ホームページにより、一部の建設資材から 有害物質(土対法で定める基準値を超える鉛及び砒素)が検出されたとする土壌分析調査の結果及び今後の対応を公表
              高崎土木事務所が現場立入防止対策工事を発注、即日完成
              高崎土木事務所が本件施工業者に対し、群馬県建設工事請負契約約款(以下「契約約款」という。)第41条第1項及び第2項の規定に基づき、工事目的物の瑕疵修補請求に係る通知を発出
        8月 6日 高崎土木事務所が本件施工業者から上記瑕疵修補請求に応じる旨の回答書を収受
        8月21日 本件施工業者が有害物質撤去に係る工事に着手
        9月28日 本件施工業者による有害物質撤去工事が完了
       10月12日 高崎土木事務所が本件施工業者に対し、土壌分析調査等費用を損害賠償請求
       10月17日 高崎土木事務所がC社から損害賠償請求額を回収
       10月18日 高崎土木事務所が土壌分析調査費用を支払
       10月19日 高崎土木事務所がD社から損害賠償請求額を回収

<P3>
       10月31日 高崎土木事務所が現場立入防止対策費用を支払
 イ 支出の不当性
   土壌分析調査については、調査結果の透明性を確保する必要があった。また、現場立入防止対策については、速やかに中央分離帯部への立入禁止措置を講じる必要があつた。よって、県が発注し、費用を支出したことは正当である。
(4) 支出額について
 支出額は、請求人が主張する公金1,747,800円 ではなく1,765,800円 であり、その差異18,000円は、現場立入防止対策費用が税込み価格ではなかったことによるものである。
5 回収措置
(1) 回収の根拠法令について
土壌分析調査等費用については、契約約款第41条を根拠とし、本件施工業者の瑕疵担保責任に基づき損害の賠償を請求することとした。
(2) 回収について
 損害額を工事延長で按分し、平成30年10月12日付けで本件施工業者に対して工事目的物の瑕疵に係る損害賠償の請求を行い、C社から平成30年10月17日に、D社から平成30年10月19日に、合計1,765,800円を全額回収した。
第6 監査委員の判断
1 結論
 群馬県知事は、監査対象事項である費用の請求を適正に行い、及び既に回収していることから、請求人の主張する財産の管理を怠る事実は存在していないと認められるため、これを棄却する。
2 判断の理由
 請求人は、群馬県知事が有害物質を搬入した施工業者等に対して土壌分析調査等費用の回収の措置を講じないことは財産の管理を怠る事実に該当するとして、施工業者等から回収するよう 群馬県知事に監査委員が勧告するよう求めているものと解される。
 当該財産の管理を怠る事実が認められるためには、県が土壌分析調査等費用を支出し、及び施工業者等から土壌分析調査等費用を回収していない状態でなければならない。
 これを本件についてみるに、県は、有害物質を特定し、その後の対応方針を検討するために土壌分析調査を実施し、及び現地における安全確保のために現場立入防止対策を講じ たものであり、これらの業務に対して公費を支出したのである。また、土壌分析調査等費用については、契約約款第41条第1項及び第2項の規定により、既に県が本件施工業者に請求し、及び本件施工業者から回収され、県の歳入となっていることが確認されたことから、請求人の主張する県の損害は補填されており、財産の管理を怠る事実は存在していない
                         以上
**********

■結果的に、当会が住民監査請求をした支出は、既に回収済だから、当会の住民監査請求は意味がないので、棄却したというのです。

 しかも県は、2018年10月12日(金)に、高崎土木事務所が本件施工業者(岡田工務店と佐藤工務店か?)に対し、土壌分析調査等費用を損害賠償請求し、10月17日(水)に、高崎土木事務所がC社(岡田工務店か?)から損害賠償請求額(いくらなのか不詳?)を回収し、10月18日(木)に、高崎土木事務所が土壌分析調査費用(税込み1,522,800円)を支払い、10月19日(金)に、高崎土木事務所がD社(佐藤工務店か?)から損害賠償請求額(いくらなのか不詳?)を回収、10月31日(水)に、高崎土木事務所が現場立入防止対策費用(税込み243,000円)を支払ったことを、初めて当会に明かしたのです。

 こうしてみると、10月18日に、高崎土木事務所がプロファ設計に対して土壌分析調査費用(税込み1,522,800円)を支払った時点で、岡田工務店からいくら回収していたのかがわかりません。

 他方、県は「損害額を工事延長で按分し」と説明しているため、C社(岡田工務店か?)から10月17日に回収したのは、全体の工事区間のおよそ半分相当の711,400円だったと思われます。ということは、10月18日に高崎土木事務所がプロファ設計に1,522,800円を支払ったとなると、残りの711,400円は自ら負担し、翌日D社(佐藤工務店か?)から711,400円が支払われるまで、金利負担をしたことになります。となると損害を完全に回収した、などと監査委員は判断できるのでしょうか。

 なにしろ、C社(岡田工務店?)とD社(佐藤工務店?)に対して、県が工事延長で案分してそれぞれいくら請求し、回収できたのか、きちんと明記されていないため、まったく経緯が分かりません。おそらく岡田工務店が佐藤工務店の分まで実質的には負担していることから、もしかしたら岡田工務店が佐藤工務店の分まで県に支払ったため、県は、それでプロファ設計に土壌調査費用を支払えたというのかもしれません。

 いずれにしても、次の情報について、改めて群馬県に開示請求をする必要がありそうです。

(1)10月12日、高崎土木事務所が本件施工業者C社とD社に対してそれぞれ発出した、土壌分析調査等費用を示した損害賠償請求書

(2)10月17日、高崎土木事務所がC社から損害賠償請求額を回収したことを証する文書。

(3)10月18日、高崎土木事務所が土壌分析調査費用をプロファ設計に支払ったことを証する文書

(4)10月19日、高崎土木事務所がD社から損害賠償請求額を回収したことを証する文書。

(5)10月31日、高崎土木事務所が上等建設に対して現場立入防止対策費用を支払ったことを証する文書。


■さらに、監査結果には重大な仰天記載があります。

 それは監査委員らが、平成31年3月14日、監査対象機関に対するヒアリングを実施し、同日以後関係書類の調査等を行ったところ、次のことが判明したことです。

<K砕の見た目が通常の砕石と変わらず、区別できなかった?!>

 当会は「ルール不適合の有害物質を持ち込んだ工事施工事業者(C社=岡田工務店?とD社=佐藤工務店?)や、有害物質を工事施工事業者に供給したB社(岡田工務店)は、いずれも公共事業の資材として不適切と知りつつ有害物質を公道にばら撒いたこと」について指摘しました。

 すると県側は、当時(平成23年度)の工事記録が、文書保存期間(5年)を満了し廃棄されているため、建設資材の材料を特定することができない。また、施工業者(C社及びD社)であつても、見た目が通常の砕石と変わらず、誤って使用してしまったほどで、県としても、一部の建設資材に有害物質が含まれていることに気がつかなかった、との見解を監査委員らに示しました。。

 こんな戯言を、血税を使っている立場でよくもまあ平然と言えるものだと、呆れてしまいます。役所の役割を知らない公務員には即刻辞職していただかなくてはいけません。

 さっそく、上記の疑問点や不明点について、情報開示を県に請求することにしたいと思います。

■それにしても、住民監査請求の結果通知にさえ、原因者であるK砕の排出責任企業の名前や、K砕を野放図に転売したり、自ら不法投棄していた企業、そしてそれを公共工事に使用した業者の具体名を示そうとしない行政とはいったい何様でしょうか。

 当会は、自ら不法投棄を通報し、有害物質の存在を自らの負担で科学的に証明し、再三にわたり撤去を申し入れ、排出者・原因者・投棄者など共同不法行為を働いた法人らに厳罰を処するよう行政に申し入れてきました。にもかかわらず、行政は無慈悲にも、挙句の果てにこのような仕打ちを当会に押し付けました。これでもなお税金を納めなければならないのですから、住民・納税者としては非常に複雑な気持ちです。。

■そして、この事件では、さらに重大な事実が隠されているのです。

 それは、そもそも高渋バイパスの中央分離帯で発見されたK砕を不法に公共工事で使用した事実であり、その公共事業にかかる当時(平成23年度)の工事記録が、文書保存期間(5年)を満了し廃棄されているためとして、不存在だと決めつけていることです。

