青森県立中央病院でハイブリッド手術室稼働
2018年10月1日 (月)配信東奥日報
県立中央病院(青森市)は10月から、カテーテル治療と外科手術を同時にできる「ハイブリッド手術室」を稼働する。高性能の血管撮影装置を備え、作成された3D画像を見ながらより精度の高い治療が可能になる。同病院心臓血管外科の永谷公一部長は「治療時間を大幅に短縮でき、患者の負担減にもつながる」と期待を寄せている。
同手術室はほぼ全ての都道府県で導入されているが、県内では同病院が初。
導入には高齢化などを背景に、従来の外科手術より精神的・身体的負担が少ない治療へのニーズの高まりがある。外科と内科がチームを組み、互いの技術を融合させて最新の治療を行うのが特徴だ。
中でも、心臓血管領域でスタッフや患者にとってメリットが大きいという。
「同じ疾患でも開胸を伴う外科手術と(足の血管から細い管を挿入して患部まで到達させる)カテーテル治療の選択があり、それぞれの長所を生かし、短所を補いながら処置ができる」と永谷部長。外科手術とカテーテル治療の両方が必要な患者に対しても、これまでは別の部屋で別の日にそれぞれ行っていた処置を、同時に行うこともできる。
これを支えるのが、最新鋭の機器だ。従来の手術室にはない3D・透視機能を備えた装置で血管を撮影しながら、大型モニターで患部の位置を細かく確認できるため、より正確で速い治療ができるようになる。
ハイブリッド手術室のみで認められている治療も可能になる。心臓の弁が狭くなる「大動脈弁狭窄(きょうさく)症」はこれまで、人工弁を入れるために開胸し心臓を停止させて手術をしていたが、足の付け根からカテーテルを挿入するだけで行えるようになった。「経カテーテル大動脈弁治療」(通称TAVI(タビ))と呼ばれ、従来の3~4時間から1時間程度で治療を終えられ、体への負担も少ない。
同疾患は県内でも高齢者を中心に急増しており、体力的に手術をあきらめていた人にとって、治療の選択肢が増えることになる。今後は、脳神経外科や整形外科での活用も見込む。
永谷部長は「全般的に治療のクオリティーが高まるだろう。この手術室がなければ、今後の心臓血管系の治療が成り立たなくなる」と話している。
◇
ハイブリッド手術室 従来の外科手術室と心臓カテーテル治療室それぞれの機能を組み合わせたことが「ハイブリッド」の由来で、人工心肺装置も備える。室内はX線防護壁で覆われ、従来よりも高い空気清浄度で保たれている。県病3階にある二つの手術室を改装して整備した。広さ62平方メートル、総事業費は約5億円。
2018年10月1日 (月)配信東奥日報
県立中央病院(青森市)は10月から、カテーテル治療と外科手術を同時にできる「ハイブリッド手術室」を稼働する。高性能の血管撮影装置を備え、作成された3D画像を見ながらより精度の高い治療が可能になる。同病院心臓血管外科の永谷公一部長は「治療時間を大幅に短縮でき、患者の負担減にもつながる」と期待を寄せている。
同手術室はほぼ全ての都道府県で導入されているが、県内では同病院が初。
導入には高齢化などを背景に、従来の外科手術より精神的・身体的負担が少ない治療へのニーズの高まりがある。外科と内科がチームを組み、互いの技術を融合させて最新の治療を行うのが特徴だ。
中でも、心臓血管領域でスタッフや患者にとってメリットが大きいという。
「同じ疾患でも開胸を伴う外科手術と(足の血管から細い管を挿入して患部まで到達させる)カテーテル治療の選択があり、それぞれの長所を生かし、短所を補いながら処置ができる」と永谷部長。外科手術とカテーテル治療の両方が必要な患者に対しても、これまでは別の部屋で別の日にそれぞれ行っていた処置を、同時に行うこともできる。
これを支えるのが、最新鋭の機器だ。従来の手術室にはない3D・透視機能を備えた装置で血管を撮影しながら、大型モニターで患部の位置を細かく確認できるため、より正確で速い治療ができるようになる。
ハイブリッド手術室のみで認められている治療も可能になる。心臓の弁が狭くなる「大動脈弁狭窄(きょうさく)症」はこれまで、人工弁を入れるために開胸し心臓を停止させて手術をしていたが、足の付け根からカテーテルを挿入するだけで行えるようになった。「経カテーテル大動脈弁治療」(通称TAVI(タビ))と呼ばれ、従来の3~4時間から1時間程度で治療を終えられ、体への負担も少ない。
同疾患は県内でも高齢者を中心に急増しており、体力的に手術をあきらめていた人にとって、治療の選択肢が増えることになる。今後は、脳神経外科や整形外科での活用も見込む。
永谷部長は「全般的に治療のクオリティーが高まるだろう。この手術室がなければ、今後の心臓血管系の治療が成り立たなくなる」と話している。
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ハイブリッド手術室 従来の外科手術室と心臓カテーテル治療室それぞれの機能を組み合わせたことが「ハイブリッド」の由来で、人工心肺装置も備える。室内はX線防護壁で覆われ、従来よりも高い空気清浄度で保たれている。県病3階にある二つの手術室を改装して整備した。広さ62平方メートル、総事業費は約5億円。