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糖尿病は「自己責任」? 麻生氏発言にずっとモヤモヤ

2019年03月07日 00時43分24秒 | 行政
糖尿病は「自己責任」? 麻生氏発言にずっとモヤモヤ
2019年3月4日 (月)配信朝日新聞

 ずっとモヤモヤしています。
 きっかけは、昨年10月23日の記者会見で、日ごろ財務省を取材している同僚記者がした質問に対する、大臣の麻生太郎さんの答えでした。
 「『自分で飲み倒して、運動も全然しねえで、糖尿も全然無視している人の医療費を、健康に努力しているオレが払うのはあほらしい、やってられん』と言った先輩がいた。いいこと言うなと思って聞いていた」と他人の発言を引いて、麻生さんは自分の思いを語りました。
 この「先輩」は、78歳の麻生さんより年上。健康に気をつけ予防に取り組んでいる「先輩」は、隣にいた「自分で飲み倒して、運動もしない」人を指さし、「あほらしい、やってられん」と言ったのだそうです。
 ソーシャルメディアでは「自己責任論と弱者排除を振りかざす醜悪体質」などの批判を招いて炎上しました。一方、「正論だし本音」という賛意の声も上がりました。
 なぜ、モヤモヤしたのか。記者(52歳)は20年近く社会保障の取材をしてきて、健康状態を過度に個人の努力不足のせいにするのはおかしいという意見です。でも、暴飲暴食を繰り返している人を前にすれば、麻生さんと同じような思いを抱く人も多い。だから、政治家の麻生さんは、ホンネの政治家として人気があるのでしょう。こうした発言が繰り返されることで、「あほらしい、やってられん」というギスギスした雰囲気が生まれないか。そんなことが心配になったからです。
 私も20~30歳代の頃は、「年金問題」の取材などに追われて夜中に飲み食いする日々が続きました。今は、日々勃発する出来事を追うポジションではなく、健康に気をつける余裕があります。でも、世の中には私と同じ50歳代で強いストレスを受けながら激務をこなしている人も多いでしょう。
■「生活習慣病って冷たい言葉」
 実はいま、国は「予防」を推進して医療費を抑制する政策を進めようとしています。中心は経済産業省で「明るい社会保障」というスローガンを掲げています。主なターゲットは糖尿病などの生活習慣病です。2017年に105歳で亡くなった医師の日野原重明さんも「成人病」に代わる名前として提唱しました。背景には、個々人の生活習慣が原因でなる病気なのだから、個々人の努力で予防できるはず、という考え方があります。
 ですが、本当にそうなのでしょうか。また、予防によって医療費は抑制できるのでしょうか。こうした考えには異論があります。
 「生活習慣病って冷たい言葉だよね。自己責任を過大に評価している。このニュアンスが独り歩きすると、麻生さんみたいな発言になっちゃう」。そう話すのは、首都圏で人工透析専門のクリニックを運営するベテラン医師です。
 生活習慣病とされる病気の一つが糖尿病(2型)。これが原因で腎臓が働かなくなると、血液から老廃物を取り除くため透析治療を受けなければいけません。
 糖尿病を悪化させるのは、長時間労働しながら、安い外食に頼る人が目立つといいます。「目の前のことに精いっぱい、ギリギリの暮らしで健康のことなど考えられない人が多いんです。貧困病という側面がある」と話します。
 体中の血液をきれいにする透析治療の標準は1回4時間を週3回。心身ともに負担の大きい治療を生涯受け続ける必要があります。生活全般にも厳しい制約がかかります。その大変さは、健康な人間の想像を超えるものでしょう。胸が痛みました。
■生まれつきかの線引き「難しい」
 社会の仕組みが健康に与える影響を研究している東大准教授の近藤尚己(こんどう・なおき)さんは、麻生さんが会見で述べた「(不健康が)生まれつきなら諦める」という言葉が気になったといいます。「不健康が生まれつきかどうかの線引きは難しい」からです。
 「子どもの頃に置かれた厳しい環境が積み重なると、大人になってから不健康になるリスクが上がります。自分の努力ではどうしようもない事情は様々あるのに、今の状態だけで自己責任かどうか判断するのはよくないし、事実上不可能です」と近藤さんはいいます。
 いま、霞が関の官庁で国の動きを取材していると、この「予防」や医療費の抑制をめぐって様々な新しい動きがあります。「メタボ健診」が導入された時のように、私たちの生活に影響する変化が起きるんじゃないか。今度はそれが気になって、モヤモヤが続くのです。(浜田陽太郎)
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「心のケア」に国家資格 学校や病院、活躍の場広く 暮らし大型Q&A「ニュース早分かり」公認心理師

2019年03月07日 00時25分42秒 | 行政
「心のケア」に国家資格 学校や病院、活躍の場広く 暮らし大型Q&A「ニュース早分かり」公認心理師
2019年3月4日 (月)配信共同通信社

 心理職で初めての国家資格となる「公認心理師」が誕生しました。
 Q どんな資格ですか。
 A 学校や病院、職場でカウンセラーを務める「心のケア」の専門家の資格です。増加するうつ病や自殺、虐待問題などで心理職の重要性が認識される中、専門性と技術を備えた人材を確保しようと、2015年に議員立法で公認心理師法が成立しました。
 Q これまで国家資格はなかったのですか。
 A 民間の資格はあります。代表的なのは「臨床心理士」で、民間団体が全国で約3万人以上を資格認定しています。日本臨床心理士会の会員調査(15年)では、活動分野は病院などの保健医療が28・8%で最も多く、小中学校などの教育が23・3%、大学・研究機関15・8%、福祉13・3%―などとなっています。企業などの産業・労働、司法・法務・警察の分野で働く人もいます。
 このほかにも「産業カウンセラー」や「臨床発達心理士」といったカウンセリングの民間資格があります。
 Q 心理職は災害でも活躍していますね。
 A 災害時の心のケアの大切さが広く知られるようになったのは、1995年の阪神大震災と言われています。その後も2011年の東日本大震災といった災害のたびに被災者のケアに当たってきました。
 Q 国家資格になると何が変わるのでしょう。
 A これまで国家資格でないために非常勤で働く人が多かったり、仕事内容が制限されたりしていた面が改善する可能性があります。カウンセリングは原則的に公的医療保険の対象外でしたが、今後は保険適用となる可能性もあります。そうなればケアに十分な手間をかけられますね。
 Q 試験を受けられるのはどんな人ですか。
 A 原則として大学と大学院で6年間の専門教育を受けた人です。ただ当面の措置として、大学院で一定の単位を取得した人や、5年以上の実務経験があって国の講習を受けた臨床心理士や看護師なども対象となります。18年9月と12月に実施された第1回試験では全国で約2万8600人が合格しました。合格者の4分の3が女性でした。
 Q 期待される役割は。
 A 国家資格となることで、これまで以上に活躍の場が増え、医師や看護師、教師といった他の専門職と連携しながら対応する機会が多くなりそうです。資格を持つ人の数を増やすだけではなく、質を担保することも求められます。
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