 高渋バイパスに投棄したK砕の撤去と復旧を目的とした修補工事として、高崎土木事務所では2018年7月27日に次の回議文書を起案しました。そこには、【実施工事】として次の2件が挙げられています。

○株式会社 岡田工務店
   契約管理番号:423-02-H0218
   工  事  名:社会資本整備(活力創出基盤整備)舗装新設工事(その1)
          主要地方道(高崎渋川線バイパス)
   施 工 箇 所 :高崎市金子町地内~高崎市金子町地内 2基工区
          主要地方道 高崎渋川線バイパス
   契  約  日:平成24年1月6日
   納    期:平成24年1月7日~平成24年3月26日
○株式会社 佐藤工務店
   契約管理番号:423-02-H0249
   工  事  名:社会資本整備(活力創出基盤整備)舗装新設工事(その4)
          主要地方道(高崎渋川線バイパス)
   施 工 箇 所 :高崎市金子町地内~高崎市金子町地内 2基工区
          主要地方道 高崎渋川線バイパス
   契  約  日:平成24年1月20日
   納    期:平成24年1月21日~平成24年3月26日


 このことは、中央分離帯のみならず、舗装工事をした路盤材すべてにK砕が埋め込まれており、それらは依然としてアスファルト舗装の下で放置されていることをうかがわせます。これらを全て取り除かない限り、瑕疵は解消されないことになります。つまり、住民訴訟を提起する必要があるわけです。

■当会は当初、なぜ県道にK砕と思しき物質が投棄されているのか、その経緯を探るため、2017(平成29年)年8月4日に群馬県知事に対して、次の情報公開請求を行いました。

*****開示を請求する公文書の内容又は件名*****PDF ⇒ 20170804jimxoj.pdf
 群馬県土整備部建設企画課技術調査係に7月23日付で電子メールにて送信した「東邦亜鉛安中製錬所由来の非鉄スラグの不法投棄問題について」と題する電子メールについて、未だに返事がないため、請求情報の特定がいまひとつ不十分かもしれませんが、次の情報開示請求をします。
 東邦亜鉛安中製錬所由来の思しき非鉄スラグが、群馬県が施工した道路工事現場に投棄されています。この投棄場所は、「群馬県県土整備が整備した高崎渋川バイパスで、高崎方面より、イオンの前を通過して、高崎渋川線を超え、三愛会と言う病院へ行く道を通過して最初の舗装されていない中央分離帯」です。この工事現場になぜ東邦亜鉛のスラグが投棄されたのか、その経緯と理由がわかる一切の情報。とくに次の情報を含みます。
①当該工事名称   
②施工年月日(期間)   
③施工業者
④投棄されたスラグの材料検査証明書
⑤投棄されたスラグを搬入した業者名
⑥中央分離帯に使うべき材料を示した仕様書や積算内訳書等、スラグ使用の妥当性の可否が分かる情報
⑦当該工事の入札調書
⑧投棄されたスラグが未だに放置されたままとなっている理由・根拠を示す情報

**********

 その結果、2017年8月17日に開示決定通知書が到来しました。
※公文書開示決定通知書:PDF ⇒ 20170817jmimxoj.pdf

 そして、同23日に1枚の情報が開示されました。それによれば、工事契約状況調書(公表用)は次の通りでした。

*****工事契約状況調書(公表用)*****PDF ⇒ 20170823j1ih_j.pdf

●事業名:単独地域道路管理
 平成25年4月1日から平成26年3月13日現在
 高崎土木事務所
〇路線河川施設名:主要地方道 高崎 渋川線 外
〇事業の付加名称:管内一円(交通安全対策)0県債
〇施工場所:高崎市金古町 第一係管内一円(交安)、
〇工事の種別:土
〇工事の概要【工事の規模等】:管内一円(交通安全対策)修繕箇所N=85箇所
〇契約金額(変更);
12,547,500(16,537,500)
〇契約者の住所及び商号又は名称:群馬県高崎市浪江町150 群馬土建工業(株)
〇入札見積年月日 一般・氏名・随契の別:H25.3.15 指名競争入札
〇随意契約の選定理由:
〇工期(変更):H25.3.16 H26.3.20 (H26.3.20)
〇契約金額を変更した場合の理由:関係機関・地権者及び関係権利者等と協議の結果、計画を変更したため

**********

 このときは、県道高崎渋川線の85箇所の修繕工事一式として2013年(平成25年)3月15日に入札が行われ、高崎市にある群馬土建工業が受注したことがわかりますが、使用した非鉄スラグの材料試験成績書などは「3年間」の保存年限を経過しているとして、すべて廃棄されたという理由で不存在とされてしまいました。

 ところが、今回は保存期間が「5年間」だというのです。また、K砕を使用したのは、群馬土建工業だったはずなのに、実際に舗装工事で路盤材としてK砕を使っていたのは岡田工務店と佐藤工務店だというのです。

 こんなデタラメで、特定業者と癒着する行政に、税金が無駄に使われるのは地方自治法第2条第14項の観点から、違法だと断言できます。

【市民オンブズマン群馬事務局より】

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今年も「2019年版包括外部監査の通信簿」作成のためにご支援を!

2019-04-25 23:30:00 | オンブズマン活動
■全国市民オンブズマン連絡会議は、2019年3月22日(金)15時から【市民オンブズマン作成の“包括外部監査の通信簿”で、自治体の無駄遣いをなくしたい!】支援募集を始めました。(期限は2019年4月25日(木)午後11時まで)
https://readyfor.jp/projects/ombuds2019
 さっそく当会の代表も微力ですが支援に応じさせていただきました。以下、連絡会議からのメッセージです。

URL ⇒ https://readyfor.jp/projects/ombuds2019/announcements/97542

 これまで皆様にご支援をいただき、4年連続で70万円の目標額を達成致しました。
今回もなにとぞご協力をよろしくお願いいたします。

 今回行うクラウドファンディングとはインターネット上で広く支援を募集する仕組みで、全国市民オンブズマン連絡会議が毎年作成している「包括外部監査の通信簿」の印刷費用として70万円を募集することにしました。

 「包括外部監査の通信簿」は、役所の無駄遣いを専門家が平均約1400万円かけてチェックする「包括外部監査」レポートを、市民オンブズマン側の専門家が出来不出来をチェックして通信簿冊子を作るものです。これによりレポートの質は向上し、各地の自治体の問題点があぶりだされています。しかし、毎年約150万円ほど赤字が出ており、今回も広く支援を募集します(5回目)。

 募集期間内(4月25日まで)に目標金額70万円に満たない場合は、0円になってしまう仕組みです。何卒ご支援をお願いいたします。

 また、広報にもご協力を頂けると幸いです。上記ページ内にツイートボタンやfacebookいいね!ボタンがあるので、情報の拡散だけでも参加してもらえると幸いです。

 支援募集チラシも印刷しました。配布可能な方はご連絡ください。 office@ombudsman.jp
https://www.facebook.com/ombudsmanjp/

 支援を集めるにあたり、一般の人にあまりなじみのない「包括外部監査」の仕組みを説明する動画も作成するなど、全国市民オンブズマン連絡会議として力を入れて取り組んでいます。
 ご協力どうぞよろしくお願いします!

・包括外部監査の通信簿 特設ページ
http://www.ombudsman.jp/houkatsu/
・支援募集チラシ
http://www.ombudsman.jp/houkatsu/190322.pdf

※クレジットカードによるオンライン支援です。
もしくは郵便振替口座 00880-0-92327 「全国市民オンブズマン連絡会議 事務局」(「包括カンパ」と記載ください)
ゆうちょ銀行 0八九店 当座 0092327 「全国市民オンブズマン連絡会議 事務局」

・漫画でわかる包括外部監査の通信簿
http://www.ombudsman.jp/houkatsu/150514.pdf

・アニメでわかる包括外部監査の通信簿(15/5/19版(8分54秒))
https://www.youtube.com/watch?v=TSEHRWVLrWk

・包括外部監査の説明動画(15/4/24版 約5分)
https://www.youtube.com/watch?v=gr6BAFy9uAI

---------
・全国市民オンブズマン連絡会議 包括外部監査の通信簿 特設ページ
http://www.ombudsman.jp/houkatsu/

【市民オンブズマン群馬事務局からのご案内】

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法律や条例の決定過程を隠したがる傾向が国から県へ蔓延・・・群馬県が当会に示した秘密主義>民主主義

