日曜の朝、布団のなかでもうひと眠りしようかどうしようか迷いながらテレビをつけて、画面をなんとなく観ていた。あれっ! このひと、知っている。画面に、観たことある顔が映っていてびっくりして思わず寝ぼけマナコをこらしてしまう。六時前の通販番組である。バックに映っている、甕壺畑をみて思い出した . . . 本文を読む
ひとは、いろいろな理由で旅をする。紅葉、名花、名勝地、名物、古刹、想い出、温泉、さまざまなきっかけで旅をする。写真だったり、ポスターだったり、テレビの画像だったりを見ていて、ある風景とかに眼がとまって、そこにどうしても行ってみたい、とわたしは思うことがある。たまに、読んでいる小説の場面描写の文章のこともある。風景とか建物とか場所、とかが妙に心に残るのだ。そう思ったら最後、いつまでも胸の中のどこかにその気持ちがずっと占め続けるのだ . . . 本文を読む
有福とは、いかにもありがたい名前の温泉である。横幅の広い島根県の西の端っこ、海沿いの国道から離れて山間にむかってしばらく走ったところにある、ひっそりとした静かで小さな温泉町だ。開湯は千三百年まえと、古い。十軒ほどの宿と、民家が、低い山の狭い面積の斜面に行儀よくはりついていた。客は、下にある駐車場に車を停めて、荷物を持って石段をふうふうとあがっていかねばならない . . . 本文を読む
伊勢うどんも、いかにもとっつきが悪かった。腰のなさそうないかにも生っ白い極太うどんに、黒っぽい濃厚な汁というか溜り醤油がちょっとだけかかっているという代物である。箸休めになりそうな具もほとんど載ってない。なんか貧乏くさいし、血圧に悪そうだなあ・・・というのが、見た目、最初の感想であった
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戸塚駅を8時ごろ出発して、静岡駅には11時ちょい前に到着した。利用したのは前回と同じ組み合わせの電車である。今日は、鞠子まで2キロ、そこから岡部までは8キロ、合わせて10キロの比較的楽ちんなコースだ。(そう、そのはずだった)途中に、ナントカ峠という文字をみたので無理をしないように設定したのだ . . . 本文を読む
そういえば「由布院(2)」を書いたあとに、いきなり山陰の「温泉津温泉」に飛んだことについて、「あんだけ引っぱといて、てっきり由布院の宿の話になると思いきや、なんで山陰の温泉の話になるのだ。由布院には思い出があるので早く書け!」と、友人から抗議がきた . . . 本文を読む
貸切風呂は二つあった。どちらも、檜風呂と広い露天風呂があって同じつくりである。スペースがたっぷり広いので、四人家族でもだいじょうぶそうである。まずは檜風呂で、ゆっくりと由布院のお湯を楽しむ。やはりタイル張りの風呂よりもこちらのほうが気分がいい。泉質は単純温泉で、柔らかく肌にやさしいので女性には特に人気があるのだ。続いて、広い露天風呂にはいった。(うーむ、これはなんとも贅沢な露天だ・・・ . . . 本文を読む
その宿は由布院駅から車で五分ほどの距離だった。ホテル遊輪・・・玄関のイメージは、なんとなく旅館とか宿というよりフレンチ・レストランといった趣である。世界的に高名な画家でオーナーでもある吉井好子氏が手がけた宿らしいともいえる。もっとも現代洋画界には不案内なのでよくはわからないが . . . 本文を読む
さて、腹もいっぱいになったし次は温泉である。食べてすぐの入浴はいけないのは承知のうえだ。ここ温泉津には「元湯泉薬湯」と「薬師湯」の二軒の共同浴場がある。ありがたいことに、どちらも源泉に加熱とか加水とか一切手を加えない生の温泉が使われている . . . 本文を読む