介護実習、日本語要件緩和 来日1年後の試験 政府、受け入れ拡大図る
2019年2月21日 (木)配信共同通信社
外国人労働者の受け入れ拡大政策の一環として政府は20日、介護分野の技能実習の日本語要件を緩和する方針を固めた。介護の技能実習生の人数は語学力が壁となって伸び悩んでおり、てこ入れを図る。現在は来日1年後に一定レベルの日本語試験に合格することを滞在延長の条件とするが、引き続き学ぶ意欲を示せば、その後2年間在留できるようになる。早ければ3月に告示を改正する。
団塊世代全員が75歳以上の後期高齢者となる2025年には介護サービスの需要が一層高まり、約34万人の担い手が足りなくなる。政府は新たに4月に始まる在留資格とともに、深刻な人手不足の解消につなげたい考えだ。
介護は17年11月に技能実習の対象に加わった。初の対人サービスのため日本語能力試験で(1)入国時に「基本的な日本語を理解することができる」レベルのN4合格(2)2年目に入る際に「日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できる」N3合格―との固有の要件が課されている。
N3不合格の場合は帰国しなければならず、政府が大きな期待を寄せたベトナムなどからの送り出しが停滞し、制度開始から1年となる昨年10月末時点の来日者数は247人にとどまった。
今回の要件緩和で、来日して1年間の技能の習熟度を見る評価試験に合格した実習生は(1)日本語を継続的に学ぶ意思を表明している(2)介護の技能等の適切な習熟のために必要な日本語を学ぶ―という二つの条件を満たせば、N3に合格できなくても、さらに2年間の在留が可能となる。政府は具体的な学習計画を文書に記載してもらう方向で調整するなど、詰めの作業を進めている。
要件緩和に伴いサービスの低下を招くと懸念する声もあるが「現場で1年間働けば介護に必要な語学力は身に付くので、N3の資格がなくてもコミュニケーションを図ることができる」と政府関係者は強調している。
※介護の技能実習
技能実習は外国人が日本で習得した技術を母国の発展に生かす目的の制度で、介護は2017年11月に対象に追加された。施設で高齢者の身支度や移動、食事、排せつを手助けする。期間は最長5年。入国には日本語能力に加え(1)受け入れ事業者が実習計画を監督機関「外国人技能実習機構」に申請、認定を受ける(2)在留資格やビザの取得―などの手続きが必要。計画申請から入国まで4カ月程度かかる。昨年7月に初の介護実習生の中国人女性2人が来日。同12月28日までに1516人の申請があり946人が認定された。順次来日するとみられる。