2019-04-22 23:32:00 | オンブズマン活動
■明後日4月24日(水)13時半から前橋地裁第21号法廷で、関電工の前橋バイオマス発電・燃料施設にかかる補助金返還請求事件の住民訴訟の証人尋問が開かれますが、この事件で群馬県は、排ガス量毎時4万ノルマル立方メートルをはるかに超えるバイオマス火力発電所なのに、水分量を勝手に棒引きして、東電グループ企業のために環境アセスメントをしなくても済むよう、条例を捻じ曲げる暴挙に出ました。そのため、当会はなぜ条例の運用でそのようなことが可能なのか、その過程を示すように群馬県森林環境部環境政策課に問い合わせてきましたが、県側は頑なに情報非開示を続けています。我々住民の財産や健康な生活を守るための条例が、なぜ歪められなければならないのか、その決定の過程が分からなければ、行政側の横暴に対して住民側は為す術がありません。そのため、決定の過程を住民にもわかるように、協議の場で住民が傍聴でいるよう配慮を求めるための公開質問状を、先日4月10日付で群馬県知事あてに提出しました。

*****公開質問状*****ZIP ⇒ 20190410qnmj.zip
                            平成31年4月10日

〒371-8570 群馬県前橋市大手町1丁目1-1
群馬県知事 大澤正明 様

                〒371-0801 群馬県前橋市文京町一丁目15-10
                 市民オンブズマン群馬  代表  小川 賢
          TEL: 027-224-8567(事務局)/090-5302-8312(代表小川)
                            FAX: 027-224-6624

                 公開質問状

拝啓 平素より我々群馬県民に対して法律や条例などにより決定された内容を実現することにより統治するために尽力賜り厚く御礼申し上げます、
 さて、そうした県民統治のために、貴殿がくだしている重要な決定事項は、県職員だけの会議、あるいは協議、ないし打合せでなされていることは、既に十分ご存知のことと思います。
 しかし、これまではそうした重要な決定を行っている県職員だけの会議、あるいは協議、もしくは打合せの様子はなぜか統治を受ける県民には公開されて来ておりません。
 そこで次の質問があります。

【質問】
 そのような県職員だけの会議、あるいは協議、ないし打合せを開催する場合、事前に県民に開催時期や場所を広く広報することで、県民への傍聴を認めていただけますでしょうか。それとも、認めることには同意していただけないのでしょうか。
 同意していただけない場合はその理由や根拠を分かり易くご教示ください。

 以上、よろしくお願いします。なお、本質問状への回答につきましては、誠に勝手ながら平成31年4月19日(金)までに上記弊連絡先まで郵送またはFAXにてお願いいたします。また、何らかの事情でこの期限までに回答できないという場合には、その旨をお電話(090-5302-8312:代表・小川あて)にてお伝えいただければ幸いです。
                     敬具
**********

■すると4月18日付で、情報公開担当部署の県民センター所長名で次の回答書が当会事務局に届きました。

*****知事からの回答*****ZIP ⇒ 20190420j.zip
                           県セ第30092-4号
                           平成31年4月18日

市民オンブズマン群馬
   代表 小川 賢 様

                        群馬県生活文化スポーツ部
                        県民センター所長 宮川 博之

        平成31年4月12日付け公開質問状について

 日頃より群馬県の情報公開行政に御理解、御協力を賜り、ありがとうございます。
 このたび、県の重要な決定にかかる会議の広報や傍聴による積極的な情報公開について公開の質問状をいただきました。
 県では、重要事項の決定については、議会の議決に諮ったり、審議会により外部有識者の意見を聴くほか、パブリックコメントの実施により、広く県民の皆様から意見、情報を募集する手続をとっています。また、審議会について、県のホームページにおいて会議の開催予定や会議録の公開を促進してきているところです。しかし、県の機関の内部における審議、検討又は協議に関する情報については、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に県民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあることから、公にすることは難しいところであります。そのため、公文書開示請求に係る非開示情報については、群馬県情報公開条例第14条第5号において、係る趣旨の規定が定められているところです。
 これからも引き続き情報の提供に努めていきたいと思いますので、御理解賜りますようよろしくお願いします。

                       事務担当
                        県民センター情報公関係 天川
                        Tel 027-226-2270
**********

■驚きました。とんでもない考えを群馬県が持っていることがわかります。

 当会では、重要事項の決定の過程を明らかにしてほしいので、審議・検討・協議に際しては、傍聴できる機会を設けてもらえますか?と公開質問をしたのですが、県側の回答は概ね次のようなものでした。

・審議会はHPでの公開を一部しつつあるので、それで十分だろう。

・それ以外は、住民に公開すると「率直な意見交換」「意思決定の中立性」が「不当に損なわれるおそれ」があるので住民の傍聴など言語道断。

・その根拠は公開条例第14条第5号(審議検討情報)に定めた「県の機関、国、独立行政法人等、他の地方公共団体、地方独立行政法人及び公社の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に県民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがある」によるもの。つまり住民性悪説だ。


■情報公開条例ができた平成12年当時(それ以前は要綱)は、条例の非開示条件はもっとシンプルでした。ところが、この20年の間に、あれも非開示、これも非開示というふうに、我々オンブズマンが傍聴や情報開示請求を通じて、情報収集に努めてくるたびに、議会に諮って条例をどんどん改悪してきたのでした。

 平成が間もなく終了するこのタイミングでこれまでを振り返ってみますと、群馬県行政が、この20年間で、かくも住民に対して、あれもこれも平然と隠すことに違和感をマヒさせてしまったことに慄然とします。

 この動きは、現在の安倍政権が始まった平成24年(2012年)12月26日から現在に至る6年あまりの間に、さらに加速されたと言えます。

 引き続き、情報公開請求を巡る住民訴訟を通じて、この動きを食い止めるべく、努力を傾注してまいります。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考情報1「住民への説明責任に関心のない国の実態を報じた記事」
**********毎日新聞2019年04月13日20:04
首相と省庁幹部の面談記録「不存在」 官邸1年未満で廃棄

毎日新聞 各府省の行政文書不開示決定通知書。中央は総務省の通知書。首相との面会に関する文書は「不存在」と記されている=東京都千代田区で2019年4月10日撮影
 安倍晋三首相と省庁幹部らとの面談で使われた説明資料や議事録などの記録約1年分を毎日新聞が首相官邸に情報公開請求したところ、全て「不存在」と回答された。官邸が記録の保存期間を裁量で廃棄できる1年未満に設定していることも判明した。官邸の担当者は「記録は政策を担当する省庁の責任で管理すべきだ」と説明したが、重要とみられる16件を抽出して府省側に同様の請求をしたところ、10件については説明資料の保有を認めたものの、どの府省も議事録の保有を認めなかった。識者は首相の政策判断の検証に必要だとして、記録を残すルール作りを求めている。
 安倍晋三首相と省庁幹部らとの面談で使われた説明資料や議事録などの記録約1年分を毎日新聞が首相官邸に情報公開請求したところ、全て「不存在」と回答された。官邸が記録の保存期間を裁量で廃棄できる1年未満に設定していることも判明した。官邸の担当者は「記録は政策を担当する省庁の責任で管理すべきだ」と説明したが、重要とみられる16件を抽出して府省側に同様の請求をしたところ、10件については説明資料の保有を認めたものの、どの府省も議事録の保有を認めなかった。識者は首相の政策判断の検証に必要だとして、記録を残すルール作りを求めている。
 政府は2017年12月、森友・加計学園問題などを受けて公文書ガイドラインを改定。官邸を含む府省庁に、政策や事業方針に影響を及ぼす打ち合わせ記録の作成を義務づけた。面談内容は未公表のため、ガイドライン改定後から今年1月末までの面談について、首相や秘書官らが受け取った説明資料と、議事録などやりとりが分かる記録を情報公開法に基づき請求した。
 首相の動静を伝える毎日新聞の「首相日々」に掲載された面談は請求期間で約1000件に上るが、官邸の文書管理を担当する内閣総務官はいずれの記録も「存在しない」と回答。議事録を作成したかどうかは不明だが、説明資料については、保存期間を国立公文書館の審査を経ずいつでも廃棄できる1年未満に設定し、面談後に廃棄していると明かした。内閣総務官室は取材に「官邸側が受け取った資料はコピーに過ぎず、原本は省庁にある」と説明した。
 一方、毎日新聞が「首相日々」から、全12府省の幹部に関わる16件の面談を抽出して府省側に開示請求したところ、全府省が議事録を残していないとしたり、存否すら明かせないと回答したりした。
 説明資料は、16件のうち6件が「存在しない」とされた。このうち、総務省は18年12月に総務相らと首相の面談で取り上げたテーマについて、面談記録がないことを理由に「答えられない」と回答。法務省も同月の事務次官と首相の面談のテーマは「記録がないため確認できない」と答えた。
 残り10件の説明資料は保管されていた。開示された資料などから、中央省庁の障害者雇用水増し問題や外遊準備などの案件だったことが判明したが、議事録未作成の理由について厚生労働省や外務省は「政策や事業方針に影響を及ぼす打ち合わせではなかったため」などと説明した。
 匿名で取材に応じた複数の省の幹部職員は「官邸は情報漏えいを警戒して面談に記録要員を入れさせない」「面談後に記録を作っても、あえて公文書扱いにはしていない」と証言した。【大場弘行、松本惇、片平知宏】
★「政権に都合のよい歴史が創作されかねない」
 NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長の話
 首相面談の記録が省庁側にしか残されていないと、首相は自身に責任が生じる場面でも「聞いていない」などと言い逃れできる。省庁が面談の議事録を残していないのも問題で、政権に都合のよい歴史が創作されかねない。首相面談は官僚同士の打ち合わせとは別次元のもので、首相が見た資料や発言したことを可能な限り記録するルールが必要だ。それは、首相の政治責任を全うさせることにもつながる。
★「記録残すためのルールや仕組み必要」
 政府の公文書管理委員会の初代委員長を務めた御厨貴・東京大客員教授(日本政治史)の話
 首相の意思決定に関わる記録は、それがメモであっても最重要文書として後世に残さなければならない。ところが、官邸は記録を残さなくてもいい「聖域」となっている。近年は首脳外交が増えるなど首相自らが判断する案件も多く、将来の検証に堪える記録を残す必要性は高まっている。首相の記録を残すためのルールや仕組みを作ることは時代の要請だ。
**********

