温泉クンの旅日記

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土肥温泉(2) 静岡・伊豆

2010-03-07 | 温泉エッセイ
  <土肥温泉(2)>

「前回にお泊りいただいたお部屋はどちらか覚えていらっしゃいますか」
「なにぶん古い話なので、ちょっと・・・」
 二階の部屋で、窓が小さい部屋だったことだけは覚えているのだが。もしかしたら、玄関のある建物の二階かもしれない。



 玄関のある建物から、石造りの渡り廊下を通って宿泊棟に向かう。右側には庭が広がっている。



 山際に向かって、新しい宿泊棟がいくつか増設されているようだ。
 わたしの部屋は手前の棟の二階である。つまり年代ものの建物ということだ。案内された部屋が、古いのは覚悟していたが、とにかく広くてびっくりする。



 はいってすぐのところに年季のはいった応接セットみたいなのが置かれていた。きっと、昔は文人墨客がこの部屋に案内されたことだろう。
 軽く十畳くらいありそうな畳の部屋には、アンティークな箪笥と鏡台。



 その横には、江戸時代に平次親分が使っていたような長火鉢が置かれていた。



 庭を見下ろせる広いテラスがついていて、いかにも当時は賓客用の部屋だったことを偲ばせる。



 お茶をいれてもらって仲居がさがり、軽く茶で喉を潤したら、まずは温泉である。
 早変わりで浴衣姿になると、ビニール袋をバリバリ破ってタオルを取り出す。わたしはバスタオルを使うことはほとんどない。常にタオル一本で充分なのだ。
 内風呂は、湯気がもうもうと立ち込めていた。
 本物の温泉の香りを感じる。香りも物質であり、鼻や口から吸い込む温泉成分なので重要だ。



 四角い石造りの上がり湯を桶に汲んで軽く浴びる。
 内湯のふちで内湯の温泉を汲んで掛け湯を何杯か浴びる。
 すこし熱めだが、寒いこの日にはちょうどいい温度である。それを全身で確認する。長年で身についた癖である。温度管理がしっかりしている宿ばかりではないので、火傷するような温泉も多いのだ。



 温まったら、広い露天風呂に移動する。
 向かって正面に、八朔だろうか柑橘系の樹があった。この露天風呂には記憶があった。
 ただ雪になろうかという低い気温なので、外気に温泉の温度がだいぶ奪われている。
 内湯に戻って温まりなおすと、あがるときに、またもたっぷりの掛け湯をする。

 部屋に戻って酒を呑みだしたが、いつまでたっても身体がポカポカしている。いい温泉の証拠である。
 夕食にアワビのオプションを奮発しようかと思ったが、大きさで四千円から六千円の追加料金ということなので、それでは通常の宿泊料金に近くなるだけだ。あっさりと、思っただけにしておいた。わたしのご馳走は、基本温泉でいい。

 夕食のメニューはさすが超格安プランなので、それなりであった。
 頼んだ冷酒は洒落た籠で運ばれ、桜が添えられていてなんとも風情がある。



 - 続く -

  →「土肥温泉(1)」の記事はこちら
  →「南京玉簾」の記事はこちら
  →「温流入浴法」の記事はこちら

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