日々

穏やかな日々を

高速バス

2010年02月22日 07時57分02秒 | 
高速バスの一番後ろに座った
前の人たちは頭しか見えない
一人バスに乗っているような気がした
バスはちっとも揺れなかった
夜走り続けて10時間後
私は都会に到着する。

高速バスの一番後ろに座った
ほんとは前の席だったけど
前の人が椅子をぐっと倒してきたから
とても窮屈になった
だから移動した
後ろの席にはだれも座っていなかった

高速バスの一番後ろに座った
バス全体の広さが分かる
通路がまん前に運転席までのびている
細く長くずっと向こうまで続いている
細い道のようだった
ほっと息をしながらこれから会う人を思う

バスの後部座席は広かった
体を横たえて映画の主人公になれた
イタリア映画のような暗い車内
黙って時々目の合う他人同士の男女
突然女が崩れるように倒れる
男はあわてて女を抱きかかえた


高速バスはすべるように走り
都会へと私を運んで行く
明日朝の都会は風が強いだろうか
雨が降っていないだろうか
会いたい会いたい気持ちだけが
夜のバスの光になる
夜の高速道路を走るバスが今はただ力

朝までの長い時間は私の気持ちを強くする
会うときのその瞬間をただ思って
一番後ろでその瞬間を全身に感じる

冬の高速バスはすべるように走る
一番後ろの席は一人
都会での出会いを濃厚に染めて行く

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