※参考情報2「群馬県の都合のよい条例の解釈」
*****群馬県情報公開条例の解釈及び運用基準*****
https://www.pref.gunma.jp/07/c0110227.html
第14条第5号(審議検討情報)
(5) 県の機関、国、独立行政法人等、他の地方公共団体、地方独立行政法人及び公社の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に県民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの
【趣旨】
本号は、審議、検討等情報の非開示情報としての要件を定めるものである。
【解説】
(1) 開示請求の対象となる公文書は、決裁、供覧等の手続を終了したものに限られないことから、県の機関、国、独立行政法人等、他の地方公共団体、地方独立行政法人及び公社の内部又は相互間における意思決定前の審議、検討又は協議の段階において作成又は取得された文書であっても、組織的に用いるものとして現に保有していれば対象となるものである。
 このように、開示請求の対象となる公文書の中には、実施機関等としての最終的な決定前の事項に関する情報が少なからず含まれていることになるが、このような情報を意思決定前であるということで一律にすべて非開示とすることは、県がその諸活動を説明する責務を全うするという観点からは適当ではないので、これらの実施機関等の意思決定等への支障が看過し得ない程度である場合に限り、非開示とすることとしたものである。

(2) 「審議、検討又は協議に関する情報」とは、県の機関等の事務又は事業について意思決定が行われる場合に、その決定に至るまでの過程においては、例えば、具体的な意思決定の前段階としての政策などの選択肢に関する自由討論のようなものから、一定の責任者の段階での意思統一を図るための協議や打合せ、決裁を前提とした説明や検討、審議会等又は実施機関が開催する有識者、関係法人等を交えた研究会などにおける審議や検討など、様々な審議、検討及び協議が行われており、これら各段階において行われる審議、検討又は協議に関連して作成又は取得された情報をいう。

(3) 「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」とは、公にすることで、外部からの圧力や干渉などの影響を受けることなどにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある場合を想定したもので、適正な意思決定手続の確保を保護利益とするものである。
 例えば、「率直な意見の交換が不当に損なわれるおそれ」としては、審議、検討等の場における発言内容が公になることにより、発言者やその家族に対して危害が及ぶことが危惧され、発言を抑制してしまうおそれが考えられる(この場合には、第14条第4号等の非開示情報に該当する可能性もある。)。また、「意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」としては、実施機関等の内部における政策の検討が不十分な段階での情報が公になり、外部からの圧力により当該政策が不当な影響を受けるおそれが考えられる。

(4) 「不当に県民の間に混乱を生じさせるおそれ」とは、未成熟な情報や事実関係の確認が不十分な情報などを公にすることにより、県民の誤解や憶測を招き、不当に県民の間に混乱を生じさせるおそれがある場合をいう。適正な意思決定を行うことそのものを保護するのではなく、情報が公にされることによる県民への不当な影響が生じないようにするという趣旨である。

(5) 「特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれ」とは、尚早な時期に情報や事実関係の確認が不十分な情報などを公にすることにより、投機を助長するなどして、特定の者に不当に利益を与え又は不利益を及ぼす場合を想定したもので、事務又は事業の公正な遂行を図るとともに、県民への不当な影響が生じないようにするという趣旨である。
 例えば、施設などの建設計画の検討状況に関する情報が開示されたために、土地の買い占めが行われて地価が高騰し、開示を受けた者等が不当な利益を得るおそれや、違法行為の事実関係についての調査中の情報が開示されたために、結果的に違法・不当な行為を行っていなかった者が不利益を被るおそれがないようにすることをいう。

(6) 上記(3)、(4)及び(5)のおそれの「不当に」とは、審議、検討等の途中の段階の情報を公にすることの公益性を考慮してもなお、適正な意思決定の確保などへの支障が看過し得ない程度のものを意味する。予想される支障が「不当」なものかどうかの判断は、当該情報の性質に照らし、公にすることによる利益と非開示にすることの利益とを比較衡量した上でなされる。

(7) 審議、検討等に関する情報については、意思決定が行われた後は、一般的には当該意思決定そのものに影響が及ぶことはなくなることから、本号の非開示情報に該当する場合は通常少なくなるものと考えられる。
 しかし、当該意思決定が政策決定の一部の構成要素であったり、当該意思決定を前提として次の意思決定が行われるなど審議、検討等の過程が重層的、連続的な場合もあり、このような場合には、意思決定後であっても、政策全体の意思決定又は他の意思決定に関して本号に該当するかどうかの検討が行われるものであることに注意が必要である。
 また、当該審議、検討等に関する情報が公になると、審議、検討等が終了し意思決定が行われた後であっても、県民の間に混乱を生じさせたり、将来予定されている同種の審議、検討等に係る意思決定に不当な影響を与えたりするおそれがある場合は、本号に該当する。
 なお、専門的な検討を経た調査データ等の客観的、科学的事実又はこれに基づく分析等を記録したものについては、審議、検討等に関する情報であっても、意思決定が行われた後は本号に該当する可能性が低いものと考えられる。
**********


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安中市議選・・・本日投開票日!無質問議員撲滅のために投票に行こう!そして、按分票を防止しよう!

2019-04-21 06:58:00 | 国内外からのトピックス
■平成最後の統一地方選の後半戦として4月14日に公示された安中市議会議員選挙は、本日、投開票日を迎えました。既に期日前投票を済ませた方々も多いと思いますが、当会は期日前投票箱の管理に疑義があるため、事情の無い限り当日の投票を勧めています。
 さて、安中市民の間では今回28名の候補者が出馬して激戦状況だった選挙戦について、候補者の区別がいまひとつすっきりしないという感想が出ています。調べてみると、同性の候補者として、「小林」「桜井」「吉岡」「金井」「柳沢」の6つがあり、同名の候補者として漢字で書く場合、「久男」、平仮名で表記する場合、「ようこ」「つぎお」「しんいち」の3つがあります。また漢字1字だけ書いた場合「小」は、前述の〝小林〟のほか、〝小川〟〝小口〟もあり、「田」は〝太田〟〝田中〟〝福田〟が該当します。平仮名2文字だけ書いた場合「いち」は、前述の〝こういち〟のほか、〝けんいち〟〝こういち〟もありますので、フルネームで記載せず、こうした部分記載の場合、複数の候補者が該当するため、対象人数分に等分されてしまうおそれがあるため、きちんと名簿を見ながら、投票用紙に意中の候補者名を慎重に明記して投票箱に入れましょう。

〇2019年4月15日:安中市議選スタート・・・4年間一般質問を一度もしなかった現職市議がまたぞろ3名も出馬
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2932.html


※参考情報「安中市議選候補者リスト」
※候補者リスト・選挙事務所リスト ZIP ⇒ xgeixg.zip
**********上毛新聞2019年04月15日
【安中市議選(定数20-28)(届け出順、敬称略)】現職・元職新人


柳沢浩之(ひろゆき)(58) 市議 無現 2期
 市議会福祉民生常任委員長、市議会議会運営委員。元連合群馬安中地協副議長。高崎工業高卒


武者葉子(ようこ)(63) 政党役員 公現 3期 http://www.komei.or.jp/km/m-yoko/
 党県本部遊説局次長。元党県本部県民運動局次長。高崎保育専門学校卒


小口まり子(58) 自営業 無新 https://ogumari.com/
 松井田高同窓会役員、市女性防火クラブ西横野支部長。群馬女子短大卒



吉岡登(のぼる)(62) 市議 無現 2期 https://twpro.jp/noboruyosioka https://ja-jp.facebook.com/people/%E5%90%89%E5%B2%A1%E7%99%BB/100010210056172 https://twitter.com/noboruyosioka
 市議会経済建設常任委員長、碓氷峠ホタルの里の会顧問。松井田高卒


田中伸一(しんいち)(71) 農業 無現 5期
 市議会総務文教常任委員、市社会福祉協議会理事。元市議会議長。東京農工大別科修了


長嶋(ながしま)陽子(50) 医療事務 公新
 党安中第1支部副支部長。安中高卒



佐藤(さとう)貴雄(55) 理容業 無現 2期 https://twitter.com/itrenchtown https://ja-jp.facebook.com/takaosato.jp https://www.pictame.com/user/to_trenchtown/2211572372
 県PTA連合会理事、安中小PTA会長。元市商工会理事。新島学園高卒


古尾谷(ふるおや)茂(69) 元会社員 無新
 県弓道連盟理事、市スポーツ協会常任理事。中央電気通信学園大学部卒



桜井ひろ江(65) 政党役員 共現 6期
 党西毛地区委員、党県委員。元群馬整肢療護園職員。渋川女子高卒


桜井喜久江(きくえ)(63) 市議 無現 1期 https://profile.ameba.jp/ameba/kikue-sakurai7 https://www.facebook.com/kikue.sakurai.5
 市議会経済建設常任委員。元茶道教室「翠心庵」主宰、元さくら花壇代表。埼玉蕨高卒


吉岡完司(もとじ)(71) 農業 無現 3期
 高崎市安中市消防組合議会議員。元市議会議長、元市総務部長。農大二高卒


奥原賢一(けんいち)(68) 農業 無現 4期
 市監査委員、市議会福祉民生常任委員。元市議会議長、元市農業委員。蚕糸高卒


遠間大和(やまと)(39) 自営業 無現 1期 https://ja-jp.facebook.com/yamato.toma
 「和み」代表、安中青年会議所理事。元エスピーシー社員。青山学院大卒


高橋由信(よしのぶ)(62) 会社員 無現 6期 http://www5.wind.ne.jp/t-yoshinobu/
 市議会総務文教常任委員長、市聴覚障害者協会相談役、安中手話サークル役員。安中高卒


広瀬晃(あきら)(66) 市議 無現 4期
 元松井田町社会福祉協議会長。旧松井田町議4期。拓殖大中退


柳沢吉保(よしやす)(68) 自営業 無現 5期
 市議会議会運営委員長、高崎市安中市消防組合議会議員。元市議会議長。安中高中退


松本次男(つぎお)(67) 元市職員 社新
 元市松井田支所長、元市保健福祉部長、元民生委員・児童委員。高崎商業高卒



今井敏博(としひろ)(56) 会社役員 無現 3期 https://ja-jp.facebook.com/toshihiro.imai.33
 市議会総務文教常任委員、市議会議会運営委員。元市議会副議長。法政大卒


金井久男(68) 農業 共現 4期 https://ja-jp.facebook.com/hisao.kanai http://kanaihisao.cocolog-nifty.com/
 党安中市委員長、市国際交流協会松井田支部長。旧松井田町議7期。蚕糸高卒


罍(もたい)次雄(62) 自営業 無現 1期
 吉川屋代表。元原市4区長代理、元市商工会理事、元原市商工青年会長。高崎商業高卒


須貝純子(62) 主婦 無新
 元群馬ヤクルト販売安中SC、元松井田高PTA本部役員。前橋市立女子高卒



小川剛(つよし)(55) 会社員 無現 1期
 信越化学工業社員、連合群馬議員懇幹事。元群馬地方労働審議会委員。高崎商業高卒


福田幸一(こういち)(64) 元会社員 無新
 元磯部ガーデン社員、元社会福祉法人「光の里」生活支援員。駒沢大卒



巽(たつみ)久男(63) 自営業 無現 1期
 市議会経済建設常任委員会副委員長、県剣道連盟常任理事。国士舘大中退


小林訂史(ただし)(59) 会社員 無元 1期 https://twitter.com/hashtag/%E5%B0%8F%E6%9E%97%E3%81%9F%E3%81%A0%E3%81%97
 安中交通安全協会副支部長。元市議、元区長代理。日本自動車整備専門学校卒



太田進一(しんいち)(68) 電気工事業 無現 1期
 市議会福祉民生常任委員会副委員長、市松井田町商工会青色申告会長。松井田高卒


小林克行(かつゆき)(43) 会社員 無現 1期 http://kobayashikatsuyuki.net/kouenkai.php https://ja-jp.facebook.com/katsuyuki.kobayashi.12
 磯部温泉組合理事、市消防団員。元安中青年会議所理事長。大東文化大卒


金井登美雄(とみお)(60) 農業 無新
 農地利用最適化推進委員。元松井田北中PTA会長。県農業経営大学校卒

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東電福島原発事故の尻拭いをとうとう外国人にもさせようとする政府と東電の浅知恵がもたらすリスク

2019-04-18 23:56:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災

■昨年来、政府与党が躍起になって成立を目論んできた、外国人労働者の受け入れ拡大に向け、新たな在留資格を設けることなどを柱にした出入国管理法改定の真の目的がさっそく見えてきました。東電福島原発の廃炉作業の人手確保だったというわけです。深刻な放射能汚染現場で、今後何十年も延々と作業が続き、膨大な人手が必要となることから、しかし、日本人を雇うと高くつくし、高く払ってもやる人がいなくなるかもしれないので、それならば外国人にやってもらおうという発想を、東電の意を酌む役人が持つことは、十分考えられます。さっそく、この件の報道記事を見てみましょう。
**********産経新聞2019年4月18日
東電、福島第1原発で特定技能の外国人を受け入れ

東京電力福島第1原発。右から1、2、3、4号機=2018年2月
 東京電力ホールディングス(HD)は18日、今月から始まった新たな在留資格「特定技能」の外国人労働者を、廃炉作業が行われている福島第1原子力発電所(福島県)など原発での作業で受け入れる方針を明らかにした。建設業界では東京五輪関連の需要増などもあり人手不足が深刻で、作業員の確保が難しくなっている事情が背景にある。
 特定技能は、深刻な人手不足に対応するために一定の専門性や技能を持ち即戦力となる外国人を受け入れる制度で、今月1日に施行された改正入管難民法に盛り込まれた。一定の技能が必要となる「特定技能1号」と、熟練技能が求められる「特定技能2号」がある。当面は、「1号」の外国人を建設や農業など14業種を対象に受け入れる。
 東電は3月28日に数十社の協力企業を集めた会議を開き、特定技能の外国人労働者の取り扱いについて説明。福島第1原発に関しては、14業種のうち、廃炉作業にあたる「建設」が主となるが、関連する業務として「ビルクリーニング」や「産業機械製造業」、「電気・電子情報関連産業」、「自動車整備」、「外食業」が対象になるとした。
 東電の広報担当者は「特定技能を持つ外国人が日本人と区別することなく働くことが認められたので、法律の趣旨に則(のっと)って対応してほしいということを協力企業に説明した」と話している。法務省が出している見解をもとに、特定技能の外国人労働者の受け入れは可能だと判断したという。
 福島第1原発では、東電と協力企業を合わせると1日平均で4千人程度が働いている。東電は「(他の原発でも)特に差を設けることはない」(広報)としており、再稼働を目指している柏崎刈羽原発(新潟県)でも特定技能の外国人労働者を受け入れる考えだ。

**********東京新聞夕刊2019年4月18日
福島第一、廃炉に特定技能外国人 東電受け入れへ
 東京電力ホールディングスは十八日、四月から始まった新たな在留資格「特定技能」の外国人労働者を、福島第一原発(福島県)の廃炉作業などで受け入れる方針を明らかにした。再稼働を目指す東電の柏崎刈羽原発(新潟県)の工事でも受け入れる考え。建設業界では人手不足が深刻で、大手電力や建設会社は作業員の確保に苦労しており、全国の原発に波及する可能性がある。
 東電は協力会社数十社向けの会議で、特定技能の外国人受け入れについて既に説明した。対象業種は廃炉作業に関連する「建設」や「電気・電子情報関連産業」のほか、事務棟などでの仕事となる「ビルクリーニング」や「外食業」が該当するとした。
 廃炉作業では被ばくの防止が重要なため、線量計の携帯が必要な放射線管理区域では、放射線や作業手順に関する正しい理解が必要で、日本語での指示を正確に理解できる能力を持っていることが必要だと伝えたという。
 福島第一では、東電や協力企業の社員が一日平均で計約四千人働いている。
 東電の広報担当者は「特定技能の外国人の雇用は協力会社の判断であり、具体的に雇用規模などが決まっているわけではない。発注元としてしっかり管理したい」と話している。
 福島第一を巡っては、国際貢献が主目的の外国人技能実習生が、施設内の建設作業に従事したことが昨年発覚。東電が、福島第一の廃炉作業は特殊で国際貢献にならないとして、協力企業に対し是正を求めた問題もあった。特定技能外国人の活用が可能なことは法務省に確認済みだという。
 法務省によると、廃炉作業への技能実習生の受け入れは「習得した技術を母国で役立てる」という制度の趣旨に合致しないとして、認めていない。
<特定技能> 少子高齢化などを背景とした人手不足に対処するため、国が4月1日施行の改正入管難民法で創設した外国人の新たな在留資格。建設や農業など14業種が対象。「1号」の取得には、就労分野の一定の技能と日常会話程度の日本語能力が必要。在留期限は通算5年で家族帯同は認められない。熟練技能が必要な「2号」は在留期間の更新や家族帯同が可能だが、当面は受け入れを建設業と造船・舶用工業に限る。原発での作業は建設業での受け入れが主となる見通し。
**********

■最近、経団連の会長が原発推進擁護の発言をしたことも、こうした動きの一環ととらえることができます。

 かつて、経団連や小泉政権が当時苦境に陥っていた製造業の負担を軽くするために氷河期世代を使い捨て労働力として、従来のわが国独自の雇用制度を排除した制度システムを作ったため。その結果、こうした世代の人生はめちゃくちゃにされてしまい、人口の再生産は起こらず人口減少時代に拍車がかかりました。

 一方で、東芝やシャープのような時代遅れの既得権益企業を生き残らせただけで新しい産業も起こることはありませんでした。

 噴飯ものなのは「新資格は受け入れ可能。日本人が働いている場所は分け隔てなく働いてもらうことができる」と東電の広報担当者がさっそくコメントしていることです。物は言い様で、早くも法の抜け道探しと解釈拡大が大手を振ってまかり通っています。

■外国人まで巻き込んで進めることになった福島原発事故の後始末や、今後ほかの原発の廃炉に投入される費用について考えてみましょう。

 福島原発4基の廃炉費用は40年で22兆円かかると試算されています。現段階で廃炉作業が進行しているのは東海原発(16.6万キロワット)で総費用が930億円と見積もられています。単純計算すると、福島原発以外の50基の廃炉費用は5兆円となります。もちろん東海原発が小型炉であることや人口減少による人手不足を考えれば、費用が膨らむ可能性は十分あります。

 仮に今すぐ脱原発して使用済み核燃料を直接処分した場合でも、処分費用が7兆円かかり、それに加えて再処理施設全般の解体・処分費用が5兆円かかるとされています。これには受け入れ自治体に半永久的に支払うであろう交付金のコストは含まれていません。

 以上、現段階で判明しているだけで約39兆円もかかり、今までの原発累積発電量が約6兆kwですからバックエンドだけで1kwあたり6.5円になる勘定です。そして、そのコストの大半は原発の電気を使用したことのない将来世代に押し付けられるわけです。

 そして、いわゆる3Kの中でも超危険な、原発事故現場の作業をとうとう外国人労働者にやらせることになりました。他方、東電やそのグループ会社の社員は、絶対安全なところにいて、これまで3次・4次の下請けに現場の危険な作業をやらせてきましたが、もう日本人のやり手が不足しているものですから、今度は国ぐるみで外国人の出稼ぎ者を雇う方向に突き進むわけです。

 つまり、外国人出稼ぎ労働者を使い捨ての低賃金労働で雇い入れ、いずれ許容量をオーバーしたり、被爆したりしたら、お払い箱となり、即追い返そう、という魂胆だと疑われかねません。まさに第二の徴用工問題として批判されるリスクがあり、我が国の国際的なイメージダウンは避けられなくなってしまいます。

■安倍政権があれほどしゃにむに成立を目指した入管法改正の衣の下の鎧が、はからずも露呈したことに、深刻な憂慮を覚えるのは当会だけなのでしょうか。

 なお、来週4月24日(水)午後1時半からは、いよいよ東電グループの関電工による前橋バイオマス発電・燃料施設をめぐる補助金返還訴訟の証人尋問が行われます。安全神話を作っておきながら、未曽有の大事故を起こしても反省もせず、さらに放射能汚染を拡散しようとする東電グループの亡国事業を食い止めるべく、当会は地元住民のかたがたに寄り添って、微力ながら全力を傾注してまいる所存です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考情報「経団連会長の原発提言の背景」
**********ハーバー・ビジネス・オンライン2019年4月12日牧田寛
経団連会長の「原発提言」は、国際市場から脱落した日本原子力産業による国内への「PA本格化宣言」か

会見をする経団連の中西会長 経団連のYouTubeチャンネルより
波紋を呼んだ経団連会長の「原発再稼働・新増設」発言
 去る4月8日、経団連中西宏明会長(日立製作所取締役会長兼代表執行役)が、政策提言「日本を支える電力システムを再構築する」を発表しました。(参照:”経団連:日本を支える電力システムを再構築する (2019-04-08)”)↓
http://www.keidanren.or.jp/policy/2019/031.html
 各メディアはこの発言を受けて、以下のように報じました。
 ●”経団連会長「電力は危機に直面」 国民理解前提に 原発再稼働求め政策提言”2019/04/04 東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201904/CK2019040902000143.html
 ●”原発の運転延長、経団連が提言 日立出身のトップが主導”2019/04/08朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/ASM4843JBM48ULFA00T.html
 ●”原発の再稼働・新増設・建て替え必要 経団連が提言”2019/04/08毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20190408/k00/00m/020/291000c
 そして私は、この発言を見て、以下のような感想を抱きました。
 ヒノマルゲンパツPA(パブリックアクセプタンス)*とは、政府系・電力系の2系統が中心でした。それで、今までメーカーはあまり表に出てきませんでした。ところが、今回、経団連の中西会長がメーカー代表として独自のPAに乗り出してきたことに、強い危機感を覚えたのです。しかも、中西氏は経団連会長という公職性の高い立場へ、日立会長の利害を持ち込むという公私混同をしています。
 つまり、今後は政府・電力・メーカー(産業)の3系統でヒノマルゲンパツPAが進んでいくわけです。しかも、経団連は電力よりカネを持っている。その上、今となってはかつての石炭政策と同様にメンツのためだけの政府系や、もはや半ば意地でやっているかのような電力系は失敗しても死ぬわけではないのですが、海外でことごとく失敗したメーカー系は、これ以上失敗したら会社が潰れるわけで、必死さの度合いが違います。
 安倍政権下でいまやすっかり大政翼賛経済団体と化している経団連が、この「提言」を出したことが何を意味するのでしょうか?  当初、PAシリーズはいったん区切りを付けるつもりでしたが、4/8経団連発表によって考えを変えました。今回から長期に渡り、この経団連発表を軸に様々な側面から分析を試み解説します。
<*:PA(Public Acceptanceパブリックアクセプタンス 社会的受容 原子力発電所、ダム、高速道路や、新ワクチンなどその事業が社会(多くは地域社会)に大きな影響を与える場合、事前に社会的合意を得ること。民主社会において重要な手続きである。 しかし日本においては、PAと称して、詭弁、ごまかし、嘘、便宜供与、恫喝など、「嘘と札束と棍棒」によって市民を分断し、服従させる手法がまかり通っている。これは本来のPAを換骨奪胎した日本独自の異常なものである。筆者はこれらを(親方)ヒノマル◎◎PAとして本来のPAと区別している>
■「ヒノマルゲンパツ」PAの宿痾
 合衆国は、核兵器と軍用原子炉、そして商用として日本に比して遙かに健全に育った商用原子力利用、更に様々な原子力・放射線・核産業が裾野の広い市場を形成しており、すでに新規原子炉の建設なしでも原子力産業は生きて行けます。また、莫大な知的資産をもとに国際原子力市場でも稼ぐことが出来ます。日本とは核が、否、格が違います。東芝などWH(ウエスチングハウス)の「暖簾(のれん)」を高値買いして事実上破綻してしまいました。
 原子力と核を語る際に絶対に忘れてはいけないのは、P5(五大国=先行核保有国)にとっては、彼らこそが人類(貴族)であり、後発核保有国が亜人類(ゴブリン)、非核保有国はせいぜい猿扱いであるし、実際そのくらいの実力差があると言うことです。日本原子力史を紐解くとそのことを必ず痛感させられますし、国際会議や外交の場で悔し涙を流した先達の苦しみはたいへんなものです。現在も、よくてカネを背負ってやってきたチンパンジー程度の扱いと自覚すべきです。
 これはとくに近年の産業界トップや政治家の発言、そして、それらが資金提供しているヒノマルゲンパツPAにおいて著しいのですが、それらの特徴は、徹底した無知と「カモネギ風情」の身の程知らず、ドグマ(教義)汚染による硬直思考が基本にあり、現状分析能力を著しく欠いたファンタジーに過ぎません。原子力と核は徹底した実証に成り立っている学問であり、産業であるのにです。一連の中西氏による発言は、その典型といえましょう。
■中西経団連会長という人物とその背景
 中西氏は、日立に入社来、制御・情報・通信分野の方で、今世紀に入ってからはHGST(Hitachi Global Storage Technologies, Inc.)によるIBMのHDD事業統合後行き詰まりとWD(ウエスタン・デジタル)へ暖簾ごと売却をHGST取締役会長兼CEOとして、さらに日立製作所に社長として復帰後、英国のHorizon Nuclear Power社の892億円という相場の2~3倍という異常な高値での買収による英国へのABWR(改良沸騰水型原子炉)の売り込みを行い、2019年1月に3000億円の損失を出して事実上の撤退となる事業凍結に追い込まれるなど、アベノミクス下における日立V字回復の立役者との評の割に全く冴えない実績の方でもあります。
 安倍政権下の粉飾経済では、企業業績の評価については後年、徹底した再評価が必須でしょう。一方で、事業買収・売却については、その結果が明確に現れますので粉飾統計・粉飾市場の中での事実を表す指標としてはきわめて好適といえます。
 中西氏は、原子力・エネルギーに関しては、「原子力発電の重要性は日本のみならず海外でも同様。それをしっかり支えていくのは日立の大きな責務だ」(2013年株主総会)*という発言が有名で、同株主総会では、Horizon Nuclear Power社の買収について「英国政府のエネルギーのポートフォリオ計画に従い、息の長い事業をしっかりと行っていく。恥ずべきことではなく誇るべきことと考えている」と発言し、その後日本政府へ兆円規模の資金援助を要請したあげく、事業凍結、3000億円の損失を出し**ながら責任をとらないなど、日本原子力産業界を代表する人物にふさわしい言動を残しています。
 ホライズンプロジェクトは、当初から失敗の可能性が極めて高いもので、事業費は政府系金融の100%債務保証(もちろん失敗すれば日本市民の負担)の範囲を超えて膨らみ続け3兆円に達し、不足する1兆円の資金調達を日本政府に求める有様でした。もちろんそれらは我々日本市民の税金です。このホライズンプロジェクトの惨憺たる実態は当初より多くから批判を受けて***いながら事業凍結までに7年を要しました。
<*:“中西日立社長、株主総会で「日本でも海外でも、原発は重要。それを支えるのが日立の責務」と、”原発企業宣言”(各紙) | 一般社団法人環境金融研究機構” 2013-06-21>
https://rief-jp.org/ct10/32443
<**:“日立、英国での原子力発電所建設「ホライズンプロジェクト」の凍結を決定  :日本経済新聞”2019/01/18 >
https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP500320_Y9A110C1000000/
<***:日立による英国ウェールズへの原発輸出 コストとリスクは誰が負うのか? セミナー「イギリスの原子力政策と日立の原発輸出の現状」FoE Japan 深草亜悠美 衆議院第二議員会館第8会議室 2018.11.14>
http://www.foejapan.org/energy/export/pdf/20181114_fuka.pdf
 東芝の英国ムーアサイドプロジェクトの失敗とそれによる経営危機、三菱のトルコ シノップ計画の失敗と撤退など、ありとあらゆる原子力発電所の海外への売り込みが計画がすべて建設費・事業費高騰で失敗する中、最後まで残っていた日立のホライズンプロジェクトもあえなく潰れた訳です。日本の市民としては、最終見込みの3兆円が更に4~5兆円にまで膨らんだあげく事業破綻し、そのツケを税負担に回される危機が回避されたのですから不幸中の幸いといえましょう。ここは喜ぶべきところです。
■中西会長による年頭記者会見発言の「本質」
 ホライズンプロジェクト凍結の直前、2019年年頭記者会見で中西氏は、今後の原子力政策について「東日本大震災から八年がたとうとしているが東日本の原発は再稼働していない。国民が反対するものはつくれない。全員が反対するものをエネルギー業者や日立といったベンダー(設備納入業者)が無理につくることは民主国家ではない」と指摘。「真剣に一般公開の討論をするべきだと思う」として、国民の意見を踏まえたエネルギー政策を再構築すべきだとの見方を示しました*。
<*:“東京新聞:「原発 国民反対なら無理」 経団連会長、政権と同調姿勢転換”2019年1月5日>
https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201901/CK2019010502000132.html
 当時、この発言をもって、日立、経団連は原子力から手を引こうとしていると解釈するものが多数ありましたが、それは本質を見誤っています。この発言の本質は、後半のこの部分にあります。
「国民が反対するものはつくれない。全員が反対するものをエネルギー業者や日立といったベンダーが無理につくることは民主国家ではない。(中略)真剣に一般公開の討論をするべきだと思う」
■国際原子炉市場から脱落した日本
 まず、日立、東芝、三菱は、全世界での原子力売り込み事業にすべてことごとく失敗し、東芝は事実上の解体、日立は見えているだけで3000億円の大規模な損失を出しています。三菱もEDF(フランス電力会社)との合弁であるATMEA(アトメア)の今後によっては大きな損失を出す可能性があります。アトメアは、EPRの失敗をもとに設計簡易化と規模縮小によって低価格した優れた原子炉、ATMEA-1を商品としていますが、現時点で1基も売れていません。建設実績もゼロです。
 結果、日本の原子力メーカーにとって市場はもはや日本国内しかないというのが現実です。実のところ、「原子力発電の重要性は日本のみならず海外でも同様。それをしっかり支えていくのは日立の大きな責務だ」との中西氏の発言に反して、日本は原子力列強国からは脱落しており、国際市場での競争力は全くないというのが実態であって、2019年は、原子炉国際市場から日本メーカーが明示的に脱落した元年といえます。日本原子力産業の絶頂期であった平成一桁から凋落の一方であった平成の30年間ですが、令和を前にして原子炉国際市場から追い出された日本原子力産業界が国内で最後の生き残りをかけているのが4月8日の経団連会長としての中西会見であったといえます。
 論より証拠、日立と東芝が社運をかけて撤退に追い込まれた英国原子炉新規建設事業を例として示しましょう。
●ヒンクリーポイントC, NNB Generation (EDF・CGN),EPR 2基
●サイズウェルC   , NNB Generation (EDF・CGN),EPR 2基
●ブラッドウェルB  , NNB Generation (EDF・CGN),華龍1 2基
☓ウィルファ     ,Horizon Nuclear Power(日立),ABWR 2基
☓オールドベリー   ,Horizon Nuclear Power(日立),ABWR 2基
☓ムーアサイド    , NuGeneration(東芝,ENGIE),AP1000 3基
 主なプレイヤーはフランスEDF、中国CGN、日本日立、日本東芝です。東芝と合弁だったENGIEは、東芝に持ち分を売り抜けています。
 中国広核集団(CGN)が担当するブラッドウェルB以外では、事業費が当初見込みの3倍前後である3兆円に達し、経済性の崩壊によって日立と東芝は撤退しました。EDFは、英国政府と約15円/kWhで35年という破格の電力固定料買取を取り付け、ヒンクリーポイントCでのEPR建設を進めています。この買い取り価格は、英国の電力卸価格の二倍であり、これが第三世代プラス炉(3G+)であるEPRの実力といえます。これにより英国市民の負担する電力料金は、大幅に増加すると見込まれています。一方でこれにより採算性を確保し、ヒンクリーポイントCとサイズウェルCでのEPR4基の建設は進められるといえます。原子力発電は安くないのです。たいへんに高くつくことは英国でも証明されています。本来そのことをもっともよく知るのが中西氏であるはずです。何しろ、ウィルファ、オールドベリー両プロジェクトは、ヒンクリーポイントCにちかい電力固定料買取を英国政府に求めていたからです。
 CGNが担当するブラッドウェルBでは、英国政府との固定料買取契約が成立しませんでしたが、華龍1は、3G+に比して安価な3G炉であって、建設費を3G+炉の半額に抑えるとCGNは主張しています。CGNは、世界最大級の3G+/3G炉メーカーであって、実績も近年たくさん残していますので、たいへんに説得力があります。著者はCGNが事実上のセカンドソースとして建設するAP1000やEPRが妙に安上がりかつ工期が短い理由に強い関心があります。
 一方で、東芝、日立がそれぞれ担当したウィルファ、ムーアサイドでは、設計が1980年代と古いABWR(3G)を3G+相当に改良したとされるEU-ABWR(LT-ABWR)を売り込みましたが、事業費*がEPR(3G+)並に高騰し、英国政府から固定料買取契約を取り付けることも出来ず、日本政府に不足する資金の追加支援を要請したものの撤退となりました。
<*:事業費3兆円のうち2兆円は運営費であって、建設費は1兆円でありEU-ABWRは追加安全対策費で高騰していないという主張がある**。原典遡及可能な根拠が提示されていないものの、これが事実ならば、追加安全対策費で事業費は更に1~2兆円高騰するだけの話である。また、ヒンクリーポイントCなどのEDFによる事業費算定とも矛盾する。日本のABWR(3G)は、安全性で現在主流の3G+/3G炉に大きく劣後し、これが認可されるのは福島核災害前の日本くらいである。台湾ではABWRの安全性への強い疑義もあって建設中止となった>
<**:”日立はなぜ英国の原発建設を凍結したのか – Global Energy Policy Research” (余談だが、出典元のサイトは、アゴラ研究所が運営する原子力PA媒体である)>
http://www.gepr.org/ja/contents/20190118-01/
■原子力市場の覇権国は露、仏、中、米、韓、加
 現在、東芝が内部精算して事業体が消滅したあとのムーアサイドについては、韓国電力公社が原子力発電所建設を英国政府と交渉中とのことです。韓国電力公社は、韓国内と中東で実績を積んでおり、大いに期待出来ます。
 インドなどの旧第三世界では、ロシアのロスアトムが市場を席巻し、韓国電力公社が中東で実績を積む一方で、台湾でのABWR建設中断を皮切りに、日本勢は何一つ、な~~~~~~~~~んにも実績を残せませんでした。強いて言えば、台湾に建設中止となったABWRの廃墟を残すのみです。
 現在、国際原子力市場における列強国は、今世紀以降の実績ベースで露、仏、中、米、韓に加えて加(カナダ)であって、日本は完全に脱落したといえます。今後は、ロシアと中国を中心に市場が形成されるでしょう。
 国際原子力市場の中での日本の実力については、IAEAによる統計をもとに後日、稿を改めてご紹介します。 
 英国の事例と同様に、安倍政権が鳴り物入りで大名行列売り込みツアーに国税を投じながら進めてきた世界への原子炉の売り込みは完全に、すべて、なにもかも失敗しました。今後の再参入もあり得ないでしょう。従って、日立、三菱と言った原子炉メーカーは、国内市場を再開拓せねば、それが出来ねば遠からず破綻することになります。いわば死活問題です。
■責任者が責任をとらない日本失敗の本質
 責任者が責任をとらず、その意思もなく、従って、撤退出来ないというのは、『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』(戸部良一、寺本義也、鎌田伸一、杉之尾孝夫、村井友秀、野中郁次郎・著/ダイヤモンド社・文庫版は中央公論社)のインパール作戦についての箇所でも指摘された日本の組織特有の致命的欠陥です。そういった視点から、中西発言を見ると、(責任をとりたくないが故の)不退転の決意が見えてきます。
 そのために、「国民の同意を得ねばならない」という文脈です。したがって、これは本来の意味でのPAではなく、本連載で度々指摘してきたPAならぬ「ヒノマルゲンパツPA」を大々的に行うという経団連会長の宣言であると断定出来ます。
 2019年頭記者会見での中西氏による発言、「国民が反対するものはつくれない。全員が反対するものをエネルギー業者や日立といったベンダーが無理につくることは民主国家ではない。(中略)真剣に一般公開の討論をするべきだと思う」ですが、この後、このような言動を行っています。
「原発と原爆が結びついている人に『違う』ということは難しい」(出典:“中西経団連会長「失礼だった」 原発と原爆の混同を釈明:朝日新聞”2019/2/25)
https://www.asahi.com/articles/ASM2T5FPTM2TULFA01V.html
 また、「原発の再稼働に向けて国民的な議論の場が必要だ」と発言しながら、小泉純一郎元首相などが参加する「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」から公開討論を申し込まれると、「感情的な反対をする方と議論しても意味がない」として、現在も逃げ回っています。おかしな話です。反対者との対話は、PAの基本中の基本です。(参照:“中西経団連会長、原発は必要=東日本大震災8年:時事通信”2019年03月11)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019031101114&g=eco
 まず、「原発と原爆が結びついている人に『違う』ということは難しい」は、1960年代の高校生程度の知識です。このような半世紀時代遅れの誤った知識で原子炉メーカー会長が核と原子力を語ることは、社会にとってたいへんな脅威です。
■メンツと保身のために公開討論から逃げ続ける
「原発の再稼働に向けて国民的な議論の場が必要だ」と発言しながら、小泉純一郎元首相などが参加する「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」から公開討論を申し込まれると、「感情的な反対をする方と議論しても意味がない」として、現在も逃げ回っていることには、「保身」「面子」という極めて強い「感情」に突き動かされる意思を感じます。
 これはヒノマルゲンパツPAに極めて特徴的なのですが、論敵に対して「感情的」というラベリングをすることにより逃げ回り、連呼による刷り込み効果によって相手の人格をおとしめるという暴力型PAの事例としてホルマリン漬け標本にしたくなるような形式美を自ら晒しているといえます。
 私は、1月5日の中西氏による年頭会見からこの方はヒノマルゲンパツPAの歩く標本ではないかと注目してきましたが、4月8日の経団連発表で、政府、電力とは異なる第三極として国際原子炉市場から逃げ帰ってきた原子炉メーカーが生き残りをかけたヒノマルゲンパツPAを開始したと判断しています。時を同じくして、日本原子力産業協会(JAIF)がPA活動を活発化しています。
●あつまれげんしりょくむら(JAIF)*
<*:「原子力村」は、おそらく東海村が語源で、1960年代には業界紙に現れている言葉であって、由緒正しい自称である。批判的に使われる「原子力ムラ」とは赤の他人である>
http://village.jaif.or.jp/

 ヒノマルゲンパツPAは、それによる原子力従事者、事業体、政治家、政府自体の自己暗示を起こし、結果として福島核災害の原因である安全神話ともなりました。日本にとっては致命的な宿痾といえます。一方で、文書などを入手し、その実態を紐解くと、もはや喜劇としかいえない実態もあります。これは多くの市民が資金提供者、納税者として知る権利を持ちます。
まきた ひろし●著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。本来の専門は、分子反応論、錯体化学、鉱物化学、ワイドギャップ半導体だが、原子力及び核、軍事については、独自に調査・取材を進めてきた。
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